<憑依>異世界の占い師に彼女が憑依された!?②~困惑~

彼女との試験勉強中、
彼女が突然、異世界の占い師に憑依されてしまった…。

とんでもない行動を繰り返す彼女を前に、彼は…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「し…死相…?」
伸二が呆然とすると、
”フレーチェ”を名乗る異世界の占い師に憑依されている彼女・花楓は
笑いながら「はい!」と、言葉を口にしたー。

「そ、それはどういうー…?」
伸二がそう言葉を口にすると、
「もうすぐ死ぬってことですね」と、花楓は笑いながら言葉を口にしたー

「い…いやいやいやいやいや…流石に冗談きついし!
 俺が死ぬってこと?どうして?」
伸二は少し戸惑いながらそう言葉を口にすると、
花楓は「さぁ…そこまでは分からないですけどー」と、
そんな言葉を口にするー。

「ーーそ、そうか、わ、分かったぞ!
 やっぱり花楓、俺をドッキリでビビらせようとしてるだろ?」

伸二は思い出したかのようにそんな言葉を口にするー。

花楓が”異世界の占い師に憑依された”と言い始めて
ここまで長々とそんな振る舞いを続けて来たのは
”死相が出ている”と言って、伸二を驚かせるためー

伸二は、そんな風に思ったー。
目の前にいる花楓は、花楓とは思えないような言動だし、
いつも、花楓はこんなに長々ドッキリを仕掛けて来ることはないけれど、
それでも、伸二はそう思いながら花楓の方を見つめたー

「ど、ドッキリって…そもそも何ですかー?」
花楓は戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーあと、わたしはフレーチェだって何度言えば分かるんですか?」
少しムッとしたような表情を浮かべる花楓ー。

「ーーーーー…い…いや…でも…」
伸二は、花楓の反応から”やっぱりドッキリじゃないのかー…?”と、
戸惑いの表情を浮かべるー。

そうこうしているうちに、花楓は、ため息をつくと、
「ーーーーそれで、わたしはこれからどうすればいいんですかー?」と、
困惑の表情を浮かべながら言葉を口にしたー。

「ーえ…ど、どうすればってー… 
 他の世界から来たなら、その世界に戻るのが一番いいんじゃないかなー?」
伸二がそう言うと、花楓は表情を歪めるー。

「ーー…それが出来たら、そうしてますよー」
花楓の悲しそうな顔に、伸二は少しドキッとしてしまいながら、
「ご、ごめんー ちょっと冷たい言い方すぎたかも」と、
そう言葉を口にすると、
「ーーも、元の世界に戻る方法に心当たりはー…?」と、
改めて寄り添う姿勢を見せるー。

花楓は少し不満そうにしながらも
「分かりませんー。こんなこと初めてですしー」と、
そう言葉を口にすると、
伸二は困り果てた様子で考え始めるー。

この状態の花楓をどうするべきかー。

花楓も、伸二も高校生ー。
当然、実家暮らしだー。

伸二の家に花楓を泊めるわけにもいかないし、
かと言って、このままの状態で花楓を家に帰せば、
自分の家で大変なことをしでかしそうだー。

”ーーま、まぁ…でも、ここに泊めるとなると
 余計に混乱するし、帰らせるしかないよなー…”

伸二は心の中でそう呟くー。

確かに、ここに泊めれば、唯一事情を知る伸二が、
花楓のことを見張ることはできるー。

が、花楓の両親からすれば”彼氏の家に娘が泊ってる”なんて
とんでもない状況だと思うし、
伸二自身の両親に説明するのも、かなり難しいー。

ここはやはり、花楓に、家に帰ってもらうしかないー。

がー、今の花楓は何をしでかすか分からない状況ー。
とりあえず、花楓の”家の人”にも、誰かに、
状況を理解して貰う必要があるー。

「ーーー…妹の明日香ちゃんに事情を説明するしかないかー」
悩んだ挙句、伸二はそう呟くー。

花楓の妹・明日香であれば、事情を何とか理解してくれるかもしれないし、
ほぼ同世代であるために話も通じやすいと思うー。

きっと、花楓のことを任せても大丈夫だろうー。

「ーーとりあえずー、元に戻れるまで、
 花楓の身体で生活してもらうしかないと思うー」

伸二がそう言うと、花楓は不安そうに頷くー

「俺も、君が元の世界に戻れるまで、
 力を貸すからー
 そんな顔しないで、な?」

花楓の悲しそうな顔を見ていると、
花楓が本当に悲しんでいるように見えて
ドキドキしてしまうし、こっちまで悲しい気持ちになってしまうー。

そう言葉を口にしながら、花楓に憑依している”フレーチェ”とやらを
元気づけようとすると、
「ー本当にーありがとうございますぅぅぅ」と、
涙を流しながら抱き着いて来たー

