<女体化>出張から戻って来た親父が美少女になっていた②~戸惑い~

長期の出張から帰って来た父親が
美少女になっていたー…

事情を把握した家族。
しかし、突然の変化に戸惑いを隠せないー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
「ーーーーー」
「ーーーーーーー」

長男の哲真は、困惑した様子で
”美少女になった”父・浩二のほうを見つめていたー

とてもラフなシャツにー、
半ズボン姿ー

胸元も見えてるし、
目のやり場に困るー。

たまらず哲真は
「と、父さんー!」と、声をかけるー。

「ん?どうしたー?」
可愛らしい声でそう反応する浩二ー。

別に何か意識しているわけではないだろうけれど、
”声を出すだけで”かわいいー。

「ーーそ、その格好は、ちょっとー…」
哲真が恥ずかしそうに言うと、
美少女になった浩二が「はははー気にするなって」と、笑うー。

「ー今はこんな姿でも、俺は男だし、
 全然何も気にしなくていいからさ」

浩二が可愛らしい声でそう言い放つー。

父・浩二はー
”美少女になったこと”をまるで気にしていない様子で
帰宅した時は美少女らしい服装をしていたものの、
それ以降は、”今まで通りのラフな格好”ばかりで、
胸元はちらちら見えるし、足は平気で晒してるし、
お風呂から服も着ずに平気で出てきたりするし、
正直困ってしまうー。

「ーーいやいやいやいやいやいや、父さんは気にしなくても
 俺はー」

顔を赤らめながら哲真が必死にそう言い放つと、
父・浩二は笑いながら
「はははー自分の父親にドキドキするのか?」と、
揶揄う様にして呟いたー

「ち、違うし!
 っていうか、女になったって自覚を持てし!」
突っ込むようにしてそう言い放つ哲真ー

「いやぁ、そうは言ってもなぁ~
 俺は男だしーそう言われてもなかなか、なー」

そんな父・浩二に対して、
「と、とにかく目のやり場に困るから!」と、
何とか多少の配慮をお願いすると、
父・浩二は「そんなものかぁ~?」と、困惑した様子で呟いたー

ため息をつきながら自分の部屋に戻っていく哲真ー。

「はははー、面白いやつだなー相変わらず」
浩二が可愛らしい笑みを浮かべながらそう言うと、
そんな会話のやり取りを聞いていた妻の美佐江が
口を挟んだー

「ーーでも、流石に今まで通りってわけにはいかないしー、
 その姿に見合った服を、買っておいた方がいいと思うよ」

美佐江の言葉に、
浩二は「あ~……まぁ、それもそうかーサイズも合わないしー」と、
ぶかぶかのシャツを触りながら苦笑いするー。

これでは、彼氏のシャツを着ているようなー
そんな感じにも見えてしまうー。

「ーー元に戻れる見込みは、今のところないんでしょ?」
美佐江の言葉に、浩二は少し寂しそうに「まぁな」と頷くー

例の洞窟の謎の光ー、
あの光は何だったのかは今のところ不明だー。
その後、一緒に巻き込まれそうになった同僚と共に
その場所で色々確かめてみたが
あの光が二度と浮かびあがることはなく、
そのまま、どうすることもできなかったのも事実だー。

あの光自体、見たのは浩二と同僚の二人だけー。

医師にも相談したが
”結論から言えば、身体の内部も完全に女性のものになっている”
とのことで、どうすることもできなかったー。

”ー俺は、男に戻れるんですか?”

単刀直入に、医師にそう確認した浩二ー。
その返事は残念ながら望んだ返事ではなかったー。

”残念ながら、その可能性は低いと思いますー”

そういう返事だったからだー。

正直、浩二はかなりショックを受けているー。

喜ぶ人間は喜ぶのかもしれないがー、
浩二自身には女になりたいという願望はなかったし、
この年になると”新しいこと”にチャレンジするのが
だんだんと面倒臭くなってくるー

”現状維持”
それでよかったのにー、
こんな風に女になってしまったー。

身体は若くなっても、人の中身は変わらないー。

40代の浩二は、美少女になっても、心は40代のままなのだー。

「ーーーふぅ~~~~」
深々とため息をつくと、浩二は、妻の美佐江のほうを見つめたー。

「ーー美佐江ー…力を貸してほしいー」

”正直、どんな服を選べばいいのか分からない”
”下着とかもどうすればいいのかさっぱり分からない”

