いかにも売れている気配のないリサイクルショップー。
”暇そうだから”という理由で
そんなリサイクルショップのバイトに応募した彼女は
面接の際に衝撃の言葉を聞くことになるー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ~~~~…ウザッー」
同じ大学に通う三重島 亜希(みえしま あき)が
不満そうにそう言葉を口にしているのを見て、
寺峰 円花(てらみね まどか)は
少しだけ笑いながら「どうしたのー?」と、
そんな声をかけたー。
するとー、声を掛けられた亜希は、
「あ!円花!ねぇねぇ聞いてよ~!」と、
愚痴を聞いてほしそうに近付いて来るー。
そして、言葉を続けるー。
「ーいかにも潰れそうなボロいお店で
バイト募集してたからさ~、
ちょっと可哀想かな~って思って応募したのに、
2つぐらい質問されただけですぐに”不採用”って
言われちゃったさ~」
とー。
「ーえ~?2つしか質問されなかったのー?」
円花は困惑した様子でそう言葉を口にすると、
「うんー。マジで最悪ー。バイト募集してないなら
張り紙剥せって言いたくなるー」
と、亜希がなおも不満そうに呟くー
「あー、あははー…それは災難だったねー…」
悔しそうな亜希を慰めようとそんな言葉を口にした円花は
”暇そうなお店かぁ…”と、内心でそう思いつつー、
後日、そのお店に足を運んでいたー。
「ーー確かに滅茶苦茶暇そうー…」
お店の外を見て、思わず苦笑いする円花ー。
”アルバイト募集”の張り紙はまだ貼られたままー。
亜希が落とされてから数日が経過しているにも関わらず
張り紙を貼りっぱなしということは、
まだアルバイトを募集しているのだろう。
円花はそんな風に考えながら
”亜希ー…なんか余計なこと言ったりしたのかなー?”と、
心の中でそんなことを呟くー。
と、言うのも亜希は思ったことをすぐに口にしてしまう
タイプであるため、
こういうお店を見て”売れてるんですか?”とか、
”潰れそうですねーあはっ”とか、
そんなことを言ってしまう可能性も十分にあるのだ。
とは言え、何か別の原因で落とされた可能性もあるー。
そんな風に思いつつ、
円花は”よしっ…”と、小さくそう言葉を口にすると、
そのお店の中へと足を運んだー。
ホコリのニオイが漂っていて、
暗い雰囲気の店内ー。
商品は色々と置かれてはいるものの、
あまり、品ぞろえが良いとも言えないー。
”リサイクルショップ”である以上、
商品の入荷も”買取”が無ければ基本的には増えないわけで、
販売だけではなく、買い取りのお客さんも思うように
来ていない、ということを読み取ることができるー。
がー、円花が今日、このお店にやって来たのは
商品を買うわけでも、何かを売りに来たわけでもないー…。
円花はーー
”アルバイトの募集”に応募しに来たのだー
”ーこんなに暇そうなお店なら、楽そう…!!”
内心でそんなことを思う円花ー。
円花は大学の友達や周囲からは
”しっかり者で頼れる子”と、言うようなイメージを抱かれているー。
確かに、真面目ではあるし、
しっかり者ー…でもあるのかもしれない。
けれど、円花は本当は”かなりの面倒臭がり屋”で、
それを周囲に隠しているだけだったー。
この世界が”働かなくてもいい世界”なら
100パーセント、365日ずっと日曜日にするぐらいには
本当は面倒臭がり屋だー。
そんな円花にとって、”滅茶苦茶暇そうなこのリサイクルショップ”は、
ぜひ採用して下さい!!と言いたくなってしまうぐらいに
”働きたいバイト先”だったー。
そんな円花が店の奥に進んでいくと、
そこにはー…かなり高齢のおじいさんが
居眠りをした状態で座っていたー。
70代ー、いや、もしかすると80代ぐらいかもしれないー。
”昔は繁盛していたのかな…”
そんな風に思いつつも、
こんな感じのお店がアルバイトを募集しているなんて
珍しいなぁ、と、そう思わずにはいられないー。
”雇われて1週間で閉店が決まったりしてー…”
円花はそう思いつつ、
「ーあのーー…お休みのところすみませんー」と、
寝ているおじいさんを起こすことには、
少し気が引けたものの、
とは言え、このまま立ち去ったらそれこそ時間の無駄だー。
電話番号も記載されていないために、直接お店に来るしか
応募する方法もないし、
このまま帰るわけにはいかない。
「ーーーーん?????
