とある幸せな家庭に、
危機が迫っていたー。
身体を奪われた娘は、
酒に溺れて、薬漬けにされていくー
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帰宅中のサラリーマン・
新谷 由紀也(しんたに ゆきや)は、
ある光景に遭遇したー。
金髪の男が、
気の弱そうな男の胸倉をつかんでいる光景だー。
”おい!俺にぶつかっておいて
何だその態度は~”
典型的なチンピラだろう。
正義感の強い由紀也は、
それを見て助けることを決意する。
困っている人がいたら放っておけない。
それが、若い頃からの
変わらぬ由紀也の性分だった。
「その辺にしておけ」
由紀也は金髪の男の
腕を掴んだー。
金髪の男は
驚いた様子で由紀也の方を見る。
「なんだぁテメーは?」
耳や口にピアスをしている上に、
非常に酒臭いー。
見た感じ、未成年の可能性もあるぐらいに
若いその男は、
明らかに道を踏み外していたー。
「---その辺にしておけと言ったんだ」
由紀也が言う。
「--はぁ?でしゃばるんじゃねぇよ!おっさん!」
金髪の男が叫ぶ。
「--あ、、、わわわわわ!」
絡まれていた気弱そうな男が
慌てて逃げ出すー。
それを見て、由紀也はとりあえず一安心だと思いながら
金髪男の方を見つめた。
「--君もまだ若いんだ。
こんなことは、やめておきなさい」
それだけ言うと、由紀也は
何かをわめく金髪男の肩をポンと叩き
歩き出した。
長々とお説教をするつもりはないー。
しかしー
「ふざけやがって!ぶち殺してやらぁ!」
金髪男が、背を向けた由紀也に殴り掛かってきたー
「---!?」
周囲がざわつく。
由紀也は、金髪男の拳を掴むと、
そのまま由紀也を投げ飛ばしたー
由紀也は学生時代、護身術を習っていた。
格闘技も出来るー。
40になったとは言え、
まだまだこんなチンピラには負けない。
「---君、まだ20かそこらだろ?
親も心配してる。
こんなバカな真似はやめなさい」
由紀也はそれだけ言うと、
喚く金髪男を無視して
そのまま立ち去ったー。
ほんの人助けのつもりだったー。
だが、これがー
”悲劇”のはじまりとなるー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おかえりなさい~」
自宅に帰ると
由紀也の妻・伊沙子(いさこ)と、
由紀也の娘で、高校生の加奈恵(かなえ)が
リビングで談笑していた。
「あぁ、ただいま」
由紀也は鞄を片づけながら、
”今、通りでからまれてる人がいてさ、
危うく殴られるところだったよ”
と苦笑いしながら言うー。
「ーーえ~?
お父さん、気を付けてよね~」
加奈恵が笑いながら言う。
「お父さんだって、もう若くないんだから~」
加奈恵は、父親とも母親とも
とても仲が良い。
可愛らしく、真面目な加奈恵は、
両親にとっても誇りだったし、
とても友達も多かったー。
将来も、立派な女性になるだろうー。
「--ふぁ~あ」
談笑している家族の元に
あくびが聞こえてきたー。
次女の麗(うらら)。
彼女は、長女の加奈恵とは違って
かなりマイペースなタイプ。
今日もボサボサの髪に
ヘッドホンをつけた格好で
音楽を聞きながらあくびをしているー。
「---麗、ただいま」
父の帰宅にも気付いて無さそうな麗に、
由紀也が声をかけると、
麗は慌てた様子で、
「わ!?あ、お、おかりなしゃいませぇぇ」
と訳の分からない返事をしたー
加奈恵と麗ー
タイプはまったく違うが、
二人とも、由紀也にとっては
大切な娘だったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
「---うん、わかった。買って帰るね」
長女の加奈恵が、
高校からの帰宅中に、母親とスマホで
話していた。
今晩の食材を頼まれた加奈恵は
帰り道のスーパーでそれを購入しようとするー
いつもの、穏やかな日常ー
しかしー
「---よぉ」
路地に入ったところで、
加奈恵の前に金髪の男が現れたー。
目の下にはクマが出来ていて、
酒臭い。
「---…ど、、どなたですか?」
加奈恵が少し警戒しながら言うと、
金髪の男は笑った。
「ーーどなただって関係ねぇよ。
