伯父の残した預言書を手にしてから
おかしくなっていく彼女…
そんな彼女に突然別れを告げられた彼は…!?
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「だって、預言書にそう書いてあるんだもん!」
由香梨は、笑みを浮かべながら
そんな言葉を口にしたー。
突然、”別れたい”と言いだした彼女の由香梨。
しかし、由香梨と喧嘩などしていないし、
心当たりもないー。
いやー…
心当たりは”ある”と言えばあるー。
”彼氏に愛想を尽かして、彼氏と別れるー”
そうー先週、
由香梨が伯父の預言書とやらを手にして
喜んでいる時に、由香梨から見せられた
”1週間後”の預言ー。
それがちょうど、今日の日付だった気がするー。
「ーー…よ、預言書に書いてあったからー別れるって…ことか?」
文哉が戸惑いながらそう言うと、
由香梨は「うん。文哉には愛想が尽きたの」と、笑いながら言うー。
「い…いやいやいや…そ、それは変だろー…?
もちろん、由香梨が本当に俺のことがイヤになったなら、
それは仕方がないけどー…
予言に書かれていたからって、そんなー」
文哉がそう言葉を口にするー。
しかし、由香梨は預言書を見つめながら、
「ーーここに書かれている通りに、しなくちゃ」と、
そう微笑むと、
「ーーそれに、文哉には本当に愛想がつきたの。
もう一緒にいたくない」と、笑顔を消して、
少しキツめの口調でそう言い放ってきたー。
「ーー……あ、あのさー由香梨…
それ… その予言書を持つようになってから
由香梨、変だぞー?」
文哉は心配しながらそんな言葉を口にするー。
この1週間、由香梨の様子がおかしいー。
預言書を常に手放さずに持っているし、
やたらとのめり込んでいる気がするー。
”伯父さん”とは最近は会っていなかったと言っていたが
やはり、伯父さんの死がショックだったのだろうかー。
伯父さんの死を受け止めきれずに、
伯父さんが残してくれた預言書にのめり込んでしまって
いるのだろうかー。
そんなことを思いながら、
文哉が心配そうに”最近変だー”ということを
改めて由香梨に伝えるー。
がー…今の由香梨には、その言葉は
素直には届かなかったー。
「ーー…そういうところだよ」
由香梨は、不愉快そうにそう呟くー。
「ーわたしが変?
そうやって、人のことを見下して!
そういうところに愛想が尽きたの!」
由香梨の言葉に、文哉は呆然とするー。
由香梨のことをこれまで変だと言ったことはないし、
見下したこともないし、見下すような素振りを見せたこともないー。
「ーーゆ、由香梨…」
今の由香梨は”結論ありき”で行動しているー。
”予言書の内容通り”文哉と別れることしか考えていないー。
恐らく、何を言っても”ほら、そういうのー”と、強引に理由付けされて、
別れることにつなげられてしまうー…
そんな感じさえするー。
「ーーー……さよなら」
由香梨は不愉快そうに、そのまま立ち去っていくー。
残された文哉は、呆然とその場に立ち尽くすことしか
できなかったー。
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”髪の色を茶色に染めるー”
そんな”予言”を見つめながら、
今までずっと黒髪だった由香梨は躊躇なく、
髪を茶色に染めていくー。
”ー髪型を変える”
そんな内容と共に、”伯父さん”の理想の髪型が
そこには記されているー。
”おしゃれに目覚めて、おしゃれな雰囲気に変わる”
そんな見出しと共に、由香梨のメイクなどについての
”予言”が記されているー。
毎日記されている”予言”に従い、
由香梨はどんどん変わっていくー。
”伯父さん”好みの由香梨にー。
そしてーー
”一人暮らしを始めるための準備を始めるー
可能な限り早く、一人暮らしを開始する”
実家に住んでいる由香梨ー。
しかし、その予言を見て、由香梨はすぐに
母親と父親に対して、”わたし、一人暮らしするからー”と、
そう言い放ったー。
「ーーーゆ、由香梨ー?どうしていきなりー?」
戸惑う母親ー。
しかし、由香梨は「わたしももう大学生だしー、
自立しておこうと思ってー」と、最もらしい理由を付けて、
そう言葉を口にするー。
由香梨の”一人暮らしのスタート”は、強引とも言える速度で始まり、
驚くべきほど短い期間で、由香梨は一人暮らしを始めたー。
