警察内に組織された”潜入捜査”を中心に活動している
特殊な捜査チーム。
しかし、今回の潜入先は予想外の
潜入先だったー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー清田(きよた)、藤本(ふじもと)!」
警察内に秘密裏に設置された
”潜入捜査”を行う専門チーム。
凶悪犯や表沙汰にできない事件などの解決のため、
潜入捜査を行っているこのチームに所属する
捜査官・清田 武文(きよた たけふみ)と、
藤本 将司(ふじもと まさし)は、
班長である五十嶋(いさじま)に呼ばれて、
五十嶋班長の前にやってきていたー。
「ーーとある学校に、凶悪犯が潜んでいるという情報が入ったー」
五十嶋班長はそう言うと、
一見すると優しそうな笑顔の女教師の写真を
武文に手渡すー。
横にいた捜査官ー、半年前から同じチームになった将司が
表情を歪めながら、その写真を見つめるー。
「ーーこの先生が、凶悪犯ですか?」
武文がそう言うと、
「ーー今のところ、50%、と言ったところだー。
だから、清田、お前にこの高校に潜入し、調査して貰いたい」と、
五十嶋班長はそう言葉を口にしたー。
「了解です」
武文は30代前半の捜査官。
しかし、その容姿は”学生”と言っても通用しそうなほど
若々しくー、
よく学校に学生として潜入捜査をしたり、
ある時は研修医だったり、またある時は新入社員だったり
”若い役”で、潜入捜査をすることが多いー。
「ーー藤本はバックアップを頼むー」
五十嶋班長の言葉に、将司は「承知しました」と、頭を下げるー。
武文が高校に潜入ー
将司は連絡役などのバックアップを行うー。
武文は、高校の情報を見つめながら、
少し間を置くと口を開くー。
「ーーーでは、俺は学生として
この学校にーーー」
がー
武文はそこまで言いかけると
言葉を止めて表情を歪めたー
「ーーって…え?班長ー
この学校、女子高ですよ?」
そう言い放つ武文ー。
「ー大丈夫だ。問題ない」
五十嶋班長は頷きながらそう言葉を口にするー
「いやいやいや、大丈夫じゃないですよ???
どうやって女子高に潜入するんですかー?
…あ!新人教師か、用務員あたりとしてー」
武文がそう言うと、五十嶋班長は
「残念ながら今、その学校に教師や用務員として
入り込むのは難しいー。
生徒として潜入するのが一番確実だ」
と、そう言葉を口にするー。
「ーーははははー御冗談をー
まさか俺に女装して潜入しろとでもー?
いや、見た目はどうにかなるかもしれませんけど
声とか、そういうところはどうにもできないですよ?」
武文のその言葉に、横にいた将司は少しだけ笑うー。
そんな二人を前に
五十嶋班長は「大丈夫だ。心配するなー」と
改めてそう言葉を口にすると、
机の中からあるものを取り出したー。
「それは?」
五十嶋班長が取り出した注射器を見て、
困惑の表情を浮かべる武文ー。
すると、五十嶋班長は少しだけ笑みを浮かべながら言ったー。
「これは、研究班が開発した”女体化”の薬だー。
これを注射すればお前は女になることができるー」
五十嶋班長の言葉に、
「は…はぁ!?」と、武文が声を上げると、
「お前も聞いたことがあるだろう?」と、五十嶋班長は言ったー。
「ーーー」
確かに以前、女性捜査官が”男体化”して、
潜入捜査を行ったという噂を聞いたことがあるー。
あの噂は、本当だったのかもしれないー。
横にいた将司は少しだけ笑いながら、
武文の肩を叩くと、
「ま、頑張ってー」と、揶揄うように言葉を口にするー
「い、いや、で、でも、俺がJKになるなんてー」
戸惑いの表情を浮かべながら、武文がそう言うと、
五十嶋班長は、「やってくれるなー?清田」と、改めてそう言葉を口にするー
「そもそも、最初から女性捜査官を送り込んだ方が
早くないですか?」
武文の言葉に、五十嶋班長は苦笑いしながら、
「望月(もちづき)は、ブラック企業の内定調査を行っている最中だし、
