<入れ替わり>花粉症はつらい②~欲望の幼馴染~(完)

花粉症は甘えと言い放つ幼馴染に
辛さを思い知らせるために身体を入れ替えた女子大生。

しかし…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

目に涙を浮かべながら
くしゃみを何度も繰り返し、
辛そうな香澄(勇夫)ー

勇夫(香澄)は、そんな様子を見ながら
「もう、十分分かったでしょ?」と、
ため息をつくー。

「ーー……」
香澄(勇夫)はティッシュを手にしながら
”花粉なんて、甘えだ!”と、もう一度言い放とうとしたがーー

そうは口にせずにー、

「ー花粉って本当につらいんだなー…ご、ごめんー」と
しんみりとした様子で謝罪の言葉を口にしたー。

だがーー
香澄(勇夫)は、
そう言葉を口にしながら、ゾクゾクと興奮していたー

”香澄の身体になれるなんて…うへへへー”

入れ替えられた直後は、
入れ替わりという奇妙な現象に対する驚きと、
花粉症の症状の辛さー、
そして、意地を張ることばかりを考えていて、
そんなこと、考える暇もなかったのだがー、
少し時間を置いてー、
ふと”自分が香澄の身体になっている”ということを
改めて実感しー
興奮していたー。

”へへへへー 香澄の身体でー…色々してみたいー”

そんな欲望に支配される香澄(勇夫)ー

今、謝罪の言葉を口にしているのは

”花粉症はつらい”と心から認めたわけではないー。

そして、
謝らないと身体を元に戻してもらえないから
嫌々謝っているー
と、いうわけでもないー。

その、目的はー…

「ーーー…じゃあ、身体、元に戻そっかー」

”勇夫が反省している”
そう思ったのか、勇夫(香澄)はそう言いながら
”元に戻すための粉”を手にするー。

香澄としては、別に勇夫の身体を本気で奪うつもりはなかったしー
”ちょっと懲らしめたい”ぐらいの考えで、
勇夫が”花粉症は辛いんだ”と分かってくれればそれは良かったー。

もちろん、100%理解して!などと押し付けるつもりもないー

ただ、花粉で苦しんでいる人を笑ったり
”そんなのは甘えだ!”とか、そういうことを言ったり、
それをやめてほしいー、と、その願いだけだったー。

勇夫が”反省したように見える”今、
もうこれ以上この状況でいるつもりはなかったー

”でもー…勇夫の身体、本当に花粉の影響0でいいなぁ…”

そんな、羨ましいという気持ちは抱きつつも、
身体を元に戻そうとする勇夫(香澄)ー

しかしー…
香澄(勇夫)は「ま、待ってくれ!」と
それを遮ったー

「え?」
勇夫(香澄)が首を傾げると、
香澄(勇夫)は真剣な表情で、勇夫(香澄)を見つめたー。

「ーー俺ー、花粉のこと甘く見てたー
 本当に、こんなにつらかったなんてー」

そこまで言うと、香澄(勇夫)は
「ー…俺、もっともっと、花粉の辛さを知らないといけないと思うんだー
 だからー…明日まで、香澄として、花粉症の辛さを
 しっかり経験しておきたいー」
と、真顔で言い放つー

確かに、大学の授業は今日はもうこれで終わりだし、
これ以上、することもないー。

「ーーー…明日まで、この状態のままいたいってこと?」
勇夫(香澄)がそう言うと、
香澄(勇夫)は「まだ俺がバカなこと言い出さないためにも
花粉症をもっと味わっておいた方がいいかなーって」と、
真剣な表情で呟いたー

だがー
勇夫(香澄)はすぐに言葉を口にしたー

「ーねぇ…」

「ん?」
香澄(勇夫)がそう返すと、
勇夫(香澄)は
「何か…下心で言ってない?」と、疑いのまなざしを
香澄(勇夫)に向けたー

「は…はぁっ!?
 ば、馬鹿ッ!
 お、俺と香澄は幼馴染だろ?

 香澄は男友達みたいなもんだし、
 い、異性として意識とかしてねーし!

