とある王国の平和を乱す魔王ー。
その魔王に立ち向かう勇者と巫女は
いよいよ魔王の城に乗り込み、魔王を追いつめていたー…!
しかし、魔王の秘術により、二人の身体は入れ替わってしまい…!?
☆牧原アイ様(@ai_TSF_MC)から、
挿絵を頂きました~!
イラストと共に、物語を楽しんでくださいネ~!
※名前のあとの英文字は牧原アイ様のツイッターIDデス。
挿絵…牧原アイ様
小説…無名
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とある王国ー
長きに渡る平和を謳歌していたその王国ー。
しかし、ある日その平和は唐突に壊されたー。
”魔王・プルート”率いる魔物の軍勢の出現ー。
どこからともなく現れた魔王は、
王国の侵略を開始ー。
破竹の勢いで、王国の兵士たちを打ち破り、
人々は、魔王プルートの名に怯える日々を送ったー。
だがー、王国側も黙ってはいなかったー。
古より、伝承として
”魔王”のことが記録されており、
”勇者”と”巫女”がその魔王を、復活の都度打ち倒すー、と
そう言い伝えられてきたのだー。
そして、その末裔が、代々、
”勇者”として”巫女”として、受け継がれてきていてー、
もしもの時のため、その力を蓄え続けていたー。
魔王の出現に、
困惑しながらも立ち上がった勇者・レオと、
巫女のミレーヌは、仲間たちと共に魔物たちへの反撃を開始ー、
数多くの出会いと別れを経験しながら
ついに、”魔王プルート”の待ち構える魔王城へと乗り込み、
その決戦の時を迎えようとしていたー…。
勇者レオが、
剣を振るうー。
魔王プルートが、闇を纏う剣で、
その剣をはじくー。
禍々しい鎧を身に纏いー、
邪悪な顔からは、恐怖すら感じさせるー。
人間より若干体格は大きいものの、
人型の姿をしている魔王プルート。
とは言え、その力は圧倒的で、
並大抵の力で倒すことはできない。
しかし、負けじと勇者レオは魔王プルートの攻撃を防ぎ、
剣で反撃を試みるー。
魔王の闇の障壁に攻撃は阻まれー
一進一退の攻防が続くー。
だがーー
「ーレオ!」
巫女服を身に纏う巫女のミレーヌがそう叫ぶと、
錫杖を手に、光を放つー。
「ありがとう!」
レオは剣を振るいながらそう叫ぶー。
勇者レオは、
代々伝わる勇者の剣を手に、魔物たちと戦っているー。
幼少期から、”勇者としての修行”を繰り返してきたレオは、
魔物たちを前にしても、一歩も怯むことなく、
ここまでやってきたのだー。
一方の巫女・ミレーヌは、
代々受け継がれてきた巫女の血により、
多数の魔法を使うことができたー。
回復魔法や、戦闘をサポートする魔法ー。
多数の術によって、これまでもレオを支えて来たー。
魔王プルートが表情を歪めながら
「ー無駄なあがきだー」と、
闇を帯びた左腕による攻撃を勇者レオに叩きつけようとするー
「させない!」
ミレーヌが叫ぶと、錫杖から光の光線のようなものを発射して、
魔王プルートの動きを止めるー。
すかさず、勇者レオが、剣を手に、
魔王プルートに攻撃を叩きこんだー
光が飛び散りー、闇が歪むー。
とは言えー、
魔王プルートも魔物たちを統べる王ー。
一撃で決着がつくことはなく、
まだ、倒れずに勇者レオのほうを振り返ったー。
「まさか、貴様たち人間の力がこれほどとはー」
魔王プルートが、表情を歪めるー。
自分の力は、圧倒的であるはずー。
それなのになぜ、このような矮小(わいしょう)な人間に
追いつめられなくてはいけないのかー。
「ーー魔王プルート!お前はここで終わりだ」
勇者レオが、剣を魔王プルートの方に向けるー。
「ーーミレーヌ!」
「うん!」
レオが、ミレーヌに呼びかけると、
ミレーヌは錫杖を手に、サポートの光魔法を
唱え始めるー。
レオの剣が光に包まれるー。
これでー
戦いは終わりだー…!
レオが、剣を手に、魔王プルートに向かって行こうとしたその時だったー
”仕方あるまいー
”奥の手”を使うとするか”
魔王プルートは、そう呟くと
その両目を赤く発光させたー
「ーー!?!?!?!?」
今までに感じたことのないー、
まるで魂が抜けるような、
そんな”嫌な感覚”を味わったー。
何が起きたのかは分からない。
しかし、何かが起きたー。
そう感じられるような、不気味な感触ー。
そして、ふとー
突然、自分の立つ位置が”少し”変わったー
そんな感覚に陥り、すぐに魔王のほうを見つめるー。
”瞬間移動させる技でも使ったのかー?”
