大学の幼馴染の電話を聞いてしまった彼は、
ちょっとした誤解で、彼女の家に拘束されてしまう。
そこで、彼女とその妹・姉の三人が
憑依されていることを聞かされた彼は…?
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「ーーーー…ひ、憑依なんて…う、嘘だろ…?」
陽介が呆然とした表情で言うと、
三姉妹の次女で、幼馴染の彩夏が苦笑いするー。
「ーー大体、小さい頃、お姉さんと妹さんと会ったことないけどー!?」
小さい頃、幼馴染だった彩夏とは、家も近かったことから
一緒に遊ぶこともあったし、学校でもそれなりに話をする機会もあったー。
だが、OL姿の姉・麻梨奈や、ツインテールの女子高生らしき天音には
会ったことがないー。
「ーあぁ、それはー…ちょっと待ってねー」
彩夏はそう呟くと、「んー…」と、時々呻くような声を上げながら
目を閉じるー
「え…え…?何?」
陽介が困惑すると、天音が笑うー
「彩夏お姉ちゃんは今、”記憶”を探ってるんだよ!」
とー。
何のことだか陽介には理解できなかったが、少しして彩夏が
目を開くと、彩夏は言葉を口にするー
「北本くん、別にわたしの家に来たことはなかったでしょ?」
とー。
「ーーあぁ、うんーまぁ、それはそうだけどー…」
そうー。小さい頃、それなりに接点があり、
それなりに親しかったとは言え、家に上がったりしたことはなかったー。
「わたしとお姉ちゃん、それに天音は
年齢がみんな少しずつ離れているからー、
学校もバラバラだったしー、それに彩夏ー…っていうか、わたしは
ほら、小さい頃は大人しい性格だったから、お姉ちゃんとか妹の話題を
出すような子じゃなかったし」
彩夏のそんな言葉に、
陽介は「言われてみれば…まぁ」と、そう言葉を口にするー。
彩夏は、長女の麻梨奈が現在社会人のOL、自分自身が大学生、
そして妹の天音が高校生であると、説明したー。
年齢差がある故に、当時、陽介が麻梨奈や天音と会うことはなかったようだー。
「ーーあぁ、あぁ、面倒くせぇ」
そんな会話を聞いていた長女の麻梨奈が、髪をボサボサ掻きむしりながら、
一旦部屋の外に出て行くと、
「ーー俺たちゃ、ちゃんと血縁関係のある家族だよ。身体はなー」と、
言いながら、住民票を叩きつけて来たー。
確かに、麻梨奈・彩夏・天音は、”姉妹”のようだー。
「ーか、身体はー…」
まだ憑依を信じることができていない陽介は、そう言葉を口にすると、
「ーーーは~~…面倒くせぇから、直接見ろ」と、麻梨奈が言うと、
麻梨奈がうめき声をあげて、その場に倒れ込むー
そしてー、麻梨奈の口から煙のようなものが出て来るとー、
それが実体化してー…
少し小太りの男の姿になったー
「う…うわっ!?!? えっ…!?」
陽介が呆然とするー。
”憑依から抜け出す様子”を見せ付けられて戸惑う陽介に対して
「えへへーすごいでしょ!」と、三女の天音がドヤ顔で笑うー。
「ーーう、嘘だろー…?」
陽介がそう言っている目の前で、小太りの男は”これが憑依だー”と、
言い放つと、「大体、お前もここまで”俺に憑依されて”連れてこられたんだぜ?
