<憑依>さよならこの世界②~暴走~

刻々と迫る世界の滅亡ー。

自暴自棄になり、彼女の身体を奪い、
彼はやりたい放題を続けていく…。

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「ーーふふふ…♡ ふふふふふ…♡
 凛花ってかわいいよな… へへへへ」

ひび割れた鏡を見つめながら、
凛花は笑みを浮かべるー。

凛花に憑依した速人は、凛花を
”自分好み”にアレンジして、その姿を見つめていたー

「へへー少し染めてるぐらいの方が、
 なんか、真面目な凛花のイメージとギャップがあって
 興奮するよなー」

そう呟きながら、今度は鏡にキスを繰り返す凛花ー。

「ーへへへへ…どうせ死ぬんだからー…
 楽しまなくちゃなー」

何度も何度も何度もキスをして、
やがて鏡を舐め回すと、凛花は顔を真っ赤にしながら
その場に膝をついて、自分を抱きしめるー

「ーーあぁ…最高だー♡ えへへへ…たまんない」
自分を抱きしめながら欲情した様子でそう声を吐き出す凛花ー

「あぁ…凛花ーお前ってこんな声も出せたんだなぁ…へへへへ」
その場でしばらく嬉しそうにしていた凛花ー。

やがて、立ち上がると、
「さて、そろそろまた遊びに行くかー」と、
近くの、既に機能を停止しているデパートから
盗み出して来たパーティドレスを身に着けて、
同じくデパートから持ち出したアクセサリーを身に着け、
嬉しそうに鏡を見つめるー

「あぁー…わたしってば…キレイ♡」
凛花は満足そうに、高級そうなネックレスを見つめると、
そのまま、街の方へと出かけて行ったー。

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街を見渡す凛花ー

今日はどんな風に遊ぶかー。
そんなことを考えるー。

どうせ死ぬのだー
もう、働く必要もないし、
ルールに従う必要もない。
悪いことだって、何だってすればいいー。
死ねば、何も残らないし、何も分からないー。

そして、もうあと1週間後には、
”未知の化学物質”が、再び宇宙から地球に降り注ぎ、
地球は今度こそ、完全に壊滅するー。

「ーー……大丈夫ー。最後まで希望を捨てちゃダメだー
 ーー絶対に、何か希望はあるー」

「ーーうんー」

ふと、そんな声が聞こえて、凛花は立ち止まるー。

「ーーー…」
そして、その声がした方向に向かい、物陰からそれを見つめるとー
そこには、自分と同じぐらいの年齢のカップルがいたー。

彼女をとても大事そうに、手を差し伸べている男ー。
その目には、まだ希望の色が浮かんでいるー。
彼女も、落ち込んだ様子ながら必死に生き延びようとしている様子が見えるー。

「ー次にアレが降り注ぐのは1週間後ー。
 それまでにできるだけ食料とか、ありったけのものをかき集めて
 安全な場所に避難しようー。」

彼氏の方がそんな言葉を口にするー。

それを物陰から見ていた凛花は思わず鼻で笑うー。

「ーーまだ生き延びれるつもりでいるのかー。バカなやつー」

”凛花本人”だったら、どう言っただろうかー
一生懸命生き延びるために頑張っていた凛花なら、
あのバカなカップルと同じようなことを言ったのだろうかー。

そんなことを思いながらも、
「まぁ、今のわたしはーー現実を見て楽しむ女になったけどねー」
と、クスクスと笑うー。

優しい凛花を、こんな自暴自棄に欲望を楽しむ女に変えてしまったことにも、
凛花に憑依している速人は興奮していたー。

「ーーーうん!わたしも陸翔(りくと)のために頑張る!」
彼女の方が、そんな言葉を口にしたー。

「ーー必ず一緒に生き延びようー。麻梨(まり)ー」
陸翔と呼ばれた彼氏の方がそんな言葉を口にすると、
彼女・麻梨は嬉しそうに微笑んだー。

「ーあぁ…あのバカップルを滅茶苦茶にしてやりてぇ…」
指を舐めながら、興奮した様子の凛花は
我慢できなくなって物陰から飛び出すと、
邪悪な笑みを浮かべながら拍手をしたー。

陸翔と麻梨の二人が、戸惑いの表情を浮かべるー。

がー、相手が”華奢な体格の女”だからだろうかー。
妙に不自然にアクセサリーで着飾っている凛花を見ても、
それほど強く警戒している様子はなかったー。

「ーあははは!この世界はあと1週間で滅びるのにー…
 バカなやつらー」

凛花がそう言うと、
彼氏・陸翔の方が戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーーな、何ですかあなたはー?」
陸翔がそう言うと、
凛花は「ーわたし?ふふーそんなことどうだっていいじゃないー」と、
笑みを浮かべながら陸翔に近付いていくー。