俺はテメ―のおやじに恥をかかされたんだ」
金髪男はそう呟いた。
加奈恵は思うー。
そういえば、昨日ー
父が、殴られそうだったとかなんとか言ってたような…と。
「---あ、、あの…」
加奈恵が後ずさりながら言うと、
金髪男は舌打ちをする。
「いかにも父親に気に入られそうな娘って
感じだな」
そう呟くと、金髪男は、何か合図をしたー。
加奈恵の背後から
柄の悪い男がもう一人、姿を現した。
スケートボードを手にもち、
ガムを噛んでいるガラの悪そうな男だ。
フードつきの服を身に着けている。
「---ちょ、、な、、何をする気ですか!?」
加奈恵が叫ぶ。
金髪男は笑った。
「安心しろよ。
暴力は振るわないし、乱暴もしない。
誘拐もしないし、エッチなこともしないー
な~んにもしないさ」
ケラケラ笑う男たち。
加奈恵は「じ、、じゃあ…何を…?」と
震えながら言う。
金髪男は
そんな加奈恵に向かって呟いた。
「理想の娘が、反抗的になって
薬漬けにでもなったら、
あのウゼェおっさん、悲しむだろうなぁ?」
金髪男が言う。
背後のスケートボードの男が、
フーセンガムを膨らませながら
それを破裂させている。
「---わ、、わたし、そんなことしませんから」
加奈恵はそう言って、
金髪男の脇を通って、路地を抜けようとした。
しかしー
「するよ」
金髪男はそう言い放った。
「---きみは、
酒に溺れて、薬漬けになって、
堕落した娘になるんだぜ」
金髪男がゲラゲラと笑う。
「---」
加奈恵は、金髪男を無視して
路地を抜けようとしたー。
酒ー?
薬ー?
なにを言っているのか。
そんなこと、するわけがない。
「---!」
路地の出口に、
赤い髪の女が姿を現すー。
女は煙草を吸いながら
加奈恵の方を睨んでいるー。
とても幼く見える
赤い髪の女に行く手を阻まれた
加奈恵は背後を振り返る。
背後からは金髪男と、
スケートボードの男が近づいてきていた。
「---あのおっさんへの復讐だ…!
大事な娘が、俺みたいなロクデなしに
なっちまったら、あのおっさん、
悲しむだろうなぁ」
加奈恵は反論する。
「だ、だから、わたし、そんなことしないから!」
感情的になった加奈恵に対して
金髪男は微笑んだ。
「--するんだよ」
とー。
次の瞬間、金髪男が
加奈恵にキスをしたー
「---ひぐっ!?」
加奈恵が驚いて目を見開くー
金髪男は、加奈恵に吸い込まれるようにしてー
消えてしまったー
「---あ…あ…」
残された加奈恵が、身体を震わせるー
「---へへへへへへ」
「うふふふふふふ」
スケートボードの男と、赤い髪の女が微笑んでいるー。
そしてー
「---くくくくくくくく」
ついさっきまで怯えていた加奈恵も、
笑みを浮かべて笑い始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--ーー♪~~~!」
ホクホクの焼き芋を大口を開けて食べる
次女の麗。
「お芋さんは、今日もホクホクであります!」
そう呟くと、麗は嬉しそうに芋を口に運ぶー。
中学生の麗は、高校生である
長女の加奈恵よりも先に帰宅していた。
「--んぐぐぐ…もごごごごごご」
口に焼き芋を詰め込みすぎて
一人苦しむ麗。
ガチャー
そこに、長女の加奈恵が帰宅した。
「は~、ここがあのおっさんの家か」
そう呟きながら家に入ってくる加奈恵。
手には大量のビールや酒を持っているー。
「--ふぇっ!?」
麗は驚いて芋を口から噴き出した。
「--あら、おかえりなさい」
母親の伊沙子が、加奈恵の帰宅に気付いて
奥から出てきた。
しかしー
「え…そのお酒…どうしたの?」
驚く伊沙子。
晩御飯の食材を頼んだが、
お酒の類は頼んでいない。
しかもー
高校生の加奈恵がどうやって
お酒を買ったのか。
「あ~うぜぇうぜぇ」
加奈恵はそう呟くと、
ソファーにだらしなく座って、
缶ビールを開封した。
それをゴクゴクと飲み始める加奈恵。
スカートの中が丸見えに
なっているのも気にせずに
加奈恵はゴクゴクとビールを飲んでいる。
「ちょ、、ちょっと!」
母親の伊沙子は驚いた。
加奈恵は未成年だ。
「----ぷは~っ!」
ビールを飲み終えると、その空き缶を放り投げて
加奈恵が太腿を
おじさんのようにかき始める。
