<憑依>生意気な後輩と憑依薬を手に入れた先輩①~煽~

先輩である彼のことを何かと馬鹿にしてくる後輩ー。

そんな後輩にうんざりしていた彼はある日、
憑依薬を手に入れてしまうー。

憑依薬を手に入れた彼は、それを使って生意気な後輩をー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーえ~~…
 先輩って、彼女いたことないんですかぁ~?」

クスクスと笑いながらそう言葉を口にするのは、
同じ高校に通う後輩ー、
黒崎 寧々(くろさき ねね)ー。

そんな寧々の視線の先には
寧々の先輩である男子生徒・福原 樹(ふくはら いつき)の姿があったー。

樹は困惑の表情を浮かべながら、
「ーーべ、別にいいだろー?」と、そう言葉を返すも、
寧々は「別にいいんですけど~じゃあ、先輩は
”彼女いない歴=年齢”の、童貞ってことですよねー?」と、
煽るような口調でそう言葉を続けるー。

「ーぐ…ぐぬぬぬぬぬー…」
悔しそうにしながら樹は、後輩・寧々のほうを見つめるー。

寧々とは、
同じ”演劇部”に所属する先輩と後輩の間柄だー。

”夏に暑い外や体育館で部活をするのはイヤだから”という理由で
文化部を選んだ樹。

その中でも、部員数が少なく、
人間関係的にも、活動量的にも”楽そうな”演劇部を選んだー。

もちろん、演劇部でも忙しいところはたくさんあるし、
立派に活動しているところはたくさんあるー。

けれどー、
少なくとも樹の通っているこの高校の場合ー、
演劇部はほぼ活動実態がないような状態で、
それが、樹が演劇部を選んだ理由だったー。

「それにしても先輩、
 ”帰宅部にはなりたくないから暇そうな部活を”って、
 理由で演劇部を選んだんですよね~?

 先輩らしい、中身のないスッカスカの理由ですよねー」

寧々はツインテールを揺らしながら、
なおもそんな言葉を口にするー

「お、お、お前なぁ…
 さっきから言いたい放題いいやがってー」

樹は困惑した表情と、悔しそうな表情が
混ざったような、そんな言葉を口にするー。

後輩の寧々は、とても可愛い。
ツインテールがトレードマークで、
顔立ちも、スタイルもいいー。

ただー
何故か、先輩である樹のことを
いつも生意気に煽って来るー。

「ーーはぁー…
 よりによって、今日も黒崎と二人なんてー」

大きくため息を吐き出す樹ー。

”演劇部”には現在、樹らを含めて
4人の部員がいるー。
うち2人は、今ここにいる樹と、後輩の寧々ー。

そして残りの二人のうちの一人は、
三年生で既に受験の方が忙しくなっていて
ほとんど顔を出すことのない女子生徒・明日香(あすか)ー、
そしてもう一人が寧々と同じく1年生の
男子生徒・哲郎(てつろう)という男子生徒であるものの、
この哲郎は完全に幽霊部員で、
少なくとも樹は一度も哲郎を見たことがないー。

「ーまぁまぁ、こんなに可愛い後輩が、
 先輩のように、モテない男子と一緒にいてあげてるんですからー
 感謝の言葉の一言ぐらい欲しいものですけどー」

寧々はそう言葉を口にしながら笑うー

「い、いや、頼んでねぇし!」
樹は思わずそう叫ぶー。

が、寧々は
「え~?でもでも、わたしがいないと
 先輩、女子と話す機会もどうせないですよね???」と、
クスクス笑いながら煽って来るー。

「い、い、いるーーーーー…」
”いるし”と言おうとした樹ー。

が、よく考えたら、
同性の友達は結構いるものの、
女子と特別、話をするようなことはあまりないー。

必要であれば話はするし、無視をされたりしているわけでは
ないものの、それ以上のことは何もないー。

そして、バイト先は、シフトが被るのが男ばかりで
特に異性との接点はないに等しいー。

「ーい、いや、いや、いる!!いるし!!!」
それでも、樹はそう叫んだー。

何故なら、樹には妹の真綾(まあや)がいるからだー。
真綾とは日常的に色々と話をしているー。

「ーーえ~~?ホントですか~~~???
 ”ダウト”ですよね~?」
煽るような口調で、寧々は、
”わたし以外に話す女子なんていないですよね~???”と
言いたげな表情を浮かべるー。

