<憑依>不思議な光る石(前編)

ある日ー、高校生の莉桜は、
不思議な光る石を見つけたー。

その石を見つけて以降ー、
彼女は幽霊のようになって人に憑依することが出来るようになったー。

しかしー…?

☆☆☆☆☆

原案 ☆ TicImagine 様
小説・調整 ☆ 無名(私デス)

※pixivのフォロワー様「TicImagine」様から原案を頂いて
 私が調整&小説執筆をした合作デス~!

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「ーえ~…また?あまり相手にしない方がいいよ~…」
高校生の莉桜が表情を歪めるー。

「ーでも、何だか可哀そうだしー…」
そう呟くのは、母親の麗奈(れいな)ー。

母親の麗奈は、今でもとても綺麗で
妖艶な雰囲気の母親だー。
一方で、その性格は少し天然とも言える性格で、
最近、この付近を徘徊しているホームレスの仁(じん)から、
食べ物やお金をせがまれて、
その都度「可哀そう」と言う理由で、
ホームレスに食べ物やお金をあげてしまっていたー。

莉桜も、莉桜の弟の哲也(てつや)も、
それをやめるように言っていたものの、
母・麗奈は、それをやめようとしなかったー。

莉桜も何度かその仁と会ったことがあるがー、
仁は下心丸出しの嫌らしい男で、
以前、家の前で何度か、身体を触られたりしたこともあるー。

だが、恥ずかしさからそれを家族に相談することもできず、
莉桜は、只々、仁に対する嫌悪の感情を強めていたー。

そんなある日ー。

莉桜は、高校からの下校中に
”不思議な光る石”を見つけたー。

見たこともない輝きを放つ石ー

「何だろう…これ…?」
そう思いながらも、それを持ち帰る莉桜ー。

帰宅して、しばらくの間、その石をじっと見つめるー

「綺麗ー…
 でも、何でこれ、光ってるのかなー…?」

莉桜はそう言いながら、光をじっと見つめているとー
突然、石が今まで以上に強く光り出してー
カッと、莉桜が思わず目を閉じたー

「きゃっ!?!?」
悲鳴を上げる莉桜ー。

しかしー
すぐにその光は消えて、
莉桜が目を開くと、
周囲は”いつも通りの”状態に戻っていたー。

”何だったの…?今のは…”
そんな風に思いながら、莉桜が光る石を再び見つめようとすると、
その石は、光を失い、紫色に染まっていたー

「えっ…!?」
莉桜は思わず驚いて、その石をじっと見つめるー
明らかに”禍々しい”と言うべきだろうか。

普通ではない輝きをその石は発していたー。

莉桜が困惑しているとー

「姉さん!?」と、
弟の哲也が部屋に駆け込んでくるー

「ーーあ」
振り返る莉桜ー

しかし、哲哉の様子がおかしいー。
哲哉はキョロキョロしながら「姉さん!?あれ…?」と呟くとー
「ーなんか今、悲鳴が聞こえた気がしたんだけどなぁ…」と、
独り言のように呟いてから、そのまま部屋を出て行ってしまったのだー。

「え…ど、どういうことー…?」
莉桜は困惑するー

今の哲哉の反応は、どう見ても
莉桜のことが見えていなかった反応だー。

そう思って、哲哉を追いかけて、
哲哉の部屋に入るとー…

「ひぇっ!?」
哲哉の部屋の扉をすり抜けて、
そのまま中に入ってしまったー。

「わ、わたし、もしかして、死んでるー!?」

一瞬、莉桜はそう思ったー。
床をすり抜けない理由は分からないが、
ドアを開けて”向こうに行こうとした”から、
ドアをすり抜けたのだろうかー。

だが、この状態はまるで”幽霊”ー

幽霊になったのだとしたらー

「ーーー!!!」
部屋に勝手に入ってもやっぱり反応のない哲哉ー。

それどころか、誰も部屋に入って来てないと
思っているのか、美少女フィギュアを下から覗いて
スカートの中を覗きながら、ニヤニヤしているー

「何やってるのよ!」
ぺしっ!と、哲哉を叩くも、それもすり抜けるー。

だがー
その時だったー

ずぶっ…
と、イヤな感触がしたー。

「ーーえっ?」
莉桜が首を傾げると、
哲哉が「うっ…」と、苦しそうな声を出したー

「ー!?!?!?」
莉桜の手が、まるで粘土の中に手を突っ込んだような
不気味な感触に包まれてー
哲哉の中に入り込んでいるー

しかも、哲哉は何やら苦しそうにしているー

「ど、どういうことー?」
そう思いながらも、莉桜がさらに手を動かすとー
莉桜の”霊体”は、哲哉の中にさらにずぶずぶと
吸い込まれていったー

そしてーーーー

「えっーーー…」
身体の感触が戻って来るー。

いやー
何やらおかしいー

自分の声がー
哲哉の声にーー

「ーーえ…嘘…?」
表情を歪めながら手を見るとー
それは”哲哉の手”だったー。

いや、手だけではない。
身体もー
哲哉のものにー

「な…なにこれ…?の、乗り移っちゃったってことー?」
そう思いながら、姿見のある自分の部屋に慌てて駆け込むと、
鏡には、莉桜の姿ーではなく、
驚いて目をぱちぱちとさせている哲哉の姿があったー

