<入れ替わり>花粉症はつらい①~無理解の幼馴染~

花粉症に苦しむ女子大生。

そんな彼女を揶揄う幼馴染の男子。

”花粉症は甘え”などと豪語するその男子に
腹を立てた彼女は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーう~……」

大学の昼休みー
ティッシュを手に、涙目で、辛そうにしていた女子がいたー。

彼女ー、
南原 香澄(なんばら かすみ)は、
感動している泣いているわけでもないし、
何か悲しいことがあって泣いているわけでもないー。

いやー、悲しい、と言えば悲しいのかもしれないが、
彼女を今、苦しめているのは”花粉”だったー。

そう、香澄は”花粉症”なのだー。

今日も花粉症に苦しむ香澄ー。

だがーー
そこに、さらに状況を悪化させる”やつ”がやってきたー

「お~香澄!何泣いてるんだよ~」
笑いながらやってきたのは幼馴染で、
今は同じ大学に通っている男子生徒、小山 勇夫(こやま いさお)ー。

彼は生まれてから一度も”花粉症”に悩まされたことがなくー
何なら”花粉症は甘え”などと豪語しているー
そんな、花粉症に無理解な男だったー。

「ー泣いてない!花粉症!」
香澄が頬を膨らませながら言うと、
「ーはは~”出た”花粉症!」と、笑みを浮かべながら言うー。

「ー花粉症って便利な言葉だよなぁ~
 この時期は”花粉症”って言えば何でも、通るもんなぁ~」
勇夫の言葉に、香澄は「ふん!」と言わんばかりに
不機嫌そうに顔を背けるー。

「ー花粉症って言えば、じゃなくて本当に花粉症なの!」
そう言いながらも、くしゃみをする香澄ー。

「ーははは、はいはい」
勇夫はそんなことを言いながらも、
まだ花粉症で苦しむ香澄を揶揄い始めるー。

「ーーも~~~~!自分が花粉症になったことがないからって
 そういうのやめない?
 だから彼女もできないんだよ?」

香澄が言うと、勇夫は「う、うるせー!」と、言いながらも
「ーいやいや、俺だってさ、花粉症が”全くない”とは思ってないよ?
 でもさー、香澄もそうだけど、みんな大げさすぎだって!
 多少目がかゆくなるとかさ、多少鼻づまりになるとかさ、
 そういったことはあるかもだけど」
と、早口で言葉を口にするー。

香澄は鼻づまりに苦しみながら
病院で処方された点鼻薬を周囲の目を気にしながら使うー。

そうこうしているうちにも、勇夫は
まだ、何か言葉を口にしているー

「目がかゆいのもさ、そうやってすぐにこするからいけないんだよ。
 顔を洗ったり、目薬使ったりとかさー
 鼻づまりだってそう。
 ちゃんと鼻をかむとか、そういうことをすれば
 そんな大げさに苦しむこと、ないだろ?」

勇夫の言葉に、香澄は
「あんた、ホント何にも分かってない」と、不機嫌そうに立ち上がるー。

「ははは~なんだよ~!図星を突かれて逃げるのか~?」
勇夫がなおも、悪ふざけ、と言った口調で笑うー。

香澄は振り返って「そういう性格、ホント良くない!直しなよ!」
と、勇夫に指摘するー

「ーははは、お前こそ、花粉症でオーバーリアクションして 
 ”わたし、可哀想~!”みたいのやめた方がいいぞ?
 そんなんだから彼氏もできないんだよ」

勇夫がそう言うと、香澄は「はぁ!?」と、不快そうに声をあげー
「も、もういいやー。あんたと話してても何も得るものないしー
 むしろ、余計に花粉が辛くなるだけだからー、もうバイバイ」と、
逃げるようにして立ち去っていくー

「ははは!まぁ、花粉花粉言ってられるのも、春ぐらいだからさ!
 ははは!」

愉快そうに笑う勇夫に対してー
立ち去りながらも香澄は強い怒りを感じていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”花粉症を全く理解しないバカに、花粉症を理解してもらう方法はないかな”

ツイッター上で、そんな不満を爆発させる香澄ー。
どうにか、あのアホに、少しでも花粉症のことを
理解してもらいたいー。

勇夫は別に”わるいやつ”ではないとは思うー。
でも、デリカシーのない一面ー…
特に花粉症とか、体調不良とか、そういったところを
全く理解しようとしないところには困ってしまうし、
いつも呆れてしまうー。

あんな言動を繰り返していれば、
いつか大きなトラブルを起こすだろうー。

それにー
何より、香澄自身も、毎年春になると
さっきみたいなことを言われるため、
とても腹立たしい気持ちになっていたのは事実だったー。

「ーーー…え」

香澄が、ツイッターの返信の一つを見て、
表情を歪めるー

”だったらさー、身体を入れ替えて、
 花粉症を実際に体験してもらえば?”

