<融合>洞窟の奥底に潜む力(前編)

冒険者・女騎士・魔法使いー。

三人は、かつて、王国が存在していたという
地下洞窟にやってきていたー。

そこに紛れ込んだ”ならず者”たちを討伐するためだー。

しかしー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

冒険者・女騎士・女魔導士ー。
そんな組み合わせの三人組が地下の洞窟を
1歩、また1歩とゆっくり進んでいるー。

「ねぇねぇ…オバケとか出たりしないよねー?」
女騎士のアイリスがそんな言葉を口にするー。

一見すると、”姫”の格好をしていた方が似合いそうな
そんな華奢な雰囲気の彼女ー。
しかし、彼女は正式に王国から騎士として認められている女騎士で、
その実力も確かなものー。

「さぁなぁ~…?あ!実はもう後ろにいたりしてー!」
軽い口調で言う冒険者風の男はカーティス。

その見た目通り、冒険者で、世界各地を放浪しては
時々、生まれ故郷の王国に立ち寄り、王国に色々な戦利品や、
情報を提供しているー。

今はちょうど、半月ほど前から王宮に戻っていて、
王国の女王とも面識のあるカーティスは、
今回、幼馴染でもあるアイリスと共に、
この”任務”にやってきていたー。

その任務とはーーー

「ひぃっ!?」
オバケがいるかも、と言われて悲鳴を上げながら振り返るアイリスー。

「ーはははは…いるわけないだろ~?」
そんな言葉を口にしながら、カーティスは揶揄う様にして
言葉を口にするー。

「もう!本当に怖いんだからね!」
アイリスが頬を膨らませながら言うと、
もう一人、背後に立っていた妖艶なー、
少しむっちりとした体形の女魔術師が言葉を口にしたー。

「ーそんなことより、そろそろよ」
彼女、ルーシーは、
王国の女王から今回の任務にあたり、派遣されたサポート要員ー。

彼女の方が少し年上だが、
小さい頃からカーティスとアイリスのことは良く知っていて、
時にはお姉さんのように面倒を見て来たー。

そのため、今回、初めて一緒に行動するー
ということでなく、互いに気心知れた存在だったー。

「ーーー…」
軽口を叩いていたカーティスが真剣な表情に戻って
洞窟の先を見つめるー。

ここはかつてー
”太古の時代”に滅んだ王国があったとされる場所ー。

既にその王国が滅んでから、
相当な年月が流れているもののー、
先月、洞窟となったこの場所を調査隊が調査する上で
2つのことが判明したー。

一つが、洞窟の最奥から”謎の魔力”の反応が発されていることー。
もう一つが、その魔力を嗅ぎつけてか、最近このあたりに”ならず者”が
不法侵入していることー。

その調査のために、アイリスが派遣され、
ちょうど王国に戻っていたカーティスが護衛につきー、
二人をサポートするために、ルーシーも加わってー、
こうして三人で地下を探索しているー。

「ーー……それにしてもルーシー」
カーティスが、前を移動するルーシーを見ながら言うー。

「ーなぁに?」
ルーシーがクスクス笑いながら振り返ると、
「なんでそんな胸元とか、お尻がチラ見えしそうな露出度の高い格好なんだよ!」と、
カーティスが顔を赤らめながらツッコミを入れたー。

