<憑依>憑依された三姉妹と同居生活①~秘密~

一人暮らしの男子大学生…

彼はある出来事をきっかけに
”美人三姉妹”と同居生活を送ることになってしまうー。

がー…その三姉妹は”全員”憑依されていてー…?

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男子大学生の北本 陽介(きたもと ようすけ)は、
一人暮らしをしている男子大学生ー。

幼少期に交通事故で両親を失い、
それ以降は、父側の親族に引き取られて、
育てられてきたー。

が、これ以上”親戚のおじさんたちに迷惑をかけるわけにはいかない”と、
高校卒業を機に、一人暮らしをスタートさせ、
高校時代のバイトで貯めた貯金と、現在のバイトを組み合わせつつ、
なんとか生活を送っていたー。

がー…
そんなある日のことだったー。
陽介の人生は、ある出来事を機に、一変することになるー。

その日も、いつものように大学にやってきた陽介は、
幼馴染の平井 彩夏(ひらい さやか)と、話をしていたー。

「ーーーあ~そんなこともあったね~」
彩夏が笑いながら言うー。

彩夏は、小学校・中学校が一緒だった子で、
小さい頃は近所に住んでいたこともあり、
それなりに接点もあった子だー。

がー、特別な関係、と言うほどではなく、
その後、高校は別々になったために、
特に連絡を取り合ったりすることもなく、
そのまま、その関係は終わりー…のはずだったー。

が、大学で偶然再開ー、
中学時代とは別人のように可愛くなった彩夏を前に、
陽介は密かに好意を抱いていたー。

彩夏の側は、恐らく何とも思っていないがー、
小さい頃のよしみで、こうして偶然鉢合わせをすれば、
色々雑談するぐらいには仲も良いー。

「にしても、女子って3年間でホント変わるよなぁ…
 中学の頃は、平井さん、すっごい大人しい感じだったしー」

陽介がそう言うと、
彩夏は少し恥ずかしそうに笑いながら
「まぁ、高校3年間って一番変わる時期じゃない?」と、
そう言葉を口にするー。

今の彩夏はとてもおしゃれで、
大学内でもかなり可愛い部類に入ると思うー。

昔は、眼鏡をかけていて、
かなり地味な感じの子だったため、
大学で再会して、最初に声を掛けられるまでは、
そもそも、陽介は彩夏のことを認識すらすることが
できていなかったー。

「ーー確かにー。でも、俺はあんまり変わってなくないー?」
陽介が自分のことを言うと、
彩夏は少し間を置いてから「北本くんは、ほら、
小さい頃からご両親亡くしてたから、人より精神的に大人に
なるのも早かったんじゃない?」と、そんな言葉を口にしたー。

「あ~~…まぁ、それはあるのかもなー」
陽介がそんな言葉を口にすると、彩夏は「あ、そろそろ行かなくちゃ」と
可愛らしい腕時計を見てから、そんな言葉を口にするー。

「ーあ、うん。じゃ、今日も頑張って」
陽介がそう言うと、彩夏は「うん!ありがと!」と、そのまま
次の授業が行われる場所に向かって歩き出したー。

そんな、”いつも”の日常ー。

好きな人に想いは届かないかもしれないけれどー、
特に困ったこともなく、
大学にはそれなりに仲間もいるー。

無難に楽しい大学生生活ー。
そんな生活が、これからも続くはずだったー。

「ーーふぅ」
大学での1日を終えて、陽介はスマホを確認するー。

”今日のバイトは19時からだから、少しのんびりできるなー”

そんなことを心の中で思いながら、歩き出したその時だったー。

ふと、少し慌てた様子でスマホを手に、
大学内の人通りのない方向に向かっていく彩夏の姿が見えたー。

「ーーーあ」
そんな彩夏が、鞄から慌ててスマホを取り出したのだろうか。
鞄の中身の手帳が、その場に落ちる瞬間を、陽介は見てしまったー。

「ーー平井さん!」
彩夏に慌ててそのことを伝えようとするも、
彩夏は気付かずにそのまま、移動してしまいー、
仕方がなく陽介は、彩夏の手帳を拾って、そのまま彩夏の後を追うー。

彩夏がやってきたのはー、
前にとあるサークルが使っていた小さな集会場のような建物で、
現在は老朽化のためいったん閉鎖されていて、
来年から工事が行われると言われている建物がある場所だったー。

こんな、人が絶対来ないような場所に来てまで、
話している電話の相手は誰なのだろうかー。

そんなことを思いつつ、陽介が彩夏が、歩いて行った方向に向かうー。

すると、彩夏の声が聞こえて来たー

”だ~か~ら!大学にいる時には電話するなって言ってるだろ?”
彩夏の乱暴な口調が聞こえて来るー。

”ーなに?彼氏に振られた?知らねぇよそんなことー”

そんな言葉に、陽介は少しビクッとするー。

普段は穏やかな感じの彩夏が、まるで男のように乱暴な口調で
誰かと話しているー。

もしかしたら、表裏が激しいのかもしれないー。
そんなことを思いつつ、
”あんま聞かれたくない電話だよなー たぶん”
と、陽介は判断し、”電話が終わったあとに何食わぬ顔で声を掛けよう”と、
一旦その場を離れようとするー。

