<女体化>出張から戻って来た親父が美少女になっていた③~未来~(完)

出張中に女体化して美少女になってしまった父親…。

家族が困惑する中、
会社絡みでも、さらに大きな問題が発生したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

美少女になった父・浩二は
”リモートワーク”を会社から命じられたー。

しかし、浩二の会社は業種上、
”リモートワーク”で行うことのできる仕事は少なく、
実質上、上手く誤魔化されたような感じだー。

給料は今のところ出てはいるものの、
当然”残業”をすることはできず、
残業も含めた給料で家族を支えていた浩二は、
困惑していたー。

浩二の会社は、”残業をすれば給料は出る”
サービス残業などをやらせるタイプの会社ではないー。

そのため、”在宅勤務”を命じられて一切残業できない状況に
なるというのは、生活にも直結する問題だったー。

「ーもう一度、上司と話をしてみるよ」
落ち込んだ様子の浩二が言うと、
美佐江は「あんまり、無理しないでねー。わたしもパートの時間
増やしたりして、なんとかするからー」と、呟くー

「ー俺も家に入れる金、増やすからさー」
バイトをしている哲真が言うと、
父・浩二は家族のほうを見つめながら「本当に、すまないなー」と、呟くー

”ぐっ…そんなうるうるした目で俺を見つめないでくれ父さんー!”
哲真は心の中でそう思いながらも、流石に今は
そういう雰囲気でないことを察し、自分の中で飲み込んだー

居間のある1階から2階に上がると、
なんだかいつもより可愛らしい服装の妹・寧々が
部屋から出て来たー

「ーーーー」
哲真も、寧々の変化に気付きながらも、
特にコメントせずに、そのまま部屋に入ろうとしたー

するとー

ガシッ!

「ー!?」
腕を掴まれた哲真が驚いて振り返るー。

そこには、ニコニコしている寧々ー

「ーーーえ??な、なに!?」
哲真が少し困惑した様子で言うと、
寧々は「ねぇねぇ、お兄ちゃんーわたし、可愛い?ドキドキする?」と、
笑いながら言うー

「な、な、なんだぁ!?急に!?」
さらに困惑する哲真ー。

「ーね、寧々には別にドキドキはしないよ!家族なんだからー
 まぁ、可愛いとは思うけど、それだけだし」

哲真がそう言い放つと、
寧々は「お父さんにはドキドキしてるくせに」
と、少し拗ねた様子でそう言い放つー。

「い、いやいやいや、それとこれとはわけが違うだろ!
 っていうか、父さんをライバル視するのはやめろー!」

哲真が戸惑いながらそう叫ぶとー、
寧々は「わ、わたしの方が可愛いもん!」と、反論して
そのまま立ち去って行ったー

「ーーはぁー…変なところで張り合うなよー」
疲れ果てた様子で哲真がため息をつくー

そういえば、寧々の彼氏の小太郎も、
父・浩二のことを可愛いと言っていたのだとか何だとかー
それで、あんな風に寧々が、父親のことを
ライバル視しているのかもしれないー。