「ーーーーー」
一人暮らしを始めた由香梨は、さらに預言書にのめり込んでいくー。
食い入るように、預言書を見つめながら”その通り”に行動する由香梨ー
やがて、”預言書”の”次のページ”には、
ある”予言”が迫っていたー。
それはーー
”由香梨が、俺の記憶と意識を受け継いで、俺になるー”
という恐るべき予言だったー。
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翌日ー
由香梨は、預言書を見つめるー
”由香梨が、俺の記憶と意識を受け継いで、俺になるー”
と、書かれたページをー。
「ーわたしがー…伯父さんになるー…」
由香梨は虚ろな目でそのページを見つめるー
「ーーー………ーー……わたしがー」
目の輝きがさらに失われて、不気味な表情を浮かべる由香梨ー。
由香梨の”伯父”は、生涯独身だったー。
由香梨の父親の兄である彼は、
自らの死期を悟ると同時に、”この予言書”を書き残したー。
子供のいない伯父にとって、由香梨はとても可愛い存在で、
表にはあまり出さなかったものの、溺愛していたー。
しかし、弟である由香梨の父親から、
あまりに由香梨への愛情が強すぎて、注意されたことも
あったことから、最後の数年は、ほとんど由香梨とは
会えない、そんな状況になっていたー。
がー、直接会えずとも、由香梨の動向を
伯父は常に把握していたー。
彼氏がいることも含めて、だー。
そして、死期を悟った彼は
常軌を逸した由香梨への執着と、弟である由香梨の父親への憎しみから、
この予言書を書き残したー。
自分の祖父が残した”古文書”から着想を得て
作り出した”怨念の預言書”ー。
これを、由香梨が手にしてくれればー…
そう願いつつ、伯父は、死の間際までこれを書き続けたー。
そしてー…
”由香梨が、俺の記憶と意識を受け継いで、俺になるー”
預言書には、こう刻んだー。
自分自身が、由香梨になるためにー
由香梨を”俺の子孫”にするためにー。
憎き、弟から娘の由香梨を奪い、
子孫を残すことができなかった自分が、子孫を残すためにー。
この予言書を残したー。
そして、今ーーー
「ーふふふ…はははははは!
そうだー…俺は今日から由香梨だー…!
ふふふふ…全部、記憶もあるー…ふふふふふふふ!」
”予言書”に刻まれた言葉通りに、
”由香梨”は、自分のことを”伯父”だと思い込みー、
伯父本人の記憶と意識すら受け継いでー、
身体は由香梨のまま、中身は”伯父”そのものになったー。
もちろんー…
生前の伯父の思いとは裏腹に、
伯父自身が、由香梨になれたわけではないー。
預言書に残されたメッセージから
”由香梨が、自分のことを伯父だと思い込みー、
伯父の記憶と考えを受け継いでいる”状態なだけー。
伯父の”あわよくば俺が復活できるかもしれない”という
目論見は外れてしまったものの、
それでも、記憶と意思を受け継いだー
”魂の子孫”とも言える存在に由香梨はなってしまったー
「ーへへ…ちゃんと俺が書いた通り、
俺の好みの由香梨になってるじゃないかー」
自分を伯父そのものだと思い込んでしまった由香梨は
そう呟くと、嬉しそうに鏡に映る自分を見つめ始めたー。
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由香梨の様子がここ数日で
さらにおかしくなったー。
大学内で、由香梨が喫煙しているのを見かけた文哉は、
困惑の表情を浮かべるー。
もちろん、元々喫煙していたのであれば、
それはそれで個人の自由だとは思うー。
しかし、由香梨は煙草が苦手だと言っていたし、
あの言葉が”嘘”だったとは思えずー、
戸惑っていたー。
「ーーー由香梨ー…」
文哉が困惑したまま、由香梨に声をかけると、
由香梨は笑いながら「あぁ~”お前は”ー」と、そう言葉を口にしてから
「ーふふ…どうしたの?文哉ー」と、笑みを浮かべたー。
「ーーー…」
文哉は、表情を歪めながら
「いや…由香梨、煙草吸うんだなって思ってー」と、
そう言葉を口にすると、
由香梨は煙草を見つめながら
「ー年齢的にも問題ないんだから、わたしの勝手でしょ?」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーい、いや…まぁ、そりゃそうだけどー」
文哉がそう言うと、由香梨は笑みを浮かべながら