少し警戒する陸翔ー。

がー、凛花は突然、その場で陸翔にキスをしたー。

「ーー!?」
驚く陸翔ー。

凛花は、そんな陸翔を無視して強引にキスを繰り返しー、
その場に陸翔を押し倒すー。

「ーー…ちょ!?な、何してるんですか!?」
彼女の麻梨がそう叫ぶと、
凛花は「えへへへー彼氏を奪おうとしてるの」と、挑発的に笑ったー。

”憑依された凛花”の行動にもはや意味はないー。
”思いつきでやりたいこと”をしているに過ぎないー。

「ねぇねぇ、わたしの方があんな女より綺麗でしょ?
 ほらー、何でもしてあげるから、あんな女より、わたしと楽しみましょ?」
凛花がクスクス笑いながら言うと、彼氏の陸翔は
「や、やめろ!」と声を上げるー

「へへーどうせ死ぬんだから、
 わたしとヤッた方が楽しめると思うよー?

 ほらー…へへへへ 早く遊ぼうぜ?
 凛花の身体でイクの、ホント気持ちイイんだからー」

凛花は、本性を隠しきれない様子で、
陸翔を誘惑するー。

既に、この数日で男遊びも何度も経験した凛花ー。
”凛花の身体で感じる快感”は、
速人にとっては今までに経験したことのない、
とても深い、たまらない欲望だったー。

その魅力に取りつかれてしまった速人は、
今日も凛花の身体でHなことを楽しもうとしていたー。

がーー

「やめろ!!」
陸翔が、凛花を押し飛ばすー。

思わぬ反撃を受けた凛花は不愉快そうに
「なに?わたしとヤりたくないの?」の、舌打ちするー。

「ふ、ふ、ふざけるな!何なんだいきなりー
 俺には、彼女がいるんだー!」

陸翔がそう叫びながら、麻梨のほうを見つめるー。

麻梨も不安そうに、
陸翔のほうを見つめているー。

「ーーー…ふ…ふふふふふふ…
 あはははははっ♡
 どうせ死ぬんだから、もっともっと楽しまなくちゃ!」

凛花は笑いながら、陸翔と麻梨のほうを交互に見つめると、
「ーあぁ、彼女相手じゃなきゃ、ヤらないってこと?」と、笑みを浮かべるー。

陸翔は「何を言ってる?」と、表情を歪めるー。

がー、次の瞬間、凛花は突然、麻梨の方に近付いていくと、
麻梨にそのままキスをしたー

”へへー、人から人に移ることもできるんだぜー”
そう思いながら、速人は凛花から麻梨の身体に移動するー

凛花がその場に倒れ込み、ピクピクと痙攣しているのを見つめながら
麻梨は自分の手を動かすと、
「ふふーじゃあ、わたしとエッチなこと、しよ?」
と、唖然とする陸翔のほうを見つめたー

「ま…麻梨…??い、いったいどうしたんだよ?麻梨!」
戸惑う陸翔ー。

そんな陸翔をあざ笑うかのように、
その場で服を脱ぎ捨て始める麻梨ー

「お、お、おいっ!?こんなところで急にどうしたんだよ!?おいっ!」
戸惑いをさらに膨らませる陸翔ー。

「どうって?どうせ死ぬんだから、いいじゃんー
 誰に見られたって関係ないだろー?」
麻梨がニヤニヤしながら下着姿になると、陸翔は
困惑した様子で「ー…お、お前…、麻梨じゃないな!?」と、叫ぶー。

麻梨はニヤニヤしながら
「だったらどうだってんだよ?身体は”麻梨”だぜ?」と、
笑みを浮かべるー。

「く………ま、麻梨から出て行けー
 こ、この通りだー」

その場で土下座を始める陸翔ー。
麻梨は、そんな陸翔を見つめながら
「ーはぁ…?何それ?」と、不満そうに呟くー。

「ーーどうせ死ぬのに、そんな必死こいて、何がしたいんだよ?あ?」
憑依された麻梨の冷たい言葉に、陸翔は
「ま、麻梨の身体でそんなこと言わないでくれ!」と悲しそうに叫ぶー。

