<憑依>堕落②~堕ちた娘~

不良に乗っ取られた娘は、
堕落していくー。

目の前で酒に溺れて、薬漬けに
なっていく娘を前に、家族はー…?

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悪夢は、醒めなかったー

父・由紀也は、
これが悪夢なら醒めてほしいと思ったー

だがー…。

昨晩、帰宅すると、娘の加奈恵は
信じられないような格好で
煙草を吸っていたー

一昨日、注意した不良が、娘に
憑依したのだと言う。

最初は娘がドッキリでも
仕掛けているかと思ったが
そうではなかった。

焦った由紀也は娘の加奈恵を
助けようとしたが、
加奈恵に憑依している金髪男の
仲間に取り押さえられて、
目の前でウイスキーを飲んで酔っ払う
加奈恵を見せつけられてしまったー。

そのあと、加奈恵は
仲間と共に部屋に閉じこもってしまった。

部屋からは喘ぎ声が聞えていたー。
加奈恵が、何をされているのか
由紀也には大体の想像がついたー

そして、
どうすれ良いのか、必死に考えているうちに
由紀也は眠ってしまったのだったー。

「---…くそっ!」
由紀也は慌てて自分の部屋から飛び出す。

加奈恵が憑依されたなんてこと
夢であってほしかったー。

だが、これはザンネンながら現実ー。

「--あ、おはよう~」
廊下で次女の麗とすれ違う。

昨晩、次女の麗と妻の伊沙子も
憑依されているのでは?と一瞬、由紀也は
パニックに陥ったが
伊沙子と麗は無事だった。

伊沙子はショックで寝込んでしまっているが、
マイペースな麗だけはいつも通り。

「麗…お姉ちゃんには、あまり近づくなよ」
由紀也はそう言った。

どう説明していいか分からなかった。
だがー、今の加奈恵に近づけば
麗も何もされるか分からない。

「--ふぇぇ~?どうして~?」
麗が首をかしげる。

「と、とにかく、早く学校に行きなさい」
今日は木曜日ー
麗を学校に行かせると、
由紀也は、加奈恵の部屋の方に向かった。

「加奈恵…入るぞ」
由紀也がノックをして
加奈恵の部屋を開けるー

するとー
そこには、
高校の制服姿で腕をまくって
何か注射をしようとしている
加奈恵の姿があった。

「--な…!何をしている!」
由紀也は叫んだ。

注射ー。
由紀也は、嫌な予感を覚えた。

「--これ?ふふふ…
 薬だよ~…えへへへへ」

そう言うと、加奈恵は自分の腕に注射をする。

そしてー
笑いながら言った。

「これ使うとね、気分が超ハイになるの!
 うふふふふふ!
 お前の娘もハイになるんだよ!」

加奈恵の部屋は、
煙草のニオイが充満していたー

可愛らしい女子高生の部屋が、
煙草臭くなっている。

「き…貴様…!自分が何をしているか分かってるのか!」
由紀也は叫ぶ。

「へへ…分かってるよ。
 お前の娘の身体で、違法な薬、キメてるんだよ…」

加奈恵は挑発的に
由紀也の方を見つめた。

「…ふ…ふざけるな!」
由紀也は大声で叫んだ。

「---はぁ~あ」
煙草を掴んで、それを吸おうとする加奈恵。

「おい!やめろ!加奈恵は未成年だぞ!おい!」
由紀也が怒り狂ったように叫ぶ。

しかし、それを無視して
加奈恵は煙草を口に咥えると笑った。

「どうせ、自分の身体じゃないんだし♡」

とー。

「--」
由紀也は時計を見る。
学校の時間が近づいている。

「--あぁ、学校?行くわけないじゃん!
 この女を堕ちるところまでおとしてやるよ…!
 くへへへへへ」

「--貴様ぁ!」
由紀也は加奈恵の胸倉をつかんだ。

加奈恵は笑う。
父親に反抗する娘のようにー

「--殴れば?」

挑発的な声。

由紀也は怒りに手を震わせたー。

「---殴れよ?
 痛いのはこの女だけだぜ?