「ぶわっ!?や、やめっ!」
花楓に抱き着かれて、顔を真っ赤にする伸二ー。

ようやく落ち着くと、伸二は
「君の家まで送っていくよー。そこで、
 花楓ー…君が今使っている身体の”妹”の明日香ちゃんに
 事情を説明するからー」と、そう言葉を口にすると、
「ーえへへへー、妹さんがいるんだぁ…えへへへへー」と、
花楓は急に嬉しそうにニヤニヤし始めたー

「へ、変なことするなよ?」
伸二が少し不安になって釘を刺すような言葉を付け加えると、
「えへへ…しませんよぉ」と、花楓はニヤニヤしながら
そう言葉を口にしたー。

そのまま、花楓を花楓の家に送っていくため、
家を出る二人ー。

がーーー…

「ーーーー」
花楓に憑依したフレーチェに、できる限りのことを
教えておこうと、色々話をしながら歩いていたその時だったー。

「ーーーえ…」
横断歩道の信号が”赤”だったため、当たり前のように止まった伸二ー。

しかし、花楓は伸二を無視して、
そのまま平然と赤信号の横断歩道を渡り始めてしまうー。

車が急停止してクラクションが鳴らされるー。

「な、何をしてんだ!?危ないぞ!」
車の運転手の一人が、顔を出しながら怒りの声を上げるー。

しかし、そんな運転手の方を見つめながら、
花楓はきょとんとした表情を浮かべながら
驚いたような表情を浮かべているー

「わ~…!す、すみません!申し訳ありませんでした!」
伸二が慌てて花楓に駆け寄ると、
恥ずかしそうにしながら、運転手たちに頭を下げて、
横断歩道の手前の歩道まで、花楓を連れていくー。

「ーごめん!俺が説明しなかったのが悪いんだけどー
 あれは、信号機って言ってー…
 青く光ってるときはわたっていいんだけど、
 赤く光ってるときは待ってないといけないんだー」

伸二が信号について説明をするー。

すると、花楓は不思議そうに
「ーあの、大きな馬みたいな生き物は何ですか?」と、
車を指差すー

「え…?あ、あれはー生き物じゃなくてー車ー…」
伸二がそう言いかけると、
今度は自転車を見つめながら、
「ーあっ!なんか変な馬が!」と、叫ぶー

「ーあ、あれは自転車でー…」

「~~~~~~ひっ!?あの鳥は何ですか!?」
今度は空高く飛ぶ飛行機を指差しながら叫ぶ花楓ー。

「ーー~~~~~~~」
伸二は、花楓の質問攻めに押されながら、
苦笑いすると、
「ーそ、そっかー君の世界にはこういうものはないんだなー」と、
そんな言葉を口にするー。