「な、なにこれ…!?!?!?!?」
哲哉の身体でそう叫ぶ莉桜ー。

慌てて、哲哉の身体から抜け出そうとするー。

別に、哲哉が嫌いー…ということではなく、
弟に憑依してしまったという状態に
気まずさを感じて慌てていたー

どうやって身体から出ればいいのか分からないー。

だが、すぽっ!と身体から抜けるイメージをしながら
色々試すこと数十秒ー

ついに、哲哉の身体から莉桜は飛び出すことができたー

「び…びっくりしたぁ…」
莉桜がそう呟くと、
哲哉は周囲を見渡しながら
「あ、あれ…お、俺、何で姉さんの部屋にー?」と、
混乱した様子を見せているー。

莉桜の姿は、やはり見えないのか、
そのまま首を傾げながら自分の部屋に戻っていく哲哉ー。

「ーーえ…???え…?????え…????」
莉桜は呆然としながらー
さっき、こうなる前に見つめた”光る石”をもう一度見つめるとー
急に身体の感覚が元に戻ったー

そんな、気がしたー

さっきまで何となく”浮遊した感じ”というか
そんな感じだったのだがー、
元通りに戻ったようなー
そんな感じがしたのだー

弟の哲也の部屋に駆け込んだ莉桜はー
「わたし、見えてる?」と哲哉に確認するとー、
哲哉は「は?」と、困惑の表情を浮かべながら
「見えてるに決まってるだろ?」と、呆れ顔で呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

莉桜は、光る石のことを色々と”実験”して
確信していたー

光る石をしばらくの間、じーっと見つめていると
自分は幽体になることができるー

そして、その状態で、他の人間の身体に
入ろうとすると、”憑依”することができて、
その身体を自由に動かすことが出来るー

弟の哲也のほか、母親の麗奈でも試してみたところ、
やはり、哲也の時と同じように
”中”に入ることができたのだー。

「すごい…」
そう思わずにはいられなかったー。

しかもー…しかも、だ…。

莉桜に憑依された人間はー
”憑依されている間の記憶がない”状態であることも
この数日、何度か憑依を試してみて、確信したー。

「ーーすごいモノ手に入れちゃったー♡」
ご機嫌そうに微笑む莉桜ー。

莉桜はー
”ある悪だくみ”を思いついてしまったー。

それはーーー
”憑依石”を利用してーーーー
好き放題することー。

近くのショッピングモールで憑依石を使った莉桜はー、
女性客に憑依して、勝手に現金を使いー、
高級なアクセサリーや自分の欲しかったものを買っていくー。

それを近くの椅子に置いてー
憑依した身体のまま少し遠くに離れてからー
その身体から抜け出すと、
莉桜は、事前に人目につかない場所に事前に隠しておいた
憑依石を見つめてー
幽体から人間の状態に戻るー

そしてー、
先程乗っ取った女性客の身体で買ってたものを入れてある
買い物袋を回収ー

莉桜は、その中に入っていた自分の欲しかったものの数々を
見つめて、思わず「やった!!!すっご~い…!」と、
嬉しそうに叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