しかしー

陽介は、使われていない建物の近くをウロウロしていたせいか、
急にくしゃみがしたくなってー、
盛大にくしゃみをしてしまったー

「ーーーあ…やべ」
陽介がそんな言葉を口にすると、
電話中だった彩夏が電話を切り上げて、
建物の物陰から彩夏が姿を現したー。

「ーき、北本くんー」
驚いた様子の彩夏。

そんな彩夏を見て、少し申し訳なさそうに
陽介は拾った手帳を手に、
「こ、これ落としたからー」と、
彩夏にそれを手渡そうとするー。

「ーーーありがとう」
それだけ言うと、手帳を受け取る彩夏ー。

何となく、気まずくなって陽介がそのまま
立ち去ろうとすると、
彩夏が、そんな陽介を呼び止めたー。

「ーーねぇ、今の聞いた?」
彩夏がそんな言葉を口にするー

「ーい…今のって?」
立ち止まって振り返りながら、そんな言葉を口にする陽介ー。

会話の全部を聞いたわけではない。
聞いたのはほんの一部だ。

だが、彩夏の”今の”が、どれのことを示しているのかは分からないー。

「ーー聞いたんだ?」
陽介の反応から”聞かれた”と、そう判断する彩夏ー。

「ーーー…いや、ご、ごめんー…
 て、手帳をただ届けようと思ってー」

陽介が戸惑った様子でそう言い放つと、
彩夏はにこっと、微笑んでから、もう一度スマホを取り出すと、
「”見られた”から、憑依、よろしくー」と、
それだけ静かに囁いたー。

直後ー、
陽介は今まで感じたことのない不気味な感触を感じるとともに、
意識を失うのだったー。

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「ーーーーーーー」

陽介が目を覚ますと、
そこは、見知らぬ家だったー。

「ーな、なんだここー…!?えっ…!?」

陽介は、意識を失う直前のことを思い出しながら、
不安そうにそう声を上げると、
陽介のいる部屋の扉が開いたー

「ーあーーー」
ツインテールの制服を着た女子高生が部屋に入ってきて、
その子が、陽介が意識を取り戻したことに気付くー。

そしてすぐに部屋の外に顔を出すと、
「お姉ちゃん~~~!この人、意識戻ったよ~~~!」と、
そう声を上げるー。

「ちょ……え、き、君はー…?
 こ、ここはどこなんだー!?
 っていうか、こ、これほどいてくれ!」

自分が拘束されている状況に気付き、
陽介が不安そうにそう叫ぶと、
ツインテールの少女は「だ~め!!」と、笑いながら陽介のほうを見つめるー。

「ーーーー…お、お、俺をどうするつもりだー!?」
陽介がそう叫ぶと、
その少女は笑うー。

「ーう~ん…どうしよっかな~~~?」
そして、クスクスと笑いながら、陽介のほうを見つめると、
その子は、揶揄うような笑みを浮かべながら言ったー。

「ー鍋にして、今夜の晩御飯にしちゃおっかなぁ~~?」
とー。

「ーー!?」
青ざめる陽介ー。

そんな陽介の反応を見て、少女はクスクスと笑いながら
「う・そ~! そんなことするわけないじゃん~~!
 あ、今、ビビってたでしょ? ふふふふー」
と、煽るような言葉を口にするー。

「ー…こ、この…!」
”生意気なクソガキだな”と、思いながら、陽介が
表情を歪めると、
「ほ~ら、天音(あまね)、あんまり揶揄っちゃ、だめでしょ」と、
聞き覚えのある声がしたー。

部屋に入って来たのはー、
幼馴染の彩夏だったー。

「あ、彩夏お姉ちゃん!」
ツインテールの少女・天音が笑いながら言うー。

言動からするに、彩夏の妹だろうかー。

「ーーひ、ひ、平井さん!こ、これは一体ー…どういうことなんだ!?」
拘束されている陽介が、助けを求めるかのように
そう叫ぶと、
彩夏が「北本くんー」と、いつものような口調で、そう言葉を口にしたー。

「ーーー…だって、北本くんがわたしの話、聞いちゃったからー…
 野放しにしておくわけには行かなくなっちゃったんだもんー」

彩夏が少しだけ申し訳なさそうに言うー。

「ーーで…電話を聞いちゃったことなら、謝るー!
 で、でも、俺はただ、平井さんが手帳を落としたから届けようとー」
陽介がそう叫ぶー。

それは、嘘ではないー。
別に陽介は、彩夏の電話を盗み聞きしたかったわけではない。
本当に、ただ”聞こえてしまった”だけなのだー。

それ以上でも、それ以下でもないー。

「ーーーでも、絶対に誰にも言わないって約束はできいないでしょ?
 わたしも、それじゃ困るの」

彩夏の言葉に、陽介は助けを求めるかのように言うー。

「ーべ、別に、普段と違う言葉遣いで家族とか、プライベートで
 話すことぐらい、誰にでもあることだしーー…
 そんな言いふらしたりはしないって!