煙草を処理すると、
バッグから預言書を取り出して、それを見つめるー。
”ーーーーーー”
文哉は、預言書のほうを見つめながら
”煙草を吸うようになる、とか書いてあるんだろ…?”と、
そんな風に思うー。
由香梨は、喫煙などしていなかったー…
少なくとも、本人は苦手だと言っていたー。
嘘をついていた…という可能性も全くないわけではないが、
それでも、急にこんなに堂々と喫煙し始めるなんて
やはり何か違和感があるー。
あの気味の悪い預言書に何かが書かれていると、
そう判断するのが妥当だろうー。
「ーーー…(あの預言書ー…取り上げれば、由香梨は
元に戻るのか?)」
ふいに、そんなことを思う文哉ー。
そして、文哉はそれを実行に移したー。
隙をついて、由香梨から預言書を取り上げる文哉ー。
「ー!?」
由香梨が驚きの表情を浮かべるー。
「ーー…これを持ち始めてから由香梨、
どう考えても様子がおかしい!」
文哉がそう叫ぶと、
由香梨は「ーおい!それを返せ!」と、突然男のような口調で
喋り始めたー。
「ーー!?!?」
由香梨の急な豹変に驚く文哉ー。
「ーいいから返せよ!」
由香梨が力づくで預言書に向かってくると、
文哉をグーで殴りつけたり、蹴ったりしながら、
預言書を強引に取り戻そうとするー。
「ーちょ…!お、おいっ!やめろって!」
文哉がそう叫ぶも、
周囲の学生の視線がこちらに注がれていることに気付き、
”これ以上”大事になってしまうと、
由香梨も変な風に見られてしまうと判断し、
仕方がなく預言書を返したー
「ーー”俺”の宝物になんてことするんだー」
由香梨はそう言いながら預言書を慌てて取り戻すー。
「ー”俺”ー?」
文哉が不思議そうにそう呟くと、
由香梨は文哉の方を見つめながら少しハッとした様子を浮かべると、
「ーーべ、別に”俺”って言ったっていいでしょ?
女が俺って言っちゃいけないの?」と、不愉快そうに声を荒げたー。
「ーーい、いや…」
文哉はそれ以上反論できず、不機嫌そうに立ち去っていく
由香梨を見つめることしかできなかったー。
由香梨が”俺”などと自分のことを言っているのは
初めてみたー。
もちろん、怒っていたから咄嗟にそういう言葉が
出たのかもしれないー。
しかし、何だか得体のしれない、
強い違和感を拭うことができず、文哉は険しい表情を浮かべたー
「ーまずいまずいーつい俺の癖が出てしまったーへへ」
文哉の前から立ち去った由香梨は、
笑みを浮かべながら歩いていたー。
預言書に書かれていた通り、
”自分を伯父そのもの”だと思い込んでしまった由香梨は、
”死んだ俺が、由香梨の身体を乗っ取り、由香梨の身体と記憶を奪った状態”だと
そう思い込んでいるー。
実際には伯父が残した預言書によって洗脳されて、
由香梨自身がそう思い込んでいるだけ…ではあるものの、
どちらにせよ、今の由香梨は普通の状況ではないー。
「ーへへ…しかしまさかー
本当に古文書に書かれた通りに思い通りになるなんてー」
由香梨は、自分の手を見つめながら笑みを浮かべるー。
”伯父本人”が願ったように、自分自身が由香梨として復活することはできなかったー。
が、伯父の意思や記憶を受け継いで、自分を復活した伯父だと思い込んだ
由香梨が誕生してしまったー。
死んだ伯父が願った”子孫を残す”ということはー、
別の意味で叶ったのかもしれないー。
自分の記憶と、意思を、由香梨は受け継いだのだからー。
「ーーーそれにしても、由香梨のあの彼氏、邪魔だなー」
由香梨は不機嫌そうにそう呟くと、静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
「ーーーー!!!」
文哉は、あるものを見て表情を歪めていたー
「こ…これはー…」
それを見た文哉は、
由香梨の異変の原因に繋がるあることを考えながら、
「まさかー……」と、そう言葉を口にしたー…。
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!
預言書に洗脳されてしまった彼女と、
その彼氏がどんな結末を迎えるのか、
ぜひ見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~~~!

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