<憑依>救世主は憑依能力者!?②~作戦決行~(完)

宇宙からやってきた侵略者たちを前に、
地球は壊滅寸前ー。

しかし、憑依能力者たちに協力を依頼し、
”憑依による”反撃作戦が始まろうとしていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「クククー無駄なあがきをー」
”皇星ルボル”からやってきたエイリアンー。

その女王が、笑みを浮かべるー。

人類側の戦闘機がマザーシップに攻撃を
仕掛けて来たのだー。

「ー貴様ら人間の技術力など、我らから見れば
 1万年以上前の化石のようなものー」

女王はそう呟くと、笑みを浮かべるー。
巫女服のような服を身に纏い、どこか神々しさを感じる彼女ー。
しかし、彼女は人間のことを”虫”としか思っていないー。

「ー我が母船に傷をつけることなど、できぬー」
女王は笑みを浮かべると、鋭い爪をペロリと舐めながら
「排除しろ」と、部下に伝えるー。

部下が頭を下げると、母船からカラフルなレーザーが全方位に放たれ、
戦闘機はあっという間に全滅するー。

もはや、相手にすらなっていなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーむぅ…」
皇星ルボルの侵略者に対抗すべく、結成された地球側の連合軍ー
その参謀の幸村が表情を歪めるー。

「ークク…なんで、意味のない攻撃を仕掛けるんだ?」
ツインテールの紗友里が、笑みを浮かべながら声をかけるー。

顔に似合わぬ邪悪な笑みを浮かべる紗友里ー。
彼女は、男に憑依され、その身体を支配されているー。

「ーー”陽動”のためだー。
 十分な数の憑依能力者の協力を得られるまで
 それを悟られるわけにはいかないー」

参謀・幸村はそう答えるー。

「ーー奴らを一気に壊滅させる必要があるってことかー」
腕組みしながら壁に寄りかかっていたポニーテールの真桜がそう呟くと、
幸村は「その通り」と、頷くー。

皇星ルボルの技術力は強力だが、
母船に乗っていると思われるエイリアンの数はそれほど大量ではないー。

皇星ルボルの軍勢は
人型のエイリアンの他に、獣のような怪物も要していて、
それが地上に投下され、被害をもたらしているー。
だが、その怪物は銃火器で排除も可能ー。

エイリアンと母船さえ沈めれば、勝機はあるー。

「一斉に全エイリアンを排除する必要があるー。
 一人でも残せば、奴らの兵器で反撃を受ける可能性があるからなー」

参謀・幸村は言うー。

核兵器をマザーシップに投下した際に、
それを防がれただけではなく、
皇星ルボルの兵器による反撃で、
地球上の大陸一つが5秒で消滅した。
その大陸にいた全ての人間共々、だー。

仮に憑依作戦を実行したとしても、
エイリアンが少数でも残れば、マザーシップから
再びあの攻撃が放たれる可能性もあるー。

奴らが本気になれば地球上の生命体を5秒で消し去ることもできるのかもしれないー。

それをしないのは、
恐らくは”この星を手に入れたいから”。
大陸もろとも消し去るのは簡単でも、
それをしてしまっては、地球を占領したあとの魅力が減る、と、
そう考えているのだろうー。

だが、自分たちが追いつめられれば話は別だー。
”地球を道連れ”にしようと考える可能性は当然あるー。

そうなるわけにはいかないー。
だからこそ、”憑依能力者をできる限り集めて”一斉に憑依を行い、
一気にエイリアンを抹殺する必要があったー。

「ーーところで、あの空に浮かぶ”マザーシップ”の中には
 ちゃんと入れるのか?」
ポニーテールの真桜が言うー。

マザーシップには特殊なバリアが張られているー。
霊体の状態になっていても、その中に進入できないのであれば
エイリアンへの憑依はできないー。

「ーそれは、既に君たち以外の憑依能力者に確認してもらったー。
 さすがに奴らの母船も”霊体”の進入までは防げないようだー」

参謀の幸村の言葉に、横にいた紗友里は「へへー。憑依は最強だぜ」と、
嬉しそうに笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”憑依能力者が集まるまで”
犠牲を承知で、それを悟られないよう、
”無駄な攻撃”を繰り返す連合軍ー。