「ーーーふ~~~ん」
ニヤニヤしながら、麻梨は笑うと、土下座をしている
陸翔をしゃがみ込んで見つめながら
言葉を口にしたー

「ーーあんたなんて、大っ嫌いー」
とー。

「ーうっ…うぅぅぅぅぅ」
陸翔が悔しそうに言葉を口にするー。

麻梨本人の意思ではない、と、
そう思いながらも、麻梨の姿、麻梨の声でそんなことを言われてしまうと、
心にその言葉が重くのしかかるー。

「ーーー…麻梨を…麻梨を解放してくれー」

「ー嫌だね」
麻梨はそう言うと、「どうせ死ぬんだから、お前も好き放題しろよ」と
笑みを浮かべながら立ち上がるー。

「あ、そうだ!何なら今、この女と遊ばせてやろうか?」
麻梨が自分を指差すと、ニヤニヤと笑みを浮かべるー。

「ーふ…ふざけるな!麻梨を…麻梨を返せよ!」
陸翔はなおも、麻梨に対して…
いや、麻梨に憑依している速人に対して、そう言い放つー。

それでも、速人に言葉は届かないー

「どうせ俺たちは、1週間後には全員死ぬんだ!
 そんなお人好しごっこをしてて、何になる!?」

麻梨が怒りの形相で叫ぶと、
陸翔は「まだそうと決まったわけじゃないだろ!」と、言い返すー。

「いいや、決まってる!
 世界をこんな状況にしたやつの、さらに強力なやつが、
 あと1週間で降り注ぐんだー
 生き残りの人間だけで対策が打てるわけがないし、実際に打ててない!
 もう終わりだ!
 
 現実逃避して、そんないい子ぶって、ムカつくんだよ!」

麻梨に憑依した速人がそう言い放つと、
陸翔はうすら笑みを浮かべたー。

「ーーあんたが誰だか知らないけどー、
 あんたは臆病者だー」

とー。

「なんだと」
麻梨が歯ぎしりをしながら、陸翔を睨みつけるー。

大好きな彼女に睨みつけられていることに
心を痛めながらも、それでも陸翔は反論するー。

「ーーーそうやって諦めて自暴自棄になって、
 どうやってるのか知らないけど、人の身体を勝手に使ってー、
 俺の前に自分の姿を見せようともしないー!

 あんたはただの臆病者!
 チキン野郎だ!」

陸翔がそう叫ぶと、
麻梨は「うるせえええええええええええ!」と、
麻梨の喉が壊れてしまいそうなぐらいに大声で叫んだー

「ーだったら、姿を見せろよ!
 ちゃんと、お互いに姿を晒して決着をつけようじゃないかー」
陸翔は震えながらそう言葉を口にするー。

”挑発”して、とにかく麻梨を助け出そうと、そうしているのだー。
さっきの状況を見る限り、さっきの子…”凛花”も恐らくは、
麻梨と同じような状態だったのだと悟っていた陸翔は、
”幽霊のようなもの”が、麻梨の中にいるのではないかと、
そう考えて、”挑発することで麻梨の中からそいつをあぶり出そう”と、
そう画策していたー

「ーーだったら、お前の身体をー」
麻梨が怒り狂った表情でそこまで言いかけると、
ふと、あることに気付いたー

「ーー!」
倒れていたはずの凛花がいないー。

さっきまで、速人が使っていた速人の彼女・凛花の”身体”がないー。

「ーー!?
 凛花!?」
怒り狂っていた麻梨が、途端に表情を歪めて周囲を見渡すー。

「ー!」
陸翔も、凛花がいなくなっていることに気付くー

「ーーくそっ!逃げやがったな!」
麻梨がそう言い放つと、陸翔を無視してそのまま立ち去ろうとするー

「お、おいっ!麻梨を返せ!」
陸翔が必死に叫ぶも、
速人に憑依された麻梨は「お前になんかもう用はない!」と、言い放って
そのまま走り去ってしまうー。

「おい!!くそっ!」
彼女の身体を”持ち逃げ”された陸翔は拳を握りしめて、麻梨のあとを
追い始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ…はぁ…はぁ… 速人ー…なんでー」
速人が麻梨の身体に移動したことで、正気を取り戻していた凛花は
悲しそうにそんな言葉を口にするー。

正気を取り戻した凛花は
”言い合いをしている謎のカップル”を見て、
その話の内容から”女”の方に速人が憑依していることを悟り、
逃げ出して来たのだー

「ーー速人ー………速人はわたしが止めなくちゃ…」
凛花は悲しそうにそう呟くと、
”滅亡”まであと1週間の世界の中を、静かに歩き始めたー…

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!
迫る世界の滅亡に、自暴自棄になった彼の運命は…?★

明日の結末をぜひ見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!

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