 ほら、どうしたの?
 悪い子になっちゃったわたしを
 殴れよ!」

加奈恵の言葉に、
由紀也は「く、くそっ!」と声を上げる。

悪いのは加奈恵じゃない。
加奈恵は乗っ取られているだけだー。

だがー

「へへ…ばーか!」
加奈恵はそう言うと、父親に唾を吐きかけた。

「---く…く…くそっ!」

由紀也は屈辱的な表情を浮かべて
加奈恵から手を晴らす。

「あはははははははははっ!
 お前は黙って、娘が堕落していくざまを
 見てればいいんだよ!
 きゃははははははっ!」

加奈恵はそう言うと、机に置いてあった
ビールを手にして、それを飲み始めた。

だらしない格好で、
ビールを飲み終えると、
その空き缶を父親の方に投げつける。

「ねぇ?いつまで娘の部屋にいるの?
 この変態おやじ!」

叫ぶ加奈恵ー。

由紀也は「頼む…娘を解放してくれ!」と
土下座をし始めた。

敵対してもダメだー。
由紀也はそう感じた。

今の状態は娘を人質に取られているようなものー。

だったらー
謝るしかないー。

「一昨日はすまなかったー
 気分を害したなら謝る。

 でも、加奈恵は何も関係ないんだ。
 頼むー
 加奈恵を助けてくれ…」

頭を下げる由紀也。
由紀也は、唇から血が出るほどに
唇をかんだ。

加奈恵に憑依しているやつを
引きずりだしてぶん殴ってやりたいー

だが、それは叶わない夢ー。

「俺はどうなってもいい…
 だから、加奈恵は…」

そんな由紀也を見て、
加奈恵は微笑んだ。

「---断る」

それだけ言うと、加奈恵はふらふらしながら
部屋の外へと出て行ってしまった。

「おい!待て!」
由紀也が加奈恵の後を追うー。

するとー
スケートボードの男と赤い髪の女が
由紀也の前に立ちはだかった。

「--おいおい、娘に付きまとうなよ、おっさん」

加奈恵に憑依している金髪男の仲間と
思われるこの2人は、昨日から
家に居座っている。

由紀也は、赤い髪の女の方を見るー
赤髪にピアスー、
やけに不釣り合いな幼い顔立ちー

「---あ、そうだ、おっさん!
 こいつなんだけどさ」

スケートボードの男が笑いながら
赤い髪の女の頭を触る。

「この女、あんたの娘さんと同じだぜ」

スケートボードの男がそう言いながら
1枚の写真を放り投げたー

そこにはー
幸せそうに家族写真に写っているー
女子中学生の姿があったー

そのカオはーー
今、目の前に居る”赤い髪の女”と同じだったー

「---”堕落”」
赤い髪の女が微笑む。

「ーーこの女の父親はさぁ、
 あんたと同じで俺たちに喧嘩を売って来たんだよ。
 だから、娘の身体を奪って、地獄に落としてやった」

赤い髪の女がゲラゲラ笑いながら微笑んだ。

「今じゃこの女は
 酒と薬と煙草とエッチに溺れた
 堕落女だぜ!えへへへへへへ」

赤い髪の女の言葉に、
由紀也は凍りつくー。

これがー
”加奈恵の未来ー”

加奈恵も、こうされてしまうのかー?

「---ま、もうこの女の身体、ボロボロだし
 もう少ししたら捨てるけどなぁ~」

赤い髪の女はケラケラと笑って見せたー。

「---ふ、ふざけるな!」

加奈恵をこんな風にされてたまるか!
由紀也は走り出したー。

加奈恵をなんとしてもとめないといけない。

加奈恵が下りて行った1階の方に向かって
走って行くと、そこには、加奈恵の姿があった。

顔を真っ赤にしている加奈恵。
昨日からずっと酒を飲み続けている。

「---へへへへ…
 そう焦るなって、仲良くやろうぜ」

加奈恵がふひひ、と笑いながら言う。

「--おい!加奈恵、目を覚ませ!」
由紀也は叫ぶ。

今度は、加奈恵の心に呼びかける
作戦に出たー

「--目を覚ませ~?
 くへへへ!むだむだ~!
 今のこの女は俺の操り人形だ!
 身も心も、ぜんぶ、俺のものなんだよ!
 うっひひひひひひひ!

 何をしようと、俺の自由だ~!」

そう言うと、加奈恵は両手で自分の胸を
揉み始めた。

「---うひぃあははははははは~♡」

由紀也は思わず加奈恵の手を掴んだ。

「やめろ!加奈恵!目を覚ましてくれ…頼む!」

泣きそうになりながら嘆願する由紀也。

「うるせ~!邪魔すんな!」
加奈恵が由紀也を振り払って怒鳴り声を出す。

「--安心しなよ、最後にはちゃ~んと
 返してやるよ、身体も、心も…

 堕落した状態でな…
 あははははははっ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから何もできぬまま数日が経過した。

父の由紀也は、会社を休んで
なんとかしようとしていたー。

だがー
加奈恵は、どんどん”堕落”させられていくー

「--へへへへへ…」
両耳にピアスをつけて、金色になった髪を
触る加奈恵。

「ーーーふひっ」
加奈恵は煙草を吸いながら
友人に注射をしてもらって笑みを浮かべる。

「--どうだぁ~?
 自分の娘が堕ちて行く様子を見るのは~?

