<憑依>堕落①~悪意~

とある幸せな家庭に、
危機が迫っていたー。

身体を奪われた娘は、
酒に溺れて、薬漬けにされていくー

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帰宅中のサラリーマン・
新谷 由紀也(しんたに ゆきや)は、
ある光景に遭遇したー。

金髪の男が、
気の弱そうな男の胸倉をつかんでいる光景だー。

”おい!俺にぶつかっておいて
 何だその態度は~”

典型的なチンピラだろう。

正義感の強い由紀也は、
それを見て助けることを決意する。

困っている人がいたら放っておけない。

それが、若い頃からの
変わらぬ由紀也の性分だった。

「その辺にしておけ」
由紀也は金髪の男の
腕を掴んだー。

金髪の男は
驚いた様子で由紀也の方を見る。

「なんだぁテメーは?」
耳や口にピアスをしている上に、
非常に酒臭いー。

見た感じ、未成年の可能性もあるぐらいに
若いその男は、
明らかに道を踏み外していたー。

「---その辺にしておけと言ったんだ」
由紀也が言う。

「--はぁ?でしゃばるんじゃねぇよ!おっさん!」
金髪の男が叫ぶ。

「--あ、、、わわわわわ!」
絡まれていた気弱そうな男が
慌てて逃げ出すー。

それを見て、由紀也はとりあえず一安心だと思いながら
金髪男の方を見つめた。

「--君もまだ若いんだ。
 こんなことは、やめておきなさい」

それだけ言うと、由紀也は
何かをわめく金髪男の肩をポンと叩き
歩き出した。

長々とお説教をするつもりはないー。

しかしー

「ふざけやがって!ぶち殺してやらぁ!」
金髪男が、背を向けた由紀也に殴り掛かってきたー

「---!?」

周囲がざわつく。

由紀也は、金髪男の拳を掴むと、
そのまま由紀也を投げ飛ばしたー

由紀也は学生時代、護身術を習っていた。
格闘技も出来るー。

40になったとは言え、
まだまだこんなチンピラには負けない。

「---君、まだ20かそこらだろ?
 親も心配してる。
 こんなバカな真似はやめなさい」

由紀也はそれだけ言うと、
喚く金髪男を無視して
そのまま立ち去ったー。

ほんの人助けのつもりだったー。
だが、これがー
”悲劇”のはじまりとなるー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おかえりなさい~」

自宅に帰ると
由紀也の妻・伊沙子(いさこ)と、
由紀也の娘で、高校生の加奈恵(かなえ)が
リビングで談笑していた。

「あぁ、ただいま」
由紀也は鞄を片づけながら、
”今、通りでからまれてる人がいてさ、
 危うく殴られるところだったよ”
と苦笑いしながら言うー。

「ーーえ~?
 お父さん、気を付けてよね~」

加奈恵が笑いながら言う。

「お父さんだって、もう若くないんだから~」
加奈恵は、父親とも母親とも
とても仲が良い。

可愛らしく、真面目な加奈恵は、
両親にとっても誇りだったし、
とても友達も多かったー。
将来も、立派な女性になるだろうー。

「--ふぁ~あ」
談笑している家族の元に
あくびが聞こえてきたー。

次女の麗(うらら)。
彼女は、長女の加奈恵とは違って
かなりマイペースなタイプ。

今日もボサボサの髪に
ヘッドホンをつけた格好で
音楽を聞きながらあくびをしているー。

「---麗、ただいま」
父の帰宅にも気付いて無さそうな麗に、
由紀也が声をかけると、
麗は慌てた様子で、
「わ!?あ、お、おかりなしゃいませぇぇ」
と訳の分からない返事をしたー

加奈恵と麗ー
タイプはまったく違うが、
二人とも、由紀也にとっては
大切な娘だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