急に意識飛んだの、覚えてるだろ?」と、そう言葉を口にするー。
確かに、大学で彩夏の電話を聞いてしまった際に、
急に意識が飛んだのは覚えているー。
彩夏一人で、ここまで陽介を連れて来るのは無理だろうし、
姉妹で協力して、陽介をここまで運び込むのも、大学中に
”男子を連れ去る三姉妹”が目撃されるし、無理だろうー。
「ーーってことでー」
小太りの男はそう言うと、再び麻梨奈の身体に戻っていくー。
目を覚ました麻梨奈は笑いながら言うー。
「ー俺たちのことを知っちゃったお前はー…
今日からー
ここで、俺たちと一緒に暮らしてもらうぜー」
そんな言葉に、
陽介は「へー……?」と、困惑の表情を浮かべたー。
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”憑依のことをばらしたら、殺すー”
長女の麻梨奈にそう言われてしまった陽介は
ビクビクしながら、”三姉妹”と共に同居生活を始めていたー。
長女の麻梨奈はOLー。
だが、憑依している男は”女”として振る舞うつもりはないのか、
家の中では平気で男のような言葉遣いと振る舞いをしていて、
平気で胸を揉んだり、足を開いたり、やりたい放題だー。
次女の彩夏は、大学生ー。
陽介にとっては幼馴染的存在で、大学でも親しい相手で、
陽介は好意も抱いていたー。
普段から、女子大生らしく振る舞っていて、
家でもそれは変わらないー。
だが、怒ると男のような口調になる場面を何度か目撃しているー。
三女の天音は、高校生ー。
生意気な娘、という感じの振る舞いをする子で、
”中身が男だと感じさせる場面”はないー。
彩夏曰く、”天音の”中の人”は完全に女の子になりきってる”とのことだったー。
三人が、三姉妹に憑依したのは三年前らしく、
ちょうど、彩夏が高校生だった頃ー。
陽介と彩夏は、高校は別々だったため、
”陽介の知らないうちに”彩夏は憑依されていたことになるー。
親に関しては、3年前に”事故”で亡くなっていて、
その後は親の残した資産と、長女・次女が中心に稼いだお金で
生計を立てているのだというー。
”親の事故”が、三姉妹への憑依より先なのか、後なのかは
怖くて聞けなかったー。
”後”の場合は、三姉妹に憑依した男たちが、彼女たちの親を
消した可能性もあるからだー。
「ーーね~~ね~~ね~~~」
三女の天音が、制服姿のまま、
陽介に身体を密着させてくるー
「わ…!あ、天音ちゃんーな、なんだよいきなりー」
陽介がそう言うと、
天音はクスクスと笑いながら、
「あ!もう勃起してきてる!えへへへー…」
と、陽介のズボンを見つめながら笑みを浮かべるー
「ーか、か、揶揄うなよ!」
陽介が顔を赤らめながら言うと、
「ーえへへへへへー」と、悪戯っぽく笑う天音ー。
そんな会話をしている目の前で帰宅した長女の麻梨奈が、
平気で部屋の中で服を脱いで下着姿になるー
「ぶっ!おい!男の目の前で堂々と着替えるなよ!」
陽介がそう叫ぶと、
「あん?別にいいじゃねぇか」と、面倒臭そうに呟く麻梨奈ー。
「ーえへへへ…
ダメだよ~麻梨奈お姉ちゃん!
この人、すぐ興奮しちゃうんだから~」
天音がクスクス笑いながら、
陽介を見つめるー。
麻梨奈はそんな陽介に対して、
「へ~~~…じゃ、俺の下着姿にも興奮すんのか?」と、
下着姿のまま、麻梨奈が近付いてくるー。
「ーや、や、やめろってー」
陽介は目を逸らしながらも、ドキドキで爆発しそうになりながら、
顔を赤らめるー
「はははっ!面白れぇなお前!
ま、俺も男だから分かるけどさー」
麻梨奈はそう言うと、「まぁほら、俺の身体には勃つそれもねぇからさー」と、
下着の上からアソコのあたりを触りながら笑うー。
「~~~~~~」
「ーあははっ!真っ赤になっちゃって~!
トマト男~!トマト怪人~!」
天音が、揶揄うような口調で笑うー。
陽介は逃げるようにして、自分の部屋として用意された
物置部屋に移動しようとすると、
廊下で次女の彩夏とすれ違ったー
「ーーも、もう!何なんだよ!あの二人ー!」
陽介が思わずクレームを入れると、
彩夏は苦笑いしながら「ーあはは…ごめんねー」と、
申し訳なさそうに言葉を口にするー。
”同居”を始めてからも、彩夏は”大学で話していた今まで通り”
振る舞ってくれているー。
と、いうよりも、これが素なのかもしれないー。
「ーーあ、そうそうー、
北本くんの部屋のダンボール、少し片づけておいたからー…
ごめんねー?