 意識とかしてたら、花粉症は甘えとかそんなこと言わないし!」

必死に否定する香澄(勇夫)ー

勇夫(香澄)は
”自分が真っ赤な顔で慌てている”様子を見て
”なんだか変な気分”と思いつつもー

「男友達みたいなーってところは引っかかるけどー」と、
苦笑いしてから
「まぁ…そういうことならー…」
と、渋々承諾するー

「ありがとう!ありがとう!花粉症の辛さ、存分に味わうから!」

そう言いながらー、

お互いー
”中身の家”の方に帰ることにするー。

丁度二人とも一人暮らしで、
さらに幼馴染である故に相手の家に
何度か顔を出したこともあり、
近所の人からの目も特には問題にならないー

”身体の家”の方に帰るのは、香澄の方が”却下”したー。
お互いに見られたくないモノも色々あるし、
”身体”は、自分のものとは言え、
彼女彼氏の関係でもないのに、相手に家の中に入られるのには
抵抗があるー。

「ー今までの俺はバカだったってことー
 今日1日で噛みしめるよー!」

香澄(勇夫)はそう言うと、
明日の朝早くに、勇夫(香澄)が香澄(勇夫)の家に行き、
大学に行く前に入れ替わるー、ということを話し合いで決めー、
そのまま二人は別れたー。

「ーーーへへ…うへへへへへへへ…」

別れた途端ー
下品な笑みを浮かべ始める香澄(勇夫)ー

くしゃみは止まらないし、
鼻水は辛いけれどー

それよりもーー

「ーやったぜ!香澄の身体でたっぷり楽しむぜ!」

香澄(勇夫)はガッツポーズをするー

「わたしは香澄よ~♡ うっふふふふふふ~」
スキップしながら香澄(勇夫)は笑うー。

”香澄のやつ、思ったよりもチョロかったぜ”

そう思いながら
香澄の身体を持ち逃げすることに成功した勇夫は
早速、人目につかない場所に隠れると
胸を揉み始めたー

「うはっ…これが香澄の…すっ…すげぇ…」
そう呟きながらー
香澄の口からそんな声が出ていることに
興奮する香澄(勇夫)ー

「やべぇ…もう興奮が抑えられねぇ…」
香澄(勇夫)はそう言いながらも、
”さすがに香澄の身体でこの場でヤッてしまうのはまずい”と
自制して、そのまま胸を揉むだけにとどめておくー。

「ーえへへへへへ…
 さ~て…こうなったら早速ー」

香澄(勇夫)は近くの繁華街の方向に向かって
歩き出すと、
ニヤニヤと笑みを浮かべるー。

大人のおもちゃを購入してー
コスプレの衣装を購入してー
香澄の色々な写真を保存する用のUSBメモリも購入するー

「えへへへへへへ…♡」
香澄のあんな姿やこんな姿を妄想しながら
既にニヤニヤの止まらない危険人物と化した
香澄(勇夫)は、慌てた様子で、勇夫自身の家に向かうー。

”さすがに、明日には元に戻らないといけないし、
 これ以上言い訳もできないからー
 今日だけのお楽しみだなー”

目をこすりながら
”それにしても、香澄の身体ってー
 なんか貧弱だなぁ”と、まだ花粉症を認めない発言をしながら
鼻水が垂れて来るのを面倒臭そうに処理するー

「俺は、花粉なんかに負けている暇はないんだ!」

そう叫ぶと、
ようやく家の前にやってきた香澄(勇夫)ー

家の中に入ってしまえば
あとは、”香澄の身体で1日中お楽しみ”ができるー

「あ~~~~~…ヤバいー
 心臓がバクバクしてるー

 しかもー
 バクバクしてるのは、俺の心臓じゃなくて 
 香澄の心臓なんだよなー

 へへっー」

そんなことを呟きながら
ようやく、自分の家の中に入ろうと
玄関の扉を開けたその時だったー

背後からポン!と肩を叩かれて
びくっとして振り返るとー
そこにはー、勇夫(香澄)がいたー。

「ひっ!?!?!?!?!?!?!?」
まるでおばけを見たような、そんな悲鳴を上げて、
玄関の中に尻餅をついてしまうと、
「か、か、か、か、香澄!?」と叫びながら
何度も何度も何度もくしゃみをし始めるー

「ーーいっぱい買い物したみたいだけど、何?」
ニコニコと微笑む勇夫(香澄)

香澄(勇夫)は持っている袋の数々を見つめながら
青ざめるー

この中には大人のおもちゃやら、
コスプレ衣装やら、USBメモリーやら
色々なものが入っているー。

USBメモリーはともかく、他のものに関して
”言い訳”を考えるんのはもはや困難だー

「た、た、た、たべもの!」
香澄(勇夫)が咄嗟に叫ぶと、
勇夫(香澄)は「ふ~~~ん」と頷くー。

「ーさっき、お店でメイド服とか買ってなかった?」
勇夫(香澄)の言葉に、香澄(勇夫)は、表情を歪めるー

”か、香澄のやつ、最初から俺を疑ってずっと尾行してたのかー!?”