 もうさ、この女、中毒になっちまってるぜ
 薬切れるとうずうずしてきてたまんねぇ
 うひひひひひh」

だらしない格好でゲラゲラ笑う加奈恵。

「---くそっ…」
父の由紀也は万策つきていたー。

何か抵抗しようとすれば、
家族を滅茶苦茶にしてやると脅される。

妻の伊沙子や、次女の麗にまで
憑依するー、と
そう脅される。

そしてー
その気になれば、憑依した身体を
殺すこともできるー、と。

「まぁまぁ、そう睨むなっておとうさん~!
 身体はちゃ~んと返すからぁ」

焼酎を飲みながらグラスを放り投げる加奈恵。

1週間以上、加奈恵は既に学校を休んでいる。
父が連絡しているから
無断欠席にはなっていないものの、
これ以上は限界というものがある。

どうすることも、できない。

「---えへへへへ…そうだ、お前にいいもの見せてやるよ」

加奈恵が笑いながら、
自宅の2階を指さす。

「--?」

由紀也が加奈恵を睨みながら
「どういうことだ?」と呟くと、
加奈恵は煙草を吸いながら
「いいから見てこいよ」と挑発的に笑う。

「---」
由紀也に選択肢はなかった。

今の加奈恵の言うことを聞かなければ
何をされるか分からないー。

「---」
由紀也が2階に登って行く。

すると、そこにはー
身体を震わせて蹲っている赤い髪の女がいたー。

加奈恵に憑依しているやつらの、
仲間のひとりだー。

「---ああぁぁ…へへ…
 はは…あひひひひひ…」

虚ろな目で笑う赤い髪の女ー

「--久里浜 月子ちゃん…」

背後からスケートボードの男が現れて笑う。

「--その子、今日、”解放”されたんだよー」

その言葉を聞いて、
由紀也は、泣きながら虚ろな目で
笑っている赤い髪の女を見たー

由紀也は、この前、言われたことを思い出す。

「ーーこの女の父親はさぁ、
 あんたと同じで俺たちに喧嘩を売って来たんだよ。
 だから、娘の身体を奪って、地獄に落としてやった」

赤い髪の女は、加奈恵より前に
奴らに憑依された女の子ー

「---あぁ…♡ く、、お、、お…きゃぁあああああああ!」
幻覚が見えているのか、赤い髪の女が悲鳴を上げる。

元々は普通の中学生だった彼女は、
彼らに憑依されて”堕落”させられてしまったー

「--あんたの娘も、同じになるんだぜ!」
スケートボードの男が笑う。

「貴様ら…!」
由紀也がスケートボードの男を睨む。

加奈恵に憑依している金髪の男ー
スケートボードの男ー
そして、赤い髪の女に憑依していた男ー

やつらは、おそらく3人組ー。
なんとかこいつらをー

「---ふざけやがって!」
由紀也は、ヘラヘラ笑うスケートボードの男を殴りつけた。

「ふげっ!?」
いきなりの攻撃にスケートボードの男は
鼻血を噴きだしながら吹き飛ぶ。

そして、由紀也はスケートボードの男を
羽交い絞めにすると、
1階へと降りて行くー。

「---はぁ~♡ お薬キメちゃお~!」
1階では加奈恵が再び腕に注射を
打ちながら笑みを浮かべていたー

この身体はもう、
酒と薬と煙草に溺れているー

「--ん?」
ミニスカート姿であぐらをかきながら
煙草を咥えている加奈恵が、
あるものに気付いた。

由紀也が、仲間の
スケートボードの男を人質にして
近づいてきていた。

「…い、、今すぐ加奈恵を解放しろ!
 でないと…こいつを殺すぞ!」

台所の包丁を、
スケートボードの男の首筋に
突きつけながら、由紀也は
加奈恵を睨みつけた。

「---くひっ…
 お父さんってば、
 そんなにわたしを助けたいんだ!」

加奈恵がバカにした様子で
立ち上がったー。

へらへらと笑いながら、
唾を吐き捨てる加奈恵を睨みながら、
由紀也は今一度叫んだ。

「--俺の娘を返せ!」

とー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

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台風が接近、、なんてお話を聞いて、
不安になる無名さんデス…
どの地方でも影響が出そうですし
皆様も気を付けてくださいネ…!

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憑依<堕落>

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