そんなことが、書かれていたのだー

「ーー身体を入れ替えてってー…」
あまりに非現実的なコメントに
困惑しながらも、香澄は少し興味を抱き、
詳しく”入れ替わり”について調べ始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

休日に勇夫を呼び出した香澄は、
やってきた勇夫を見て微笑むー

「急に呼び出すなんて、何だよー?
 あ、もしかして実は俺のこと好きだったとか?」

勇夫がニヤニヤしながら言うと、
香澄は「昔から言ってるでしょ。幼馴染だけど、恋愛感情とかは
一切ないって」と、呆れ顔で呟くー

「へいへい」
勇夫が少し拗ねたような感じの声を出すと、
香澄は勇夫の”ある言葉”を待ったー

「ーーあ~~、今日もまた大げさな装備しちゃって~」

マスクに、花粉対策用の眼鏡ー…
色々な対策をしている香澄のほうを見ながら
ニヤニヤとし始める勇夫ー。

そうーいつも通りの勇夫だー。

「ーー…大げさ?」
香澄は少しだけカチンとしながら
勇夫のほうを見つめると、
「じゃあ、自分で体験してみてよー」
と、言い放つー。

「ー体験?はははー
 残念だけど俺は花粉症にはならないぜー?
 気合が違うからな、気合がー」

いつものように、花粉症は仮病だと言わんばかりの
勢いの発言をする勇夫ー。

「ーーーーー」
香澄はそんな勇夫を無視しながら、
チャンスを伺うー

香澄の握られた手の中には
お互いに振りまくことで、入れ替わることができる
薬の入った小包が握られているー。

”そんなに馬鹿にするなら、花粉症がどれだけ辛いか、体験してみてよ”

香澄は、勇夫がもう少し近づいてくるのを待つー。

勇夫は「大体さ~花粉なんて、たかが草花から出る粉だろ?
そんなものに~」などと、花粉症をあざ笑うかのような
発言をしながらー、香澄に近付くー

香澄は”今なら…!”と、持っていた小包から粉をバラまきー
それが自分と勇夫に降りかかるようにしたーー

するとーー

「ーーーー…!?」
その瞬間ー
一瞬にして二人の身体が入れ替わるー。

「ーーー…え」
香澄になった勇夫は困惑するー。

今まで、普通に喋っていたのに、突然、
視線の方向が変わりー
しかも、目の前に”自分”が座っていたからだー。

「ーーーーえ…?? お…???
 えっ!?」

”え、俺…?”と言おうとして、
すぐに更なる異変に気付く香澄(勇夫)ー

自分の口から、自分の声ではなく、香澄の声が出たー。

そのことに驚きー、思わず口のあたりに手を触れるー

「な…な…なんだこれ…?」
呆然としながら香澄になった勇夫が言うと、
勇夫になった香澄は笑みを浮かべながらー
「ーー花粉症ー甘えなんでしょ?」と、
今までの仕返しをするかのような、意地悪な口調で言い放ったー

「ーな、な、な、なんだよー…?
 え…?
 ははー、はは!
 そ、そりゃそうだよ!」

そう言いながらも、必死にくしゃみや鼻水をこらえるような仕草をする
香澄(勇夫)ー

目のかゆみー
目から溢れそうになる涙ー
鼻のムズムズ、鼻づまりー、
くしゃみー

そんな症状が一気に、”香澄”になった勇夫に襲い掛かるー

「ーーー……~~~…」
香澄(勇夫)は、必死にそれをこらえながら
「か、か、か、か、花粉なんて、大したことねーじゃん!」と、
言い放つー

だが、鼻水ズルズル状態で、
明らかに辛そうな状態の香澄(勇夫)を見て、
勇夫になった香澄は意地悪そうな笑みを浮かべながら
言葉を口にするー

「ーーほんと~に~?辛そうに見えるけど~~~?」
今まで散々、花粉症は甘えだとか
花粉症は仮病だとか、オーバーリアクションだとか
言われて腹が立っていた勇夫(香澄)は、
心底嫌味っぽく、そう言葉を口にしたー