「ーーふふー。
 改めて聞く必要ないでしょ?
 この方が、興奮するじゃない?」

ルーシーの言葉に
カーティスは「~~~~」と、言葉を失うー。

ルーシーは”エロいー”
そう、いつもこういう、”絶対戦い向きじゃないだろ”みたいな
格好をしているー。

”見られてると思うとゾクゾクする”とか、
”戦闘中に相手の男が油断するじゃない?”とか、
そんな理由を口にしているがー、
とにかく、変態なのだー。

小さい頃は、そんなこと全く分からなかったがー、
そういうことが分かる年齢になってー、
ルーシーの変態っぷりが良く分かるー。

「ーでも、ルーシーさんがいてくれると安心ー。
 わたしとカーティスじゃ、魔法は使えないし」

アイリスがそう言いながら笑うと、
「ま、まぁ、そりゃあなぁ…」
と、カーティスは笑うー。

カーティスは剣と弓、体術を織り交ぜた我流の戦い方をする”冒険者”ー。

アイリスは王国の正式な騎士として修業を受けているため、
剣を使って、騎士らしい戦い方をするー。

が、二人とも魔法の類は使えないー。
回復魔法から、攻撃魔法まで使いこなす”魔術師”である
ルーシーの存在は、欠かせない存在だと言えたー。

「ーーーしっ!」
前を歩いていたルーシーが突然、立ち止まるー

「ぶわっ!」
ルーシーの露出度の高い身体に接触しそうになって
慌てて立ち止まったカーティス。

ルーシーは”気配がするわ”と、呟くー。

一見、”直接的な戦い”では一番非力そうなルーシーが
一番前を歩いていたのには理由があるー。

”周辺の状況”を察知するレーダーの役割を果たす
魔法を常に発動しながら歩いていてー、
ルーシーが一番前にいた方が”いち早く”こうして
危険を察知できるため、ルーシーが一番前を歩いていたのだー。

「ーーならず者か?」
カーティスが聞くと、アイリスは剣を手に、戦闘準備をするー。

だがーー

「ーー動いてはないー。けれどー…生命反応があるわ」
と、ルーシーは戸惑いの表情を浮かべるー。

「ー動いていない?待ち伏せってこと?」
アイリスが確認するー。

しかし、ルーシーは”呼吸とか、そういうものも感じられないー”と
説明した上で
「生命反応があるけど”静止”してるー。それも結構な数」と、
言葉を口にしたー。

「ーーーー」
身構えるアイリスとカーティス。

「ーーー……」
ルーシーが頷くと、カーティスが一番前に立ち、
”静止している生命反応”が多数存在するとルーシーが言う、
その場所へと足を踏み入れたー。

するとー
そこにはーーー

まるで”岩石のように”丸まった謎の物体が
複数、微動だにせず、洞窟内に置かれていたーー。

「これはー…」
アイリスが髪を揺らしながら、警戒しつつ、
その物体に近付いていくー。

「これが生体反応を発していたのかー…?

 って、おわっ!」

岩石のような物体に手を振れたカーティスは
”顔”があることに気付いたー。

「ひっ!?」
アイリスも驚いて手を離すー。

「ーーーこれはー…”人”ねー」
魔術師のルーシーが後からやってきて、そう呟くー。

「ーー人…?」
アイリスがそう言うと、ルーシーは「えぇ。人ーそれも一人じゃない」と呟くー。

魔力を使いながら、岩石のような物体に手を当てると、
「一つあたり、5人以上の生体反応があるー」と、言葉を口にするー

「ーでも、生きてるようには見えないけど」
カーティスがそう言うと、ルーシーは「そうね」と頷きながらも
「でも、彼らは生物学的には生きてるわ」と、言葉を口にしたー。

ゴクリ、と唾を飲み込むカーティスとアイリスー。

「ーだ、大丈夫さー。何が出てこようと俺が守ってやるからー」
カーティスがそう言うと、
アイリスは「みんなを守るのはわたしの方だよ!わたし、これでも騎士なんだから!」と
張り合うようにして笑ったー

「ふふー」
ルーシーはそんな二人を見つめながら笑うー。

カーティスとアイリスは、
”お互いのことが好き”だー。
お互いの立場の違いからか、恋人同士ー、ということではないけれど、
お互いに相手のことを思う気持ちがあるのを、ルーシーは知っているー。

「ーーそれにしてもー…」
ルーシーは、アイリスを見ながら思うー。

”鎧の上からでも分かる胸とおしりー… うふふふ…
 ホント、いい身体してるし、可愛いわよねー…”

変態なルーシーはそんな妄想をしながら、
今度はカーティスも見つめるー

”屈曲な肉体に真っすぐな顔ー
 あぁ、やっぱり二人とも最高ー”

勝手に興奮しながらその奥に向かうー。

奥に向かいながら、三人は色々な話をしたー。

”どうしてかつて存在したと言われているこの王国は滅んだのかー”
”さっきの岩石のような状態になっていた人たちは誰なのか”
”事前情報によれば”ならず者”がこの辺りにいるはずなのに気配すらないのは何故なのか”

