<入れ替わり>苛立ちの病室②~入院中~

歩けない少女と入れ替わってしまった
逃亡中の凶悪犯…。

彼は病室で、自分の状況に次第に苛立ちを露わにしていく…。

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「ーーーいつまで、そんなふざけたことを言っているつもりだー?」

取調室ー。
”村瀬 龍治”を逮捕した警察は、
その取り調べを行っていたー。

「ーですから、わたしは村瀬 龍治って人じゃないんです!
 わたしは杉原 遥香なんです!!」

龍治(遥香)は涙目でそう言い放つー
強面の男が涙目でそんな言葉を口にしている光景は
異様だったー。

「村瀬ー。お前、そんな演技してて恥ずかしくねぇのか?
 ついにそこまで落ちぶれたのか」

刑事が呆れた表情で言葉を口にするー。

「ーーでも、本当なんです!」
龍治(遥香)はそう言うと、自分の個人情報を次々と口にし始めたー。

「ーーーーーーー…」
取り調べを担当している年配の刑事・桂田(かつらだ)は少し表情を歪めるー。

”コイツがどうして、一入院患者の情報をそこまで細かく知っているー?”
桂田刑事はそう疑問を抱くー。

確かに、事前に調べておくことはできるかもしれないー。
が、狙って”杉原 遥香”と接触することは難しいはずだー。
病院に逃げ込んだのはあくまでも偶然に見えたー。

しかし、事前に個人情報を調べていたとしか思えないー。
元々知り合いか、あるいはこの凶悪犯が杉原遥香のストーカーであったとか、
そういう理由があればここまで個人情報を深く知っているのも頷けるがー、
しかしー…

「ーー中野(なかの)」
取り調べをしていた桂田刑事は近くにいた20代後半の女性刑事・
中野 愛唯(なかの めい)の名を呼ぶと、
「ー念のため、”今”コイツが口にした杉原遥香の個人情報が、
 正しいかどうか確認してみてくれー」と、そう言葉を口にする。

「それと、杉原遥香とコイツに元々何らかの接点があったかどうか、
 そして、病院にいる杉原遥香の確認も頼むー」

桂田刑事のその言葉に、愛唯は「分かりました」と、そう言葉を口にすると、
そのまま取調室の外へと出ていくー。

「ーーー村瀬ー。お前のそのふざけた猿芝居がいつまで続くか、見物だな」
桂田刑事は、あくまでも龍治(遥香)のことを疑う言葉を口にするー。

龍治(遥香)は「ほ、本当にー、本当にわたしは杉原遥香なんです!」と、
そう言い放つと、しょんぼりとしながら、悲しそうな表情を浮かべたー。

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入れ替わってから1日ー。
トイレに行くにも、誰かの力が必要になるような状態に
ため息をつく遥香(龍治)ー。

「ーーあぁ…くそっ…!」
力の入らない足に、今日も苛立つー。

「ーくそっ…!ホント使えねぇな!」
遥香(龍治)はそう吐き捨てるように言い放つとー、
そのままベッドで不機嫌そうにスマホをいじり始めるー。

スマホは”指紋認証”であったために、中に入ることは幸い、できたー。
スマホに残されているLINEのやり取りや
ネットの閲覧履歴、ログインされたままのSNSのやり取りなどから、
”杉原 遥香”という女がどういう女なのかを調べる遥香(龍治)ー。

足のことで苛立ちはしながらも、
裏社会で生き抜いてきた彼は、こういう部分は冷静だったー。

恐らく、”入れ替わった”相手である龍治になった遥香は、
警察に捕まったあと、必死に自分が”村瀬龍治ではない”ということを
訴えているはずだー。

まさかー、”はいー俺が悪かったです”などと、何の抵抗もせずに
そのまま逮捕されるとは思えない。

必ず、警察が探りを入れに来るだろうー。
そう思いつつ、スマホを操作して遥香(龍治)は
来るべき時に備えたー。

”歩けない状態”かつ、”中身が俺”だとバレたら、
それこそ最悪の状況だー、
と、そう思いながらー。

「ーーー!」
そんなことを思っていると、女性看護師の麻梨がやってきて、
”お見舞い”に来た人がいることを告げられたー。

「ーーー…」
”両親”が度々お見舞いに来ているらしいことは
スマホのやり取りから確認済みだったがー、
両親だろうかー。

それともー…

そんな風に思っていると、制服姿の穏やかな雰囲気の子が
姿を現したー。

「ーー…遥香ー!元気そうでよかったー。」
その子がそう言葉を口にするー。

「ーーーあ、ーーえ、あ、うんーありがとう」
遥香(龍治)はそう言葉を口にしながら、
表情を歪めるー。

”相手の名前”が分からないー。
制服姿であることから、病院に女子高生のコスプレをして
やって来ているのでもない限り、この子は”友達”のはずー。

しかし、”龍治”にとっては初対面であるために、
その”名前”が分からないー。

「ーーーー」

”LINEでコイツが良くやり取りをしていたのは、
 純恋(すみれ)という子と、佳代子(かよこ)という子と、
 あとはー、美紀(みき)って子だったなー”

