<女体化>夢幻の面接

※この作品は、
 2022年に果実ろあ様によって企画された
 「あさおん合同」向けに私が執筆した新作デス~!

今日から、作者がそれぞれ自由に好きな場所に掲載可能に
なったので、憑依空間でも公開します~!

初めて読む~!という方はぜひ楽しんでください~!☆

☆☆☆

勇者になって、魔王を追い詰めていたー。

魔王を追い詰めた俺はー
一歩、また一歩と魔王に近付いていくー。

しかしー
背後から突然衝撃を受けるー。

振り返ると、そこにはこれまで一緒に戦ってきたはずの
ヒロインの巫女が邪悪な笑みを浮かべながら立っていたー

「ーき…君はー…?」

俺が苦しそうにそう言うと、
俺の背後に立つ魔王が言うー。

「ーその者は、我が魔力に魅入られて、
 我がしもべになったのだー」

とー。

「ーそ…そんな…め、目を覚ますんだ!」

俺は必死にそう叫ぶー。

あれー?
でも、そういえばー
この子ー…

俺の幼馴染の尚美(なおみ)そっくりな気がー

あれーーー?

ってか、俺、どうして勇者にー???

そんな疑問をかき消すかのように、
スマホのやかましいアラームの音が鳴り響きー

魔王も、巫女もー
魔王の城もー
何もかも消えてー

俺は現実世界へと引き戻されたー

”ったく、何だよ夢かよー”

思わず舌打ちしながら身体を起こすー。

”ー夢の中で目を覚ませ!とか言ったけど、
 目を覚ますべきなのは俺のほうだったか”

そんな冗談を心の中で思い浮かべて、
夢の中では勇者と共に戦う巫女役だった
幼馴染の尚美のことを思い出しながらー

いや、巫女服の尚美のことを思い出しながら
ニヤニヤしながらスマホのアラームを俺は止めたー。

俺は森原 亮太(もりはら りょうた)
就活中の大学生だー。

いや、待て。俺は一体誰に自己紹介をしているんだー?
サウンドノベルじゃあるまいしー

そんな風に思いながら、アラームを止めたスマホを棚の上に置く俺ー

そういえばー
今日は就職活動の一番大事な日の一つー…

”面接”の当日だったー

「いけねぇ、巫女服の尚美を妄想してニヤニヤしてる場合じゃなー

あーーー???

俺は、自分が思ったことをなぜか真似して喋っている女の声が
聞こえて首を傾げたー

”俺が言おうとした言葉”を、
”知らない女が真似して口にしている”

「ーーだ、誰だ!?」

俺はそう叫んで振り返ったー。

だが、”俺の声”は出ないで、
”女の声”が聞こえてくるー。

ど、どういうことだー?

そう思って、ふと、近くにあったテレビに反射した自分の姿を見た俺はー

思わず悲鳴を上げたー

「ー誰だお前ええええええ!?!?!?」

とー。

そう、何故だか知らないが、
俺は夢の中で勇者になっていて、
目を覚ましたら女になっていたー。

いや、勇者の夢はどうでもいいー。
たぶん、この話にはもう絡んでこないー。

そんなことよりも、この状況をどうする?

洗面所に駆け込んだ俺は、
改めて鏡に映った自分の姿を見て、
呆然とするー

完全に、女だー。

しかも、かわいいー。

いや、顔を赤らめている場合じゃないぞ、俺ー。
これじゃ、「わたし、かわいい~♡」みたいな子に
なっちまうー。

っていうか、面接はどうするー?

”朝、起きたらいきなり女になってました”
とでも言うかー?

いや、そんな話、誰が信じるー?

