”この世界”とそっくりな並行次元で
美少女への憑依を成し遂げた男ー。
しかしー
その世界は、あと1週間で滅ぶ運命にある世界でー…?
・・・・・・・・・・・・・・・
”速報 巨大隕石 1週間後に地球に衝突かー”
「え… え…え…?」
香鈴の母親は戸惑った様子を見せているー
それはー
つい先ほど香鈴に憑依したばかりの純平にとっても
同じことだったー
「ーーう…嘘だろー…?」
思わず、香鈴として振る舞うことも忘れて
そんな言葉を口にしてしまうー。
緊急の記者会見がすぐに開かれー、
”国民の皆様には、過剰なパニックを起こすことなくー”
などと安心させるような言葉を官房長官が口にしているー。
だが、次々とニュース速報が入るー。
”巨大隕石の破壊は困難であると大統領が発表”
”巨大隕石破壊のための緊急会合を西欧諸国が緊急開催”
「ーーー……」
香鈴は呆然としながら、すぐに部屋の方に戻るー。
「ーーお、おい…嘘だろー?
せっかく憑依したのに、どういうことなんだー?」
香鈴は香鈴のスマホを手に、
”怪しげな男”ー
憑依のための力を提供してくれたあの男に連絡をしようとするー。
だがー
連絡はつかず、困惑の表情を浮かべるー。
「そ…そうかーこの世界は俺のいた世界じゃないんだー」
香鈴はそう呟くと、困惑しながら空を見上げるー
「冗談じゃないぞー
これから滅ぶ世界に来ちまったなんてー」
香鈴は早速、ネットでニュースを調べ始めるー
だがー
”隕石の破壊は絶望的”
”衝突すれば地球は滅亡”
などという絶望的なニュースばかりが流れているー
「ーーくそっ!くそっ!くそっ!」
恐らくー
”滅ぶ”のはこの世界だけー。
純平が元々いた世界では”これ”は起きていないー
あの怪しげな男は言っていたー
「歴史がズレればズレるほど、”この世界”からは離れるー
基本、転移先は”この世界”から近い並行次元になりますのでー
これまでの歴史は大体同じでしょうなー
数年レベルで若干ズレがあったりー、
例えば今日起こるかもしれないようなことが、向こうの世界では
起こったりー、そういう”些細な”ズレですー」
そうなれば
”隕石が衝突する世界”になど、飛ばされるはずはないー
いやーーー
”これまでの歴史は大体同じでしょうな”
その言葉を思い出すー。
香鈴は青ざめながら怪しげな男のことを思い出しつつ
ネットで情報を探るー。
そうだー
隕石の衝突は、香鈴に憑依したあと、速報で入ったー
それ故にー
純平がこの世界に飛んだ時点ではー
”これまでの歴史”は、大体同じだったのだー。
だからー
この世界に飛ばされたー。
「くそっー…ふざけるなよー」
香鈴は、表情を歪めながら
”隕石の衝突なんて冗談じゃない”と、言葉を続けるー
だがーー
ニュースはより絶望的な速報ばかりが続きー、
”隕石への攻撃は困難 破壊は絶望的”
というニュースがとどめを刺すように流れたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
学校は、自宅学習となったー。
世界は、終わるー。
そんな絶望の元、社会は大混乱に陥り始めたー。
ネットはアクセス過多により崩壊しー
”どうせ滅ぶなら”と、世界各地で自暴自棄になった人間たちが、
犯罪行為に走ったー。
”あと1週間なら”と、仕事をしない人間も爆発的に増えて
あっという間に生活に必要なインフラも
まともに機能しなくなったー
「ーーーーー……くそっーーー」
香鈴は頭を抱えるー
この少女が、純平に憑依されて乗っ取られてしまったのはー
ある意味では幸運だったのかもしれないー。
最後の1週間ー
その地獄のような時間を味わうことなくー、
ただ滅びを待つだけのこの時間をーこの恐怖を
味わう必要など、なくなったのだからー。
「ーーくそっ…こうなったらエロイことしまくってやる!」
開き直った香鈴はそう叫ぶと、
部屋の中で胸を揉み、服を脱ぎ捨てて
机の角で自分の身体を徹底的に刺激し、
これまで感じたことのない狂ってしまいそうなほどの快感を味わったー
来週にはこの世界は滅びるー
そんなことも忘れてしまいそうなほどの激しい快感ー
狂ったように気持ちよさそうに喘ぎ続ける香鈴ー
鏡に映る香鈴の姿はー