物置部屋なんかしか用意できなくてー」
彩夏の言葉に、陽介は「ま、まぁ…別にいいけどー」と、言葉を口にしてから
”部屋”の中へと向かおうとするー。
がー、ふと立ち止まると、陽介は
彩夏のほうを見つめたー。
「ーーー…あの…大学で、俺と仲良くしてくれていたのはー…」
陽介がそう言うと、
彩夏は少しだけ笑ったー
「あれは別に、演技でも悪だくみでもないよー。
記憶の中に”昔、親しかった”って記憶があったしー、
わたし自身、北本くんと一緒にいると安心するし、
別に騙して何かしようってつもりもなかったからー」
彩夏のそんな言葉に、
陽介は少しだけ寂しそうに、けれども安心したような表情を
浮かべながら笑うー。
「ーーーただ、憑依のこと聞かれちゃったって思ったから…ね
こんなことになっちゃったけど」
彩夏はそこまで言うと、
「ー大丈夫。悪いようにはしない」
と、陽介に向かってそんな言葉を口にしたー。
それからもー
憑依された三姉妹との生活は続くー。
家に帰ることは許されなかったが、
大学に通うことは許されていて、普通に大学には通い続けているー。
一応、幼馴染の彩夏が”監視役”ということに姉妹の間では
なっているようだがー、
彩夏は「ーわたしは北本くんのこと、信じてるから、
大学では好きにしてて」と、そんなことを言っていて、
特に監視されている様子はないー。
家に帰れば、長女の麻梨奈と三女の天音を含めて
三姉妹に翻弄される日々が続くー。
長女の麻梨奈に憑依している男は、女として振る舞う気が
まるでないのか、家では身体以外は完全に男化しているー。
逆に、三女の天音は、男っぽい振る舞いを一度も見たことがないー。
「ーねぇねぇ、あんたってもしかして、彩夏お姉ちゃんのこと好きなの?」
クスクスと笑いながら、今日も制服姿の天音が、
陽介に突然そんな言葉を口にしたー
”な、何だよ急にー。そ、そんなことないよー”
「ギクゥ」
心の声と口に出す声を間違えてしまった陽介ー。
天音は「あはは!図星~!」と、楽しそうに笑うと、
「ー告白しちゃえばいいじゃん~!」と、揶揄う様にして、
陽介の頬をつんつんとつついてくるー。
「ーーき、君はホントに人を揶揄うのが好きだな!」
陽介が顔を赤らめながら反論すると、
「ーふふふーだって、わたしが近付くだけでよく赤くなってるし
面白いんだもん~」とクスクス笑いながら、
さらに身体を密着させてくると、「ーっていうか、童貞でしょ?」と、
ニヤニヤしながら言葉を口にするー
「ーーう、う、うるさいな!放っておいてくれ!」
陽介がそう言うと、足を広げながらテレビを見ていた
長女の麻梨奈が笑うー。
「ーははは、大丈夫大丈夫ー。
天音の”中身”も、童貞だったから、お前ら仲間だー」
麻梨奈の言葉に、天音は
「あ~~!麻梨奈お姉ちゃん!それ言っちゃだめ~!」と、
頬を膨らませながら声を上げるー。
そんな二人を見つめながら、陽介は思わず笑うとー、
「ーな、な、何笑ってるの~?!」と、
天音が不貞腐れた様子で、陽介を見つめるー
「ーはは…いやー…なんか、中身男って分かっててもー
ホントの姉妹みたいで面白いなってー」
陽介はそう言うと、
長女の麻梨奈は、少しだけ笑いながら
「変なやつだなお前はー」と、そう言葉を口にしたー
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借りていた自分のアパートは解約したー。
三姉妹が、逃がしてくれそうにないからだー。
だが、元々一人暮らしだったし、大学は通わせてくれているしー、
家賃は三姉妹が払っているみたいだし、正直、あまり不便はなかったー。
そしてー、
”憑依”などという力で他人を乗っ取っている…そんな三人のことを
最初は悪人だと思っていたものの、
どうも、そうじゃないような、そんな気がしてきたー。
三人とも、”悪事”を行っている様子はなく、
長女・麻梨奈はOLとして、
幼馴染でもある次女・彩夏は女子大生として、
三女の天音は女子高生として、普通に生活しているー。
それぞれ、特に何かを企てているような様子は見られないー
「ーーなになに?俺たちがこの姉妹に憑依した理由?」
ある日の晩御飯中ー。
長女の麻梨奈に、それとなく聞いてみると、
麻梨奈は笑いながらー、
「ー女の身体を楽しみたいからに決まってんだろ」と、
胸を揉みながらそう言葉を口にしたー
「あははっ!だよね~!」
天音は、そう言いながらも、
「でも、わたしはどっちかと言えば、おしゃれを楽しむためかな~!」
などと、言葉を口にするー。
陽介は、二人は教えてくれそうにないと感じ、
次女の彩夏のほうを見つめるー。
すると、ご飯を食べていた彩夏が陽介の視線に気付いて笑うー。
「ーー理由を聞いて、どうするの?」
とー。
「ーあ、いやー…そのー」
陽介は、急に気まずくなって、
”今の自分は人質のようなもの”だという立場を思い出しー、口を閉ざすー。
”彼らは悪人なのだろうかー。それともー”
そんな風に思いながらも、陽介は話題を変えようと、
「っていうか、今日のカレー美味しいなー…誰が作ってるんだー?」と、
三姉妹のほうを見つめながら、そんな言葉を口にしたー。
③へ続く
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コメント
意外と馴染んで(?)生活している
陽介くん…★!
明日の最終回で、転落してしまわないように、
祈るばかりですネ~★笑
今日もありがとうございました~~!
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