「ーーーー」

「ーーーー」

俺は腕組みをしたまま考え込むー。

まさか、面接当日にこんなことになるなんて
夢にも思わなかったー

いったい何がどうなってー

「ーーーー」

じっと鏡を見ているとー
よく見たら”俺の顔”を女にしたような
そんな感じの顔にも見えるー

「ーこ、こうなったらー」
俺は慌てて洗面台から駆け出すー。

就職活動に使っているスーツを慌てて着て、
長い黒髪を手で上にどかしてみて、
鏡を見つめるー

「ん!結構 俺っぽい!これなら面接中ぐらいは
 誤魔化せるかもー」

時計を見つめる俺ー。

まだ間に合うー。

そう思い、俺はスーツを着たまま
ノーブラでそのまま外に出たー。

ブラなんて持ってないし仕方がないー。
とにかく、面接までに間に合わせないといけないー

俺はそう思い徒歩10分ほどの距離にある
1000円カットのお店に駆け込むと
「とにかく、髪を短くしてください!男の人みたいに!」と
叫んだー。

何で急に女になっているかは分からないー。
しかし、とにかく今は面接に行かないといけないー。

俺の将来がかかっているんだー。

そんなことを思っていると
あっという間に散髪は終わりー、
俺は男のように短い髪になったー

「よし!これで、なんとかなる!」
俺がそう叫ぶと、店員さんが首を傾げていたが
そんなことを気にしている余裕はなかったー。

俺は慌てて家に向かって再び走りながら
”そういや、あの店員さん、俺がノーブラだったなんて
 夢にも思わないだろうなぁ”

と、変なことを考えながらー
ようやく家に到着したー

「ーくそっ…あ、あとはー」
俺は鏡を見つめながら、
自分の履歴書の写真と今の自分を見比べるー

「やっぱ…顔立ちもちょっと違うな…
 女の子って感じになってるー」

そう呟きながらも、

「いや、でも写真写りなんてみんな違うし、なんとかなるだろ」
と、俺は無理やり自分を納得させたー

髪はバッサリ切ったし問題ないー。
肌は別に露出しているわけじゃないし、何とかなるだろうー

残る問題はー

「ーーー…くそっ!よりによって何でデカいんだよ!」

俺は鏡に映る自分の胸を見つめながらそう叫んだー

貧乳なら、胸を隠すことも何の問題もなかったのにー

そう思いながら、俺は胸を力づくで引っ込めようと手に
力を込めたが、当然そんなことできるはずもなくー
露骨に胸があることが分かってしまう状態の俺が
鏡に映っているー。

「くそっ…どうするー?」

俺は色々頭の中で考えるー

この状態でー
誤魔化せるかー?

いや、無理だー
普通におっぱいがあるじゃねぇかー。

じゃあ、どうするー?

”ちょっと今、ここ膨らんでてー”とでも言うか?
いや、頭のおかしいやつだと思われるー。

「ーー胸を隠すようなモンも俺の部屋にはねぇし…」

あぁ、くそっー。
そうこうしているうちに時間がー…

体調不良で面接を急に休むのも
就職に影響しそうだしー

あぁ…よりによってどうして俺は、
面接の日に、女になっちまったんだー…。

そもそも、全く意味の分からないこの状況ー

昨日、怪しい薬を飲んだりもしてないし、
昨日、変なモノを食ったりもしてないし、
サンタさんに”女にして下さい”とお願いして12月25日の朝を
迎えたわけでもないー

