<憑依>異世界の占い師に彼女が憑依された!?①~異変~

ある日ー…

彼女と共に試験勉強をしていたら、
突然、彼女の様子がおかしくなり始めたー…

そして、彼女は”占い師”を名乗り始めて…?

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「ーーう~ん…これはどうすればいいんだっけ?」

彼女の福森 花楓(ふくもり かえで)が、
プリントを手に、隣にいた彼氏・吉沢 伸二(よしざわ しんじ)に
何か質問をしているー。

「あ~これは…確か~」
質問された伸二は、そんな言葉を口にしながら、
その問題の解いてみせるー。

「ーーわぁ…すごい…!さすが伸二くん!」
花楓は感心した様子で、伸二が解いてくれた問題を見つめると、
「ーはははー、でも俺は英語の方は全然だからー」と、苦笑いするー。

二人は、同じ高校に通う生徒で、
中学時代からの知り合い。
現在は、昨年、花楓の方から告白されたことで、
恋人同士の間柄になっているー。

今日は、そんな二人が伸二の家で、
目前に迫った期末テストの勉強をしている最中だったー。

伸二は、生徒会書記をしている男子生徒で、
クラスの中でも成績上位に位置する優等生。
”リアクションが面白い”と、よく他の男子や女子から
揶揄われる一面もあり、友達も多いー。

一方の花楓は、見た目な大人しそうに見えるものの、
中身は悪戯好きの子で、よくドッキリを仕掛けたりしては
友達の反応を見て、楽しんでいるー。

彼氏の伸二も、中学時代に最初に出会った時には
”あまり喋らない子”だと思っていたものの、
当時、同じ委員会になったことで
”思ったよりよくしゃべる子だなー”と、そんな風に
思ったぐらい、花楓は見た目と中身のイメージが違う子だったー。

「ーーー初日は英語と数学だからな~
 英語はどうしても俺、いつも点数が低めだから
 今回こそ対策しないと」

そう言いながら、英語の教科書を見つめる伸二。

「ーあはは…わたしは逆に英語は得意だけどー、
 社会と理科がね~」
花楓はそんな言葉を口にしながら、
チラチラと何かを見つめているー。

さっき、伸二の部屋にこっそり置いた
”ドッキリ”のための、偽物の虫…。
それに、伸二がいつ気付くか楽しみにしながら
ワクワクしていたー。

やがてーーー

「ーーま、とりあえず数学の方もーー

 って うわっ!?!?!?!?!?」

床にいた”虫”そっくりの置物にびっくりして
声を上げる伸二ー

「ーーあはははっ! あはははははっ!
 伸二くんの驚き方やっぱり面白い~!」

嬉しそうに笑う花楓ー

「ーーか、花楓~~~!」
伸二は、虫が偽物だと気付き、
”いつもの”花楓のイタズラだと悟ると、
花楓の肩を軽くぺしぺしと叩くと、
花楓は「だって、伸二くんの反応、面白いんだもん~!」と、
なおも楽しそうに笑うー。

「ホント、いくつになってもイタズラ好きだよな~
 どうせ、妹さんにも、いつもそういうことしてるんだろ~?」

伸二がそう言うと、
花楓は「明日香(あすか)は全然引っかからないからー」と、
笑いながらそう言葉を口にするー。

花楓の妹・明日香は1歳年下で、現在は
別の高校に通っているー。

性格は姉・花楓とはまるで違い、
かなりサバサバした感じの子で、
伸二も、花楓の家の方に遊びに行く時には
それなりに話をしていて面識があるー。

「ー確かに、明日香ちゃんはこういうの引っかかりそうに
 ないよなぁ…」

笑いながら、伸二は花楓の仕掛けた偽物の虫を手にすると、
「それにしても良くできてるなぁ…」と、
そんな言葉を口にしながら、それを花楓に返そうとしたー。

がー
その時だったー。

「ーーうっ…」
花楓が突然、苦しそうな表情を浮かべながら
そんな声を漏らしたー

「ーーー…?」
伸二は首を傾げながら花楓の方を見つめると、
花楓は「な…何か……身体の中に…」と、苦しそうに言葉を発したー

「ーーーえ…?だ、大丈夫かー?」
伸二がそう言葉を口にすると、
花楓は「ひっ!?」と、声を上げてビクッと震えると、
そのまま口を半開きにしたまま、固まってしまったー