「---うん、わかった。買って帰るね」

長女の加奈恵が、
高校からの帰宅中に、母親とスマホで
話していた。

今晩の食材を頼まれた加奈恵は
帰り道のスーパーでそれを購入しようとするー

いつもの、穏やかな日常ー

しかしー

「---よぉ」
路地に入ったところで、
加奈恵の前に金髪の男が現れたー。

目の下にはクマが出来ていて、
酒臭い。

「---…ど、、どなたですか?」
加奈恵が少し警戒しながら言うと、
金髪の男は笑った。

「ーーどなただって関係ねぇよ。

 俺はテメ―のおやじに恥をかかされたんだ」

金髪男はそう呟いた。

加奈恵は思うー。
そういえば、昨日ー
父が、殴られそうだったとかなんとか言ってたような…と。

「---あ、、あの…」
加奈恵が後ずさりながら言うと、
金髪男は舌打ちをする。

「いかにも父親に気に入られそうな娘って
 感じだな」

そう呟くと、金髪男は、何か合図をしたー。

加奈恵の背後から
柄の悪い男がもう一人、姿を現した。

スケートボードを手にもち、
ガムを噛んでいるガラの悪そうな男だ。
フードつきの服を身に着けている。

「---ちょ、、な、、何をする気ですか!?」
加奈恵が叫ぶ。

金髪男は笑った。

「安心しろよ。
 暴力は振るわないし、乱暴もしない。
 誘拐もしないし、エッチなこともしないー
 な~んにもしないさ」

ケラケラ笑う男たち。

加奈恵は「じ、、じゃあ…何を…?」と
震えながら言う。

金髪男は
そんな加奈恵に向かって呟いた。

「理想の娘が、反抗的になって
 薬漬けにでもなったら、
 あのウゼェおっさん、悲しむだろうなぁ?」

金髪男が言う。

背後のスケートボードの男が、
フーセンガムを膨らませながら
それを破裂させている。

「---わ、、わたし、そんなことしませんから」

加奈恵はそう言って、
金髪男の脇を通って、路地を抜けようとした。

しかしー

「するよ」
金髪男はそう言い放った。

「---きみは、
 酒に溺れて、薬漬けになって、
 堕落した娘になるんだぜ」

金髪男がゲラゲラと笑う。

「---」
加奈恵は、金髪男を無視して
路地を抜けようとしたー。

酒ー?
薬ー?

なにを言っているのか。
そんなこと、するわけがない。

「---!」

路地の出口に、
赤い髪の女が姿を現すー。

女は煙草を吸いながら
加奈恵の方を睨んでいるー。

とても幼く見える
赤い髪の女に行く手を阻まれた
加奈恵は背後を振り返る。

背後からは金髪男と、
スケートボードの男が近づいてきていた。

「---あのおっさんへの復讐だ…!
 大事な娘が、俺みたいなロクデなしに
 なっちまったら、あのおっさん、
 悲しむだろうなぁ」

加奈恵は反論する。

「だ、だから、わたし、そんなことしないから!」

感情的になった加奈恵に対して
金髪男は微笑んだ。

「--するんだよ」

とー。

次の瞬間、金髪男が
加奈恵にキスをしたー

「---ひぐっ!?」
加奈恵が驚いて目を見開くー

金髪男は、加奈恵に吸い込まれるようにしてー
消えてしまったー

「---あ…あ…」
残された加奈恵が、身体を震わせるー

「---へへへへへへ」
「うふふふふふふ」
スケートボードの男と、赤い髪の女が微笑んでいるー。

そしてー

「---くくくくくくくく」
ついさっきまで怯えていた加奈恵も、
笑みを浮かべて笑い始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ーー♪~~~!」
ホクホクの焼き芋を大口を開けて食べる
次女の麗。