そう事情を口にしながら、美少女になった浩二が
妻の美佐江にお願いすると、
美佐江は「もちろんー。わたしに出来ることなら何でも」と、
笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

浩二の出張明けの初出勤を3日後に控える中ー、
妻の美佐江と共に、浩二は”女”としての服や下着などを
揃えるために、服屋へと足を運んだー。

出張から帰って来た際に着ていたおしゃれな服は、
あれは会社側から”ひとまずこれを”と、言うことで
貰ったものー
自分で選んだ服ではないー。

「ーーー……これとか?」
美少女になった浩二が恥ずかしそうに可愛らしい服を
手にしているー

「そうそうーその姿には似合ってるよね!
 せっかく若い身体になったんだしー
 そのぐらいの方がいいと思うー」

妻の美佐江は妙に嬉しそうにそんな言葉を口にするー。

”なんだか美佐江、いつもより楽しそうだなぁ…”
少し内心で苦笑いする浩二ー

それもそのはずー
妻・美佐江は本当に今の状況を楽しんでいたー

”なんかー、妹ー…ううん?娘ー?
 子供がまた一人増えたみたいで、楽しくなっちゃうー!”

とー。

けれど、状況が状況のため、
美佐江はそれをあまり表に出さないようにしつつー
けれども、隠しきることができていないようなそんな状況で、
買い物を続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

哲真の妹・寧々が同じ学校に通う彼氏・小太郎(こたろう)と共に
下校している最中のことだったー

「えっ…!」
小太郎が突然声をあげるー。

「?」
寧々は首を傾げながら「どうかした?」と、彼氏の小太郎に言うと、
小太郎はドキドキした様子で「あの子!あの子!」と、
寧々の肩をポンポンと叩くー

「ー???」
寧々が頭に”?”を浮かべながら小太郎が指を指したほうを見つめるとー
そこにはー

”美少女”の姿があったー

「あの子、めっちゃ可愛くね?」
小太郎が言うー。

彼氏の小太郎は優しくて、顔もほどほどにイケメンなのだがー
デリカシーがまるでないー。

彼女の寧々の前でも、平気で「あの子可愛い」とか
「好きになっちゃいそう」とか、そんなことを言ってしまう。

ただ、真面目な性格のため、
寧々のことは、とても大事にしてくれているー。

「ーー!!!!!」

そんな小太郎の性格を理解している寧々は
小太郎の発言に怒る様子も見せず、
”いつものこと”として、その相手に視線を移したのだったがー

”ーーお、お、お、お、お父さんじゃんー”
寧々が表情を歪めるー

そうー
彼氏の小太郎が”かわいい”と言った子はー、
寧々の父親である浩二ー。
つまり、”女体化した浩二”だったのだー

「ーーお、寧々!」
女体化した浩二が、寧々に気付いてしまいー、
少し離れた場所から手をあげるー

「え?知り合い?」
不思議そうに言う小太郎ー

寧々は「あ、え、え~っと…あは…あはははは!」と、
笑ってごまかすと、
小太郎に「ちょ、ちょ~っと、待っててね」とだけ呟くと
慌てて美少女になった父の方に走っていき、
「ーおと~さん!外では色々ややこしくなるから、ダメ!」と
話しかけないで欲しいということを伝えるー。

「ーーあ、そ、そ、それもそうかー悪いー」
美少女になった浩二はすぐに娘の寧々の言い分を
理解して、
「ーーこの前は本当にありがとうございましたー」
と、言葉を口にするー

「いえ、こちらこそ、お役に立ててよかったです」
寧々が父・浩二と咄嗟に小声で打ち合わせた通りに
”わざとらしい口調”でそう言うと、
美少女姿の浩二と別れて、そのまま彼氏の小太郎の方に戻ったー。

「ーーー誰?」
戻って来た寧々に対して小太郎が言うと、
寧々は「こ、この前スマホ落として困ってた子!
わたしが拾って助けてあげたの!」と、適当な理由をつけて
小太郎を誤魔化したー

「そっかー」
小太郎はあっさり納得した様子を見せて、
それ以上は何も聞いてこなかったー。

しかしーーー

”あの子ーホントにすっごく可愛いなー”

小太郎の中に、芽生えてはいけない、
ある感情が芽生え始めていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」
「ーーーー」
「ーーーーーーー」