そう思った直後ー
香澄(勇夫)は咄嗟に玄関の扉を閉めて、
勇夫(香澄)を締め出そうとしたー。

だがー
”勇夫”の身体の方が、力が強くー、
無理矢理扉を開けられて入り込まれてしまったー

「ーひぃっ!?」
香澄(勇夫)は、もう言い逃れできないと観念してー
「ご、ご、ご、ご、ごめんなさい!」と
大声で叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーはぁ…やっぱり、そういうことだろうと思ったー」

勇夫(香澄)が呆れ顔で言うー。

袋から、購入した数々の”おたのしみグッズ”が出て来て、
呆れられてしまった香澄(勇夫)ー

勇夫(香澄)は心底残念そうに、ガッカリした様子で
「ーわたしの身体で、こういうもの使ってー、
 色々しようとしてたってわけ?」と、呟くー。

「ーごめんなさいー」
しょんぼりした様子の香澄(勇夫)ー

「ーーもういいよー
 なんか、目の前で”わたしの身体”がそういう顔してると、
 わたしが怒られているような気分になるしー」

勇夫(香澄)はそう呟くと、
「ーー今回のことは、なかったことにしてあげるからー」
と、ため息をつきながら言い放つー。

そして、元に戻るための粉を準備していると、
香澄(勇夫)は目を輝かせながら
「ありがとう!ありがとう!」と何度も何度も言葉を口にしたー

「ーーー入れ替わりを仕掛けたわたしも悪かったから、
 もういいよー。
 花粉のことも、もう分かってくれなくていいからー」

勇夫(香澄)の言葉に、
香澄(勇夫)は笑いながら、嬉しそうにしているー。

香澄の”もういい”は、
失望のもういいだったのだがー、
勇夫がそれに気づくことはないままー
勇夫(香澄)は、元に戻るための薬をその場で使ってー、
無事に香澄と勇夫は元の身体に戻ったー

「えへへへへー
 やっぱ俺の身体はいいなぁー
 くしゃみも鼻水も鼻づまりも目のかゆみもないし!」

ご機嫌な勇夫ー

香澄が不満そうに
「花粉は甘えじゃなかったの?」と言い放つと、
勇夫は「いっ…そ、そう、香澄の身体でも全然何も問題なかったぜ!」と、
相変わらず花粉症を甘く見るような発言をしたー。

昔からデリカシーのない幼馴染だったがー
香澄は今回のことですっかりイヤになってしまったー。

そのまま帰ろうとする香澄ー

「あ、せっかくだし、俺の家で少しのんびりしていけばいいのにー!」

すっかり”許してもらえた”と思い込んでいる勇夫が
嬉しそうに言うと、
香澄は「いい!」と、少し語気を強めて言い放って
そのまま立ち去ってしまったー

「ははは~残念!じゃ、また今度」
勇夫は、そんな風に言いながら
笑顔で香澄を見送ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日以降ー
勇夫と香澄には決定的な距離が出来たー

今までは彼氏と彼女の関係ではなかったものの、
それなりに幼馴染として、何だかんだ、ある程度強い
絆で結ばれていたー。

しかしー、
あの日以降、亀裂が入ってしまったー

勇夫は、いつも通りだったが、
香澄が勇夫を避けるようになり、
そのまま、だんだんと距離が開いていくー

それでも勇夫は何も気付かず、香澄に調子のいいことばかり
言っていたため、距離はますます開きー、
もう、”元の幼馴染”の状態には戻れなくなってしまったー

そして、翌年ー。

「あれ…?」

今日は妙にくしゃみが出るー。

勇夫がそう思いながら
鼻をかんで、目のかゆみに耐えるー

「ーーあ、あれー?なんだか今日はー」

今日は調子が悪いなーと、感じる勇夫ー。

しかし、それはますます悪化してー

完全に”花粉症”モードに突入してしまったー。

去年ー
花粉症の身体と入れ替わったことが引き金になったのか、
それとも偶然タイミングが一致しただけなのかー、
それは分からないー。

だがー、
いずれにせよ、
勇夫はついに、”花粉症デビュー”を果たしてしまったのだったー

それ以降勇夫は
「花粉症はどうにもできない!甘えとか言うやつは、
人の気持ちが分からない無神経なやつ!」
などと、豪語し始めて、
今までの勇夫を知る周囲の人間からは、さらに呆れられてしまうのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

花粉症をテーマにした入れ替わりモノでした~!☆

花粉の辛さは実際に経験してみないと
分からない部分もありますよネ~!

今年も花粉は多いみたいなので、
皆様も気を付けて下さいネ~!

お読み下さり、ありがとうございました~!

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