母親の再婚相手と、その娘が入れ替わっていたー。
そんな状況にも慣れて、
新生活は続いていくー。
そんな中、母が転落して病院に運び込まれたと連絡が入りー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
病院の中へと足を踏み入れた三人ー。
健吾の母・裕子がパート先で
他の従業員と共に階段から転落して、
病院に搬送されたー。
その状況を前に、
健吾と希海(隆俊)、そして隆俊(希海)は
裕子の安否を心配すると同時に
”別のこと”も心配していたー。
それはーー…
裕子と、転落した相手が入れ替わってしまっているのではないかー、
というそんな心配だー。
普通、家族が階段から他の人間と一緒に転落した、と
連絡を受けてそんなことを心配する人間はなかなかいないー。
けれど、健吾ら家族の場合は別だったー。
何故なら、希海と隆俊ー…
実際に”入れ替わってしまっている”二人がすぐ側にいるからだー。
「ーーはいー、分かりましたー。ありがとうございます」
隆俊(希海)が裕子がいる病室を病院のスタッフから
聞き出すと、そのままお礼を口にするー。
「ーーでも、やっぱりトシさんの中身が本当は
俺と同じぐらいの年齢なんて信じられないなぁ」
健吾は、隆俊(希海)のほうを見つめながらそう呟くー。
”希海になった隆俊”よりも、
どちらかと言えば”隆俊になった希海”より、
完璧に入れ替わり後の身体に沿った振る舞いをしているー。
最初、健吾が違和感を抱いたのも
希海(隆俊)が妙におじさん臭い振る舞いをしていることが
きっかけだったし、
”どちらかと言えば”希海(隆俊)の方が
ボロを出している感じはあるー。
「ーわ、わたしだってちゃんと女子高生っぽく出来てるでしょ?」
希海(隆俊)は少し悔しそうにそう言葉を口にすると、
「ーはははー…そ、そりゃまぁー。義姉さんはやっぱり義姉さんとしか
思えないしー」と、
笑いながらそう言葉を口にするー。
そうこうしているうちに、
健吾の母・裕子が運び込まれた病室の前にやってくると、
ゴクリと唾を飲み込んでから健吾が病室の入口の前に立ったー。
希海(隆俊)や隆俊(希海)と違って、
健吾にとっては唯一”血の繋がった”家族ー。
もちろん今では希海(隆俊)のことも、
隆俊(希海)のことも、
同じように大事ではあるけれど、
それでも、母・裕子は
健吾にとって”唯一無二”とも言える存在だったー。
病室をノックすると、中から母・裕子の声が聞こえて来たー。
その声を確認すると、
すぐに扉を開けて、その中へと足を踏み入れるー。
「ーーか、母さんー」
ゴクリと唾を飲み込みながら、健吾が
そう言葉を口にすると、
後から病室に入って来た隆俊(希海)と、
希海(隆俊)も心配そうな表情を浮かべるー。
がーー
「ーー心配かけてごめんねー。
そんな深刻な顔をしなくても大丈夫よー。
ちょっと怪我をしたぐらいで、骨折もしてないからー」
と、裕子は”いつも通り”に、そんな言葉を口にしたー。
「ーーほっ…」
”義姉さんと、トシさんのように入れ替わってしまったのではないかー”と、
そんな心配を少ししていた健吾は、心底安心したような表情を浮かべると
希海(隆俊)と隆俊(希海)も、安曽の表情を浮かべてから
母・裕子に向かって話しかけるのだったー。
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裕子の怪我は幸い軽くー、
翌日には退院することができたー。
「ーびっくりさせてごめんねー」
母・裕子がそう言葉を口にすると、
健吾は「いいさー」と、穏やかな口調でそう答えたー。
新しい家族の二人も、もちろん今ではすっかり家族だー。
けれど、裕子は健吾にとって、
唯一の”血の繋がった家族”ー。
だからこそ、健吾も、母・裕子のことはとても大切にしていたー。
その想いは、今までもこれからも変わらないー…
「ーあ、お義母さん、ただいま~!」
希海(隆俊)も、いつも通り帰宅すると、
裕子と楽しそうに雑談をし始めるー。
そんなー、健吾たち家族は”あるイベント”を
控えていたー。
それはー…
”結婚1周年の旅行”だったー。
裕子と隆俊(希海)が結婚してから
もうすぐ1年ー。
夏休みを利用して、家族4人は旅行を企画していて、
その日も目前に迫りつつあったー。
「ーーー義姉さんって海とか入るのか?」
健吾が少し戸惑いながらそう言葉を口にするー。
旅行先は海のある地域で、
ホテルも海の近くー。
暑い季節となれば、当然ー
「ーーーーえ~~~~…
う~~ん…」
希海(隆俊)は少し笑いながらチラッと隆俊(希海)のほうを見つめるー。
”好きにして”と、言いたげなジェスチャーが帰って来ると、
「ーー当日の天気次第かなぁ~」と、そう言葉を口にするー。
希海(隆俊)自身には、別に下心はないー。
流石に、入れ替わった直後はドキドキしてしまうこともありはしたけれど、
今ではすっかり慣れているし、そういう下心的な目で
娘のことを見たりはしないー。
隆俊になった希海自身も、そんな父のことを信頼しているのか、
入れ替わって少しした時に、
”わたしの身体だからって、いちいちわたしに気遣わなくても大丈夫だからねー?
