かつて滅んだ王国の跡地であるとも言われている
謎の洞窟ー。
そこにやってきた三人は、
”謎の力”により、融合してしまうことにー…
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冒険家のカーティスと、
女魔術師のルーシーが”融合”してしまったー。
一見カーティスにも見えるし、
ルーシーにも見えるような、
そんないびつな容姿になった二人が、
ゆらゆらと近づいてくるー。
「うふふふふ…カーティスってば、興奮しちゃってー」
魔導士と冒険家が混じったような服装の
”融合したふたり”は、勃起しているカーティスのソレを見て
不気味な笑みを浮かべたー
「ーーー…!」
その異様な光景に女騎士のアイリスは
後ずさりをしながら表情を歪めるー。
”胸”はルーシーのものそのままな気がするのにー、
カーティスの”アレ”もついているー。
異性同士が”融合”してしまったことにより、
二人は男女両方の特徴を併せ持つ
”奇妙”とも言えるような、そんな状態に
なってしまっていたー。
「ーーーっ…くっーーー」
しかし、融合した二人は、突然表情を歪めたー
「ア、アイリスーなんか、俺たちー
わたしたち、変だー…
色々感情がごちゃ混ぜになってー…
ーーは…早く、逃げる…のよー」
カーティスとルーシーが混じったような声で、
二人の口調が混ざったかのような
そんな言葉を口にする”合体した二人”ー。
「ーーえへ…で、でもーー
アイリスー…えへへ、俺ー、
アイリスのことずっとずっと好きだったんだー
今ならー
えへへへー
今ならわたし、大胆になれちゃうかもぉ♡」
合体した二人は、そう叫ぶと、
しばらく苦しそうにしたあとに、
アイリスの方に向かって走って来たー。
「ちょ、ちょっと!」
腕を掴まれたアイリスー。
「ーへへへ…ずっと、ずっと、こうしたかったんだ!」
カーティスとルーシーが融合した存在が、
そう叫ぶと、アイリスに無理やりキスをしてくるー
「うふふふ…いい身体ーもっと触らせてー
ぐっ…だ、ダメだー…
ーーや、やめてー」
二人の意識が交じり合って、おかしな状態になっているー。
そう察知したアイリスは、剣を手に
「ーカーティス…それにルーシーさんも!目を覚まさせてあげるから!」と、
叫ぶー。
だがー、
そんなアイリスを見て、カーティスルーシーは笑みを浮かべたー。
「ーー冒険魔法家になったわたしに、勝てると思ってるの!?」
カーティスルーシーはそう言うと、魔法を纏った体術で
襲い掛かって来たー
「あぁ…アイリスー、
抱かせてくれー キスさせてくれー
えへへーー
俺の想いを全部受け止めてくれぇ!」
カーティスルーシーがそう言いながら近づいてくるー。
アイリスは、複数本持っているうちの、殺傷能力のない方の剣で、
カーティスルーシーを気絶させようと攻撃するー。
しかしー
「ーーー!!!」
アイリスは表情を歪めるー。
カーティスとルーシーが、剣を拳ではじいたのだー
「俺の拳と、わたしの魔法でー
あはっ…この手は最強になったの!あはははっ!」
カーティスルーシーはそう言いながらも、
時々ピクッピクッと、表情を引きつらせているー。
「ーダメだー…逃げろー」
「ーーあぁ…ダメ…逃げてー
そうしないと、カーティスがあなたのこと好きな気持ちとー」
「ーー…ルーシーの変態っぷりが混ざってー
お、押さえられないー」
カーティスルーシーが、交互に喋るような形で、
そう呟き、頭を押さえるー。
「あぁぁ…気持ちイイー…混ざるのって…気持ちイイー」
頭を押さえながらクスクスと笑うカーティス・ルーシー。
「ーーほ、放っておけるわけないでしょ!」
アイリスがそう言いながら、剣で立ち向かうー。
だが、”二人”を一気に相手にしているような状況に、
アイリスの剣は吹き飛ばされて、アイリスも身体ごと地面に
叩きつけられるー。
「あぁ…一回、アイリスと、色々なことシテみたかったのよぉ…
へへへへー」
カーティス・ルーシーの邪悪な笑みに、
アイリスは怯えた表情を一瞬浮かべながらも、
すぐに気を取り直して、剣を手にするー。
”二人が合体してるってことはー…
その分、動きは鈍いはずー!”