「なんで女になってるんだぁ~~~~!!!!!」

俺は、大声でそう叫ぶとー
「とにかく!!!」と、出来る限りのことをして
面接に向かう決意をしたー

俺が思いついたその方法とはーーー

”なるべく厚着にして、胸を隠すこと”だったー。

正直、クソ暑いし、
何枚も重ねて着てることで
汗が噴き出して来そうになるー。

でも、これしか方法がないー。

時間がたっぷりあれば、他にも”胸を隠す方法”も
あるかもしれないし、
何より、男に戻ることもできるかもしれない。

でも、もう面接まで時間がないー

「あぁくそっ!なんでこんなクソ暑いのに雪だるまみたいに
 着こんでるんだ!」

俺はそう叫びながら、慌てて家から飛び出したー。

今から面接会場に向かえば、
30分以上余裕を持って到着できるー。

大丈夫だー。

そう思って、俺はアパートの扉を開けると、
最悪のタイミングでー
隣の部屋に住むおばさんがちょうど帰宅するところだったー

「ーーーーあ…」

「ーーーー…え?」

俺とおばさんの目が合うー。

いやー待て。
よく考えたらちょうどいいかもしれないー。

もし、このおばさんがー
”いつも通り”反応すれば、
俺は、他人から見ても”森原亮太”に見えるってことになるー。

だがー

おばさんは信じられない言葉を口にしたー

「あらぁ…そういうの、なんて言うのかしらー…
 女装?」

ーーーあ????

じ、じ、じ、女装ー!?
俺がー!?

「ー…ごほ、ごほ、ごほ…

 じ、女装なんて、してませんよー?」

俺はわざと低い声を出して、隣の部屋のおばさんに
言い放つー。

「ーあらそう?」
不思議そうに俺のほうをじろじろ見て来るおばさんー。

一体、おばさんは何で俺のことを女装なんて言ったんだー!?

髪も切ったし、服装はいつも通り俺のスーツだし、
胸も隠してー…

いやー、くそっ!
こんだけ厚着しても、隠しきれてないって言うのかー…!?

俺は、自分の胸のあたりを見つめるー。

いやー、いや、待てー。
大丈夫だー。

このおばさんの勝手な勘違いだー。

「ーーー確かに、勘違いだったみたいー
 ごめんなさいねー」

おばさんはそう言うと、自分の部屋の中に
入っていくー。

ごめんなさいね、じゃない!!

おばさんのせいで、不安になった俺ー。

しかし、もう今からあれこれ考える時間はないし、
それをしていたら面接に遅刻してしまうー。

こうなったらもう、
”行く”しか、選択肢は残されていないのだー。

「ー大丈夫。絶対に大丈夫だー。」

俺は、心の中でそう呟くー。

女体化したとは言え、
髪も切ったし、
顔立ちは、面接相手の会社は俺の写真しか知らないー
肌の感じとか、顔立ちが少し違うぐらいは誤魔化せるー

胸もこのクソ暑い厚着でなんとか隠せているし、
”初対面の人間”であれば、
誤魔化せるはずだー。

さっき、隣のおばさんが俺のことを”女装”って言ったのはー
たぶん、日常的に俺のことを見ていて
何となく違和感を感じたのだろうー。

どんなに、いつものような髪型、
いつものような服装、雰囲気で振る舞っても、
やっぱり肌も違うし、身体のつくりが違うー。

その違和感をあのおばさんは感じ取ったんだー。

でもー
面接の相手は、俺とは初対面。

もしかしたら、見学の時に会っている相手かもしれないがー、
それでも、顔を合わせたのはその時だけー。

胸もなんとか隠せているしー、
何とかなるはずー。

声だってー、
普段の俺の声を知らなければ、
”女の子みたいな声だな”と思われるだけで、
低い声で喋ってれば何とか行けるはずー。

内定を貰って、就職したあとに男に戻っても
”え~?俺、そんな声してましたかぁ?”と言えば
済む話で、録音されるわけでもないだろうから、
何とかなるー。

とー…
心の中で一人、長々と考えているうちに、
俺はついに面接会場に到着してしまったー。

「ー大丈夫ー。」

手鏡を見て呟く俺ー

「絶対大丈夫だー
 どこからどう見ても、男にしか見えないー
 言わなきゃ、分からないー」

”絶対に大丈夫だと確信”した俺は
額の汗をぬぐって、そのまま面接会場に入っていくー。

「ーーーーー」
”頼むから、知り合いがいませんように”

俺は、心の中でそう念じながら
面接の時間がやってくるのを待ったー。

1分、また1分と時間が過ぎていくー。

こうして、緊張しながら座っている間にも
面接の時間は刻一刻と近づいてくるー。

だが、それと同時に、俺はあることに気付いたー。

ぎゅっ、と手を握りしめる俺ー。

”やべぇ…”