お父さんはお父さんの好きなようにしてー”
と、そんなことを言っていたー。
遠慮し合ったまま過ごすのは
お互いに辛いだろうからー、とー。
ただー、それでも希海(隆俊)は、
本人が気にするかもしれないことに関しては出来る限り隆俊(希海)に確認してから
するようにしていたー。
「ーーはははー、
まぁ、俺もそんな感じかなぁ」
健吾はそう言葉を口にすると、旅行当日を楽しみにしながら
小さく息を吐き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてー、隆俊(希海)と裕子が結婚して1年のタイミングで
家族4人は”初めての旅行”に出かけることになったー。
健吾と裕子、そして希海(隆俊)と隆俊(希海)ー
お互いに”新しい家族”も含めた4人で旅行に出かけるのは
これが初めてのことだったー。
「ーー~~~~~~」
旅行当日は結局”晴れ”だったためー、
海を楽しむことにした4人ー。
がー、希海(隆俊)は、”希海の身体”で海に入るのは
始めてだったのか、少し顔を赤らめながら戸惑っているー。
「ーーね、義姉さんー?」
そんな姉・希海(隆俊)に気付くと、健吾は少し戸惑いの表情を浮かべるー。
「あ、え~っと、入れ替わってから友達とも海には行ってなかったから
ちょっと慣れなくてー」と、苦笑いするー。
「ーーーあーーあぁ~…まぁ、そっかー」
もちろん、入れ替わり未経験の健吾からすれば、
100パーセントそんな状況を理解できるわけではないけれど、
それでも理解しようと、そう言葉を口にしてから、
「ーー無理はしなくていいからなー?」と、
姉を思いやる弟としてそんな言葉を口にするー。
「ーあははー、ありがとうー。
健吾は優しいね」
希海(隆俊)はそう言葉を口にすると、
「まぁでも、せっかくだし、少し泳ごうかなー?」と、
そんな言葉を続けたー。
やがてー、海でのひと時を終えて、
予約してあった宿泊施設に到着した4人ー。
希海(隆俊)は「まずは温泉かな~!」と、
そう言葉を口にすると、
隆俊(希海)は笑いながら
「僕はゲームコーナーでも覗いてこようかなー」と、
そう言葉を続けるー。
「あらあらー何だか”逆”みたいねー」
二人が入れ替わっていることを知らない母・裕子は
冗談めいた口調でそう言葉を口にすると、
希海(隆俊)と、隆俊(希海)は一瞬、ギクッとしたような
表情を浮かべたものの、
すぐに希海(隆俊)が「よく言われる~!
