娘を取り戻すために必死の行動に出る父。
薬漬けにされてしまう前に、
なんとしても、憑依された娘を
助け出さなくてはならない。
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「----娘を、解放しろ」
父・由紀也は、
娘の加奈恵に憑依している金髪の男に
向かって言う―。
金髪の男の仲間、
スケートボードの男に包丁を
突きつけながら、加奈恵の方を睨む。
加奈恵は笑いながら立ち上がると、
挑発的な笑みを浮かべて呟いた。
「おくすりおくすり~♡」
甘い声でそう言うと、
加奈恵は興奮した様子で
自分のボロボロになった腕に
注射をしたー。
「はぁぁっぁ~♡ いいきもちぃ~♡」
「--ふざけるな!」
由紀也は大声で叫んだ。
加奈恵は、大丈夫なのだろうかー
もしかしたら、もう手遅れかもしれないー
妻の伊沙子は、部屋にこもりきりに
なってしまったし、
もう、自分がなんとかするしかないー
「お父さん~?何の騒ぎ~?」
次女の麗が、芋ようかんを咥えながら
近くにやってくる。
「麗…!今は部屋にいなさい!」
由紀也が言う。
「ふぇぇ?」
天然な麗は、姉が憑依されたという状況を
あまり飲みこめていない様子だったー
いやー
わざと気づかないふりをしているのかもしれないー
麗は天然に見えて
時々計算高いところもある。
「---くへへへ…!そんなことしていいのかなぁ」
加奈恵はそう言うと、笑いながら、自分の
上着を脱いで、下着姿になった。
お腹の部分には、♡マークのタトゥーが
刻まれている。
「き…貴様!」
由紀也は思わず叫ぶ。
娘の身体に、♡マークを掘った不良男に
改めて殺意を抱く。
「--睨むなって!
かわいいでしょ?♡…うふふ!」
自分のお腹に刻まれたハートマークを
イヤらしく撫でる加奈恵。
「おぉぉぉぉ!ハートちゃん!」
妹の麗が叫ぶ。
「へ、部屋に戻ってなさい!」
由紀也が言うと、
麗はにこにこしながら
ようやく自分の部屋の方に向かった。
「お姉ちゃん、最近、ダイナミックだなぁ~」
麗は何かを一人ブツブツ呟いている。
由紀也はさっき
次女の麗を時々計算高いと評したが、
心の中で訂正したー
やっぱ、ただの天然だー。
「---おい!俺のダチを離せよ」
加奈恵が乱暴な口調で言う。
「---なら先に、娘を解放しろ」
由紀也が言う。
「---……殺したければ殺せよ」
人質にされているスケートボードの男が
そう呟いたー
「何だと?」
由紀也は思わず叫ぶ。
「---くくく…
この身体も、俺のものじゃないんだぜ?」
由紀也はその言葉を聞いて唖然としたー。
やってきた3人のうちー
2人は、憑依した状態ー
加奈恵と赤い髪の女にそれぞれ憑依していたー
スケートボードの男は、男だから
てっきり本人かと思っていたがー
「--俺を刺しても、
死ぬのはこの身体だけ!
くくく、コンビニ前でたむろしてた俺らを
注意した、バカな優等生くんの身体だけだ!」
スケートボードの男はゲラゲラと笑った。
「ぐっ…くそっ!」
スケートボードの男を突き飛ばす由紀也。
この男を人質にしても何にもならない。
「---け、警察に通報するぞ!」
由紀也は叫んだ。
「--はぁ?」
加奈恵は鼻をほじりながら笑うー
由紀也は加奈恵にそんなことを
させている不良が許せないと言う想いで睨むー。
「--…あのさぁ?
おっさん、バカなの?
何度も言ってるだろ?
