<寄生>パラサイトクリスマス①~異変~

友達の家でクリスマスパーティを楽しむ
仲良し女子グループ。

しかし、クリスマスケーキの中に
人を乗っ取る悪魔のような寄生虫が潜んでいたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

広々とした部屋に
豪華な食事が並んでいるー。

今日は、クリスマスイブー。
今年は日曜日ということもあって、
特に学生にとっては、ちょうどクリスマスを堪能するには
ぴったりだったー。

「ーー遠慮せずに、どんどん食べてね!
 まだまだ色々用意してるから」

この家の娘である女子高生・永森 愛華(ながもり あいか)が
嬉しそうに笑うー。

彼女は”お金持ちのお嬢様”ー。
ただ、高飛車な振る舞いをしたり、人を見下すようなことはなく、
友達もそれなりに多いー。
欠点と言えば”お人好し”すぎるために、
”金目当て”で近寄って来る子にも平気でお金を使ったりしてしまうことー…
そんな感じの子だー。

「ーーさっすがお金持ち!」
お調子者のツインテールな女子・円花(まどか)が笑うー。

円花は”黙っていれば大人しそうな美少女”と言われるような感じの子ー。
ただし、中身はお調子者でおしゃべりな子で、
よく”生まれて来る身体、間違ったんじゃない?”などとネタにされているー。
学校ではテニス部として活動し、それなりの実力を持っているようだー。

「ーーあははー今日も元気だねー」
ポニーテールの女子高生・尚美(なおみ)は、
はしゃいでいる円花のほうを見つめながら笑うー。

尚美は”無難に友達の多い”女子高生で、
男女問わず、分け隔てなく接するタイプ。
ただ、本人は”飛びぬけた個性がない”自分に少し悩んでいたりもするー。
部活は手芸部所属で、手先が器用で、それを特技としているー。

「ーーー…!」
眼鏡をかけている穏やかそうなミディアムヘアーの子が、
ハッとした様子で周囲を見るー。

「ーあ~!フライング!」
お調子者の円花がそう叫ぶと、
「えっ… あ、ご、ごめんなさいー」と、恥ずかしそうに梓(あずさ)が笑うー。

梓は、大人しくて真面目な優等生ー。
とても天然な一面もあり、今もまだ、クリスマスパーティが始まる直前なのに
一人でむしゃむしゃと食べ物を口にしていたー。
部活は演劇部に所属していて、普段と違う梓が見れることで隠れファンもいるのだとかー。

「ーーあははー、梓ちゃんらしいねー」
尚美が笑うと、「気にしないでー」と、お金持ちの愛華は
そんな言葉を口にしたー。

ようやく、準備が終わり
愛花が豪華なケーキに立つろうそくに火をつけて
「メリークリスマス!」と、嬉しそうに声を発するー。

「ーーふ~~~… ふ~~~!」
梓が、ろうそくの火を消せずに困惑しているー。

「ー肺活量低くないー?」
お調子者の円花は笑いながらそう言うと、
勢いよく息を吹いてろうそくの火を消すー。

恥ずかしそうに笑う梓ー。

ようやく、クリスマスパーティが始まり、
仲良しの四人組…愛華、円花、尚美、梓の4人は
それぞれ、美味しそうに豪華な食事を口にし始めたー。

だがーーー…

「ーーーーー」
クリスマスケーキの中にはーーー

”寄生虫”が潜んでいたー。
不気味に蠢く、その寄生虫は
人間を乗っ取る、特殊な力を持つ寄生虫ー。

南米の奥地で発見され、数年前に極秘的に処理されたはずの
その寄生虫が、愛華の家のクリスマスケーキの中に潜んでいたー。

「ーーーーーー」
そうとは知らずに、楽しそうに雑談を続ける4人ー。

「ーーあ!ね~ね~、それとって!」
お調子者の円花が言うとー、
尚美は「あ、これね~!はい」と、円花から距離のあったクリスマスケーキを
1個、取って円花に渡すー。

「ーーあ~美味しそう~!」
ツインテールを揺らしながら、嬉しそうにはしゃぐ円花ー

そんな様子を見つめながら、愛華と、梓が笑うー。

「ーそれにしても、円花ちゃんって
 本当に見た目と中身のギャップが凄いよね~
 わたし、入学したとき、円花ちゃんのこと 
 絶対大人しそうな子だと思ってたしー」

お金持ちの愛華がそんな言葉を口にすると、
円花は「えへへー大人しくなくてごめんね~」と、笑うー。

そして、その上で、
「愛華だって、見た目全然お金持ちに見えないし~!
 お金持ちの子ってなんかこうー
 もっと「お~っほっほ」みたいなイメージがあるし!」と、
円花の方が言葉を口にするー