おやー…」
円花の言葉に、目を覚ました店主のおじいさんは
腰が痛いのか、痛そうにしながら姿勢を整えると、
「いらっしゃい」と、そう言葉を口にするー。
「ーーあ、あのー
そこの”アルバイト募集”の紙を見てー
お話を聞きたいと思ってー」
”やっとお客さんが来た!”
みたいな目線を向けられたのに、
”あ、バイトの応募っす”みたいな雰囲気になってしまうのは
ちょっと申し訳ない気がしたものの、
とは言え、買うモノもないし、売るモノもない。
素直に言うしかない。
「ーーおぉ、バイトの応募ー?
君みたいな子が来てくれると、本当に助かるよー」
いかにも”おじいさん”と言う様子で喋る店主ー。
「ーーえ…?あ、あ、はいー…
ありがとうございますー。」
そう言葉を返しつつ、
「それで、履歴書とか面接はどうすれば良いでしょうかー?」と、
いつも通り、丁寧に言葉を口にする円花。
極度の面倒臭がり屋であるものの、
こういうところはしっかりとしているため、
周囲からは”良いイメージ”を抱かれやすいー。
「いや、君さえ良ければ採用だよー。
履歴書も面接もいらないー」
店主の老人はそう言葉を口にすると、
「えっ…?えぇ????」と、円花は
思わず、変な声を出してしまうー。
「じ、じゃあ、い、いつから来ればいいですかー?」
いきなり採用されてしまった円花は
友達の亜希が”二つ質問されただけで不採用”にされた理由が
分からずに少し戸惑いの表情を浮かべたものの、
”まぁ、いっかー”と、そのまま店主のほうを見つめたー。
するとー
「あぁ、いやー。あのねー。
君はうちに来なくてもいいんだー」
店主の男は、少し申し訳なさそうにしながら
そう言葉を口にすると、
円花は「え、えぇっ…?」と、さらに困惑した表情を浮かべるー。
すると、店主は言ったー。
「君の姿だけ、貸してほしいー」
とー。
「ーーー????」
困惑する円花ー。
円花は店主のおじいさんにどういうことなのかを確認すると、
店主は、以前、この店で買い取りした特殊な装置で
”変身能力”を身に着けていて、それを使って
円花に変身ー、円花の姿を借りたい、とのことだったー。
「ワシのようなジジイじゃ、なかなか店も繁盛しなくてねー
可愛い店主がいれば繁盛するんじゃないかとそう思ったんだー」と、
そう説明する店主のおじいさんー。
「ーーー…わ、わたしに変身ー…」
戸惑いの表情を浮かべると同時に
円花は憐みの表情も浮かべるー。
変身なんてー、
きっとこのおじいさんはボケてしまったのかもしれない、と、
そんな風に思うー。
そう思いつつ
「あ、あははー…別に、本当に変身できるなら
それでもいいですけどー…
あ、時給とかって貰えるんですかー?」
と、円花はそう確認するー。
すると、店主は「それなんだがー…」と、
そう口を開いてからー、
「ー君に変身してお店を営業した日の売上の50パーセントを
君に支払うーってことでどうかなー?