 そりゃ…平井さんが、あんな口調で話してるのは驚いたけどー」

陽介がそこまで言うと、彩夏は「…それだけ?」と、
少し表情を歪めるー。

「ど、どういうことだー…?」
陽介が首を傾げるー。

「ーそれ以外に、何がー?」
意味が分からず、陽介がそう聞き返すと、
そこに、「ーそれで、そいつはどうするよ」と、
もう一人、別の女の声がしたー。

「ー!」
陽介が部屋の入口のほうを見つめると、そこには
眼鏡をかけた大人しそうなOLが立っていたー。

「ーーーあ!麻梨奈(まりな)お姉ちゃん!」
ツインテールの天音がそう叫ぶー。

”お姉ちゃん”ということは、
彩夏と、天音、そしてOLっぽい雰囲気の麻梨奈は、
三姉妹ということだろうかー。

「ーーははは、まぁ”憑依”のこと聞かれちゃったなら
 コイツを野放しにしとくわけにはいかねぇな」

麻梨奈は大人しそうな見た目とは裏腹に、
ドシドシと歩きながら近づいてくると、
「ーーーふ~ん… 彩夏のこと、好きだったのか?」と、
ニヤニヤしながら陽介のほうを見つめて来るー

「ーーそ、そ、そ、それはー」
陽介が顔を赤らめながらそう言うと、
「ーちょ、ちょっと待って」と、彩夏が麻梨奈のほうを見つめるー。

「ーーーん?」
麻梨奈はスーツの上から自分の胸を揉みながら、
彩夏のほうを振り返ると、
「ーも、もしかしたらー、”憑依”のこと、聞かれてなかったかもー」
と、小声でそう言葉を口にするー。

「え?マジで?ははー、それじゃ、コイツとんだ災難じゃん」
麻梨奈はそう言うと、再び陽介のほうを振り返るー。

「ーお前、”憑依”のこと、聞いたんじゃないのか?」
麻梨奈は男のように、近くのイスに足を広げて座ると、
そう言葉を口にするー。

「ーひ、ひ、憑依ー?
 お、俺が聞いたのは、ただー…」

陽介は、彩夏が乱暴な口調で電話していたのを聞いただけで
具体的な内容はほとんど聞いていないこと、
憑依なんて、全く聞いてなかったことを伝えたー

「ーーー…」
彩夏は表情を歪めるー。

彩夏は、電話の時に”妹”の天音からの電話の中で
”憑依”の話題を出したー。
”その部分”を聞かれたのではないかと思い込み、
こうして陽介を”拉致”したー。

彩夏にとっては姉にあたる長女の麻梨奈に”憑依している男”に
助けを求め、陽介に憑依して貰い、ここまで陽介を連れて来て
拘束したのだー。

「ーーえ…じ、じゃあ、憑依のことは聞いてなかったってことー?」
幼馴染の彩夏がそう言葉を口にすると、
陽介は「き、聞いてないよ!憑依なんて知らないし、俺はただ、
平井さんがいつもと違う言葉遣いで電話してたのを聞いて驚いてただけで…!」と、
そんな風に叫んだー

「ーーーーー…”俺”の早とちりだったみたいだなー」
彩夏が小声で長女・麻梨奈にそう叫ぶと、
「ーったく、ドジだなぁ」と、麻梨奈はイスから立ち上がって笑みを浮かべたー

「ーこれじゃ、俺たちの自爆じゃないかー
 ま、でも仕方ない」

”憑依のことを聞かれてしまった”
そう誤解した彩夏のせいで、逆に秘密を知られてしまったー。

そう観念した長女・麻梨奈は笑うー。

「ーー俺たちは”この三姉妹”に憑依してるー」
麻梨奈がそう言うと、
横で彩夏がクスッと笑い、三女の天音は「この身体を乗っ取ってるの!すごいでしょ!」と
笑みを浮かべるー。

「ーーーー!」
陽介は、そんな麻梨奈の言葉に
”幼馴染”の彩夏のほうを見つめるー

「ま、まさかー、ひ、平井さんもー?」
彩夏のほうを見つめながらそう言うと、
長女の麻梨奈は「おいおい、俺たち三人とも”平井さん”なんだから
間際らしい呼び方はやめろよ」と、笑うー。

しかし、そんな言葉は耳に入らずー、
陽介は、”次女”である彩夏のほうを見つめながら
その返事を待ったー

「ーーう、うんー…そのー…中身は、小さい頃、北本くんと
 仲良かったわたしじゃなくてー…
 別人なんだけどー…
 でも、ほら、記憶はあるからー」

彩夏のそんな返事にー、
陽介は”大学で再会した幼馴染”の中身が別人であったと告げられて
衝撃と混乱の中、戸惑いの表情を浮かべることしかできなかったー

②へ続く

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憑依された三姉妹に捕まってしまいました~!

ここから、憑依された三姉妹との同居生活が
始まっていくことになります~!★

続きはまた明日デス!

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