遥香(龍治)は心の中でそんなことを呟きながらも、
適当に話を合わせるー。

「ー昨日、逃走中の男が逃げ込んで来たって聞いて
 心配だったけどー、
 元気みたいでよかったー」

”友達”はそう言葉を口にすると、
遥香(龍治)は「あははー。わたしは元気だから安心して!」と、
そんな返事を返したー。

”ボロが出る前に、早く帰ってほしい”ー
そう思いながらも、おしゃべりな子なのか、
色々なことをべらべらと話し始めるー。

「ーう、う~ん、どうかなぁ」
「ーそれは、よく分からないー」
「え~っと、アレ、思い出せないやー」

遥香(龍治)は”龍治からすればよく分からない内容の話”を
適当に誤魔化しながらあしらっていくー。

がー、それに気づかれたのだろうかー。

「ーーーなんか…大丈夫?今日の遥香ちゃんー
 様子が変だけどー」

と、そんな言葉を彼女は口にしたー。

「ーーえ… そ、そんなことないよ!
 ちょっと疲れてるだけ」

遥香(龍治)が、にっこりと微笑むー。

「ーーそう?
 ーーーーじゃあ、わたしの名前は言える?」

そんな言葉に、
遥香(龍治)は表情を歪めるー。

「ーーい、いきなり何言ってんのー?
 わ、分かるに決まってるじゃんー」

遥香(龍治)がそう言い放つと、
「え~?ホント~?」と、友達は笑いながら
疑いの視線を向けるー。

「さっきから、何か”わたしの話”が
 ちゃんと通じてない気がして心配なんだけど~」
”友達”のそんな言葉に、
遥香(龍治)は、イラッとしながら、
「ーへ、平気だって言ってるでしょ!
 なんかーさっきからムカつく言い方ばっかりして不愉快なんだけど!」
と、”遥香本来の振る舞い”を無視して、イライラを露わにするー。

「ーあ、あははー
 ごめんごめんー。
 だってさっきから一度も”純恋”って呼んでくれないんだもんー。
 いつも、純恋ちゃんって呼んでくれるのにー」

その”友達”…純恋がそう言葉を口にすると、
遥香(龍治)は内心で”なるほどーこいつが純恋かー”と、
そう言葉を口にするー。

「ーーえ~ごめんごめんー
 一度も呼んでなかった?特に意識はしてなかったんだけどー
 純恋ちゃんのこと、忘れるわけないでしょ~!」

遥香(龍治)はそう言葉を口にすると、
純恋はにこっと笑ったー。

「あはははーそれならいいんだけどー
 心配でー」

純恋のそんな言葉に、
遥香(龍治)は「心配してくれてありがと!」と、
そう言葉を口にすると、
今度こそ、適当に話を切り上げさせて、
純恋はしばらくするとようやく帰って行ったー。

「ーーふぅー
 ガキってのはうるせぇもんだな」

遥香(龍治)はため息をつきながら
そう言葉を口にすると、
”見舞いに来そうなやつの顔と名前は一致させておいた方が良さそうだな”と、
スマホを再び操作し始めたー。

がーーー…
スマホを操作していた遥香(龍治)は、表情を歪めたー。

「ーーーあ???」
遥香(龍治)が、普段、遥香が浮かべないような険しい表情を
浮かべながら遥香の友達の一人・美紀とのLINEのやり取りを見つめるー。

”この前の純恋と遥香の写真、送るね”と、
書かれたメッセージに添えられた写真ー。

どうやら遥香・美紀・純恋の三人で遊びに行った時に、
美紀が、遥香と純恋を撮ってくれた時の写真を送ってくれたようだー。

がーー

「ーーーコイツ…さっきの女じゃないー?」
遥香(龍治)は困惑の表情を浮かべるー。

さっき、お見舞いに来た”純恋”を名乗る女と、
LINEのやり取りに記録されている”純恋”の写真が、
別人なのだー。

「ーーーどういうことだー?」
遥香(龍治)は険しい表情を浮かべながらその写真を見つめる。

このぐらいの年頃の女子はガラリとイメージが変わることがあるー。

さっきの子は穏やかな雰囲気で少し大人びた感じの子だったー。

だが、この写真の中の純恋は、さっきお見舞いに来た”純恋”とは
真逆の明るく、無邪気そうな雰囲気だー
いくらイメージが変わることがあると言っても、
顔が違い過ぎるー。
あり得ない変貌ぶりだー。

「ーーさっきの女…”純恋”じゃない?」
遥香(龍治)がそう言葉を口にすると、
イヤな予感を感じ始めるー。

”このままこの病院にいたら、まずいかもしれねぇ”