花楓に憑依した”フレーチェ”の住んでいた世界が
どんな世界かは知らないー。

しかし、その世界には車も、自転車も、飛行機もないのだろうー。

「ーーー…!?」
伸二がそんなことを思っていると、
花楓がふいに姿を消していることに気付いたー

「ーーねぇねぇ伸二さん!これすご~~い!」
嬉しそうにはしゃぐ花楓の声が聞こえて来るー。

「ーー!!」
伸二がその声に気付き、声のしたほうを見ると、
すぐ横の公園で、花楓が嬉しそうにブランコを揺らして遊んでいたー。

ブランコに乗るのではなく、
ブランコをただ揺らして遊んでいるー。

かなり激しく揺れるブランコー
無邪気にそれを揺らして笑う花楓ー。

「ーちょ!あ、危ない!」
伸二は慌てて揺れるブランコから花楓を守ろうとして、
花楓を引きはがすー。

「ーーーけ、怪我はないかー?」
伸二がそう言うと、花楓は「あ…ありませんけどー…」と、
血相を変えて駆け付けて来た伸二を見て、戸惑いの表情を浮かべるー。

「これは…そういう風に使うんじゃなくて」
と、伸二はブランコに座って、
実際にブランコを少し揺らして見せるー

「ーーわぁ…!面白そうー…!」
花楓は心底嬉しそうにそう言うと、
隣のブランコに乗って、子供のように遊び始めたー

「~~~~~~~」
きゃっきゃっ楽しそうにしている花楓ー。

周囲の親子連れや、公園の利用者に、
とんでもない顔で見られる伸二ー。

「ーちょ…ちょっと…!」
伸二が戸惑いながら声をかけるー。

しかし、花楓はお構いなしで、ブランコから降りると、
嬉しそうにすべりだいを指差して、滑る場所を反対側から
駆け上がろうとして、派手に転んでしまうー。

スカートの中も丸見えの状態に、
伸二は周囲からの視線を感じて顔を真っ赤にする

「そ、それは…そういう風に遊ぶものじゃなくてー」
伸二がそう説明している側から、
今度は花楓は、鉄棒に跨って嬉しそうにきゃっきゃっと騒いでいるー。

「ーそ、それも使い方がちがっー…」
伸二はそんなことを叫びながら、
周囲の視線を感じつつ、思ったー。

”あぁ、これが死相かー”
とー。

”社会的な死”ー
なんだか、このまま行くと、
本当に、社会的に死ぬ気がしたー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後も気が気じゃない状態が続きー、
ようやく、花楓の家に到着した伸二は
ホッとため息を吐き出すー。

インターホンを鳴らすー。
出来れば、花楓の妹である明日香が出て来てくれると
話がスムーズに進むー。

そう思っているとー…
運良く、花楓の妹である明日香が応答したー

”あー吉沢さん、久しぶりですね”
少し冷めた感じにも聞こえる明日香ー。
が、明日香はこういう子で、
誰に対してもそうだー。

「ー明日香ちゃんーよかったー。
 今、花楓を送って来たんだけどー
 ちょっと…花楓のことで伝えておきたいことがあるんだけど、いいかな?」
伸二がそう言うと、
明日香は”ーお姉ちゃんの?ちょっと待っててください”と、
だけ応答して、数分後に家の前に出て来たー。

ショートヘアーの細かいことは気にしないタイプの明日香ー。
見た目はサバサバした感じもあり、姉の花楓とはまるで違う雰囲気だー。

「ーーどうしたんです?」
明日香が顔を出すと、花楓は「ーこの愛想悪そうな子は誰ですか~?」と、
ニコニコしながら、自分の妹を指差し、そう言い放ったー

「ーーちょ!?」
伸二は、”さっき説明しておいただろ?”と、焦ったような
表情を浮かべながら言うと、
明日香は「ーまたドッキリ?わたし、引っかからないけど」と、
うんざりした様子を見せながら、花楓の方を見つめるー。

「ー吉沢さんも、お姉ちゃんのこういうのに振り回されて
 大変ですね。
 ここまで姉を送ってくれてありがとうございました。
 それじゃー」

それだけ言うと、花楓を引っ張って家の中に入ろうとする明日香ー。

がー

「ーそ、そうじゃなくて、花楓、
 異世界の占い師のフレーチェって人に憑依されてるんだー!」

伸二がそう叫ぶー。

すると、立ち止まった明日香は振り返ったー。

「ーは?」
明日香の、”ヤバい奴を見る目”に、伸二は気圧されながら、
「い、いや、信じられないとは思うし、俺も信じられないけど、
 本当に、花楓は今大変な状況でー」
と、伸二は言葉を止めずに言い放つー。

「ーこの世界のこと、何にも知らないから、
 とんでもないことも平気でしちゃう状態でー…
 だから、家でもしっかり誰かが見張ってないと、と思って
 それで明日香ちゃんにー」

伸二は、何とか信じてもらおうと言葉を続けるー。

「ーわかった、わかったー わかりましたから
 落ち着いて」

明日香はため息をつきながらそう言うと、
伸二の方を見ながら「詳しく、分かりやすく、お願いします」と、
そんな言葉を口にしたー。

彼女の花楓に起きたことを伝える伸二。
妹の明日香はその話を全て聞き終えると、
「ーーーーーーはぁ…分かりました」と、頷いたー。

「ーえ?信じてくれるの?」
伸二が思わず驚くと、
明日香は「吉沢さん、嘘つくタイプじゃないと思いますしー、
嘘だったら、今度会ったときぶん殴るんでー」
と、ため息をつきながら伸二を見つめるー。

「あ、あははー…」
伸二は気まずそうにそう言うと、
花楓は「ー明日香ちゃんのことも占ってあげますね~!」と、
嬉しそうに笑っているー。

伸二は、改めて後のことを明日香に任せると、
不安そうな表情を浮かべながらも、その場を後にしたー。

”ーしかし、あの状況、どうすればいいんだろうなぁ…”
伸二は、明日以降もあの状況が続くのかー…と、
不安そうな表情を浮かべながら、自分の家へと戻っていくのだったー…。

③へ続く

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コメント

とんでもない行動を繰り返す彼女を前に
困惑する彼…☆

明日の最終回で、
ちゃんと元に戻れるのかどうか、ぜひ見届けて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!

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