「ーーは…??? え…???」
突然の出来事に困惑する伸二ー。

がー、すぐに伸二は「あ、あぁ…」と、笑みを浮かべると、
「まーたドッキリ仕掛けようとしてるんだなー?」と、
そう言葉を口にするー。

以前も、花楓に似たようなドッキリを仕掛けられた経験のある伸二は、
また花楓のドッキリだと思いながら
「お~い!」と、花楓の前で手を振るー。

それでも花楓が反応しないのを見て、
伸二は「いつまでそうしてられるかな?」と、笑うと
花楓の前で変顔をしてみせるー。

しかし、それにも無反応ー。
ついに伸二は、花楓をくすぐってやろうー、と、そう思いながら
花楓に触れたその時だったー

虚ろな目をしていた花楓が突然、目の輝きを取り戻しーー、
「ー触らないで!この無礼者!」と、
伸二に強烈なビンタを食らわせてきたー

「ーー!?!?!?!?!?」
驚く伸二ー。

「ーー!?!?」
がー、ビンタをした花楓の方も驚いた表情を浮かべているー。

「ーーい…いってぇ…
 な、何もこんな強く叩かなくてもー」
伸二が頬を押さえながらそう言うと、
花楓は「え… あ… わ、わたしってばー…ご、ごめんなさいー」と、
そんな言葉を口にしたー。

なんだか様子がおかしい花楓を見つめながら
伸二は「だ、大丈夫かー?」と、そう言うと、
「ーだ、大丈夫なようなー…大丈夫じゃないよなー…?」と、
花楓は周囲を見渡すー。

「ーーー…?」
周囲を不思議そうに見渡している花楓を見て、
不安を感じながら、伸二が花楓を見つめていると
花楓は「そ、そんなに見つめないでくださいー」と、顔を赤らめるー。

「ーー!?!?!?」
意味不明な花楓の言動に、戸惑いながら伸二は
「か…花楓ー…だ、大丈夫か?」と、改めて言葉を口にするとー、
花楓は「え?”かえで”?ってなにー?」と、首を傾げるー。

「ーーえ…」
その反応には、伸二も困惑の色を隠せなかったー

「な、何言ってるんだよー…?花楓は…花楓だろ?」
花楓を指差しながらそう言うと、
「ーーえ??わたしはー…フレーチェですけどー…?」
と、そんな言葉を口にしたー

「ーーふ、フレーチェ???
 な、なにを言ってー…? え?」
伸二がそう言うと、
花楓は「ーあ、はいー。わたし、フレーチェと申しますー」と、
突然穏やかな口調で自己紹介を始めたー。

「ーー!???????」
伸二は唖然としながら、花楓の方を見つめるー。

しかし、そんなこともお構いなしに、花楓は
「クリスタル平原の向こうにある村で、占い師をやっていてー…
 今日は城下町の方に向かう予定だったんですけど、その途中で
 魔物に襲われてー」と、そんな言葉を口にするー。

「ーーー…いや、いや、いや、ちょっと待って!
 ーーか、花楓ーそろそろ勉強に戻ろう」

伸二は、なおもドッキリだと思いながらそう言うと、
花楓は、きょとんとした表情を浮かべながら
「ーごめんなさいー。わたし、花楓って人じゃないですー」と、
首を横に振るー

「ーーわたしはフレーチェなので…」
花楓のその言葉に、伸二は「いや……えぇ??」と、混乱しながら
やがて、机の上に置かれていた手鏡を手にすると、
それを花楓に向けたー

「ーー…!?!?!?!?!?!?!?」
鏡で自分の姿を見たフレーチェを名乗る花楓は
「えっ!?!?!?!?だ、誰!?!?」と、心底驚いたような反応をしながら、
慌て始めるー

「ーわ、わ、わたし、もっと輝いていて、綺麗なはずなのにー!?
 えっー!?!?
 えっ!?えっ!?えっ!?
 
 も、もしかして魔物に襲われて変な顔になっちゃった!?
 そんなのイヤ~~~!」

一人で騒ぎ始める花楓ー。

花楓も、かなり可愛い部類に世間的には入りそうな
顔立ちであるものの、
”フレーチェ”にとっては、本来の自分の方が可愛いと思っているのか、
そんな言葉を口にしたー。