通報しても、逮捕されるのはこの娘だけだって」
薬をキメてるのは加奈恵だー。
憑依なんて、誰も信じやしない。
「---……逮捕されれば…
もう、お前らの好きにはできない」
由紀也は覚悟の眼差しで加奈恵を見る。
これ以上言いなりになっていても
加奈恵はどんどん薬や酒に溺れて行き
堕落していくだけだー
それならば、
警察に薬の件で父娘ともども逮捕されればー
もう、薬をキメることはできないし、
この男たちもそんな生活嫌だろうから
どこかへ去るだろうー
「---へぇ…なるほどなるほど
確かに捕まっちゃえば、
好き放題はできないね」
加奈恵は机に置いてあった飲みかけのビールを飲むと
げっぷをしながら微笑んだ。
「---……」
加奈恵はニヤニヤ笑みを浮かべている。
「---」
スケートボードの男と加奈恵が
目を合わせて何かを合図すると
加奈恵は微笑んだ。
そしてー
加奈恵が拍手を始める。
「えへへへへへ…
感動しましたよ、お父さん~
俺の負けだぁ~」
そう言うと、加奈恵は、さっき脱ぎ捨てた服を
身に着けて微笑んだー
「娘さんを解放してあげましょう~」
加奈恵がニヤニヤしながら言う。
「--…本当か…?」
由紀也は加奈恵の方を睨む。
こいつらのことだ。
何かあるかもしれない。
「…ほんと~ですよ~くへへへ…
それじゃ、さよ~なら」
そう言うと、加奈恵は「うっ…」と
低くうめき声をあげて
そのまま気を失ってしまったー。
「か…加奈恵!」
由紀也が慌てて駆け寄る。
スケートボードの男が笑みを浮かべているー。
「---あ……」
そしてー
加奈恵が目を覚ました。
「お、、お父さ…ん…?」
加奈恵が不思議そうな表情を浮かべて、
父・由紀也の方を見た。
金髪にされて
耳にはピアスが揺れているー。
それでも、
加奈恵は加奈恵だったー。
「加奈恵…」
由紀也は黙って加奈恵を抱きしめた。
この状況をどうやって説明するべきかー
それにー
「---うひひひひひひひひ!
感動の再会だなぁ~!」
2階から声が聞こえたー
「---!?」
由紀也が2階を見ると、
そこには、次女の麗の姿があった。
「うーー、、麗!?
まさか貴様!」
加奈恵に憑依していた金髪の男は
今度は麗に憑依した。
麗は笑みを浮かべながら
1階に下りてくる。
「---ひ…い…いやああああああああ!」
突然、加奈恵が身体を震わせながら
由紀也の反対を指さした。
「--!?」
由紀也が振り返る。
しかし、そこには何もない。
「---あ…あ…あぁ…ひ…ひやあああああああ!」
加奈恵が震えながら両耳を塞いで蹲ってしまった。
「か、、加奈恵!加奈恵!どうしたんだ!」
由紀也が叫ぶ。
すると、麗が笑った。
「おね~ちゃん!
だいじょうぶ!ほら、そのお薬注射すれば治るから!」
麗がニヤニヤしながら言う。
「--まさか…」
由紀也は唖然としたー
加奈恵に禁断症状が出ている。
「--あ…あぁ…あああああ」
言われるがままに加奈恵は震える手で
注射器を手にする。
「だ…だめだ!加奈恵!」
由紀也は叫んだ。
しかし、加奈恵は
狂ったような表情で、
自分に注射器を刺したー
「--ほら!お姉ちゃん、お酒お酒~!」
麗が笑いながら缶ビールを渡すと、
加奈恵は乱暴にそれを取り上げて
ビールをゴクゴクと飲み始めた。
「…う…うあああああああ!」
由紀也は叫んだ。
加奈恵はもうーーー
手遅れだと理解したからだー。
ボロボロの薬漬けにされてしまったー
「--貴様ぁ!!!俺の娘になんてことを!!!」
由紀也は泣き叫びながら
麗の胸倉をつかむ。
「今度は、次女の番だ」
麗は笑みを浮かべる。
「--ふ、ふざけるなふざけるなふざけるな!」
由紀也が発狂しながらそう叫ぶー。
加奈恵は、不気味な笑みを浮かべながら
笑い続けているー
明らかに、正気を失っている様子だったー
「---くそっ…くそっ…くそっ…」
由紀也はその場で蹲り、
床を叩き、うめき声を上げ始めた。
どうしてこんなことになってしまったのかー。
「---うぅぅぅううう…」
由紀也は頭を抱えて
叫び出す。
加奈恵が壊されてしまった。
今度は麗までー。
妻の伊沙子も、精神的にやられてしまった。
「泣くなよおっさん」
麗が笑いながら言う。
「---ほら、娘とエッチさせてやるからよ」
麗が挑発的な言葉を由紀也に投げかけた。
だがー
由紀也は、うずくまったまま
うめき声をあげるだけだった。
「--もう、このおっさんだめじゃね?」
スケートボードの男が言う。
「ひはは、案外、持たなかったなぁ」
麗が笑うー。
「---壊れちゃったとこで
遊んでも仕方ないし、そろそろ行くか」
麗がスケートボードの男に言うと、
スケートボードの男も頷いた。
「---うぅぅ…」
由紀也は、乗っ取られた麗の方を睨む。
このままじゃ、麗もボロボロにされてしまうー。
けどー。
「--楽しかったぜおっさん…へへへ…