問題が起きたー。

何がやべぇのか。

答えは簡単だー。

俺はー
トイレに行きたくなってしまったー…

「ーーーーー…くっ…どうするー」

俺は、必死に頭をフル回転させたー。

そういえば今日ー、
まだ起きてから一度もトイレに行ってなかったー。

”女として”トイレを済ませることなんて
できるだろうかー。

俺に、女子のトイレの知識はないー。

いや、個室しかないことぐらいは分かるし、
立ったまましないことぐらいは分かるが、
そのぐらいだー。

正直、どうやってすればいいのか、
どんな感触なのかも分からないー。

あ、いや、女子のトイレの感触を知ってたら
おかしいかー。

しかもー
俺は今”男”として面接に来ているー。

もし、トイレに行くなら、どっちだー?

男子トイレかー?
女子トイレかー?

男子トイレに入った場合でも個室に飛び込めば大丈夫そうだが、
万が一、男子に見られて”え!?お前、女子じゃん!”とか
言われたらどうするー?

しかしー、逆に女子トイレに入って
”キャ~!”とか言われたら…?

髪も切ってるし、胸も隠しているから、
男子だと思われる可能性も高いし、
面接官にもし見られていたら
”君、さっき女子トイレ入ってたよね?”と聞かれて
その時点で面接は終了ー
俺の第1希望の就職先への未来も終了ー…
に、なってしまうー。

くそ!俺はどっちのトイレに入ればー?

いや、そもそも女子としてまともにトイレすることが
できず、ズボンを汚したりしたらもはや最悪だぞ?

”お漏らし就活生”になっちまうー。

「ーー森原 亮太さんー」

「森原 亮太さんー」

ふと、俺を呼ぶ声が聞こえたー

「えっ!?あっ!?はいっ!?」

俺はー
トイレについて考え込んでいる間にー、
自分の順番が回ってきてしまったことに気付いたー

”しまった… 結構ヤバいぞこれ”

緊張しているせいだろうかー。
より強い尿意が俺を襲うー。

しかし、面接本番中に漏らしたりしたら、
女の子としてのトイレに失敗してズボンを汚した以上に最悪ー。

正真正銘の”お漏らし就活生”が爆誕してしまうー。

だがー
今から”ちょっとトイレに行ってきます!”もアウトだし、
男子トイレ、女子トイレ、どっちのトイレに入るべきかー、
その答えも出ていないー。

だから、このままいくしかないー。

「失礼します」

面接なんて、長くても10分…いや、20分ぐらいだー。

だから、何とかなるー。

とにかく、この面接に
俺が”希望する職種”に就けるかどうかが掛かっているんだー。

人生と言う名の道路の、重要な分岐点なんだー。

ここで間違った道に進むわけには、いかないー。

「ーーーあの、失礼ですがー」

ーえ?

面接会場に入ってすぐ、面接官がそんな言葉を発したー。

「ーー森原 亮太さんでお間違いありませんか?」

その言葉に、
俺は一瞬ドキッとしたー。

な、なんだってー?
まさか、俺が女体化してることがバレたのかー?

それともー、
写真と、今の俺のイメージが違いすぎるのかー?

そんなことを思いながら、
呆然としていると、
面接官3人が、ヒソヒソと何かを話しながら
こちらを見始めたー

明らかに”俺”に何か原因があるしー、
普通の面接でこんな反応をされたことはないー

「あ、あの…」
俺がそう言うと、
「ーーーー大変失礼ですが、女性の方でしょうか?」
と、面接官の一人が気まずそうに呟いたー。

”履歴書の写真はどう見ても男”の俺が、
”実際に現れたのはどう見ても女”に見えて
困惑しているのだろうかー。

いや、最近の社会情勢的に、なかなか指摘しにくい部分も
あるのだろうー。

例えば俺が、身体は男だけど、心は女、という生き方を
している可能性だって、確かに向こうからすれば
頭の中には浮かぶだろうー。

まぁ、俺の場合はー
身体も心も男だったはずなのだがー。

っていうかー、
それよりも、
何でー?