「ー嘘じゃないし!真綾といつもたくさん話してるし!」
樹がそう言葉を口にすると、
「ーー真綾?誰?」と、寧々は突然低い声でそう言葉を口にしたー。

「ーーひっ…
 な、なんだよその反応ー」
樹はそう言葉を口にすると、
「妹だよ!妹の真綾!」と、そう言葉を続けるー。

すると、寧々はクスクス笑いながら
「今のわたしの反応にビビってませんでしたー?
 先輩ってばチキンですね!チキン!
 チキンナゲット!」と、煽り続けるー。

その上で、
「っていうか先輩、シスコンなんですか?」と、
ドン引きしたような表情を見せる寧々ー。

「ーな、な、なんだよ!!
 妹を大事にすることはいいことだろ!?」
樹が顔を赤らめながらそう言うと、
寧々は、揶揄う様にして「キ・モ・イ♡」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーーぐぬぬぬぬぬぬ…!
 お前は今、全国の妹を大事にしているお兄ちゃんを
 敵に回したぞ」

樹がそう言うと、
寧々はクスクスと笑いながら、
「別に、全国のお兄ちゃんのことは言ってませんよ~?
 先輩だから、キモイんです」と、笑いながらそう言葉を口にしたー。

「はぁーくそっ…
 帰宅部回避のためにヒマそうな演劇部に入ったのにー」
悔しそうにする樹。

そんな樹に対して
「あ!先輩!今全国の演劇部員を敵に回しましたよ???」と、
先程の仕返しをするかのように、言葉を口にしたー。

「ぐぐぐぐぐぐ…」
樹は悔しそうにすると、大きく息を吐き出してから
首を横に振るー。

”こんなやつにムキになるだけ、時間と労力の無駄だー
 落ち着け、俺ー”
そんなことを内心で思いつつ、深呼吸をしていると、
そんな樹の様子を見ていた寧々は言ったー。

「ー彼女いない歴=年齢で童貞の先輩が
 可愛そうなので、わたしで良ければ付き合ってあげましょうかぁ~?」

とー。

「ーーはぁ!?」
樹は思わず裏返ったような声を出してしまうー。

そして、戸惑いながら
「だ、だ、だ、誰がお前なんかと!
 生意気で可愛げもないし!」と、そう言葉を口にするー。

すると、寧々が、突然しゅんとした表情を浮かべたのを見て、
「うわっ!?ご、ごめっ…」と、樹はそう叫ぶー。

しかしー、また寧々はクスクスと笑うと、
「ー先輩はバカなんですかぁ~?すぐわたしの芝居に引っ掛かっちゃって!」と、
そう言いながら
「ー先輩がわたしと付き合えると本気で思ってるんですか?
 鏡見て下さい!か・が・み!」と、
そう言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した樹は不満そうにしながら
先に帰宅していた妹の真綾に愚痴を口にするー。

「あはははー…お兄ちゃんってば、いつもその子に
 振り回されてるねー」

真綾がそう言葉を口にすると、
樹は「全くだよー。あの生意気な後輩をいつか分からせてやるー」と、
そんな風に呟くー。

「ーあははー落ち着いて落ち着いてー」
妹の真綾は笑いながら、兄である樹の不満を受け止めるー。

が、今日は散々馬鹿にされた樹は
まだ怒りが収まらないのか、
寧々の愚痴をさらに吐き出し続けるー。

そんな兄・樹の話を聞いていた真綾は
「うーん…そんなにその子が嫌ならー
 ちょっと仕返しするための道具ならあるけど」と、
突然そんなことを言い出したー。

「ーえっ?仕返し?」
突然の言葉に、少し戸惑いの表情を浮かべる樹ー。

「うんーえっとねー」
真綾はそう言葉を口にすると、
「ちょっと待ってて」と、そう言葉を口にした上で、
自分の部屋の方に何かを取りに行くー。

そしてー…

「ーはい、これー」
謎の”カプセル”を1錠、手渡してくる真綾ー。

「えっと、これはー…???」
手渡されたモノが何なのか分からず困惑の表情を浮かべると、
真綾は言った。

「憑依薬って言うんだけどー、それを飲めば
 その子に憑依出来るよー」

とー。

「は…???え???
 ひ、憑依ってー…か、身体を奪うみたいなやつー?」
樹はそこまで言うと、
「ど、どうしてこんなものー?
 …えっ…?っていうか、流石に冗談だよなー?」と、
戸惑いの言葉を口にするー。