神田(かんだ)は、国際犯罪組織ガルフへの潜入捜査の最中だー。
他の2人もそれぞれ任務に就いていて、手の空いているものがいないー」
と、そう説明するー。
苦笑いする武文ー。
”2か所に同時に潜入捜査”は困難であることは武文もよく理解しているー。
観念しながら、武文は「分かりましたー…やります」と、
そう言葉を口にするー。
「ありがとう」
五十嶋班長はそう言いながら頭を下げると、
女体化するための注射器を手にするー。
「ーーーはははーまぁ、女体化したあとのアドバイスは
僕がしてあげるからさー」
横にいた今回の任務ではサポート役の潜入捜査官・将司が
笑いながら言うと、
武文は「ーっていうか、藤本!お前、女子力高いしお前の方が適任だろ!?」と、
妙に女子力の高い将司にそう言葉を口にするー。
しかし、将司は苦笑いしながら「僕はダメだよー」と、首を横に振ると、
五十嶋班長も「そうー。お前にしか頼めないんだー」と、
そう言葉を口にしながら”女体化”の注射器を武文に打ち込んだー。
「ーう…?」
気持ちいいような、くすぐったいような、なんとなくかゆいようなー、
何とも言えない感触が身体中を駆け巡るー。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
自分の身体が急激に変化していくのを感じながら
そう声を上げると、自分の声も女の声に変化していくのに
気付いたー。
やがて、その全身を覆う不思議な感覚がなくなっていくころにはーー
武文の身体は完全に女性そのものになっていたー。
「ーーす…すごいー」
女体化した武文は戸惑いながらそう言葉を口にするー。
「ーーよし。女体化は無事に完了したな」
五十嶋班長はそう言うと、潜入捜査への説明を改めて開始するー。
がー、鏡で自分の顔を確認した武文は
「えっ…って、これで大丈夫ですかー?」
と、顔を見ながら言うー。
確かに綺麗だし、胸も、身体も、完全に女体化は
しているけれどー…
「ーー潜入先、女子高ですよね!?」
と、女体化した武文は、可愛らしい声でそう確認するー。
「ーあぁ。女子高だー」
五十嶋班長が頷くと、
武文は「え!?でも、高校生はちょっと無理がないですか?!
そもそも俺、元々30代前半ですから女体化してもー…」
と、慌てた様子で言うー。
そうー
30代前半の武文が女体化しても、30代前半ぐらいの雰囲気の
女性にしかならないのだー。
「ーーまぁ、そこは何とか頑張るんだ」
五十嶋班長の言葉に「えぇぇ!?」と、女体化した武文は
狼狽えるー。
「だ、だったら尚更、藤本捜査官の方が良かったんじゃ!?」
隣にいる将司にそう言い放つー。
将司は20代中盤。
男性捜査官を女体化させて送り込むのなら
まだ、将司の方が女子高生らしくなったはずだー。
「ーあはは…それは確かに一理あるけどー」
将司がそう言いながら目を逸らすー。
五十嶋班長は「まぁ、事情もあるんだー。
とにかく、その姿で潜入捜査を頼むー」と、
そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日ー。
サポート役の捜査官・将司から
色々教えてもらい、女子高生としての
振る舞いを手に入れた武文は、
高校の制服を身に着けて、転校生として
女子高へと足を運んだー。
「ーー清川 静江(きよかわ しずえ)ですー
よろしくお願いしますー」
偽名を名乗って、転校生として
クラスメイトたちの前で紹介される静江ー。
がーーー
「ーなんか、おばさんっぽくない?」
「ホントに高校生ー?」
いきなり、女子たちのそんな声が聞こえるー。
”う、うるせー!俺は30代だ!悪いか?”
心の中でそう思いながらも
「ーよ、よ、よく言われますぅ~」と、
笑いながら、担任の先生に紹介された座席に着席するー。
「ーーーー」
周囲の女子たちに”静江”として、愛想を振りまく武文ー。
がー、話の合間に武文は鋭い視線を、
担任の先生の方に投げかけたー。
”この人が本当に、凶悪犯なのか?”