そうこうしているうちに、
洞窟の奥までたどり着いた三人ー。

そして、そこには”謎の光る球体”のような浮かんでいたー。

「ーこれが、洞窟の奥底から発されていた魔力の正体ね」
女魔術師のルーシーがそう呟く。

洞窟の奥から発されている謎のエネルギー反応を調査するため、
三人はここにやってきたのだー。
これで、その目的の一つが果たされたことになるー。

「ーーー…」
カーティスとアイリスは周囲を警戒するー。

結局、”ならず者”とやらは、この洞窟の中で見かけることはなかったー。
既に撤収したあとなのだろうかー。

「ーーで、それは何なんだ?」
カーティスがそう聞きながらルーシーの方に近付いていくー。

アイリスはその光る球体がある洞窟内の最奥の入口付近で、
ならず者たちがやってこないかどうか、警戒しているー。

がー、
その時だったー

「ーー!魔力の反応に、変化がー!?」
ルーシーがそう言うと、
カーティスは「えっ…?それってつまりー!?」
と、首を傾げるー。

ルーシーはすぐに「この球体が何だか分からないから、
すぐに離れた方がー」と、言葉を口にするー。

しかしー、
その直後だったー。

謎の球体が、突然、激しい光を発したー。

「ーーえっ!?」
女騎士のアイリスもそれに気づいて振り返るー。

「ーー!?!?」
カーティスは、光る球体に自分の身体が引っ張られていくのを感じたー。
そしてー、隣にいたルーシーも。

「ーな…なにこれ!?」
驚くルーシー。

「わ、分かんねぇ…身体がーー!?」
カーティスがそう叫ぶと、
助けに入ろうとしたアイリスが、カーティスたちのところに
駆け寄って来るよりも先にーー
二人の身体が球体に吸い込まれてー、
そしてーー…消えてしまったー

「ーカーティス!? ルーシー!?」
二人の名前を呼ぶアイリスー。

するとーー…
光る球体から、すぐに”誰か”が、吐き出されて来たー。

「ーー!?!?!?!?」
「ーーえっ!?」

胸元を強調している妖艶なその格好は、
確かにルーシーのモノに見えるー。

だが、同時に、カーティスが装備していた剣が、
握られていてー、
髪の色が、”ルーシーの赤茶色”と、”カーティスの銀髪”が混ざったような色になっているー。

「ーーー…えへ…なんだかー…いい、気持ちーふふふー」
ルーシーよりも少し低いー、
けれどもカーティスよりも少し高くー、
中性的な、二人が混じったような声を出すその人物ー。

アイリスは不安そうに「ーー…あ、あなたは…?」と、
言葉を口にするー

するとー、
”カーティス”と”ルーシー”が融合して一人の人間になってしまった
その人物が顔を上げたー

「ーえへへへ…アイリスー…どうしようー?
 ひとつになっちゃった♡」

カーティスとルーシーが混じったような声ーー
その顔も、二人が混じったようなそんな状況に、
アイリスは「え…う、嘘ー…だ、大丈夫ー?」と、
不安そうに表情を歪めるー。

「ーーうふふふ…♡ 大丈夫さー」

ルーシーとカーティスー
”どっち”が喋っているのかも分からないその状況にー、
アイリスは不安そうに、”謎の光る球体”の方に近付いていくー。

「ーこ、これ…一体ー…?」
アイリスがそんな風に呟いているとー、
突然ー、”カーティスとルーシー”が合体した存在が、
後ろから抱き着いて来たー。

「ーもう、我慢できないよアイリスー。」
そんな言葉に、アイリスはビクッとして、
「な、何してるの!?」と、合体した二人を振り払うー。

「ーなにってー
 俺たち… 二人は、愛しあっているじゃないー…
 えへ…だからー…えへへへへー」

ニヤニヤしながら、ゆらゆらと近づいてくる
カーティス・ルーシー。

カーティスの”アイリスが好き”という気持ちと
”ルーシーの下心”が、交じり合い、
アイリスに対する感情が、おかしな方向に
暴走し始めているー。

「ーーえへ…♡ えへへへー
 興奮しちゃうー…」

胸を触りながら、アソコを勃起させている
カーティスとルーシーが合体した存在ー

「ちょ…!し、正気に戻ってよ!ねぇ!」
後ずさるアイリスー。

だが、カーティスとルーシーはー、
”融合して不安定な自分”を抑え込むことが出来ず、
欲望のままに、アイリスに向かって歩き始めたー。

<後編>へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

かなり久しぶりな融合モノデス~!

私自身も、新鮮な気持ちで執筆してます~笑

土曜日(※土曜日のみスケジュールの都合で予約投稿)のお話なので
続きはまた来週ですが、ぜひ楽しんでくださいネ~!

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