その表情はー
言葉には言い表しがたいほどに色っぽくー、
乱れ切っていたー
母親が部屋に来てももはや無視ー
目の前で絶頂を迎えて、失神しそうになりながら、
その姿を母親の前に晒したー
だがー
母親も、”世界が滅びる”直前だったからかー
娘のそんな行動をとがめることなく、
「ーー…ご飯ー準備できたからねー」とだけ呟くー
「ーーーわかったぁ…♡ ちょっとしたらいくね…えへへ♡」
乱れたままそう返事をする香鈴ー。
どうせ世界が滅ぶならー
”念願の憑依”で得たこの身体をー
しゃぶりつくしたいー
徹底的にー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
複数の大国による”隕石破壊作戦”が実施されたー。
精密射撃兵器による隕石への攻撃ー。
だが、巨大隕石にはダメージを与えることはかなわず、
あまりのサイズに軌道を変えることすらできなかったー。
そしてー
人類は”核”に手を出したー。
だがーーー
それでも、巨大隕石は破壊できなかったーー。
そもそもー
隕石に命中させることが難しくー
やっとの思いで、隕石に命中した1発の核による攻撃も、
わずかに隕石の表層を削っただけで、
隕石の軌道を変えることも、破壊することも叶わなかったー
何発も、何発も、隕石に向かって
最新鋭の核による攻撃を行うー。
しかし、地球到達までの時間を計算すると
”この程度の命中率”で当たったとしても
”この程度のダメージ”では、
どう考えても隕石が破壊される前に
地球に到達するのは明らかだったー。
”地球は滅ぶー”
そんな現実に直面した、
大国が秘密裏に開発していた兵器を、解禁したー。
開発中で、機密中の機密だったが
地球が滅べば全ては終わりー。
切り札である”ディメンション・ミサイル”ー
核を越える脅威ー
環境を汚染することなく
”指定した地点”を別次元に飛ばし、一瞬にして消し去る究極の兵器ー
それをリスク承知でとある大国が解放したー。
世界が滅びれば、もはや何もないー。
秘密裏に、などと言っている場合ですらなかったー。
「ディメンションミサイル発射!」
隕石に向けて宇宙空間に放たれる最新兵器ー
だがーーー
”隕石の移動速度”が思いのほか早くー
ディメンションミサイルが着弾ー
”その空間を消滅”させるまでの間に、
隕石がその地点を移動してしまいー
ディメンションミサイルは効果を発揮できなかったー
着弾し、その周辺区域を”消滅”させるミサイルー。
だが、着弾⇒消滅の間に、隕石がその”消滅する場所”から移動してしまいー、
結局”隕石が移動した後のその場所”を消滅させただけで
ディメンションミサイルは隕石に対しては無意味だったー。
「くそっ!」
世界は滅ぶー。
1週間後にー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーははははははっ♡ やっべ エロすぎるー」
散らかった部屋で、
盗んできたチャイナドレスやメイド服、バニーガールの衣装、
巫女服、ラバースーツー
様々なコスプレ衣装を着てはポーズを決めて笑う香鈴ー。
「はぁぁぁ~ラバースーツの上からこの辺触るのー
ホントたまんねぇやー」
香鈴がラバースーツ姿でアソコのあたりを
ポーズを決めながら触り、ニヤニヤしているー。
もはやー
”店”も閉まっているお店ばかりで、
ガラスは割られー、各地で略奪が繰り返されているー。
人間同士の争いも激化ー
この際に”気に入らなかったあの野郎を”と、命を奪う人間までいるー。
警察はもはや機能していないー。
人類は”あと3日”で滅びるー。
そんな絶望的な状況を前に、
滅びを迎える前に人類は、既に滅んだも同然の状況になっていたー。
各国による隕石破壊計画も上手く行っていないー。
ディメンションミサイルによる破壊計画失敗後、
原子力機関砲と呼ばれる、いわば”核”を連射する兵器も、
別の大国が使用を提案、隕石への攻撃が行われたものの
隕石にわずかなダメージを与えるにとどまり、
むしろ”放射能汚染された巨大隕石”に隕石がパワーアップしてしまうという
もはや最悪の状態になっていたー。
「ーーあぁくそっ!どうにでもなれ!