そんな風に思いながら、すぐに走り出そうとするー。
しかしー
「えっ…!?」
いつものように、走れないー。
それにー
服がふわっとしてー、
髪が視界を遮るー。
「ー!?!?!?」
しかもー、
自分の手には、錫杖ー
すぐに、ハッとして横を見ると、
そこには”自分自身”
レオの姿があったー。
レオは、剣を落して
困惑した状態で自分の身体を不思議そうに触っているー
「……れ、レオなの?」
そう呟くレオー。
レオは、自分が巫女服を着ていることに気付きー、
服を触りながらー、
「こ…これは…?」と、困惑の表情を浮かべたー。
「ーーもしかして、わたしたち…
身体が…入れ替わっちゃってるー…?」
レオの姿をしたミレーヌが、不安そうに
ミレーヌの姿をしたレオを見下ろしながら言うー。
レオのほうが、背が高く、
ミレーヌの方が少し背が小さいため、
いつもとは逆で、見下ろすような形になったー。
「ーー俺が…ミレーヌに…?」
そう言いながら、少しドキドキした様子で
服を触るミレーヌ(レオ)ー
レオ(ミレーヌ)は
「ちょ、ちょっと…どこ触ってるの…?」と、
不安そうにしながら言うと、
すぐにミレーヌ(レオ)は「あ、ご、ごめんー」と、
申し訳なさそうに言葉を口にした。
うっかり、反射的に胸のあたりを触ってしまった
ミレーヌ(レオ)は申し訳なさそうにしながら、
気を取り直して魔王プルートのほうを見つめるー。
ニヤリと笑う魔王プルート。
「ーーククククー
上手く行ったようだなー」
魔王プルートの言葉に、
ミレーヌ(レオ)は「お、俺たちに何をした!」と叫ぶー。
いつものように叫んだつもりだったが、
その口からはミレーヌの声が出て、
何だか、いつものような迫力を出すことは
できなかったー。
「ーククー…可愛い声ではないか」
魔王プルートが、揶揄うようにして言うと、
ミレーヌ(レオ)は「う…うるさい!」と、
顔を赤らめながら魔王プルートのほうを見つめるー。
「け、剣が重い…」
レオになったミレーヌは、落した剣を拾って
持ち上げようとするもー
”思った以上に”その剣は重く感じられたー
レオの身体の方が、力はあるはずなのに、
それでも”重い”剣ー。
「えっ…い、いつもレオ…こんなに重い剣を…!?」
レオ(ミレーヌ)が戸惑いながら言うと、
ミレーヌ(レオ)は「え…あ、あぁー」と、頷くー
そして、ミレーヌがいつも使っている錫杖を手に、
困惑した表情を浮かべながら首を傾げるー。
どうしていいのか分からない、と、
そう言いたげな表情にも見えるー。
「ーーククククククー
人間ー…その姿で、どう戦うー?」
魔王プルートは容赦なく、レオ(ミレーヌ)に近付き、
攻撃を仕掛けて来るー
「ひっ!?」
レオ(ミレーヌ)は必死で剣を振るー。
しかし、剣術の心得のないミレーヌに、
いきなりレオの身体で剣を振れ、と言われても
なかなかそう上手く行くものではないー。
魔王の力に圧倒されー、
勇者の末裔が使うことで、力を発揮すると言われている
勇者の剣の力も発揮できないまま、
派手に吹き飛ばされてしまうー。
「ミレーヌ!」
ミレーヌ(レオ)が叫ぶー。
ミレーヌの身体でミレーヌの名前を叫ぶという不思議な光景に
魔王プルートは思わず苦笑しながらも
にやりと笑みを浮かべると、
そのまま追撃を仕掛けようとするー。
「ーーーくそっ!」
ミレーヌ(レオ)は、すぐに錫杖を手に、
いつもミレーヌがやっているような仕草を真似ながらー
回復魔法を使おうとしたー。
しかしーー
「ーーー!!!」
何も起こらず、ポーズだけ取ってしまったミレーヌ(レオ)が
恥ずかしそうに顔を赤らめるー。
「ククククー…貴様は何をしているのだー
巫女ミレーヌ」
魔王プルートが笑みを浮かべるー。
ミレーヌの中身がレオだと分かっていながら、
”あえて”挑発的にそんな言葉を口にするー
「くっ…!くっ…!」
ミレーヌ(レオ)が必死に錫杖をぶんぶん振りながら