夜ー

晩御飯を食べながら哲真は
ちらちらと、父・浩二のほうを繰り返し見つめていたー

「ーな、な、なんだよー?どうしたんだ?」
美少女になった浩二が息子からの視線を感じたのか、
ソワソワした様子でそう言葉を口にするとー、
「あ、いやー」
と、哲真は目を逸らすー

「なんだよ…?
 哲真の気にならないようにちゃんと普通の格好したのにー」

そう言いながら晩御飯を口に運ぶ
父・浩二ー。

だが、今度はいかにも”美少女”な、可愛らしい服装を身に着けていて
別の意味で気が散るー。

妻である美佐江と共に一緒に選んできた服の一つだー。

「ーーーい、いや、そ、それはーそうなんだけどー」

哲真は顔を赤らめながら困惑するー。

どうしてもー
頭がバグりそうになるー。

まるで、急に妹が増えたようなー
いや、彼女と同居を始めたようなー
そんな訳の分からない感覚に陥るー。

「ーーそ、その…今度は、可愛すぎてー」
顔を真っ赤にしながら哲真が目を逸らすと、
父・浩二も困惑した様子でー、
「そ、そんなこと言われてもー!?」と、顔を赤らめるー

「俺だって好きでこんな格好しているわけじゃー…」
父・浩二が可愛らしい服を触りながらそう言い放つとー、
哲真は「ーーそ、それは分かってるけどー」と、
戸惑いを隠せない様子で言葉を振り絞るー。

「ーーも~!お兄ちゃん、わたしにはドキドキしないのに~!」
妹の寧々がそんな言葉を口走るー

「そ、そりゃそうだろ!
 寧々は昔から寧々なんだし!」

哲真が恥ずかしそうにそう叫ぶと、
寧々は不満そうに「なぁにそれ!?」と、頬を膨らませるーー。

”みんなお父さんのこと可愛いって言ってー…”

そんなことを心の中で思いながら少し拗ねてしまう寧々ー

そんな家族の状況に、少し間を置いてから母・美佐江が
「…まぁ、今はみんな戸惑うと思うけどー…
 時間が経って来ればお父さんも、哲真も、寧々も
 慣れるんじゃないかなー?」と、言葉を口にしたー

「ーー…うんーま、それもそうかー…」
哲真はそう言いながら、父・浩二のほうを見て
”ダメだ!やっぱ可愛いー”と、再び目を逸らすー

”よりによって、何でこんな美少女なんだ!”と、
思わずにはいられないー。

いやー、美少女が家の中に増えるのは別に悪いことではないー
しかし、”心の安寧”を保つ意味では、
まだ、父・浩二が”年相応のおばさん”になったり、
”特に美少女ではない普通の感じの子”になっていてくれた方が
こんな風にドキドキソワソワしなくて済んだのかもしれないー。

そんなことを考えながら
哲真は”そうだー。慣れるんだ、慣れろ、俺!”と、
自分に言い聞かせたー。

「ーーーー…」
父・浩二自身も、自分の姿に未だに慣れないー

お風呂に入ればドキドキしてしまうし、トイレは苦戦するし、
朝、自分の顔を鏡で見ると、寝ぼけている状態故に
「だ、誰!?」と、思ってしまうー

とは言えー、元に戻る方法も分からない今はー
”慣れる”しかないのも事実だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーえ?今、何てー?」

女体化して出張から戻って来た父・浩二が
会社に出社すると、
上司から告げられたー

”君は当分、リモートワーク中心に仕事をしてもらう”

とー。

浩二の勤めている会社は、リモートではできない業務も多いため、
”リモートワーク中心の社員”は基本的にいない。

そんな状況の中でリモートワークを命じられたー。
それは、つまりー

「ーー…この姿ではーーー…”ダメ”だと、そう仰っているのですか?」
浩二が躊躇いながら聞くと、
上司は「そうはいっていないー。言っていないがー…色々、周囲も戸惑うだろう?
申し訳ないがー、理解してほしい」と、
誤魔化されてしまったー。

あの洞窟で、女体化する原因になった謎の光ー
その光から浩二が咄嗟に突き飛ばした同僚の男性社員・菊谷(きくや)が
「本当にすまない」と、申し訳なさそうにしているー。

「お前のせいじゃないよ」
浩二はそう言いながらも、落ち込んだ様子で自宅へと戻っていくのだったー。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!
女体化してしまった父親と、その家族の運命を
ぜひ見届けて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!

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