髪も切って、
厚着で胸も隠して、
服装も工夫してー、
声も低く出してー

”女体化”がバレる状況ではないはずー

「ーーーー…ーーー…」
面接官の一人が、履歴書と俺を見比べて
さらに困惑した表情を浮かべたー

「明らかにー…違う方に見えますが?」
とー。

なんだって?

お前の目は節穴か?

確かに俺は女体化したー

がー、顔立ちは”俺をそのまま女にした感じ”だったし、
女性的な顔立ちに”俺がアレンジされた”みたいな感じだったが
髪も切ったし、
そんなに”明らかに違う方に見える”というほど
顔が違っているわけがないー。

”女装してますか?”と言われるならともかく
明らかに別人とは、いったいー?

やはり、この面接官の目が節穴なのだろうかー。

しかし、いくら女体化しているとは言え、
俺と履歴書の写真を見て”別人に見える”なんて言い出すなんてー、
この面接官はキャベツとレタスの見分けも、
カブトムシとクワガタの見分けもつかないんじゃないだろうか、と
心配になるー

まぁ、いいー。

「ーーいえ、森原 亮太ですが」

俺は堂々とそう答えたー

”意識的に低い声”を出さないと
女みたいな声が出てしまうため、
意識して低い声を出すー。

だがー、
再び面接官たちが何やら話し始めると、
面接官の一人が立ち上がり、
鏡を持ってきたー。

そしてー
それを俺の方に向けるー。

「ーーーー!?!?!?!?」
俺は、思わず目を見開いたー。

「ーーー…本当に、森原亮太さんですか?」

面接官の言葉に、
俺は鏡を真っすぐ見つめるー。

”ど、ど、ど、どういうことだー!?”

俺は焦ったー

さっきまでー
”俺を女の子にしたバージョン”みたいな顔だったはずー。

それなのにー

今は”完全に美少女”みたいな顔ー

そう、まるで別人のような顔になってしまっているー

「ーこ、これはー…これは…いったい、どういうことですかー?」
俺は思わず、意味不明な質問を面接官たちにしてしまうー。

いやー、面接官からすれば
”写真と全然顔も違う、性別も違う女がやってきて
 ”森原亮太”です と言っている状態” だー。

俺が面接官の立場だったら
”知らねぇよ”と言ってしまうだろうー。

「ーいや、知らねぇよ」

面接官のうちの一人が、ため息をつきながら
そう呟いたー。

「で、で、ですよねぇ~~~!」
俺はそう叫ぶと、もうどうすることもできなくなってー
そのまま面接会場から飛び出したー

おわったー。
俺の就活が、おわったー…

俺は、そう思いながら家に向かって
猛ダッシュしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーくそっ… なんで…なんでだ…」

俺は、鏡を見つめながら呆然としていたー。

”家を出る前”よりも、
俺は可愛くなっていたー。

”俺の顔をそのまま美少女化した顔”ではなく、
もはや、別人ー

完全なる美少女に俺の顔は変わっていたー

くそっ!
朝起きた時点では、まだ”女体化が途中だった”とでもいうのかー?

まさかまだー
この先もあるんじゃー?

俺はそう思いながら頭を抱えるー。

就職活動は失敗だー。
いや、人生が終わるわけではないが、
俺が働きたかったあの会社では
もう働くことはできないー

俺の人生はー
女体化に邪魔されたー。

どうして、こんなことにー。

そう思っているうちに眠くなってきた俺は、
静かに目を閉じたー。

♪~~~~~~~~~~~~!!!!!