「お芋さんは、今日もホクホクであります!」
そう呟くと、麗は嬉しそうに芋を口に運ぶー。

中学生の麗は、高校生である
長女の加奈恵よりも先に帰宅していた。

「--んぐぐぐ…もごごごごごご」
口に焼き芋を詰め込みすぎて
一人苦しむ麗。

ガチャー

そこに、長女の加奈恵が帰宅した。

「は~、ここがあのおっさんの家か」
そう呟きながら家に入ってくる加奈恵。

手には大量のビールや酒を持っているー。

「--ふぇっ!?」
麗は驚いて芋を口から噴き出した。

「--あら、おかえりなさい」
母親の伊沙子が、加奈恵の帰宅に気付いて
奥から出てきた。

しかしー

「え…そのお酒…どうしたの?」
驚く伊沙子。

晩御飯の食材を頼んだが、
お酒の類は頼んでいない。

しかもー
高校生の加奈恵がどうやって
お酒を買ったのか。

「あ~うぜぇうぜぇ」
加奈恵はそう呟くと、
ソファーにだらしなく座って、
缶ビールを開封した。

それをゴクゴクと飲み始める加奈恵。

スカートの中が丸見えに
なっているのも気にせずに
加奈恵はゴクゴクとビールを飲んでいる。

「ちょ、、ちょっと!」
母親の伊沙子は驚いた。

加奈恵は未成年だ。

「----ぷは~っ!」
ビールを飲み終えると、その空き缶を放り投げて
加奈恵が太腿を
おじさんのようにかき始める。

「--ちょっと!加奈恵!」
母が叫ぶ。

するとようやく加奈恵は伊沙子の方を見た。

「--えへへへ~
 あんたがわたしのお母様~?えへへへへ…

 これからわたし、
 堕落した生活を送るからよろしくぅ~」

加奈恵はふざけた様子でそう言うと、
ソファーから立ち上がって2本目の缶ビールを
開封した、

「ひへへへへへぇ~
 こんな娘の姿を見て、
 あのおっさん、どう思うかなぁ~」

腰に手を当てながら
缶ビールをゴクゴク飲む加奈恵。

「--お、、お姉ちゃんがご乱心 もぐもぐもぐ」
妹の麗は、マイペースに焼き芋を
食べ続けている。

「---か~っ!うめぇ~!」
缶ビールを放り投げると、
ふらふらと歩きだす加奈恵

「へへ…この女、もう酔ってやがるぅ~」
加奈恵が酔って顔を真っ赤にしながらニヤニヤしている。

「--へへへへ…
 おか~さん、娘さん、いただきますよぅ~!」

酔った加奈恵は唖然としている伊沙子に絡みだす。

怯えた様子の伊沙子を無視して、
今度は、焼酎を手に取ると、
加奈恵はそれを飲み始めた。

「えへへへ…この女、アル中にしてやるぜぇ…
 んぐふぅぅぅ…」

焼酎に口にして、むせながら
ゲラゲラ笑う加奈恵。

伊沙子は驚いて
加奈恵を止めようとするも、
加奈恵は止めに入った伊沙子を
突き飛ばした。

「邪魔すんじゃねぇよ!」
穏やかな加奈恵の怒鳴り声。

生まれて初めて
怒鳴ったかもしれない加奈恵は
焼酎の容器を机に置くと、
ふらふらしながらへらへらと笑い、
そのまま、だらしない格好で床にあおむけに
倒れてしまった。

制服が乱れてお腹がチラチラ見える状態で
大の字のような状態の加奈恵ー

酔いが回ったのか
意味不明なことを呟くと、
そのまま加奈恵はいびきをかいて
眠ってしまった。

「ふぉぉぉ~…こ、これが反抗期なのですね」
妹の麗はそう呟くと、
自分の部屋へと退散していった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

「ただいま~」

父親の由紀也が帰宅した。

いつものように、
妻の伊沙子、
娘の加奈恵と麗が
楽しそうにしている光景を
目に浮かべながらー

しかしー

「---へへ、おかえり、おっさん」
煙草を吸いながら
紫色の下着姿の加奈恵が、
由紀也を出迎えた。

「---か、、加奈恵…?」
由紀也は思わず驚いてしまう。

「---ふふふふ、そう、加奈恵だよ」
煙草の煙を吹き出しながら、
父親の由紀也に近づく加奈恵。

加奈恵は、ニヤニヤしながら
由紀也に言い放った。

「お前の娘を、滅茶苦茶にしてやるよー」

「--!?」
由紀也は驚いて加奈恵の方を見る。

加奈恵は挑発的な表情を浮かべて
囁いた。

「昨日は、世話になったなぁ…」

加奈恵の憎しみに満ちた声ー。

「き、、、昨日…?」
由紀也は、昨日の出来事を思い出す。

何を言っているんだ?
昨日、加奈恵と喧嘩なんて…

「--と、いうか、お前、酒臭いぞ!」
由紀也が困惑しながら叫ぶと、
加奈恵は微笑んだ。

「--あんたの娘は
 今日から酒に溺れて
 煙草に溺れてー

 そしてー」

加奈恵は腕を指さして
笑みを浮かべたー

「薬漬けになるんだー」

「---!!」
加奈恵の腕には
注射をしたかのような痕があったー

そしてー

「へへへへ~!おっさん!驚いて声も出ないか~!」
自宅の2階から、スケートボードを持った男と
赤い髪の女が下りてくる。

「な、なんだお前たちは!
 どうして俺の家にいる!?」

困惑して叫ぶ由紀也に向かって、
加奈恵は言い放った。

「---俺だよ…
 昨日の夜の金髪の男…
 そう言えば分かるだろ?」

その言葉に、
由紀也は凍りついたー。

加奈恵がー
あの男ー?

その意味を理解できない由紀也に対して
加奈恵はつけ加えた。

「あんたの娘の身体は
 貰ったぜ…
 へへ」

とー。

②へ続く

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憑依された娘が堕ちて行く姿を目の前で
見せつけられることに…?

続きはまた明日デス~

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