売上が生まれないと、この店はご覧の有様だから、
給料も支払えないー。
けど、売上があれば給料も支払えるからー
君さえ良ければー、そうしたいー。
君は姿を貸してくれるだけでいいし、ワシは
君の姿に変身している間、このお店からは出ないと約束するー。
君は普段通り生活していて、
ワシのお店で売上が出れば、君に勝手にバイト代が入るー
もし、売上が発生しなくても、
君は普段通り生活してるだけだから、別に大きく損をすることはないー」
高齢の店主は、ゆっくりとした口調で、
おじいさんらしさを感じる部分はあるものの、
思った以上にしっかりとした口調で言葉を口にする。
その言葉を聞いて、
円花は「ま…まぁ…それならー…」と、そう言葉を返しつつ、
「でも、変身なんてー、本当にできるんですかー?」と、
変身のことを聞く。
すると、「ー今、この場で変身していいなら」と、店主は
そう答えたー。
円花は”半信半疑”と言わんばかりの表情を浮かべると
「じ、じゃあー見せて下さい」と、
そう言葉を口にするー。
「ーじゃあー、今から君に変身させてもらうよ」
店主がそう言い放つー。
そしてーー
店主の姿が突然”変化”を始めるーー
一瞬、ドロドロとしたスライムのようなー、
流体金属のようなそんな状態に店主のおじいさんが変化したことで
驚きを見せる円花ー
「えっ!?だ、だ、大丈夫ですか!?」
思わずそんな言葉を発してしまうー。
が、すぐにドロドロとした状態から、人の姿に変わっていくとー、
目の前にいた店主が、本当に”円花”の姿になったー。
「ーーこうやって、君の姿に変身できるんだー」
円花に変身した店主は、円花の姿・円花の声で
そう言葉を放つー。
「~~~~~~~~」
円花は、目の前に”わたし”がいる状況を目の当たりにして
思わず「す…すごいー…」と、それだけ感想を口にすると、
「ど、ど、ど、どうやってるんですかー?え…???」と、
今度は興味深そうに、円花になった店主のほうを見つめるー。
そして、「ちょっと触ってみてもいいですか?」と、
円花は興味津々な様子で、”自分”の姿になった店主を
見回すと、
「ーま、まぁ…君がいいならー」と、円花に変身した店主は
逆に少し戸惑う様子を見せながら、
そう答えたー。
円花は、円花に変身した店主の顔をじーっと
真正面から見つめるー。
円花に変身した店主は、あまりにも真っすぐ見つめられて
少し恥ずかしそうにするような仕草を見せると、
円花は続けて、円花に変身した店主の髪を触ったり、
腕を触ったりしていくー
「ほ、ホントにわたしだー…」
髪質も、腕の感じも、何もかもが”円花”ー。
円花はそんなことに驚きつつ、
最後に、円花に変身した店主の胸を、何のためらいもなく触るー。
別に、円花自身は変態的な意味でそういう行動を
取ったわけではない。
ただ単に、自分の胸を自分で触るような感覚でー、
”わたしの姿に変身した”この店主の身体を
確かめていたー。
「ーすごいー…全部、わたしと同じー」
胸を触り終えた円花がそう言葉を口にすると、
円花に変身した店主は、顔を真っ赤にしたまま
逆に困惑の表情を浮かべていたー。
「ーーそ、そ、それでー
君さえ良ければ、この姿を貸してほしいー
それが、ここでのバイトだー」
円花に変身したまま、店主のおじいさんはそう言い放つー。
円花は「いいですけどー」と、そう言葉を口にした上で
「わたしの姿でお店をやったからって、そんなに変わるものですかー?」と、
首を傾げるー。
円花自身は、かなり可愛い雰囲気の見た目の持ち主ー。
ただー、本人はあまりそれを自覚していない。
「ーーきっと、変わるはずだー。
それにこの店にとっても、ワシにとっても最後の賭けなんだー」
円花に変身した店主はそう言うと、
「変なことはしないと約束するー」と、そうした上で
することは、円花の姿でのお店の仕事と、顔出ししない程度で
SNSでのアピールぐらいだとそう説明するー。
円花の姿で、一人欲望を満たしたり、
店の外をウロウロしたりはしない、と、
そう約束する店主ー。
もちろん、円花にとっては大きなリスクはあるー。
円花に変身した店主が、円花の姿で街に出て
犯罪を犯したりすれば大変なことになってしまうからだー。
ただーーー
円花自身、警戒心が薄いのか、
あるいは、このおじいさんと話をしていて、
”おじいさんは信用できる”と判断したのか、
それとも面倒臭がり屋の円花は、金に目がくらんだのかー…
「ーーいいですよ!」
と、そう返事をしてしまったー。
「ーーありがとうー。”採用”できたのは君が初めてだ」
円花に変身している店主はそう言葉を口にしたー。
今まで、円花の友人の”亜希”のように
見た目のレベルが店主的に”基準外”で不採用にした人間か、
採用にしようとしたけど説明したら断られたケース、
そもそも応募者が男だったケースなどなど、
一度も”採用”に至ることはなかったー。
「ーーーーー」
円花に変身した店主は”ワシはやるぞ”と、内心でそう言葉を口にしながら
決意の表情を浮かべたー…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
”姿”を貸すだけのバイト…!
大変なことにならなければいいですネ~!
今日もありがとうございました~!★!

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