莉桜の憑依は続くー。

学校で好きな男子に憑依して、
「莉桜ちゃんのこと、好きだよ」と言わせて
ドキドキと興奮するー

「莉桜のこと、愛してるー」と言わせて、
その場で一人、奇妙な笑みを浮かべてしまうー。

ショッピングモールでも再び別の客に憑依してー
次々と自分の欲しいものを購入したー

莉桜は、やりたい放題の生活を送りー、
上機嫌で今日も家に向かっていたー

だがーーー

「ーへへ…こんにちは 今、帰りー?」
ニヤニヤとしながら近づいてくる男ー。

そう、この付近を徘徊している
ホームレスの仁だ。

仁は汚らしい風貌で、ニヤニヤとしながら
莉桜を見つめると、
「今日も、可愛いね」と、言葉を口にするー

「ーーー…あの……わたし、急いでるのでー」
莉桜はそれだけ言うと、仁を避けて立ち去ろうとするー。

仁はー
莉桜の母親である麗奈の優しさに甘えて、
頻繁に莉桜の家に食べ物を求めてやってきたり、
時にはお金を求めて来ることもあったー。

単身赴任中の父親がいれば、
ガツンと言ってくれたのかもしれないけれど、
父親が不在の今は、どうすることもできなかったー。

そんな仁のことを、莉桜は毛嫌いしているー
当たり前と言えば当たり前だー。

「ーーーへへへへーー」

立ち去っていく莉桜ー
そんな後ろ姿を見つめながらホームレスの仁は
笑みを浮かべながら、「ホント、可愛いなぁー」と、
一人、静かに呟いたー。

帰宅した莉桜は、部屋に駆け込みー
引き出しの中に隠していた”光る石”を取り出すー。

「ーーーーー」

一瞬、莉桜は、
あのホームレス…”仁”の身体に憑依して、
仁を”殺す”ことを考えたー。

仁に憑依して、仁の身体で交差点に飛び出すー
仁に憑依して、仁の身体でビルから飛び降りるー

そうすれば、あの、迷惑なホームレスを
葬り去ることができるー。

莉桜はいつも通り、
その瞬間に仁から抜け出せばいいー。

そうすれば世の中は
”仁が自殺した”としか思わないだろうしー、
母・麗奈が仁から金を要求されたりすることも、なくなるー。

「ーーーーー」

でもーー
それはできなかったー。

”もしもー”
仁に憑依したまま、ビルから飛び降りて
その最中に仁の身体から抜け出すことに失敗してしまったらー
どうなるのかー

”憑依している相手”が死んだ場合ー

”中にいる莉桜も消える
”中にいる莉桜は、ノーダメージで仁から出ることができる”

その2通りの可能性があるー。

もしも前者であった場合、
莉桜があのホームレスに憑依して
ホームレスを退治するのは、
ちょっとリスクが高すぎるー

「ーあ、姉さんー…またアイツ、来てたの?」
家の周囲で声を掛けられたからだろうかー。

仁に話しかけられているのを知っていた弟の哲也がそう言うと、
莉桜は「うんー」とだけ呟くー

「あれ?その綺麗な石はー?」

そんな言葉にー
莉桜は一瞬ドキッとしてからーー
少し考えて、言葉を続けたー。

「ーーーーねぇ、哲也ー」

笑みを浮かべる莉桜ー。

莉桜は決して”悪い子”ではないのだがー
かと言って”良い子”というほどでもないー。

ちょっとした悪知恵の働く子で、
それ故に、光る石を使って好き放題買い物したり、
自分の思い通りになるようなことを繰り返しているー

そんな莉桜は、”あること”を思いついてしまったー

それはーーー…
”弟の哲也”にお願いして、あのホームレスを退治してもらうことー。

「ーーもし、あのホームレスを退治できる方法があるとしたらー、
 哲哉は手伝ってくれるー?」

莉桜のそんな言葉に、哲也は少し戸惑った様子を見せながらも頷くー

莉桜はにっこりと微笑むと
「ーじゃあ…これから言う話はわたしと哲哉だけの秘密だからねー?」と、
”不思議な光る石”で出来ることを、
哲哉に説明したー

初日に莉桜に実際に憑依されていた哲哉は、
”あ…じゃあ、もしかして、あの日のー…!”と、
自分の記憶が短時間だが飛んでいることに
妙に納得した様子で、莉桜の言葉を信じたー

「オッケー…!姉さん!
 俺、やるよー
 母さんに近付くあのホームレスをやっつけてやる!」

哲哉が張り切った様子で言うと、
莉桜は”次にアイツが来た時に”と、
哲哉と打ち合わせをし始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

例のホームレス…
仁が再び家にやってきたー

母の麗奈に”食事”を分けてもらっている仁ー。

「ーーーー来た」
哲哉はそう呟くと、”姉さんは部活で今日はまだ帰って来ていないからー”と、
莉桜の部屋に入り、光る石を持ちだすと、
そのまま部屋を飛び出すー。

母・麗奈から食料品を分けてもらって
ニヤニヤしながら帰っていく仁ー。

哲哉は、そんな仁に憑依して”自殺”させるためー
仁の後を追って静かに家を飛び出したー。

<中編>へ続く

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コメント

pixivのフォロワー様「TicImagine」様から
お声をおかけ頂いたので、実現した合作ですネ~!
(小説自体は私が書いているので、作風はいつも通りデス~!)

原案を頂いて、私がそれを元に
調整・小説にする、という工程で書いたお話なので
いつもとは違う気持ちで執筆することができました~!

TicImagine様にはこの場もお借りして、ありがとうございます~!

もちろん、お読み下さった皆様にも感謝デス!

続きはまた来週になりますが、楽しみにしていてくださいネ~!

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憑依<不思議な光る石>
憑依空間NEO

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