皇星ルボルの”女王”は、虫けらの最後の抵抗として
笑みを浮かべていたー。

がー、
そんな中、連合軍はついに
”母船の中にいると思われるエイリアンの数”を超える
憑依能力者を集めることに成功したー。

その数、およそ800。

人型のエイリアンさえ全滅させれば、
残る、”獣型の怪物”は、武力で排除できるー。

「ーーーよく集まってくれたー
 これは、地球の、我々人類の存亡をかけた戦いだー」

参謀の幸村がそう言い放つー。

集まった憑依能力者約800人ー。

紗友里と真桜は周囲を見渡しながら
「美少女ばっかじゃねぇかー。まぁ中にはおばさんとかイケメンもいるけどー」
と、紗友里の方が言葉を口にするー

真桜は「まぁ、俺たちもそうだからなー」と、笑みを浮かべると、
「そうだなー」と、紗友里は笑みを浮かべるー。

作戦内容が、参謀の幸村から説明されるー。

一斉に、幽体離脱をしてエイリアンのマザーシップに潜入ー、
事前に打ち合わせした通り、それぞれエイリアンに憑依し、
憑依したまま”自殺”するー。

既に、捕獲したエイリアンの女戦士の身体で、
”憑依した後に自殺”することは可能であることも確認したー。

身体を乗っ取り、エイリアンたちを全員自殺させるー。
可能であれば母船の破壊、あるいは占領も試みたいようだったが、
参謀・幸村は”それは無理であれば構わない”と、
そうも説明したー。

「ーーー地球の命運がかかった作戦だー。
 君たちがこの先、”憑依”を楽しむためにも
 どうか、成功させてほしいー」

参謀・幸村の言葉に、
集まった憑依能力者たちは笑みを浮かべたー。

そしてー…
”憑依反撃作戦”が結構されたー。

「ーへへへ…乗っ取られてる身体が一斉に意識を失ってく様子エロいなー」
ツインテールの紗友里が、他の憑依者たちが身体から抜けていく様子を
見つめながら笑うー。

「ククー俺たちもそろそろ行こうぜ」
真桜の言葉に、紗友里は頷くと、二人はそのまま幽体離脱をしたー。

エイリアンの母船に800を超える”魂”が近付くー。
そして、その中へと進入しー、一斉にエイリアンたちに憑依していくー

「ー俺は女王担当だからなー」
「ー分かったー。俺は技術担当の女エイリアンに憑依するー」
紗友里と真桜に憑依していた男たちは、
それぞれそんなやり取りをすると、そのまま
事前の調査で突き止めておいた、エイリアンたちの居場所に向かうー。

”いたいた”
真桜に憑依していた方の男は、技術担当の女エイリアンに憑依すると、
「ぅ…」と、声を上げながら、笑みを浮かべるー。

「ーへへへ…なかなかいい身体だな」
女エイリアンになった男は、そう言葉を口にすると、
”ツメ”を首筋に向けるー。

皇星ルボルのエイリアンたちは、
”鋭い爪”を持つ。

それを使い、首筋を描き切ることで手軽に”自ら”命を絶つことができるのだー。

「ーークククーー
 どんなに技術力が発展してもー、
 ”憑依”には勝てなかったなー」

技術担当の女エイリアンの口でそう言葉を口にすると、
そのまま自らの首を切り裂いたー。

マザーシップ内で次々とエイリアンが自殺していく異常事態ー。

「ーーー…?」
皇星ルボルの”女王”は、表情を歪めるー。

「ーーーーー何事だ?」
船内の通信で、そう声をかける女王ー。

”何か”異変が起きたー。
しかし、人類側に攻撃されているわけでもないこの状況ー。
女王は混乱しながら立ち上がるー。

がーーー
その時だったー

”へへー巫女服みたいの着ちゃってー。
 いい感じだな”

紗友里に憑依していた男が、”女王”に憑依するー。

何度か胸を揉む女王ー。

「ぐへへへへ…”女王様”だろうがなんだろうが、
 憑依の前では等しく無力だぜ?」
女王を支配した男はそう言葉を口にすると、
「ーーわたし~死んじゃいまぁ~す♡」と、
この女王が絶対に口にしないであろう言葉を口にして、
そのままひと思いに首を切り裂いたー。

”女王”は、死亡し、
他のエイリアンも全滅ー。
母船は機能を停止し、バリアも消滅するー。
直ちに母船に一斉攻撃が始まり、母船もついに撃墜されたー。

憑依能力者たち、およそ800人が、
自分たちが使っていた身体の元に戻ってくるー。

元々いた大部屋で、紗友里と真桜の二人の身体も
再び、男たちに憑依されて目を覚ますー

「ククー女王の身体もなかなか良かったぜ」
紗友里がそう言うと、真桜は「へへー。それは良かったー」と笑うー。

憑依能力者たちが全員無事に帰還すると
参謀の幸村は「全エイリアンの死亡を確認したー。君たちのおかげだ」と、
嬉しそうにそう言葉を口にしながら、
感謝の言葉を口にして、頭を下げたー。