「あははー…それは漫画のお嬢様でしょー」
愛華が恥ずかしそうに笑うー。

そんな中、梓と尚美もケーキを取って、
それを食べ始めるー。

そしてーーー

「ーーーー!」
ケーキを口にした眼鏡の大人しい少女・梓が
表情を歪めたー。

「ーーーん?どうしたの?」
梓の異変に、円花が気付くと、不思議そうに首を傾げるー。

が、次の瞬間ー
梓が喉を押さえるような仕草をしてから、
「な、何かー、入ってー」と、そう言葉を口にするー。

しかしー、いつも天然な振る舞いや
爆弾発言を繰り返す梓の言葉だったからだろうかー。
他の3人の間に緊張が走るようなことはなくー、
愛華が笑いながら言葉を口にしたー。

「も~梓ちゃんってば、
 それ、フルーツケーキなんだから、中に果物は入ってるよー?」

そんな愛華の言葉に、尚美が「お水取ってこようか?」と、
梓に確認するー。

がー…
次の瞬間だったー

「ぁ… ぁ」
梓がそう声を上げると、突然、梓の耳から”にゅるっ”と、ミミズのような
何かが一瞬顔を出したー

「ーーえっ…!?」
「ーー!?」
「ーーひっ!?」

愛華、円花、尚美の三人が、そんな梓のほうを見て戸惑うー。

するとー、
梓は突然、低い声で笑い始めたー

「ーーくくくくくく……」

そんな梓の様子に、愛華は「あ、梓…ちゃんー?」と
不安そうに言葉を発するー。

しかし、梓は座席から立ち上がると、
「いい人間の身体が手に入ったー」と、
不気味な笑みを浮かべながら、他の三人を見つめたー

「えっ…!?えっ…?だ、大丈夫ー?」
尚美が不安そうに言うと、
ツインテールでお調子者の円花は笑いながら
「まーた、天然発言が始まった~!」と、茶化しながら
梓に近付いていくー。

「ーーーなになに、さっきのミミズみたいなやつ、
 どうやったの?」
不思議そうに梓の耳を見つめる円花ー。

だが、梓はそんな円花のほうを冷たい目線で見つめたー。

「ー愚かな人間ー」
そう、呟きながらー

「ーーあははー何それ?おもしろ~い!
 ”おろかなにんげん”だってさ~!」

円花が笑いながらそう言うと、
まだ座席に座ったままの愛華と尚美は
少し戸惑いの表情を浮かべながら、不安そうに二人の方を見つめているー。

「ーーーねぇねぇ、耳の中、痛くないのー?
 さっき、何か入れてたよねー?ミミズみたいのー?」

円花はなおも、興味津々という感じで、
梓の耳の中を覗こうとしていると、
梓はフッと笑ってから、円花のほうを見つめたー。

「ーそんなに知りたいなら教えてやるー」
と、呟きながらー

「ーあはは!やった!」
何の警戒心もなく、円花が嬉しそうに笑うと、
次の瞬間ー
梓は、円花に突然キスをしたー

「ーー!?!?!?!?!?!?」
尚美と、愛華の二人が驚くー。

そしてーー…
キスをされた円花は二人よりもさらに強い驚きを感じながら
口を通して”何か”が中に入った感触を覚えたー。

「うえっ…げほっ!ごほっ!」
急に激しい咳が出て来て、床に蹲る円花ー

「ーま、円花ちゃんー?」
尚美が不安そうにしながら、座席から立ち上がるー。

お嬢様の愛華は座ったまま、そんな三人の様子を
見つめているー。

円花の咳は止まらず、
とても苦しそうにしているー。

そんな円花を詰めたい目線で見下す梓ー。

「ーーーそいつはもう、”仲間”だー」
梓のその言葉に、尚美は咳き込む円花を心配そうに抱えながら、
「ど、どういうことなのー?」と、不安そうに言葉を発するー。

すると、梓はニヤリと笑みを浮かべながら、
自分の頭をつんつんとつつき始めたー。

そしてー…
梓の耳の中から、ミミズのようなものが再び顔を出したー。

「ーーこの女の身体は頂いたー…
 そしてー、そっちの女も、もう我らの仲間だー」

梓がピクピクと痙攣しながら、機械的な口調で
そう呟くー。

「ーえ…」
苦しそうにしているお調子者の円花を抱えている
尚美は、不安そうに表情を歪めるー。

「ーー…な、尚美ちゃん!円花ちゃんから離れて!」
座席に座ったままのお嬢様・愛華が咄嗟にそう叫ぶー。

「え…ど、どういう…」
尚美がそこまで言いかけると、今まで苦しんでいたはずの
円花がニヤリと笑いながら、尚美の方に手を伸ばしていることに、
尚美自身が気付いたー。

