彼は、”異世界の人間に憑依する力”を手に入れたー。
その力を使って、彼は念願の美少女に憑依したー。
しかしー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「”パラレル・ワールド”?」
30代後半のサラリーマン・武村 純平(たけむら じゅんぺい)が、
首を傾げながら言うー。
「ーへへへへ…そうですぜー」
怪しげな男がそう呟くー
「ー並行次元って聞いたことはありますかい?」
その男の言葉に、純平は
「あぁ…なんか…あれだろ?同じ世界だけど、違う世界みたいなー…
上手く言い表せないけどーそんな感じのー」と、そんな風に答えるー
怪しげな男は「そうー」と、頷くと、
金色に光る怪しげな球体を手にしながら言葉を続けるー。
「これが、憑依に使う憑依の水晶。
けれどーこの世界には”この水晶の力を開放するために必要な
エネルギーが存在しないー。
この世界にはいくつもの”似てるけど違う世界”が重なってましてねー
そのうちの世界の一つには、この世界とは違い、特殊なエネルギーが
流れてるー。
その並行次元に、あんたの魂を飛ばして、その世界のエネルギーを使い、
憑依を実現するー
この憑依の水晶は、そういう力なんです へへー」
と、説明したー
純平は今ー、仕事中に知り合った中東の怪しげな売人と接触していたー。
その男は”他人に憑依する力”を売っていることを
仕事の最中に知ったからだー
そして、先日、個人的に接触して
”憑依の力”を売ってもらうことはできないだろうかー、と、
相談しー、今日、こうして都内某所の怪しげなビルの一角で、
この怪しげな男と話をしているのだったー
最初は”普通に憑依”できるのかと思っていたが
どうやら、この男の言う”憑依”は、そういうことではないらしいー
「ーえっと、まぁー簡単に言えば
この世界ではその”憑依の水晶”とやらが使えないからー
俺の魂をこの世界とは別の世界に飛ばして
そこで憑依できるようにする、ってそういうことか?」
と、純平が怪しげな男に言うと、
「ーへへーま、そういうことです」と、頷いたー
”他人に憑依”するのに必要なエネルギーが
この世界では得ることが出来ず、
それを得るために”それが存在する”世界に純平を飛ばし、
そのエネルギーを利用して、他人に憑依するのだと言うー。
「ーーーいやぁ……流石にそんな話、信じられないなー」
純平がそう言うと、
売人の男は「まぁ、そうでしょうなぁ へへ」と、
ニヤニヤしながら、憑依の水晶を置くー。
「ーーー」
考え込む純平ー。
純平の人生は、平凡すぎてつまらないー。
モテた経験もないし、このまま生涯独身だろうー。
正直、趣味もないー。
幸い、仕事はあるが、
ここ10年以上、仕事して帰って、寝るー…
そんな生活を繰り返していて、
恐らくこのまま老人になり、死んでいくのが目に見えているー。
だからこそ、人生を変えるチャンスでもある”憑依”に飛びついたのだー。
「ーーなぁ、そのパラレルワールドって、どんな世界なんだー」
純平が言うと、
怪しげな男は、
「パラレルワールドは基本的に”元となった世界と似たような世界”ー
大枠のところは同じで、無数に存在する世界ごとに、少しずつ異なる部分がある、
そんな感じでしょうなー」
と、頷くー。
「ー今、我々がいる世界が”A”とすれば、”B”も一見すると同じ世界ー。
でも…例えば”A”は、感染症の流行が起きたけれど、”B”ではそれが起きなかったー
”A”では起きなかった大事件が”B”では起きたー
そんな細かな違いがそれぞれにあるー
そういう感じですー
法律とか、そういうところは、基本的には変わらないでしょうし、
この世界と同じように生活できるはずですぜー」
怪しげな男がそう言うと、
「なるほどー」と、純平が頷くー
「ーその”行先”は選ぶことができるのかー?」
純平が言うと、怪しげな男は「憑依に必要なエネルギーが存在する
並行世界に転移させますが、並行世界は無数にある故、
具体的にどこに飛ぶかまでは分かりませんねぇ」と、ニヤニヤしながら言うー。
「”D”かもしれないし、”F”かもしれないし、”X”かもしれないー
そう思っていただいて結構ですー」
考え込む純平ー
”細かな違い”はあれど、似たような世界であれば
確かに問題なく、普通に生活はできるだろうー。
どうせ、他人に憑依するならー