スマホのアラーム音に驚き、俺が飛び起きるー。

「ー!?」

俺が周囲を見渡すとー
時計は、朝の時間を示していたー

「ーーん??? え???」

寝ぼけたような状態で、俺が自分の身体を
見下ろすとー

「ーーうぉっ!?
 つ、ついてる!?!??!」

俺は思わず叫んだー

股間に”アレ”がちゃんとついていたのだー。

「ーーお、お、男に戻ってるー?!」

そう思いながら俺は洗面台に向かってダッシュするー。

あまりに喜び過ぎて、洗面所に向かう前に
転んでしまったものの、
全く痛みを感じないほどに俺は喜びを感じていたー

そしてー、
ついにー

”男の俺”に戻っていることを
鏡で確認することができたー。

「ーーうおおおおおお!本当に戻ってる!
 やった!!やったぞ!!はははははは!」

一人で叫んでしまう俺ー。

ようやく落ち着いた俺は、部屋に戻り、
あることに気付くー。

「ーー!!!」
カレンダーの日付を見る俺ー。

今日は”面接当日”

さらにー、
時間はまだ朝ー

「ーーー!!!!!!」

俺は、思わず笑ってしまったー

「ーはは、なんだよー
 ”面接当日に女になる夢”を見てたのか俺はー」

そうー
今は”面接当日の朝”

あのー、
女になっていて、ドタバタしながら面接に行って、
正体を見破られて絶望して帰ってきたのは、
”夢”だったのだー。

「ーなんだよ、夢オチかよ。」

俺は思わずそう呟きながらもー
すぐに準備を始めたー

何の準備かってー?

面接に決まってるじゃないかー。

夢では女になってて不採用になっちまったけどー、
今度はそうはいかないー

「待ってろよ!俺の未来の就職先ー!!!!」

俺はそう叫んで、元気に家を飛び出したー。

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

ーーーと、思っていたー

けどー

「ーーあぁ…そういうことかー」

俺は、絶望したー。

女体化して、面接を受けて、
女だとバレて逃亡してー、
絶望しながら家に帰ってきた俺ー。

あまりに疲れ果ててそのまま寝落ちしてしまった俺は、
あろうことか、

”目を覚ましたら男に戻っていた夢”を見ていたー。

現実が、”女体化して面接に失敗して帰ってきた”俺で、

夢が、”女体化の夢なんか見ちゃったぜ、ははは!”の方だったー。

「ーーーーなんだよ!!!”こっち”が現実なのかよ!

 くっそおおおおおおおお!」

思わずスマホをベッドの上に叩きつける俺ー。

あまりにも男に戻りたい気持ちが強すぎてー
”男に戻ってたぜ!”みたいな夢を見てしまったー

「はぁ… しかもー」

俺は鏡を見て呆然とするー。

「なんか、さらに可愛くなってるような…」

”俺は一体、どこまで可愛くなるんだー?”

そんな不安を覚えながら、
いっそのことー
女体化したまま面接を受けたのがー

”夢幻”であってくれれば
どんなによかったことかとー、
繰り返し、何度もため息をついたー。

もうー

なんか
こうー…

可愛いを武器にした仕事でも、探すかー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

昨年の合同企画向けに
執筆した女体化モノでした~☆!

最近の私の作品の中では
”主人公の一人称”で書いた作品は
とっても珍しいので、
執筆している最中も新鮮な気持ちでした~!

普段と違う書き方をすると、
色々違う感覚になるものですネ…!☆

お読み下さりありがとうございました~!

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コメント

  1. TSマニア より:

    可愛いを武器にした仕事をするべきです!笑

    レースクイーンやキャバ嬢など!笑

    どこかで聞いた話しですね( *´艸`)笑

    自分も10代後半~20代前半の髪長い時に3回、女の子に間違えられました笑

    もちろんスッピンでした笑

    • 無名 より:

      わわ!間違えられたことがあるのですネ~!☆

      夢幻の面接の彼は、
      可愛いを武器にして生きていくのデス~!

  2. 匿名 より:

    単純に女体化するだけでなく、知らない間にさらなる変化が起こるのは珍しいパターンですね。

    しかもまだ変化が継続してる感じもありますし、最終的にどうなるのかが気になります。

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆

      この先もどうなってしまうのか、
      確かに気になりますネ…☆!