友達からも、スマホ苦手すぎでしょ!とかよく言われるし!」と、
自虐ネタっぽくそう言葉を口にすると、
隆俊(希海)も「はははー。希海より僕の方が得意だもんなースマホ」と、
それに乗った言葉を口にするー。
そんなこんなで、
希海(隆俊)は温泉に、隆俊(希海)はゲームコーナーに
行くことに決まり、
母・裕子はひとまず部屋で少しのんびりしてから、
お土産コーナーでも見て見ようかな、と
そんな話になったー。
「ーーじゃあ、俺もゲームコーナーを見て見ようかな」
健吾はそう言葉を口にすると、
隆俊(希海)と共にゲームセンターに向かうー。
「ー最近こういうところに来てなかったから
ワクワクするなぁ」
ホテルに到着してから、希海(隆俊)よりも
張り切った様子の隆俊(希海)ー。
こういうところを見ると
”入れ替わっている”ことを知っている健吾としては
”やっぱり入れ替わってるんだな”と、
改めて実感させられるー。
「ーートシさん、ホッケーとか強そうだよなぁ」
健吾がそう言葉を口にしながら
隆俊(希海)のほうを見つめると、
隆俊(希海)も「お?いいねー。やってみる?」と、
そう言葉を口にしてから、
嬉しそうに、ホッケーで勝負をし始めたー。
一方ー、
希海(隆俊)は温泉にやってくると、
「流石にもう慣れたけどー、最初は悪いことしてるような気がして
大変だったなぁ…」と、そんなことを呟きながら
女湯の方に入っていくー。
温泉に来る機会はそうそうあるものではないけれど、
入れ替わった直後から、”トイレ”に入る時には
”女子トイレ”を選ばないといけなかったし、
希海として学校に登校して、体育の授業を受ける時には、
男子と女子に分かれるために、
自分は”女子”の方に行かなければならなかったー。
入れ替わった直後から
どうしても直面する”男”と”女”を分ける場面ー。
最初の頃は本当にドキドキしたし、
まるで自分が罪人になっているような、そんな気分さえ味わったー。
「ーーーもう今は慣れてるけどねー」
希海(隆俊)はそう呟きながら、温泉に浸かると、
「はぁ~~生き返るぅ~…」と、
のんびりとお風呂につかり始めたー。
隆俊(希海)も、希海(隆俊)も、健吾も、そして母の裕子も、
それぞれ旅館でのひと時を堪能すると、
やがて、夕食の時間が訪れたー。
ホテルの食事らしく、それなりに豪華な食事が並び、
4人とも、そんな料理を楽しそうに口に運びながら、
雑談を交わしていくー。
「ーそういえば義姉さんー、温泉はどんな感じだったー?
夜に俺も入ろうと思ってー」
健吾がそう言葉を口にすると、
「すっごく気持ち良かったよ~!」と、嬉しそうに返事をするー。
そんな会話をしながら、希海(隆俊)がチラッと、
他の机に置かれている”ビール”を見つめると、
健吾もその視線い気付いて希海(隆俊)の顔を見るー。
希海(隆俊)は苦笑いしながら
”飲まない飲まない”と、言いたげなジェスチャーを返してくると、
健吾は安心した様子で少しだけ笑うー。
隆俊(希海)は、料理を美味しそうに口を運びながら
やがて、デザートのスイーツのほうを見つめるー。
スイーツを見る目はどこかキラキラしていて
微かに”中身が女子高生”なのだと感じさせるような、
そんな雰囲気を覗かせていたー。
「ーーー」
母・裕子は、そんな三人の様子を見つめながら
心の中で”健吾はちゃんと元気に育ってるしー、
わたしも元気だからねー”と、
死別した夫・達夫に対してそんな言葉を
心の中で口にするー。
達夫は死の真際、
”俺がいなくなったら、俺のことは気にしなくていいー。”
ずっと、一人でいる必要はないからー…
その時が来たらー”
と、そう言っていたー。
その言葉があったからこそ、
こうして新しい家庭を築くことが出来たー。
きっと、何も言わずにいなくなれば、裕子はずっとその先
一人でいるであろうことを、裕子の性格を理解している達夫は
読んでいたのだろうー
裕子は、そんな亡き夫に、自分が幸せであること、
そして、息子の健吾もしっかり育っていることを心の中で伝えると、
改めて”今の家族”のほうを見つめたー。
まるで本当に姉弟のように
楽しそうに話をしたりしている希海(隆俊)と健吾ー。
裕子は”入れ替わり”のことは知らないけれど、
仮にこの先、知ることがあっても、きっとー、
それを受け入れられるとは思うー。
続けて、
隆俊(希海)が少し嬉しそうにスイーツを食べている姿を
見つめると、裕子は穏やかに笑うー。
この新しい家族と共にー、
この先も、幸せな日々を送っていきたいー。
裕子は、そして他の3人も、
改めて今の”新しい家族”の大切さを認識するのだったー
おわり
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コメント
新しい父親の娘の様子が変だ の後日談でした~★!
見たい!というお声があったので、
浮かんだ2つのエピソード(お母さんの転落と旅行)の
両方を組み合わせて後日談を考えて見ました~!★
これからも、家族で幸せに暮らしていくことが
できそうですネ~!!
お読み下さり、ありがとうございました★!

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