800人以上の憑依人が集まっているその部屋では、
それぞれ今、自分たちが使っている身体に戻り、
思い思いの言葉を口にしているー。

「ーーー」
そんな光景を見つめながら、参謀の幸村は
部屋の外に出ると、
外に待っていた男に向かって言葉を発した。

「ーやれ」

「はい」

その言葉と共に、男が持っていた端末で何かを操作すると、
800人以上の憑依人がいる大きな部屋の入口がロックされたー。

そしてーーー
特殊な超音波…”憑依している魂もろとも”脳を破壊する
殺人音波が、部屋の中に設置された装置から放たれ始めるー

「ーーー!?」
「ーーな、なんだ!?」
紗友里と真桜の二人も異変に気付くー。

それと同時に、”頭が割れそうな音”によって
周囲にいる”憑依された人々”が次々と倒れていくー

「ーこ、これはー?」
紗友里がそう声を上げると、
真桜もうめき声を上げながら、頭を抱えて倒れ込むー。

「ーお、おいっ!」
紗友里が真桜に慌てて駆け寄るも、
真桜は泡を噴いて、激しく痙攣しているー。

「ーーく、くそっ!あいつらー!」
紗友里は声を上げるー。

自分たちは、上手く利用されたのだー。
皇星ルボルからやってきたエイリアンを駆逐するために使われー、
そして、”憑依能力者”という危険な存在を一斉に排除するー。

やつらにとっては一石二鳥ー。

紗友里は部屋から脱出しようとするも、
鼻血を吹き出しながら、白目を剥いてその場に倒れ込むと、
ピクピクと震えながらその場から動かなくなったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「”処理”完了しました」
男が言うと、
連合軍の参謀・幸村は満足そうに頷くー。

「ーーご苦労だったな」
それだけ言うと、幸村は満足そうに歩き始めるー。

宇宙人たちを撃退したー。
そして、宇宙人たちが襲来する前に問題になっていた
”憑依”を行うものたちも大量に”駆除”することができたー。

勿論、憑依人はこれで全てではないが、
それでもかなり数を減らすことはできたー。

「ーさぁ、地球の復興が始まるぞ」
幸村はそう言葉を口にすると、ニヤリと笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地球復興が始まって半月ー。

連合軍の参謀・幸村や、日本支部の司令官は、
これからの復興計画について話し合っていたー。

だがー
その時だったー。

「参謀!司令官!」
慌てた様子で男が部屋に入って来るー。

「騒がしいなー。なんだ?」
幸村がそう答えると、
「外を見て下さい!」と、
男が叫んだー。

慌てて外に出る幸村と司令官ー。

するとそこにはー
エイリアンのマザーシップが5隻ーーーー
上空に浮かんでいたー。

「な……」
幸村は呆然とするー

”愚かな人間どもー”
マザーシップから声が響き渡るー。

”ーまさか我々の先遣隊を壊滅させるとは
 貴様たち人間を見くびっていたようだー。”

その言葉と共に”女王”のホログラム映像が表示されるー。

「なー…貴様は葬ったはず!」
参謀の幸村がそう叫ぶと、
”女王”は笑みを浮かべたー。

”ーー我らは女王本体から生れ出た女王の分身体ー。
 分身一つを倒したぐらいで、調子に乗るなよ”

女王は笑うー。

皇星ルボルのマザーシップに乗る”女王”は、
皇星ルボルの玉座に座る女王から生まれたクローンのような存在ー。

それを一人倒したところで、何の意味もないのだー。

”今度は容赦しないー。
 貴様たち人類を根絶やしにしてくれるー”

5隻のマザーシップそれぞれに乗る女王のクローンが、
ホログラム映像となって上空に姿を現すー。

「ーーーぁ… ぁ…バカなー」
参謀の幸村は慌てふためくー。

だがーー

”救世主”である憑依能力者たちは、もういないー。
800人以上の憑依能力者を、自らの手で処分してしまったー。
まだ、憑依能力者の生き残りはいるかもしれないがー、
今から探しても、間に合わないし、800人も見つけるのは難しいー

「ーーーー」
絶望の表情を浮かべる参謀の幸村ー。

もう、救世主はいないー。
この世界にはー。

おわり

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コメント

宇宙人との戦いに敗北エンド…でした~!☆

皇星ルボルは、
地球から遠く離れた銀河に存在する
赤い地球のような見た目の惑星で、
地球よりはるかに発展した技術力を持つ星の設定デス~!
地球とは違う大気の成分の影響で、空は普段から赤く染まっていますが、
この星の住人にはそれが普通なので、特にみんな気にしていない…★

そんな設定の惑星デス~笑

”ルボル”はラテン語で「赤」を意味しています~!

お読み下さりありがとうございました~!☆

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