<他者変身>人間に変身する鳥①~異変~

彼女が飼っていたオウムが
突然変異を起こして”言葉”だけではなく、
”姿”も真似するようになってしまったー。

変異したオウムと、カップルの物語ー…。

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「おはようー おはようー」

同じ大学に通う彼女、葉山 琴美(はやま ことみ)の
部屋にお邪魔した彼氏・須田 昌磨(すだ しょうま)は、
そんな言葉を聞いて、苦笑いしたー。

「ーははー、今は夕方だぞ~?」
とー、そう言葉を口にしながらー。

しかし、そう指摘されても、
その声の主は再び、「おはようー、おはようー」と、
そう繰り返したー

「ーーはは」
昌磨はそう言葉を口にすると、
その声の主を見つめるー。

彼女である琴美の部屋で昌磨を”おはよう”の挨拶と共に
出迎えたのは、彼女の琴美自身ではないー。

昌磨の視線の先にいたのはーー
彼女である琴美が可愛がっているオウム…
”ポーちゃん”だったー。

「ーーおはよう おはようー」
オウムのポーちゃんがそう言葉を繰り返すー。

それを見て、微笑ましそうな表情を浮かべていた
昌磨の背後から、「お待たせー」と、
ようやく彼女の琴美が姿を現したー。

「ーあぁ、ははーありがとうー」
どうやら飲み物やお菓子を用意していたようで、
それを持ってきてくれたようだー。

「おはようー おはようー」
相変わらず、オウムのポーちゃんがそう言葉を繰り返す中、
琴美はポーちゃんのほうを見つめると、
「ポーちゃん、”おはよう”しか挨拶できなくてー」と
苦笑いするー。

「ははー、でも可愛いよなー
 俺もオウム、飼ってみようかなー」

昌磨は、彼女の部屋の”ポーちゃん”を見つめながら
そんな風に笑うと、
琴美は「うんうん。可愛いよー」と、そう頷きながらも、
「あ!でも、たまにねー、”今その言葉言わないで~!”って
 こと言っちゃったりとかもあるけどねー」と、
少し冗談めいた口調で言葉を口にするー。

「ーはははー、いったい何を言われたんだ?」
昌磨が笑いながらそう言葉を返すと、
琴美は少し考えたあとに「ーひみつ」と、
悪戯っぽく微笑んだー。

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その日の夜ー…

「ーー今日も疲れたねー 今日も疲れたねー」
そんな言葉を口にしていたオウムのポーちゃん。

しかしー…
そのポーちゃんに”変化”が起き始めたー。

生物は長い歴史の中で突然変異を起こし、
そうして進化してきたー。

その”突然変異”が今日ー、この場所で、
オウムのポーちゃんに”偶然”起きてしまったー。

「ーーーおはようー」
オウムのポーちゃんは一人、そう呟くと、
突然、その”姿”がゆっくりと変化し始めたー。

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♪~~~
♪~~~~

翌朝ー。
朝早くからスマホが鳴り響くー。

「ーーこ、こんな朝早くに誰だー?」
熟睡していた昌磨は、その音に起こされると、
困惑の表情を浮かべながらそう言葉を口にしつつ、
スマホを確認するー。

すると、スマホには彼女の琴美の名前が
表示されていたー。

「ーー!?」
こんなに朝早くに琴美が電話をかけて来るー。

ただ事ではないと思い、青ざめながら
昌磨がすぐに通話を開始すると、
「琴美ー?どうかしたのかー?」と、
心配そうに言葉を口にしたー。

すると、琴美は
”朝早くにごめんねー”と、そう言葉を口にした上で続けるー。

”実は、ポーちゃんがー…”

琴美が飼育しているオウムのポーちゃん。
その名前を口にする琴美ー。

「ポーちゃんがー…?
 どうかしたのかー?」
昌磨はそう言葉を口にしつつ、
ひとまず、琴美自身は無事そうであることに
心のどこかで安堵するー。

が、続く琴美の言葉を聞いて
昌磨は、その安堵が吹き飛ばされるほどの衝撃を
受けることになってしまったー。

”実はー…ポーちゃんが”わたし”になってー”

「ーーへ?」
昌磨は、思わず間抜けな声を出してしまうー。

彼女の琴美が何を言っているのか、
すぐに理解することはできなかったー。

”ーえ、えっとー、そうだよねー。
 信じられないよねー。

 でも、そのー
 ポーちゃんが”わたし”になっててー”