「ひっ!?」
尚美は慌てて円花を振り払うと、
円花はよろよろと立ち上がりながら、笑みを浮かべるー。

「ーーあははは!人間の身体ってすっご~い!」
円花は、円花の口調のままそんな言葉を口にすると、
先に”寄生”された、大人しい少女・梓の方に近付いていくー。

「ーーーふふふふ。完全に支配できたようだなー」
梓に寄生した寄生虫が、梓の中に戻ると
梓は機械的な口調から、人間らしい口調に戻って
そう言葉を口にするー。

「ーーはい!もう、バッチリです!この人間の記憶も全部読めます!」
円花が嬉しそうに笑うー。

クラスメイトの円花が、敬語で梓に話しかけている光景に
不気味なものを感じながら、尚美と愛華は困惑の表情を浮かべるー。

「ーー…ね…ねぇ、ど、どういうことなのー?」
尚美が不安そうに愛華のほうを見つめるー。

「ー…どういうことって?」
愛華のそんな言葉に、尚美は、
最初に”寄生”された梓がクリスマスケーキを食べた時に
寄生されたことを指摘するー。

つまり、クリスマスケーキの中に、あのミミズのようなやつが
潜んでいたことになるー。

「ーーーー…」
愛華は不快そうに表情を歪めるー。

そんなやり取りをしているうちに、梓は笑みを浮かべながら
高らかに宣言したー。

「永森さんたちもー、仲間にしてあげるからー
 覚悟しなさいー」

とー。

いつもの梓とは違う、強気な笑みー。

身の危険を感じた尚美が逃げようとすると、
突然、まだ寄生されていないはずの愛華に腕を掴まれたー

「えっ!?」
尚美が驚くと同時に、愛華が尚美を
既に寄生された円花・梓の二人に向かって突き飛ばすー。

「ひっ…!?あ、愛華ちゃんー!?」
梓たちの目の前に突き飛ばされた尚美は、怯えた表情で
愛華に向かってそう叫ぶと、
愛華は尚美を無視して、クリスマスパーティが行われている部屋の扉を開けて、
そのまま外へと駆け出すー。

「ーーちょっと!待って!」
尚美がそう叫ぶと、梓は「あ~~あ…」と笑いながら
「見捨てられちゃったねぇ」と、蹲ったままの尚美を見つめるー。

「ーーまぁ…大丈夫ー。
 永森さんよりも先に、わたしたちの仲間になれるんだからー…」
梓はクスクス笑いながらそう言うと、
何かをブツブツ呟いてから、「ーーさぁ、我らの仲間になれー」と、
尚美に手を伸ばしたー。

がーー…

「ーい…やめてえええええええ!」
尚美は、近くにあったイスを掴むと、それを梓に向かって
叩きつけるー。

そして、襲い掛かって来たお調子者の円花も振り払うと、
尚美は咄嗟に、愛華が逃げて行った方に向かって走り出しー、
そして、部屋の外に出ると、そのまま廊下を走り始めるー。

「何なの…?い、いったい何が起きているのー!?」
荒い息をしながら、怯えた表情を浮かべる尚美ー。

何が起きているのか、さっぱり分からないー。

しかし、まずはとにかくこのピンチを抜け出さないとー。

”あ…”
すぐに警察に通報しようとした尚美ー。

しかし、スマホはさっきの部屋にバッグと一緒に
置いて来てしまったー。

「もうー…最悪ー」
そんなことを呟きながらも、
屋敷の中には愛華以外の人もいるかもしれないと、
そう考えながら、とにかくこの場を離れようと再び走り出したー…

②へ続く

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コメント

明日はクリスマスイブですネ~!
と、いうことで今年もクリスマス系のお話を書いちゃいました~★

明日と、クリスマス当日まで続きます~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!

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