が、真綾は「あははー本物だよ?」と、そう言葉を口にすると、
「お兄ちゃんのこと、傷つけたりするつもりはないから、安心して」と、
”毒入り”ではないと、そう言葉も口にした。

「~~~~~~~」

真綾は、時々おかしな行動を取るものの、可愛いし、
兄の樹にも懐いているー。
ただ、流石にこれはー…

そう思いながらも、「お兄ちゃん!頑張って!」と、微笑む真綾を
前に樹は戸惑うことしかできなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

「ー先輩も好きですねぇー。
 幽霊部員になればわたしと会わなくても済むんですよ~?」

またもや、部室にやってきた寧々は
ツインテールを揺らしながら、樹を揶揄うー。

「ー可哀想で惨めな先輩にキスでもしてあげましょうか?」
寧々はふざけたような口調でそう言葉を口にするー。

がー、部室で待っていた樹は
”カプセル”を手にしたまま沈黙しているー。

「ーあ、先輩ー?もしかしてわたしのことも
 妹のように思って内心で可愛いと思ってます?

 ーそういうシスコンみたいな目を向けられるのは
 わたし、ちょっとキモイと思っちゃうんで遠慮して貰えるとー」

ドン!

突然、樹が机を叩いたー。

「えっ」
寧々は、今までに見せたこともないような
驚いた表情を浮かべるー。

すると、樹は言ったー。

「いつもいつも俺を馬鹿にしやがってー。
 シスコンで悪かったなー。キモくて悪かったなー」

そう言葉を口にすると、樹は持っていたカプセルー…
憑依薬を飲み込むと、
そのまま寧々のほうを見つめたー。

「ーー黒崎さんに憑依してやるー」
怒りの形相でそう言葉を口にする樹ー。

「ひ、憑依ー…えっー?」
怯えた表情を浮かべながら後ずさる寧々ー。

一瞬、そんな寧々のことを”可哀想”とも思ってしまったものの、
すぐに”どうせ演技に決まってるー”と、
心の中でその同情を打ち消すと、
樹はそのまま”寧々”に憑依したー

悲鳴を上げながら逃げようとした寧々に
そのまま”憑依”すると、
ビクッと震える寧々ー。
憑依される直前、目に浮かべた涙がそのまま零れ落ちるー。

やがてー…
寧々の身体の感覚を感じると、
その綺麗な手を見つめながら
「す、すごいー…」と、寧々の声でそう言葉を口にするー。

自分の口から”寧々”の声が出たー。
それだけでおかしな気持ちになりながら、
「ほ、ホントに憑依できるなんてー…」と、少し呆然としたような、
そんな表情も浮かべるー。

”憑依薬が本物かどうか”
妹の真綾から貰ったものとは言え、
正直、半信半疑な部分もあったー。

ただ、もしも偽物だったとしても、
寧々をちょっと怖がらせて仕返ししたいという
気持ちはあったし、それでいいと思っていたー。

ただー、本当に”憑依”できてしまったー。

「ーーーーー」
部室にある、演技中の表情を練習する際などに使われる
鏡のほうを見つめると、
「ーー見た目だけは可愛いんだよなー…生意気だけどー」と、
不満そうにそう言葉を口にするー。

がー、その時だったー

「ー何かあったのかー!?」
近くを通りがかった先生が、憑依される直前の寧々の声を聞いたのだろうー。

そんな言葉を口にしながら部室に駆け込んでくるー。

寧々に憑依した樹は一瞬ビクッとしたものの、
すぐに「い、いえー…え、演劇の練習をしてたのでー」と、
そう言葉を返すと、
その先生は「な、なんだー、そうかー。ならよかったー」と、
安心した様子で立ち去っていくー。

「ふぅー」
安堵の表情で息を吐き出した寧々ー。

「ーさて、どう懲らしめるかー」

本当に憑依出来てしまったのであればー、
少し”お仕置き”をしたいー。

そんな風に思いながら、
自分のものになった寧々の身体を見下ろすのだったー…。

②へ続く

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コメント

生意気な後輩に憑依してしまった先輩…★!

この先どうなっていくのかは、
明日以降のお楽しみデス~!!

今日もありがとうございました~!★!

「生意気な後輩と憑依薬を手に入れた先輩」目次

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