琴美がなおもそう言葉を口にすると、
昌磨は「え、えっとー、それはどういうー」と、
混乱しながら言葉を返すー。

しかし、電話相手の琴美も混乱しているようで、
状況を上手く把握できないー。

そんな状況に、昌磨は
「今からそっちに行ってもいいかー?」と、
直接琴美の家に足を運んだほうが早いと判断して
そう言葉を口にすると、
琴美も”うんー…待ってるー”と、
不安そうにしながらも、どこか安堵したような声で
そう返事をするー。

電話を終えると、すぐに昌磨は出かける準備を終えて、
そのまま琴美の待つ家へと向かうー。

そして、琴美の家に到着すると、
琴美は今一度、「朝早くに本当にごめんねー」と、
そう謝罪の言葉を口にした上で、
昌磨をオウムの”ポーちゃん”がいる部屋へと招き入れたー。

すると、そこにはー

「ーうわっ!?!?えっ!?」
部屋に入った昌磨が目にしたのは、
そこにいるはずのない”もう一人の琴美”だったー。

琴美は玄関先で出迎えてくれて、部屋まで
案内してくれたー。
その琴美が”先に部屋の中にいる”などという状況は
あり得ないはずなのだー。

しかし、確かに部屋の中には”もう一人”琴美がいたー

「おはようー おはようー」
もう一人の琴美はそう言葉を口にしながら
昌磨を見つめるー。

「ーえ…」
オウムのポーちゃんがよく発していた言葉を口にする
”もう一人の琴美”を見て、昌磨は困惑したような表情を
浮かべると、琴美のほうを見て、
「も、もしかしてー…」と、そう言葉を口にする。

「うんーーーー…たぶん、ポーちゃん…
 朝、起きたらこうなっててー」
琴美は戸惑いの表情を浮かべつつ、
「あれを見て」と、指差すと、
そこには、オウムのポーちゃんが入っていた鳥かごの”残骸”が
置かれたままになっていたー。

「ーーポ、ポーちゃんが琴美の姿になったっていうのかー?」
心底戸惑った表情で、昌磨がそう言葉を口にすると、
琴美は「そんなこと、あり得ないと思うけどー…
目の前で起きてるからー」と、困り果てた様子で言葉を口にしたー。

オウムのポーちゃんは突然変異を起こし、
人の言葉をマネするだけではなく、
人間の姿まで真似するようになってしまったのだー。

「ーー…」
昌磨は戸惑いつつ、オウムのポーちゃんが変身した
琴美のほうを見つめるー。

確かに、見た目は琴美であるものの、
表情はまるでロボットのようにぎこちないー。

どこか虚ろな目のままだし、
言葉を発しても、そこに感情が籠っておらず、
ロボットのような印象も受けてしまうー。

その時だったー

突然、ポーちゃんが変身したオウムが
”おはよう おはよう”と言いながら
自分の胸を揉み始めるー

「ーえっ!?」
昌磨は、外から見れば”琴美が自分の胸を揉んでいるようにしか見えない”
その光景を前に、顔を真っ赤にしながら戸惑いの表情を浮かべると、
琴美も慌てた様子で「ちょ、ちょ、ちょっと!何してるの!?」と、
そう言葉を口にしながら、
自分と全く同じ姿になったオウムのポーちゃんの行動を
止めようとするー。

さっきから、ポーちゃんは時々、変な動きをしたり、
身体を触ったりしているー。

恐らくー、下心から胸を揉んでいるのではなく、
純粋に”何が何だか分からない”状況の中で
たまたま胸を触っているのだと思うー。

ただ、そんな姿を見ているのは、
やっぱり琴美からすれば違和感だらけだし、
心地の良いものではなかったー。

「ーごめんね ごめんね」
琴美に変身しているポーちゃんは、
普段の琴美の言動を真似るようにしながら、
そんな謝罪の言葉を口にすると、
また、胸を触り始めるー。

”ごめんね”とは言っているものの、
オウムのポーちゃんにその意味は分かっていないー。
別に謝罪するつもりでそう言っているわけではなく、
ただ単に普段、琴美が口にすることのあるセリフを真似して
口にしているだけだー。

「ーー…これってー」
戸惑いの表情を浮かべながら、昌磨が少し間を置くと、
「これって、行動も人間の真似してるのかー?」と、
そう言葉を口にするー。

今、琴美に変身しているオウムのポーちゃんが、
琴美の姿で胸を揉んでいるのは、
普段から琴美がこういうことをしているからなのではないかと、
そんなことを思って少しドキドキしてしまうー。