「--ちょっと!加奈恵!」
母が叫ぶ。
するとようやく加奈恵は伊沙子の方を見た。
「--えへへへ~
あんたがわたしのお母様~?えへへへへ…
これからわたし、
堕落した生活を送るからよろしくぅ~」
加奈恵はふざけた様子でそう言うと、
ソファーから立ち上がって2本目の缶ビールを
開封した、
「ひへへへへへぇ~
こんな娘の姿を見て、
あのおっさん、どう思うかなぁ~」
腰に手を当てながら
缶ビールをゴクゴク飲む加奈恵。
「--お、、お姉ちゃんがご乱心 もぐもぐもぐ」
妹の麗は、マイペースに焼き芋を
食べ続けている。
「---か~っ!うめぇ~!」
缶ビールを放り投げると、
ふらふらと歩きだす加奈恵
「へへ…この女、もう酔ってやがるぅ~」
加奈恵が酔って顔を真っ赤にしながらニヤニヤしている。
「--へへへへ…
おか~さん、娘さん、いただきますよぅ~!」
酔った加奈恵は唖然としている伊沙子に絡みだす。
怯えた様子の伊沙子を無視して、
今度は、焼酎を手に取ると、
加奈恵はそれを飲み始めた。
「えへへへ…この女、アル中にしてやるぜぇ…
んぐふぅぅぅ…」
焼酎に口にして、むせながら
ゲラゲラ笑う加奈恵。
伊沙子は驚いて
加奈恵を止めようとするも、
加奈恵は止めに入った伊沙子を
突き飛ばした。
「邪魔すんじゃねぇよ!」
穏やかな加奈恵の怒鳴り声。
生まれて初めて
怒鳴ったかもしれない加奈恵は
焼酎の容器を机に置くと、
ふらふらしながらへらへらと笑い、
そのまま、だらしない格好で床にあおむけに
倒れてしまった。
制服が乱れてお腹がチラチラ見える状態で
大の字のような状態の加奈恵ー
酔いが回ったのか
意味不明なことを呟くと、
そのまま加奈恵はいびきをかいて
眠ってしまった。
「ふぉぉぉ~…こ、これが反抗期なのですね」
妹の麗はそう呟くと、
自分の部屋へと退散していった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「ただいま~」
父親の由紀也が帰宅した。
いつものように、
妻の伊沙子、
娘の加奈恵と麗が
楽しそうにしている光景を
目に浮かべながらー
しかしー
「---へへ、おかえり、おっさん」
煙草を吸いながら
紫色の下着姿の加奈恵が、
由紀也を出迎えた。
「---か、、加奈恵…?」
由紀也は思わず驚いてしまう。
「---ふふふふ、そう、加奈恵だよ」
煙草の煙を吹き出しながら、
父親の由紀也に近づく加奈恵。
加奈恵は、ニヤニヤしながら
由紀也に言い放った。
「お前の娘を、滅茶苦茶にしてやるよー」
「--!?」
由紀也は驚いて加奈恵の方を見る。
加奈恵は挑発的な表情を浮かべて
囁いた。
「昨日は、世話になったなぁ…」
加奈恵の憎しみに満ちた声ー。
「き、、、昨日…?」
由紀也は、昨日の出来事を思い出す。
何を言っているんだ?
昨日、加奈恵と喧嘩なんて…
「--と、いうか、お前、酒臭いぞ!」
由紀也が困惑しながら叫ぶと、
加奈恵は微笑んだ。
「--あんたの娘は
今日から酒に溺れて
煙草に溺れてー
そしてー」
加奈恵は腕を指さして
笑みを浮かべたー
「薬漬けになるんだー」
「---!!」
加奈恵の腕には
注射をしたかのような痕があったー
そしてー
「へへへへ~!おっさん!驚いて声も出ないか~!」
自宅の2階から、スケートボードを持った男と
赤い髪の女が下りてくる。
「な、なんだお前たちは!
どうして俺の家にいる!?」
困惑して叫ぶ由紀也に向かって、
加奈恵は言い放った。
「---俺だよ…
昨日の夜の金髪の男…
そう言えば分かるだろ?」
その言葉に、
由紀也は凍りついたー。
加奈恵がー
あの男ー?
その意味を理解できない由紀也に対して
加奈恵はつけ加えた。
「あんたの娘の身体は
貰ったぜ…
へへ」
とー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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憑依された娘が堕ちて行く姿を目の前で
見せつけられることに…?
続きはまた明日デス~
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