はははっ!はははははっ!」
香鈴は、元の香鈴の面影がないぐらいに
欲望に溺れ、その身体を貪りつくしていたー
隕石衝突まであと2日ー
今日もとある国が秘密裏に開発していた最新鋭の粒子砲…
命中した対象を粉末のようにバラバラにして一瞬に破壊する新兵器を
隕石に向かって放ったものの、これも失敗したー
開発中であるが故に、精度に欠け、命中しなかったのだー。
「ーー今日はその辺の男とヤリまくろうかな」
香鈴はニヤニヤしながら、バニーガール姿で出かけて行こうとするー。
元々は、香鈴に憑依したあと、この世界で
表向きはごく普通の女子高生として暮らしながら
裏で欲望を存分に楽しむつもりだったー
もちろん”普通の女子高生ライフ”の方も楽しみながらー、だ。
だが、あと2日で世界が滅んでしまうのであればどうでもいいー。
バニーガール姿で外出したって、もう2日後には何もないのだー
むしろ、今のうちに楽しんでおくべきだー。
調子に乗ってモデル歩きをしながら
バニーガール姿の香鈴は、笑みを浮かべるー
男に襲われて滅茶苦茶にされたって構わないー
”あと2日で滅ぶ”状況のこの世界ー
きっと”どうせ死ぬなら”と自暴自棄になって
凶暴化している人間は男女問わずそこら中にいるはずだー
香鈴は、狂った男に声を掛けられることを期待しながら
ゾクゾクしつつ、街を歩いたー
そしてー
「ーーー…ちょっと、いいかな?」
背後から声がしたー。
香鈴はニヤッと笑みを浮かべるー
この身体が興奮しすぎて、失神してしまうぐらいの
ゾクゾクを最後に味わいたいー
そう、思いながらー。
だがー
香鈴が振り返ると、そこにはスーツ姿の、
とても”世界があと2日で滅びるならば…”と
自暴自棄になったようには見えない雰囲気の男がいたー
「ーー富原 香鈴さんー」
スーツ姿の男は、バニーガール姿の香鈴を前にしても
全くそれを気に留める様子もなく、
そう呟いたー
「ーーえ?」
香鈴が困惑するー。
香鈴に憑依している純平は心の中で
”おいおいーなんだこいつ?2日後には世界が滅びるのに
何真面目なツラしてるんだよ?”と、呟くー。
「ーーー…あなたの力を貸してほしいー
世界を救うために」
「ーーーは…?… はぁ?」
香鈴は拍子抜けして首を傾げるー
「ーー君に眠る、その力が必要だー
どうかー どうか」
スーツ姿の男がそう呟くと、
香鈴は首を傾げながらも
”話を聞くぐらいなら、いいか…”と、
静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バニーガールの姿のまま、男の車に乗る香鈴ー。
最初は、このまま車でどこかに運ばれて暴行でも
されるのかと思いつつー、
そんな妄想をしていたらゾクゾクしてきてしまったもののー
行先はー、国際的な組織のビルの中で、
香鈴を暴行するのが目的などではなかったー
「ーー富原香鈴さんー」
ビルの中に入り、会議室のような場所に通されると、香鈴は
”っていうか、俺、この格好のままでいいのか?”と、
バニーガールの格好のままであることに少し不安を感じながら
スーツ姿の男のほうを見つめたー
「ーーいいやー…ーー
守護霊様ー」
男はそう言うと、突然、香鈴の前で土下座をして、
「世界を救えるのはあなただけだー
どうかー どうか。世界を救ってくださいー」と、
悲痛な叫びを上げたー
「し、守護霊ー!?
世界を救うー!?
…は… はぁ???」
世界滅亡まであと2日ー
とんでもないパラレルワールドにやってきてしまった純平は、
さらにとんでもない事態に直面しようとしていたー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
憑依先が滅亡寸前の世界…
恐ろしいことですネ~☆
世界の運命と、
憑依を楽しもうとしていた純平の運命は、
明日のお楽しみデス~!
今日もありがとうございました~!
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