そう思った遥香(龍治)は、立ち上がろうとするー。

がー、やはり足に力が入らず、その場に倒れてしまうー。

「ーくそっ!使えねぇ身体だな!おいっ!」
怒りの形相で遥香(龍治)が、自分の足を叩くー。

「ー言うことを聞けよ!おいっ!」
遥香(龍治)の身体中に怒りがみなぎって来るー。

この子は、こんなに全身に怒りをたぎらせたことが
今まであったのだろうかー。
急激な”怒り”に身体がびっくりしたのか、
それとも無理矢理立とうとしたからか、気分が悪くなって、
その場で苦しそうな表情を浮かべる遥香(龍治)ー

「くそっ…よりによって、なんでこんなやつとー」
不満そうにしなが表情を歪めていると、
やがて異変に気付いた女性看護師の麻梨が駆け付けて、
「ちょっと!?遥香ちゃん!?」と、心配そうに
遥香(龍治)に駆け寄って来たー。

「ーーーチッ」

この場から逃げることもできないー。
一体、どうすればいいのかー。

遥香(龍治)は不満そうに舌打ちをしながら、
ベッドに戻ると、
麻梨がいなくなったのを見計らって、
自分の胸を一人、揉み始めるー。

「あ~あ くそっ このぐらいしか楽しいことないぜ」
遥香(龍治)はストレスを発散するかのように
胸を揉むと、気持ちよさそうに声を漏らすー。

”なんとかー…何とか、ここから抜け出さねぇとー…
 けど、こいつの親もいるし、勝手に姿を消しても、
 また騒ぎになるだけー…”

遥香(龍治)は、”この身体”を使えば、
手助けしてくれそうな知り合いの顔を浮かべるー。

”こいつの身体で楽しませてやるよって言えば
 アイツなら病院からの脱走に力を貸してくれるかもしれないー

 けどー”

遥香(龍治)は思うー。

それには、リスクも伴うー。

正直、”この身体”はなかなか可愛いー。
色仕掛けで協力者を用意することはできても、
その後、裏切られる可能性もあるー。

”ー俺自身が女として誰かのおもちゃになるのはごめんだー”
遥香(龍治)は爪をかじりながら、
この先どうするべきか、イライラしながら考えを巡らせるー。

仮にずっと女として生きていくことになっても、
誰とヤるかー、誰と遊ぶかー、それは自分が決めるー。
自分の意思と関係なく、玩具にされることは許せないー。

「ーーー…いや、さっきの女が何者であろうと、
 このまま何食わぬ顔でここにいるのが一番いいなー

 いざとなったらー…
 この前、俺とぶつかったせいで記憶がーとか
 適当なことを言っておけばいいしなー」

”女子高生”と”俺のような凶悪犯”
どっちの言葉を世間が信じるかは明白だー。

大丈夫ー。
このままやりすごせばー。

遥香(龍治)は頭の中で考えをまとめると、
静かにため息をついてから、
「ー歩けるようにさえなりゃー、この身体は最高なんだけどなー」と、
そう言葉を口にしたー。

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「ーーやっぱり、おかしいですねー」

龍治になった遥香の取り調べをしていた桂田刑事の元に、
女性刑事の愛唯が戻って来るー。

「ー何がだ?」
桂田刑事が報告を促すと、愛唯は言うー。

「ー入院中の彼女の”友達”を名乗って彼女と接触したのですがー、
 どうやら彼女、友達の”顔”を覚えてないようです」

遥香と龍治が入れ替わっているー。
そう主張する龍治(遥香)の言葉を聞いた女性刑事・愛唯は、
あえて”遥香の友達”…純恋を名乗り、入院中の遥香(龍治)に接触したー。

そしてー、”純恋”を名乗ったところ、
遥香(龍治)は”純恋ちゃんのこと忘れるわけないでしょ”などと言っていたー

目の前にいるのは”純恋”などではないのにー。

「ーーーー…ほぅ、そうかー」
桂田刑事は頷くと、
少しだけ笑みを浮かべながら
「もう少し詳しく調べる必要がありそうだなー」と、
そんな言葉を口にしたー。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!★

ちゃんと身体を取り戻すことができるのかどうか、
それともバッドエンドに終わるのか、
その結末は明日のお楽しみデス…!

今日もお読み下さりありがとうございました~!★!

コメント

  1. TSマニア より:

    愛唯さん女子高生のコスプレ捜査っ!?

    愛唯さん制服着ても違和感無いんですネ!☆ 

    愛唯さんが純恋ちゃんのフリしてる予想は当たりましたd=(^o^)=b

    どんな結末になるのか楽しみにしてますネ♪♪

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~!★

      愛唯さんはまだ20代後半なので
      顔立ちも少し若く見える感じで
      ギリギリセーフでした~★笑