そう心の中で呟きながら担任の優しそうな女性教師ー…
島原 敦子(しまばら あつこ)の方を見つめるー。
島原先生は、30代の女性教師ー。
ニコニコしていて、とても穏やかな雰囲気だー。
しかし、五十嶋班長によれば
この島原先生は、裏社会で大量の武器の販売や、
危険な薬品の販売などを行っていて、
莫大な資金を稼いでいる”闇の商人”なのだというー。
がー、なかなかその尻尾を現すことはなく
捜査は難航ー、
五十嶋班長率いる潜入捜査チームに依頼が舞い込んできたのだー。
「ーーー……しかし、貧乏くじだよなー
俺が女子高への潜入捜査で、藤本が俺のサポートと
学校外での先生の行動把握だからなー」
周囲の女子たちと、女子っぽく話しをしながら
そんなことを思う武文ー。
「静江ちゃんって、何が好きなの~?」
周囲の女子の一人がそう言葉を口にするー。
「えー、えっと~可愛い物集めたりとか、あと、アイドルとか!」
適当に、咄嗟に応える武文ー。
”あ~、やべぇ、全然分からないジャンル答えちまった”
そう思いながらも、”まぁ、やるからには徹底的にやるさ”と、
潜入捜査に向けて、そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
”凶悪犯”ー
かもしれない、島原先生の動向を探る武文ー。
がー、島原先生はごく普通の行動しか取っておらず、
今のところは怪しい振る舞いはないー。
「ーーどう?清川さんー
学校には慣れたー?」
島原先生が優しく声をかけて来るー。
「ーあ、はいー。まだ3日なので
分からないこともありますけどー」
偽りの学生ー”静江”としてそう言葉を口にするー。
島原先生と並ぶと、女体化している武文は
どうしても”似たような年齢”に見えてしまうー。
”ーーーーーー”
心の中では気まずそうにしている武文ー。
30代前半の島原先生と、同年齢の武文ー。
女体化しても、30代前半ー…ぐらいの扱いになっているのだろうー。
クラスメイトたちと並んでいる時よりも、
島原先生と並んでいる時の方が”同年齢”に見えるー。
女体化した武文が制服を着ていること以外はー。
「ーーーーーーーーー」
島原先生が、少しだけ表情を曇らせるー。
「ーーー…」
そんな一瞬の表情の変化を武文は見逃さなかったー。
”ーーー”
が、島原先生はすぐに笑顔を作ると、
「ーー何か困ったことがあったら、いつでも先生に相談してね」と、
そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ー静江ちゃんって何だか高校生っぽくないよね~!」
クラスメイトの美優(みゆ)が、そんな言葉を口にするー。
「え?え…そ、そうかなぁ~」
女体化した武文=静江が、苦笑いしながらそう答えると
「うんうん!なんか大人の女性って感じがして」と、
そんな言葉を口にするー
転校初日から親切にしてくれているクラスメイト・美優。
そんな彼女の”友達のフリ”をしながら、
武文は情報を探るー。
「そういえば、島原先生って夜になるとスパイみたいなことしてる~!
って噂聞いたんだけど、ホント?」
女体化した武文がそう言うと、美優は「あははーなにそれー」と笑うー。
元々、裏社会で暗躍する謎の女商人を、警察が突き止め、
その女商人を尾行したところ、
この学校の敷地内から武器を持ち出したりする姿が目撃されたのだと言う。
他にもいくつかの情報を元に、この学校の関係者が
その女商人であり、
さらには、変装はしていたものの背格好や、その他諸々の情報から
島原先生が女商人である可能性が高い、ということのようだったー。
それ以上、捜査に進展はなく、
秘密裏に結成された潜入捜査チームが捜査を行うことになったー。
「ーーー確かに島原先生、いつも夜遅くまで学校にはいるみたいだけど、
そんなスパイみたいことなんてー あはは」
ケラケラと笑う美優ー。
”夜遅くまでー… まぁ、確かに俺が潜入を開始してからも
学校を出るのはかなり遅いよなー”
そんなことを思っていると、
美優が「あ、そうだ!この前言ってた駅前の美味しいスイーツ食べに行こうよ!」と、
そんな言葉を口にするー。
「えーー…あ、う、うんー!」
”静江”として返事をする女体化した武文ー
”チッー俺、甘い物苦手なんだけどなー”
そうは思いつつも潜入捜査ー。
まずっ!と思いつつニコニコしながら
美味しそうに美優に連れていかれたお店でスイーツを口にするのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
女体化しての潜入捜査…★!
慣れない身体での捜査は大変そうですネ~★!
続きはまた明日デス~!☆
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