「ーーち、ちがっ!し、してないし!」
琴美は顔を赤らめながらそう言葉を口にすると、
「ほら!オウムが普段真似するのは声だけでしょ!?
 人間の行動は真似してないから、
 人間の姿に変身しても、行動は誰かの真似してるわけじゃないと思うよ!」
と、そんな言葉を続けるー。

「ーー確かにそれもそうかー」
昌磨は、琴美の言葉に納得しながら
琴美の姿をしているオウムを見つめるー。

胸を揉むのを終えて、今は鳥のような動きを
しているポーちゃん。

がー、その時だったー。

突然、ポーちゃんの姿が変わっていきー、
今度は”昌磨”の姿に変身したー。

「ーうぉっ!?!?!?」
昌磨が驚いた表情を浮かべながらそう叫ぶと、
琴美も「えっ…今度は昌磨ー!?」と、
困惑した表情を浮かべるー。

琴美の姿から、昌磨の姿にー。

同時に”服”も、琴美が着ていた服から
昌磨が今、着ている服に変化しているー。

「ーーあぁ…これ…”服”も、擬態っていうかー…
 本物じゃないのかー」

昌磨は、昌磨の姿に変身したポーちゃんを
見つめながらどこか感心した様子でそう言葉を口にすると、
昌磨に変身しているポーちゃんの”服”を触るー。

触り心地は本物の服だし、見た目からも変化は分からないー。

ただー、変身した瞬間に”服”も変わっているところを見ると、
”服も含めた状態”で、変身しているのだろうし、
服は偽物なのだろうー。

「ーーおはようーおはようー」
昌磨に変身したオウムのポーちゃんが、昌磨に向かって
そんな言葉を口にするー。

自分に”おはよう”と言われているような状態に
戸惑いの表情を浮かべた昌磨は
「ーおはようー」と、困惑しながらも、
とりあえずオウムのポーちゃんにそんな返事を返すのだったー。

「ーーーでも、どうしようー」
琴美がひと息置いてから、困惑した表情を浮かべながら
そう呟くー。

オウムのポーちゃんが人間の姿に変身してしまったー。

正直、この先どう飼育を続けていいのか分からないー。

「ー何食べるのかとかも分からないし、
 もし近所の人に見られたら大変だしー、
 かと言って逃がすわけにもいかないしー…

 ポーちゃんのことは好きだから、逃がしたくもないしー」

琴美が困り果てた表情を浮かべながらそう呟くと、
昌磨は「ーーそうだなぁ…」と、昌磨自身も
どうしていいのか分からず、昌磨に変身している
オウムのポーちゃんのほうを見つめるのだったー。

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数日後ー

結局、あの後、二人は話し合いをした結果ー、
オウムのポーちゃんの飼育はそのまま続けることにして、
昌磨もできる限り、その様子を見に行くー、ということで
対応していたー。

”また、急に元に戻るかもしれないし”
昌磨は、オウムのポーちゃんがまた急にオウムの姿に戻るかもしれない、と、
そんな考えも示していて、
琴美も”そうだといいけどー”と、そんな風に答えていたー。

がー、数日が経過しても、
やはりオウムのポーちゃんは”人間”に変身したままだったー。

「ーーーあ、昌磨ー」
部屋に入ると、”琴美”がそう言葉を口にしたー。

が、視線は泳いでいて、様子がおかしいー。

「ーははー、”おはよう”じゃないのかー?」
昌磨は、いつもオウムのポーちゃんが言うセリフを口にしながら
そう笑うと、背後から”本物の琴美”が姿を現すー。

「ー最近、ちょっと人間らしい行動するようになってー。
 昼には”こんにちは”って言うようになったしー」
苦笑いしながら琴美がそう言葉を口にすると、
昌磨は「はははー…ポーちゃんも学習してきたってことなのかなー?」と、
そう言葉を返すー。

「ーまぁ、そうかもねー…
 でもー…ずっとこのままなのかな?」

琴美は、オウムのポーちゃんのほうを見つめながらも、
どこか不安そうにそんな言葉を口にすると、
昌磨も「確かにー…この先どうなるんだろうなー…?」と、
そう心配そうに言葉を返すのだったー…

②へ続く

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コメント

オウムが人間に変身するようになってしまった…!?

そんなお話デス~!
色々大変そうな状況ですネ~!!

続きはまた明日~★!

「人間に変身する鳥」目次

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