そんな風に思いながら哲真は今一度、深くため息をついたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

美少女になった父・浩二は
元に戻ることができないまま、時間ばかりが過ぎていくー。

最初は少し新鮮な気もしたし、
何とかなるだろうとも思っていたし、
家族に心配をかけないようにとも思って
明るく振る舞っていたー。

しかし、だんだんと露骨に元気を失っていく
父・浩二ー。

”この先、こんな状態でちゃんとやっていけるのか”と、
そんな不安さえ覚えたー。

”いつまでリモートワークが続くのか”
そんな不安も膨らんでいくー。

”いつまでもこうしちゃいられない”
そんなことを思った父・浩二は
意を決して、勤務先のオフィスに足を運びー
上司と話し合うことにしたー。

確かに、周囲は戸惑うだろうー。
その点は申し訳ないと思うー。

けれど、こっちもできる限りの配慮はするし、
何とか、仕事をさせてほしいー、
そう、思いながらー。

だがーーー

「ーーえっ…」
浩二は困惑したー。

元々着ていたスーツは着れなくなってしまったため、
新たに用意した女性用のスーツを身に着け、
ちゃんとした格好で会社にやってきた美少女姿の浩二ー。

だが、その浩二を待っていたのは”良い返事”などではなかったー。

「ーー早期退職制度を利用するのも、一つの方法じゃないかな」
上司はそう言い放ったー。

つまり”遠回しに辞めろ”と言っているのだー。

「ーーそれは……やめろと言うことですか?」
浩二が不安そうに呟くと、
「ーーそうは言っていない」と、上司は否定するー。

「ただ、リモートワークが続くと、君も色々大変だと思うし、
 今のままじゃー、困ると思う。

 私としても今まで会社のために一生懸命頑張っていた君に
 苦しんでほしくはないー。
  
 どうかな?私は君のことを考えて、言っているんだー。
 分かってくれるね?」

上司の言葉は、明らかに”やめろ”と言う意味のものだったー。
しかも、後々問題にならないように”自主的に退職させよう”とする
とても固い意志を感じるー。

「ーーーしかし、来月からスタートする例のプロジェクトはー」

浩二はそう言葉を口にするー。
女になった自分の身体に落ち着かないような、そんな素振りを
時々見せながらー。

”例のプロジェクト”とは、
この会社が来月から立ち上げる新規のプロジェクトで、
浩二がそのリーダーを任されていたー。

だがー

「ーーそれなら、菊谷くんが代わりをやってくれるー。
 君は心配しなくていい」

上司が言うー。

「そ、そんなー…あのプロジェクトは、私が今まで何カ月もかけて準備を!」
浩二がカッとなってそう言うと、
上司はうすら笑みを浮かべながら言ったー。

「ーーそんな”可愛いお嬢さん”みたいな姿でー
 プロジェクトのリーダーが務まると思うのか?

 周囲は戸惑うだろうし、
 事情の知らない人間は”こんな小娘に”って思うやつもいるだろうー

 分かるだろ?君を苦しめたくないんだー」

上司はそれだけ言うと、
「ーーさぁ」と、退職願の紙を浩二に差し出したー

もはや、強制だー。

「ーーーーー…」
浩二は可愛らしい顔に精一杯の悔しそうな表情を浮かべると、
そのまま机をパン!と叩いて、
「わかりました」と、歯ぎしりをしながら退職届に名前を書き始めたー。

退職の手続きを終えて、不満そうに
オフィスから立ち去ろうとする浩二ー。

「ーーーすまないー幸原ー」
女体化したあの洞窟を一緒に訪れていた同僚・菊谷が
浩二にそんな言葉をかけるー

「ーー…お前は気にするなー
 後は、頼んだぞ」

浩二が可愛い声ながらも、強い口調でそう言うと、
菊谷は「あぁ」と、ため息をつきながら返事をしたー。

「ーーーー」
立ち去っていく浩二の後ろ姿を見ながら
菊谷は、にやりと笑みを浮かべるー

”お前の方が、いつもいつも”俺の一歩先”を行ってたー
 だからー………”

菊谷はそう呟くと、
小型の不気味な水晶玉のようなものをポケットから
取り出したー

あの、洞窟の光はー
海外出張中に手に入れたこの特殊な水晶玉に入っていたー
不思議な魔力を持つ粉を撒いたものー、

そしてー
その粉は刺激を与えることにより、その効力を発揮ー、

”近くにいた人間の性別を、変えてしまう”

そんな力を持つ粉を”予め”洞窟のあの場所に撒きー、
何食わぬ顔で浩二をおびき寄せてー
浩二の性格を知り尽くしている彼はー
”ああいう状況にすれば”浩二が自分を庇うと、
計算し、計画を実行に移したー。

結果ー、浩二は菊谷を庇いー、”女体化”したー。

”俺が助けなければ菊谷が女体化していた”
そういう状況を作り出したことにより、
浩二は菊谷のことを全く疑わなかったー。

”リスクを冒した”結果ー
菊谷はー

”これで、プロジェクトリーダーは俺だぜー
 じゃあなー…幸原ー”

会社での”力”を浩二から奪い取ったのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
その日から、酷く落ち込んだ様子の父・浩二は
就職先を探そうとするも、
難航していたー

理由は単純だったー

”女体化した幸原 浩二”を雇うような会社は
なかなか見つからなかったのだー。

偽名を使う訳にも行かず、
かと言って”幸原 浩二”として
美少女前回の今の姿を晒せば、当然”あなたは誰ですか?”ということになるー。

「ーー元気出せよー父さん」
哲真がたまらずそう言葉をかけるー。

美少女の姿をした父親が家の中で露骨に落ち込んでいるー、
というのは、なかなかおかしな気持ちになりそうになるー。

母・美佐江も”家のことは気にしなくていいから”とは言いつつも、
現実問題、やはり父・浩二の収入頼みになっていた部分が
あるのは否めないし、
美佐江と長男の哲真が稼いだお金だけで、
幸原家を支え切れるかどうかと言われれば、
生活レベルを落とさざるを得ないのは事実だったー。