じゃあな」
そう言うと、麗はそのまま
スケートボードの男と共に
立ち去ってしまったー。
「--くそっ…くそ…うああああああ!」
由紀也は静まりかえった部屋で大声で悲鳴をあげたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
加奈恵は、心身ともにボロボロになってしまった。
薬が切れると
狂ったように暴れたり泣きだしたりするー
だが、加奈恵を病院に連れて行くこともできなかったー。
病院に連れて行けば、薬のことが
ばれてしまうだろうー。
由紀也は、加奈恵を必死に守ろうとしたー。
けど、この状況じゃ学校に行くこともできないー。
加奈恵はそのまま退学になったー。
「--はぁ…はぁ…はぁ…」
ボサボサの髪型で顔つきまで
おかしくなってしまった加奈恵が
苦しそうに息をしているー
由紀也は、そんな加奈恵の姿を見て、
なんとかしてあげたいと思ったが
どうすることもできなかったー
加奈恵の身体は、想像以上にボロボロだった。
妻の伊沙子は、ずっと寝込んでいるー。
あまりのショックに食事ものどを通らない様子だ。
そして、麗は奪われたままー。
正気を取り戻した赤い髪の女も、
どこの子だか分からないし、
どうすることもできず、
由紀也の家にかくまっている状態だー。
「--くそっ…!俺は、俺はどうすればいいんだ」
奪われた麗を探しに行くこともできずー
加奈恵と伊沙子に何かしてやることもできずー
どうにもならない状態だったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仕事をしなければ
家族を養うこともできないー
由紀也は職場に復帰して
働き始めた。
これから、
どうしていけばいいのだろうー。
そんな風に思いながら
由紀也が帰宅するとー
そこには、信じられない
光景が広がっていたー
「あ、お父さんおっかえり~!」
ーー!?
身体を奪われて立ち去ったはずの麗がそこにいた。
茶髪に染められた髪ー
派手なミニスカートー
ピアスー
天然な麗の姿はもうそこにはなかった。
「--う、、麗…お前…!」
由紀也が言うと、麗が微笑んだ。
麗の視線の先には、
注射器をもって
涎を垂らしながら笑みを浮かべている
加奈恵の姿があった。
「おくすりないと、お姉ちゃんつらいと思って
持ってきてあげたの!」
麗が笑う。
加奈恵が「えへぇ…♡」と言いながら
ソファーにだらしなく横たわって
涎を垂らしている。
その視線はー
おかしな方向を見ているー
「---…もうやめろ!やめてくれー!」
由紀也は泣き叫びながら
麗の方に突進していく。
「---あ、そうだ!」
突進してきた由紀也に向かって
麗は笑った。
「--お母さん、首つっちゃったみたいだよ~?
くへへへへへ♡」
妻の部屋を指さす麗。
「----な…」
由紀也は、妻の部屋の方を見て
身体を震わせたー
あまりの絶望に、足が動かないー
「---ふぁあ…♡ おとーさん…」
加奈恵がソファーから滑り落ちて
仰向けに倒れ、虚ろな目で
へらへら笑い続けている。
憑依から解放された加奈恵ー
けれど、加奈恵は元の優しい少女に
戻ることはできなかった。
加奈恵と、かくまっている赤い髪の女の子が
虚ろな目で何かを呟いているー
「---お、、俺は、、どうすれば…」
うろたえる由紀也ー
♪~~
玄関のインターホンがなった。
”警察だ!扉を開けろ!”
玄関から声が響く。
「----…はははは…」
由紀也は、笑みを浮かべた。
もう、何もかも終わりだー
たぶん、薬云々のことが
警察に伝わったのだろうー
自分たちは何も悪い事をしていないのに
堕落した家族して、
世間に晒されるのだろうー。
憑依されたままの麗が、
勝ち誇った表情で由紀也を見ているー。
妻が自殺したー
加奈恵は薬物中毒ー
麗は憑依されたままー
誰だか知らない赤い髪の子も薬物中毒ー
そして、おそらく自分は逮捕されるー
薬物取締だとかなんだとか…で。
家族を滅茶苦茶にした金髪の男たちは、
勝ち誇ったように笑うだけー。
「---あは、、、あはははははははは」
由紀也は笑いながら玄関に向かって歩き出した。
由紀也はー
ついに気が触れてしまった。
「いひひひひひひひ
あはははははははははははは~」
泣きながら大笑いする由紀也は、
玄関の扉を開いたー
”堕落”させられた家族ー
もう、元には、戻れないー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
このお話はツイッターのツイートから
生まれたお話だったりします~!
思ったよりもダークになっちゃいましたネ!
お読み下さりありがとうございました☆!

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