「回復!回復!回復!」と、叫ぶも、
何も出ないー。
「ーーー武器と身体があっても
中身が違えば、使えこなせぬようだな!」
魔王プルートはそう言い放つと、
衝撃波を繰り出し、ミレーヌ(レオ)とレオ(ミレーヌ)を
吹き飛ばしたー
「くっ…うぅ…回復魔法が使えないー」
ミレーヌ(レオ)がそう言い放つと、
レオ(ミレーヌ)も困惑した様子で自分の持つ剣を見つめるー。
いつも、レオがやっているように、剣を綺麗に振ることができないし、
剣から、力も感じないー。
まるで”抜け殻”になってしまったようなー、
そんな”オーラを感じない状態”になってしまった剣を見て、
レオ(ミレーヌ)は困惑の表情を浮かべるー。
「ーー勇者レオよー。
貴様の手に握られているその剣は、ただの飾りかな?」
魔王プルートが笑いながらレオを指さすー。
当然、自分で入れ替えたのだから、
レオの中身がミレーヌだということも
ちゃんと理解していながらの発言だー。
「ーーー…わ、わたしだってー…
わたしにだって、つ、使えるんだから!」
負けず嫌いな一面もあるミレーヌは、
レオの身体で魔王に向かっていくー
だがー、魔王は軽々しく、
レオ(ミレーヌ)の攻撃を次々と回避していくー。
「ー愚かなー。なんだその剣の振り方は?」
魔王プルートが、揶揄う様にして、
レオ(ミレーヌ)の攻撃を回避するー。
「ーやはり、その剣は飾りであったかー」
”入れ替わっている”のを理解しつつ、
あえて、屈辱的な言葉を浴びせー
魔王プルートは楽しんでいたー。
この状況をー。
「ーあァー、いいや、
飾りは”貴様のほう”かー
勇者レオー」
魔王プルートがニヤリと笑うー
「ーーわたしだってー…!」
レオ(ミレーヌ)がカッとなって剣を振るうー
しかしー
魔王プルートの強烈な蹴りを食らわされてー
魔王の間の壁まで思いっきり吹き飛ばされて、
壁に叩きつけられてしまったー
「ミレーヌ!」
ミレーヌ(レオ)が叫ぶー
「くそっ!くそっ!くそっ!」
錫杖を必死に振るミレーヌ(レオ)ー
そしてーーー
「ーー!」
魔王プルートもその異変に気付くー。
錫杖が緑色の光を放ち始めるー。
回復魔法だー。
がー。
ぷしゅっ、と、ほんの少し緑色の光が出ただけでー
何も意味はなかったー
「あっ!くそっ!くそっ!
そんなーー
回復魔法!回復魔法!」
ミレーヌ(レオ)が叫ぶー。
「クククククククー」
魔王プルートは、吹き飛ばされて倒れ込んだレオ(ミレーヌ)を
無視して、ミレーヌ(レオ)の方に近付いていくと、
笑みを浮かべたー。
「ーーその巫女服は、飾りかな?」
あざ笑うような口調ー。
「くっ…い、言わせておけばー!」
ミレーヌ(レオ)が、錫杖を剣のようにして振るうー。
だがー
「おやおやおやおやおやー
やはり、その巫女服はコスプレのようだなー」
魔王プルートはそう呟くと、
笑みを浮かべながら手から触手のようなものを伸ばしー、
ミレーヌ(レオ)を拘束したー。
ミレーヌ(レオ)が必死にもがくー。
しかしー、いつも以上に、身体に力が入らないー
巫女であるミレーヌの身体と、
勇者であるレオの身体ではー
そもそもの根本的な運動能力が違うー。
「ククククー
勇者よー、たっぷり遊んでやろう」
魔王プルートの邪悪な笑みを前に、
拘束されてしまったミレーヌ(レオ)にはー、
悔しそうに魔王プルートを睨みつけることしかできなかったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
魔王との最終決戦の最中に
勇者と巫女が入れ替わってしまうお話デス~!☆
元々はいつも通り、普通の小説の予定だったのですが、
牧原アイ様とこうしてコラボすることができたので、
いつもとは違う特別な作品になりました!~☆
(ありがとうございます~!☆)
明日以降は、いつも通り文字だけですが、
魔王を倒すことができるのかどうか、
ぜひ見届けて下さいネ~!
コメント