しばらくの間は早期退職に伴うお金が入っては来るものの、
それ頼みになっていては、いずれ破綻してしまうのは
目に見えているため、どうにかしなくてはならない。

そんなある日ー、
寧々と共に父・浩二が買い物に出かけていたその時だったー

「あ、あなたはーっ…!」
寧々の彼氏・小太郎と偶然出くわしてしまう寧々ー。

「ーあ」
寧々は気まずそうな表情を浮かべるー

「こ、こ、この前の可愛い子!」
小太郎が叫ぶー

「ーーえ…???あ、…ど、どうもー」
美少女になった浩二が困惑しながら挨拶をすると、
小太郎は表情を歪めて寧々のほうを見たー

「い、今、お父さんって呼んでなかったー?」
小太郎の言葉に、寧々は困惑の表情を浮かべながら
父・浩二のほうを見るー。

「ーー……」
頭の中で色々考えた末にー
”小太郎と付き合い続ける以上、この先も隠すことは難しい”と判断して
「ー信じてもらえないかもしれないけど、実はー」と、
小太郎に”父親が女体化してしまったこと”を打ち明けたー

「えぇっ!?マジー!?」と、叫ぶ小太郎ー

しかしすぐに、寧々と歩いているのが
”彼女のお父さん”だと、気づかされてハッとした小太郎は
「お、お、お父さん!は、は、はじめまして!」と、
急に丁寧な口調で挨拶をし始めたー

苦笑いする浩二と寧々ー。

寧々は改めて小太郎を紹介すると、
美少女姿だからかー、それとも本当に歓迎してくれているのかー
父・浩二は、穏やかに小太郎を受け入れてくれたー。

せっかくなのでー、と言う理由で
三人で食事を取ることにして、近くのファミレスに入るー

そこで、父・浩二の現状を寧々が愚痴ると、
小太郎は予想外の提案をしてきたー

「ーそんなに可愛いんですから、配信とかやってみたらどうですー?
 それなりに稼げるかもしれませんよー?

 何だったらー”美少女になっちゃったお父さん”とか
 そういうノリでも行けるかもしれませんし」

小太郎の言葉に、浩二はピンと来ない様子だったもののー
寧々は「あ!ーーそれいけるかも!」と、笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから1ヵ月ー

美少女になった浩二は、”配信者”として
活動を始めていたー

”ある日、美少女になってしまったお父さん”ということで、
本当にそうだと思われているのか、ネタだと思われているのかはともかく、
それなりにヒットー、
娘の寧々や、寧々の彼氏・小太郎も手伝ってくれてー、
意外にも、上手く行きそうな、そんな雰囲気を見せ始めていたー

「ーー採用して貰えない以上、こういう方向でやってくのも、アリかもなー」

浩二は、心無しかだんだんと明るくなってきていたー。

そんな様子を見て息子の哲真も、妻の美佐江も安堵の表情を浮かべるー。

”女体化して美少女になったおじさん”が企業で採用して貰うのは、
事実上、困難だー。
戸籍上で男なのに、今は美少女ー、という状態で就職活動をするのは
かなり難しいー

だが、こういう道ならー

「ーーよかったよー、父さんがなんとかやっていけそうで」
安堵の表情で呟く哲真ー。
母の美佐江も横で頷くー

すると、寧々が哲真の側にやってきて、
微笑みながら、あることを口にしたー

「そういえばお兄ちゃんー
 お父さんが出張から帰って来た時に言ってたアレ、まだ教えてもらってないよね?」

寧々の言葉に、哲真は「アレ?」と首を傾げるー。

だがー、寧々が答えを口にする前に、
哲真は何のことを言われているのか理解して、青ざめたー。

”それと、お前が高校1年生の時ー、
 寧々の制服をーー”

「ーーぶっ!!!」
飲んでいたコップのお茶を噴き出すと、
みるみる青ざめていく哲真ー

哲真は「ーーえ、あっ…急に、お腹がー!」と、
そのまま駆け込むようにして、トイレに逃げ込んだのだったー。

急に美少女になってしまった父ー。

色々混乱はあれど、幸原家は何だかんだで上手く、
やっていくのだったー

おわり

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コメント

穏やかな完結を迎える女体化モノでした~!★

感覚的に、私の女体化モノは
ダーク比率が少なめな気がしますネ~!

(と、言いつつ次回はいきなりドロドロのダークにするかもしれない
 私なのでした笑)

お読み下さりありがとうございました~!

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