「ーーつ、つ、辛くなんてないしー
 あっ…」

そう言いつつも、香澄(勇夫)はくしゃみをし始めて
連続で何度も何度もくしゃみをするー

鼻水はズルズルで目からは涙ー。

明らかに花粉症の影響を完全に受けていて、
辛そうな香澄(勇夫)ー

”なんか、わたしが可愛そうになってきたー”

勇夫になった香澄は
目の前にいる”自分”の身体が可愛そうになってきたなどと
思いながら、その様子を見つめるー

想像以上に”自分”が辛そうに、そう見えたー

目を赤くして、やせ我慢している香澄(勇夫)ー

「ーほら、ティッシュあげるからー」
勇夫(香澄)がそう言うと、
香澄(勇夫)は「こ、こ、こ、これは、どういう状況なんだよ!?」と、
身体が入れ替わってしまったこの状況を問いただすー。

「ーえ~?勇夫が花粉症の人のこと、あまりにも分かってなさすぎだからー
 ちょっとお仕置きしようと思って」

勇夫(香澄)が隠すことなく本当のことを言うと、
「ーそ、そ、それで、身体を入れ替えー…!?」と、くしゃみをしながら
香澄(勇夫)が言葉を口にするー

「ち、ちゃんと、元に戻れるんだろうな!?」
香澄(勇夫)が鼻声でそう言うと、
「もちろんー。ちゃんと元に戻る手段もあるから!」と、
勇夫(香澄)が、”別の粉”を手に、それを見せながら
そう言葉を口にするー

手に入れた入れ替わり薬は”元に戻るための薬”とセットの商品だったー。
そのため、元に戻る手段はちゃんと確保されているー。

「じゃあ、早速ー」
香澄(勇夫)がそう言いながら、
その小包を掴もうとすると、勇夫(香澄)がサッ、と手をひっこめたー

「え?」
香澄(勇夫)が、目のかゆみに耐えながら困惑の表情を浮かべるとー
「花粉症のつらさ、分かってくれた?」と、勇夫(香澄)が
ニコニコしながら言葉を口にするー

「ーーか…か、か、か、花粉症なんて、甘えだし!」
香澄(勇夫)が不貞腐れたような表情を浮かべて
腕組みしながら顔を背けるー。

がー
鼻水がどうしようもないぐらいに垂れて来て、
どうすることもできなくなってしまうー。

「~~~~~~~~…」
表情を歪める香澄(勇夫)ー

「ーーーティッシュ、いる?」
意地悪っぽく微笑みながら、勇夫(香澄)が
ティッシュを見せ付けると、
「い、い、い、いらないー!」と、
香澄(勇夫)がなおも強がるー。

「ーふ~~~ん…」
勇夫(香澄)は
”自分で実際に体験してもまだ認めないの?”と、
ムカッとして、そのままくるっ、と反対側を向くー。

「え…?」
香澄(勇夫)の戸惑う様子を他所にー
「じゃあ、わたしはこれで~」
と、そのまま立ち去ろうとする勇夫(香澄)ー

香澄(勇夫)はそれでも強がってしばらくの間、
沈黙していたものの、ようやく
「ーあ!いや!待って!」と、声をあげてー
「ーーす、す、す、少しは花粉ってのもあるのかもー」
と、悔しそうに言いながら
ティッシュを求めて来たー

「ーふふふーはい、じゃあティッシュー」
勇夫(香澄)はご機嫌そうにそう言い放つと、
香澄(勇夫)は悔しそうに何かブツブツ言いながらそれを受け取ったー。

ようやく一段落した二人ー

勇夫(香澄)は
”勇夫ってば、本当に花粉の影響全然ないみたいー”と、
この季節なのに目のかゆみも、鼻づまりも鼻水もくしゃみも
何もない状況に、”まるで別世界に来たような”感動を覚えるー

そしてーーー

”ーーー入れ替わったってことはー?”
チラッと”勇夫になった香澄”のことを横目で見つめた後にー
”今は自分のもの”になった香澄の胸を見下ろす
香澄(勇夫)ー

”えへへー”
香澄(勇夫)は下心が湧いてくるのを自分でも感じながら
ニヤニヤと笑みを浮かべたー。

②へ続く

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コメント

花粉をテーマにした入れ替わりモノデス~!

私は花粉症はそこまで酷くはないのですが、
目が少しかゆくなったりするので、
目薬が欠かせないのデス…!

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