「ーーーー」
伸二が呆然としながらそんな花楓を見つめていると、
花楓はハッとした表情を浮かべてから
「ーーあ…し、失礼いたしましたー」と、ぺこりと頭を下げたー。

「ーーー…え、えっと……ほ、本当に花楓じゃないのか?」
伸二は戸惑いながら言う。

すると、花楓は「あ…はい、わたしは占いをしているフレーチェと言いますー」と、
そう言葉を口にしたー。

「う、う、う、占い!?」
伸二は戸惑うー。

「ーーーーー……」
そして、花楓の方をじーっと見つめながら
困惑の表情を浮かべていると、
花楓は言葉を口にしたー

「ーーう、疑うのも分かりますけど、わたしは本当に
 フレーチェなんです!
 というより、ここはどこですかー?
 帝国領?それとも魔道国家エルミラのー…」

花楓がそこまで言うと、
伸二は「いや、いや、ここは日本だよ!」
と、そんな言葉を口にしたー。

がーーー

「ーー……ーーー……そんなところ、ありましたっけ?」
花楓は首を傾げるー。

「ーーー………」
伸二は困惑しながら、花楓の方を見つめるー。

未だに、何が起きたのかハッキリ理解できていない伸二ー。
出身を”フレーチェ”とやらに聞いても
全く意味不明な聞いたことのない場所を口にするし、
話がどうもおかしいー。

やがてー、伸二は”フレーチェ”とやらが別の世界から
何らかの原因でこの世界に飛ばされてきて、
花楓に何らかの原因で入り込んでしまったのではないかと、
そんな風に考えたー。

花楓のドッキリの可能性もあったものの、
花楓のするような言動ではないし、
そもそも、花楓はここまで長々とドッキリはしないー。

”君は別の世界から来たんじゃ?”と、伸二がそう言うと、
花楓に入り込んでしまったフレーチェを名乗る子は
”そうなのかもしれませんねー…”と、戸惑いの様子で言葉を口にしたー。

自己紹介や、状況ー、
色々なことを説明していく伸二ー。

が、やがて、興味深そうに周囲を見渡し始めるー。
”住む世界”がまるで違うのであれば、
確かに、この世界の光景は何もかもが新鮮だろうー。

「ーー…ーこの変なの…何ですか?」
スマホを手に、花楓が不思議そうに首を傾げると、
「ーーえ…?あ~それは」と、伸二が説明をしようとするー。

すると、突然ー

「えいっ!」
花楓が自分のスマホを壁に向かって投げつけたー。

花楓が投げたスマホは
嫌な音を立てて、そのまま床に落下するー

「ーーーは…???」
伸二は、呆然としながらその光景を見つめていると、
花楓は「ーこういう形の投げて遊ぶ玩具が、わたしの世界にもあって」と、
無邪気に笑うー。

「ーーお、お、おいおいおいおいーー
 こ、これは玩具じゃなくてー!」

そう言いながら、伸二が花楓のスマホに駆け寄ると、
スマホの画面が割れてしまっているのが見えたー

”おいおいおいー…花楓に何て説明すればいいんだー!?”
伸二が呆然としていると、
花楓は「え…えっと…そ、それは…投げて遊ぶものではないのですかー?」と、
不安そうに呟くー

「ーこ、これはスマートフォンと言ってー」
伸二はそう言いながら、自分のスマホのほうを手に、
操作しながら色々見せると、
「ーえ…ちょっとー」と、花楓は不安そうに言葉を口にしたー

「ーそ、その中にいる人ー…ど、どうなってるんですかー?」
どうやら、スマホの待ち受けにしていた伸二と花楓の写真を見て、
花楓に憑依したフレーチェは戸惑いの言葉を上げているようだー。

「ーえ…こんなところに入って大丈夫なんですかー?
 え…ど、どうなってー?」

心底驚いた様子の花楓を見て、思わず笑う伸二ー。

「ーーあぁ、これは写真でー…」

写真のことを説明していく伸二ー。
その言葉を聞いて、花楓は目を輝かせながら「すごいー」と、
そう呟いたー。

やがてー…
スマホの説明を終えると、
花楓に憑依しているフレーチェは
「お礼に伸二さんの占いをしてあげます!」と、そう言葉を口にしたー。

「う、占いー…じ、じゃあー」
伸二は困惑しながら、占いをお願いすると、
花楓は「ちょっと手を見せてもらいますね~」と、笑いながら
手を見つめ始めるー。

そしてー、
しばらくすると、花楓は「ふむふむー」と言いながら、
伸二の方を見て笑ったー。

「伸二さん、死相が出てますねー」
とー。

「ーーふーん…… え???」
思わぬ占い結果に伸二は、驚いた表情を浮かべながら、
憑依されてしまった花楓の方を見つめたー…。

②へ続く

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異世界の占い師に憑依されてしまった彼女との
ドタバタな日常…!

次回以降も、ぜひ見届けて下さいネ~!☆

今日もありがとうございました~!

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