そう思いながら、アイリスは持ち前の素早さで、
剣術と体術を織り交ぜた波状攻撃を繰り出していくー。
「ーーぐっ」
カーティス・ルーシーが表情を歪めるー。
「アイリスーうへへ…俺のこと、好きなんだろぉ?
俺もーわたしもよ!」
ニヤニヤしながら、カーティス・ルーシーが、
アイリスの剣を素手で掴むと、
それを”砕いた”ー
「ーー!」
いくら、殺傷能力がない剣とは言え、
あまりの光景に、アイリスは言葉を失うー。
恐らくは”カーティスの拳”に、直接ルーシーの魔力を流し込んで、
その拳の力を大幅に強化しているのだー。
「ーえへへへへへっ」
カーティス・ルーシーがアイリスに襲い掛かって来るー。
キスを繰り返すカーティス・ルーシー。
二人分の笑い声が聞こえるような感じに、
アイリスは恐怖しながらも、まだ諦めてはいなかったー
キスをされてー
胸を触られてー、
騎士の鎧を無理やり魔法で脱がされてー、
足を触られてー。
それでも、アイリスはーーー
”少しずつ”自分の身体の位置を”例の謎の光”の方に近付けていたー。
十分に距離を詰めたらー
カーティス・ルーシーを、あの光る物体に再びぶつければー、
二人の”融合”が、解除されて元に戻るかもしれないー。
アイリスはそう考えたのだー。
「ーーーーーーー二人ともー…」
アイリスは、十分に距離を詰めたことを確認するとー
胸を触りながら
ニヤニヤしているカーティス・ルーシーを足で思いきり消し飛ばしてー、
「正気に戻りなさい!」と、叫んだー。
カーティス・ルーシーが、光る球体の方に吹き飛ばされそうになるーー
がーーー…
「ーー!?!?!?!?」
カーティス・ルーシーが、アイリスの腕を掴みー、
アイリスを引っ張る形で、その球体の方に、
三人で突っ込んでしまったー。
「ーーー…!!!!」
アイリスは、イヤな感触を覚えるー。
何かが”自分の身体”にめり込むようなー、
そんな、今までに感じたことのない奇妙な感触ー。
頭の中がぐるぐるとかき混ぜられるようなー
そんな、感覚ー…。
しかしー不安や恐怖、
早く何とかしないと、という感情が膨れ上がって来るー。
がー、その中でアイリスはある感情も抱いたー
”き…気持ちいいー…”
カーティスの”アイリスが好きな気もち”と、
ルーシー”の下心”ー
その二つが自分の中に紛れ込んで来てー、
”わたしがー…わたしがアイリスと一つにー…!”
と、自分のことを思いながら、喜びを感じてしまうー。
すぐに、アイリスはハッとして、
自分を保とうとするー。
けれどー
”アイリスが好き”
という気持ちが流れ込んで来てー、
何が何だか、分からなくなってくるー
「ーーき…気持ちいいー…」
”三人”が融合した状態のその姿はー、
髪は三色になりー、
顔は三人が混じったような状態ー。
そして、二人の時にはそういう変化は
見られなかったものの、融合したのが”三人”になったからだろうかー。
身長は2メートルを超す、異様な風貌に変わっていたー。
「ーーえへへ…へへへへー
すっごく、気持ちイイー」
融合した三人は、三人が混じったような不気味な声で呟くー。
ただし、男1:女2の割合だからだろうかー。
その声は、どことなく”女性的”な感じになっているー。
「ーーーこんなの気持ちイイんだからー、みんなに教えてあげないとな」
カーティスの”正義感”が、
そんな歪んだ方向に発揮され始めるー。
「ーそれにしてもー…なんだか、動きにくいわねー」
ルーシーらしき口調でそう喋る三人ー。
二人の時はあまり感じなかったが、
三人が融合したことによって、身体がかなり不安定になり、
ガクガクと、ゆっくりした動きで歩いているー。
「ーーえへへ…みんな…みんな…この気持ち良さを教えてあげないと…
ね?カーティス?」
ニコニコしながら三人の融合体がそう呟くと、
「あ、カーティスはわたしだった!うへへへへ…♡」
と、肉棒を服の上から触りながら笑うー。
騎士のような鎧に、冒険者の服と魔術師の服が
混じったような奇妙な格好ー。
そんな格好をしたまま、三人の融合体は
洞窟の外に顔を出し、空気を吸うと笑みを浮かべたー。
「はぁぁぁ…なんだか、生まれ変わった気分ー
とっても、とっても、気持ちいいぜー…」
融合体は、そう言うと王国の城下町がある方に
向かって歩き出すー。
そしてーー
城下町の前に姿を現した三人の融合体は笑みを浮かべるー
「ーこの身体、すっごくすっごくー気持ちイイのー…!