”今の生活”を捨てて新しい生活になることは変わらないー
「ーー…何度も聞いてすまないがー
”憑依”は、本当なんだよな?」
純平が言うと、
怪しげな男は「えぇ」と、自信満々に頷いたー。
「これまでにも、4名、憑依の仲介をしてますからねぇ」
と、付け加えながらー。
「ーーーーー」
純平はさらに考えると、
「ーー例えば俺の移動先の世界が”まだ江戸幕府が続いてたり”とか
そういう、大きすぎる変化が合ったりする可能性はー?」
と、怪しげな男に尋ねるー
「ーまぁ、そういう世界もあるかもしれませんがー
歴史がズレればズレるほど、”この世界”からは離れるー
基本、転移先は”この世界”から近い並行次元になりますのでー
これまでの歴史は大体同じでしょうなー
数年レベルで若干ズレがあったりー、
例えば今日起こるかもしれないようなことが、向こうの世界では
起こったりー、そういう”些細な”ズレですー」
その言葉に、純平は考え込んだ末に
「よし、ならお願いしよう」と言い放ったー
「ーへへ…あんたで5人目ー
大抵の客は説明の時点でやめるので、
今日も期待してませんでしたけどー
…気に入りましたぜ」
怪しげな男がニヤニヤしながら笑うー。
「ーこの”憑依の水晶”を手に、向こうの世界に移転すると、
水晶の力であんたは霊体になるはずですー。
その後は、あんたのお好みで身体を見つけて
憑依してくださいー
ただ、憑依は一度きりー
憑依した後に”やっぱりクーリングオフで!”みたいなことは
できないからー
気を付けてくださいなー」
怪しげな男はそう言うと、水晶を机に置いたまま、
「さぁ、どうぞ」と、呟くー
水晶を持った直後、男が”企業秘密”の方法で、
純平をこの世界とは別の世界に飛ばすのだと言うー。
「ーまぁ、大体は同じですー
例えば、アパートのあった場所が向こうの世界ではコンビニ!とか、
こっちの世界では上司だった男が、向こうでは犯罪者!とか、
そういう些細な違いはあるでしょうがー
大体、同じで生活できますよー」
男はそこまで言うと、水晶玉を手にした純平に対して
「では、良い憑依ライフをー」と、笑みを浮かべたー。
男が何かを唱え始めてー
男の周囲に怪しげな紫のオーラが噴き出し始めるー。
「ーーー…そういえば、お前、なんでそんな変なものを
持ってたりーそんな怪しげな術をー」
純平はそこまで言いかけてハッとするー
「ーあ、まさかー!お前、”別の世界から”来たのかー!?」
そんなことを怪しげな男に言い放ったものの、
怪しげな男がニッとして返事をする前にー
純平の意識は別次元に飛ばされたー
「うぉぉおおおおおおおおおおお!!?!?!?」
雲のトンネルを潜り抜けるような感触を味わいー、
ジェットコースターのようなスピード感を味わいー、
やがてー、そこを抜けるとー
「お…?」
そこは、純平の住んでいる街の上空ー。
「ーーおおぉぉ…?これはー…本当に”パラレルワールド”ってのに
やってきたのか?」
そんな風に呟きながら霊体のまま
少し街を探索すると、
「あ、ここにあった頑固ジジイのラーメン屋、こっちの世界だとゴミ置き場じゃん!」と
ゲラゲラと笑ったー
昨日まであったラーメン屋がいきなりゴミ置き場になるわけがないー
それに、商業施設の2階にあったはずのドラッグストアも、
こっちの世界だとスポーツジムになっているー。
昨日ドラッグストアだったお店が一晩でスポーツジムに
変身することはほぼ不可能だー。
従業員が一晩でスポーツジムに改装してくれました、なんてことは
現実的に無理があるー。
「間違いないー。これは”似ているけど異なる世界”だー」
純平は確信したー。
ここは、あの怪しげな男が言っていた”パラレルワールド”で
ある、とー。
「ーーへへへへ…じゃあ早速ー憑依する相手を探しますかー」
純平はニヤニヤしながら”自分にとっての理想の身体”を
探すべく、色々な場所を霊体の状態で浮遊し続けるー。
こうして、霊体となって空を舞っているのも楽しいがー、
ずっとこうしているわけにもいかない。
そう思いながらー
色々なところ飛び回った結果ー
”見つけたー”
純平はニヤリと笑みを浮かべるー。
”好みの身体”を見つけたー
部活か何かで遅くなったのだろうかー。
高校から下校中のー
そう、典型的な美少女とも言うべき少女ー
「ーー”俺がいた世界”にも、この子はいたのかなー?