みんなの感情が一つになって溶け合うことの感覚ー
みんなにも、みんなにも味合わせたくてー…!」
謎の光る球体を手に、融合体がそう叫ぶと、
次々と周囲の人間に光の玉を触らせて、融合していくー。
「ーあ…あれはー…?」
王国の国王が表情を歪めるー。
「し、正体不明の怪物が、民衆を”取り込み”ながら
こちらに向かっていますー!」
その言葉に、国王が驚いて王宮の外を見つめるー。
巨人のような体格になったー
”岩”のようなごつごつとした融合体が
こちらに向かっているー。
「あぁ…俺は、誰ー。
えへー、わたしは、誰ー?
すごいー
色々な気持ちがー
すごいすごいすごいすごいー!」
あらゆる声が混じったような、そんな不気味な叫びー。
「ーすっごいよぉ~~~!」
そう言い放つと、巨人はさらに謎の光る球体の力で
周囲を次々と取り込んでいくー。
もはや、カーティスの面影もー、
アイリスの面影も、ルーシーの面影も、どこにもないー。
王宮に、さらに迫って来る”巨人”ー
だが、その動きは次第に鈍っていくー。
カーティスたちは、知らないー。
あの洞窟に封印されていた”謎の光る球体”は、
かつて、大昔、あの場所に存在した王国を”滅ぼした”力そのもので
あることをー。
当時の王国は、敵対する帝国との戦いに勝つために
”強化人間”の開発を行っていたー。
その結果、生まれたのが”融合の光”ー
複数の人間を融合させることで、戦闘能力を高めた
人間を作り出すー。
そんな、目的の元、生まれたものだー。
がー…
融合した人間たちは、快楽に飲み込まれて、暴走したー。
やがて、王国は作り出した”融合人間”たちによって
次々と取り込まれて行き、滅亡したー。
現在の王国とは関係のない、大昔に存在していた王国は
”自ら作り出した力”により、崩壊したのだー。
今存在する王国よりも、遥かに栄えていた”魔道国家”は、
自ら生み出した力により、人々の融合を招き、
一人残らず”死亡”したー。
そもそも、あの洞窟は”洞窟”ではない。
融合を繰り返し、最終的に岩のような状態になった人間たちが
密集してできた場所ー。
つまり、”滅んだ王国その物であった場所”だー。
そしてーーーー
「ーーえへ… えへへへへへ…」
国王も含む、王国の人々が融合した状態の
集合体は、動きを止めたー。
もう、人ではなく、岩のようなごつごつした部分を
”揉む”ような仕草をする集合体ー。
最初に融合したルーシーの意識が、まだわずかに
残っていたのかもしれないー。
「えへへ… きもち… いいー」
集合体はそう呟くと、王宮近くで”巨大な岩”のような状態になったまま
静止したー。
あの洞窟内で
”生体反応を発していた岩のようなもの”が複数点在していたのはー
あの洞窟内を根城にしていた”ならず者”たちのなれの果てー。
事前報告で言われていた”ならず者”は、カーティスらが到着する前に
既に、”融合”を繰り返して全滅していたのだー。
「ーーーーーーーーーー」
王国の城下町の中心に
そびえ立った集合体ー。
また、数百年の時が流れー
”かつて存在した王国”が滅びを前に建てた”記念碑”として
それは、間違った形で語り継がれー、
そこにはまた、新たな国が生まれていたー。
おわり
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コメント
久しぶりの融合モノでした~!☆
融合モノはあまり書いた経験もないのですが
”見たい”というお話を頂いて、チャレンジしてみました~!
(※私の完全に専門外のジャンルは書けないですケド…笑)
お読み下さりありがとうございました~~!
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