っていうか、こっちの世界にも俺のそっくりさんは
いるのかなー?」
そんな風に思いながら
その子をしばらく観察するー。
憑依できるのは1度だけー。
”憑依はクーリングオフできない”と、男が言っていたため、
純平は慎重にその少女を観察するー。
実は男の娘だったー、なんてことになってもアレだし、
実は家が貧乏すぎてー、なんてことになってもアレだし、
万全を期したいー。
色々考えつつ観察を続けた結果ー、
本物の美少女であること、
家もなかなか立派であることー、
友達と電話してた様子から、いじめも受けてる感じはしないことー
両親も優しそうであることー、
容姿も、何度見ても美少女であることなどから、
純平は、この子に憑依することを心の中で決心したー。
富原 香鈴(とみはら かりん)ー
表札を見て名前も確認するとー
「香鈴ーかりんー…よし、この子にしよう」と、
改めて呟きー…
怪しげな男から聞いた憑依方法を思い浮かべながらー
それを実践したー。
と、言ってもー
ただ単に霊体を憑依したい相手に重ねるだけでー、
そんなに難しいことはないのだがー。
「ーーうっ…」
ビクンと震える香鈴ー
すぐにー”人間”としての身体の感触が戻って来るー
「ーーお… お…す、すげぇ…本当にー」
”香鈴の声”で、自分の口からそんな言葉が漏れるー
驚きながらも喜びを感じ、
ニヤニヤしながら香鈴は、早速、と胸を揉み始めるー
「ーーやっべぇ…なんだこれ…
うぉっ…気持ちよすぎるー…」
数秒前までいつものように生活していた香鈴が
突然豹変して、夢中になって胸を揉み始めるー
「ーあぁぁぁ…♡ やばいー
まだ揉んだだけなのに最高すぎるー」
憑依してー
胸を揉んだだけなのにー
もう、たまらなく最高だー、と
純平はそんな風に思うー。
この先ー
この身体でどれほどの快感が待ち受けているのかと思うとー
「ーーー!」
そう思いながら鏡を見つめるとー
女子高生とは思えないような下品な笑みを浮かべながら
胸を揉んでる香鈴の姿が鏡に映し出されたー
「ふぉぉぉぉぉっ♡」
あまりの興奮に奇声を上げた香鈴ー
だがー
突然ー
「香鈴!!!香鈴!!!」
と、下の階から声が響いてきたー。
香鈴の親だろうかー。
「ーど、どうした…の?」
香鈴が普段どんな風に振る舞っているのかー、
そういうことが分からず、
そもそもまだ心の準備も出来ていなかったため
困惑しながら1階に降りるとー
香鈴の母親がテレビを指さして「み、見て…」と
呟いたー
「え…?」
香鈴の母親の動揺っぷりに困惑しながら
香鈴が視線をテレビに向けるとー
”速報 巨大隕石 1週間後に地球に衝突かー”
というニュースの見出しが目に入ったー
呆然とする香鈴ー
”つい先ほどー
地球に向かう巨大隕石が解析されましたー
現在世界各国で緊急の会合が開かれていますが
現時点では、破壊は難しくーーー”
純平がやってきたこの世界はー
”あと1週間で滅ぶ”運命にあるパラレルワールドだったー
②へ続く
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コメント
最近は手が乾燥しやすいので
保湿が欠かせない日々が続いています~☆
皆様はどうですか~?
今日もありがとうございました~!
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