竜輝と真由里。
二人の仲良しカップルは次第に”婚約破棄”に近づいていく。
本来は結ばれるはずだった二人が、
憑依によって壊されていく。
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朝のカフェ。
真由里が座るテーブルに、
一人の男がやってきた。
原田 誠一郎。
真由里と、彼氏の竜輝の二人と同じ大学の出身で
二人の共通の友人だ。
お人よしな性格で、何かと二人も大学では世話になった。
「どうした?こんな朝に?」
誠一郎は笑う。
真由里は「朝、早くにごめんね」とつぶやく。
「いいさ、どうした?」と
誠一郎が真剣な表情で真由里の方を見た。
真由里は、一昨日、突然、竜輝が豹変して
真由里に手をあげたことを話した。
あの時の竜輝の様子は、まるで竜輝じゃないみたいだったと。
そして、あの時の竜輝の姿が忘れられなくて、
竜輝に優しくされても、竜輝を信じられなくなってしまった と。
今度の土日、真由里の両親が家に遊びに来る。
結婚前の最終確認もかねて、
娘の夫となる竜輝に会いに来るのだ。
それなのに、
こんな気持ちでは…。
「---竜輝のやつが、真由里のことを…?」
誠一郎が不思議そうな顔をする。
竜輝は決して人に手をあげるようなやつじゃない。
けれどー。
「…酔ってたのか?」
誠一郎が言うと、
真由里は首を横に振った。
あの日、竜輝は酒のニオイのしなかった。
恐らくは、、酔っていなかったはずだ。
「---わたし…どうすればいいの」
困り果てた表情で言う真由里。
誠一郎は困惑した表情を浮かべる。
竜輝はあの日、竜輝と真由里の仲を裂こうとする男に
憑依されていた。
だが、真由里も誠一郎もそのことを知らない。
「…とにかく、しばらく様子を見てみたらどうだ?
あいつも、結婚間近で落ち着かないだけかもしれないし…
また何かあったら、その時は俺も力を貸すから」
誠一郎がほほ笑みながら時計を見る。
二人とも、仕事前なのだ。
「--あ、ごめんね。もう時間だよね。
…わかった。もう少しだけ様子を見てみる」
真由里が言うと、誠一郎は軽く手を上げてそのまま
立ち去って行った。
歩きながら誠一郎は思う。
「ーーー竜輝の奴が真由里に手を挙げたー?」
誠一郎には、その事実が信じられなかった。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
会社につくと、
いつものように太った男性社員の永坂 陸男がニヤニヤしている。
「今日は元気ないね~?」
陸男の言葉に適当に苦笑いする真由里。
こういうタイプは、あまり相手にしないに限る。
陸男が真由里の胸のあたりを見ながらニヤニヤして続ける。
「~~~羨ましいなぁ、彼氏さんと一緒に居れてさ~」
陸男のデリカシーのない発言が続く。
「その体で毎晩エロってるの?
そりゃあ、彼氏さんも君に夢中なわけだ!」
バン!
色々なことで、落ち着かない真由里は机をたたいた。
「---そういうの、セクハラですよ」
真由里が怒りだしたい気持ちを抑えて、冷静にそう言った。
そして、真由里は気晴らしのために、書類のコピー作業もかねて
机を立ち、コピー機のある部屋へと向かって行った。
真由里の後ろ姿を見ながら
陸男は不気味にほほ笑んだ。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
「---そういや、今週の土曜日だったっけ?
真由里のお父さんとお母さんが来るの?」
竜輝の言葉に、真由里はうなずいた。
あの日以降、
竜輝はふつうだ。
だが、あの日、暴力を振るわれた日のことは、怖くて聞き出せなかった。
この日の真由里は、会社が指定した休暇日のため、
休みだった。
少し前のとある会社主催のイベントの振り替え休日ということだった。
「--じゃ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
真由里が笑顔で手を振り、
竜輝を見送った。
「--------くふ♡」
一人になった真由里が不気味な声を出した。
その笑みはーーー
歪んでいたーーー
彼女の中には”憑依した男”が潜んでいる。
いつでも、その気になれば操れるように。
真由里の体は、再び男に乗っ取られてしまったのだ。
「---」
鏡を見つめて微笑む真由里。
少しだけ胸を触ってみる
「くふっ…♡」
気持ちイイ。
だがーー
真由里は大事な大事な女性。
体を傷つけることはできない。
「---」
性におぼれたくなる自分を抑えて、
真由里は、彼氏の竜輝の部屋に向かった。
竜輝の部屋には、
竜輝が好きなアニメグッズやDVDなどが大量に置かれていた。
「---ふふふ♡」
真由里はそれを見て、乱暴に大きなカバンに無理やり
詰め込んでいく。
「--これぜ~んぶ売り飛ばしたら竜輝、怒っちゃうかな~♡」
彼氏の趣味を理解してあげていたはずの真由里が、
憎しみを込めるかのように、乱暴に鞄の中にグッズを詰め込む。
そしてーー
竜輝の好きなアニメキャラのコスプレ衣装が目に入る。
「----ふふっ♡、真由里が来たら可愛いだろうなぁ…」
そう呟くと、真由里は自分が来ていた服を脱ぎ捨てて、
そのコスプレ衣装を身に着けた。
鏡で自分の体を見るーー。
「あんっ…♡ か、、、かわいい…♡」
オタクが喜びそうな格好をして真由里は
自分の可愛さに顔を赤らめた。
思わず、自分の体を両手で抱きしめてしまう。
「あぁ~~~♡ 可愛すぎるよぅ!さいこう♡」
だがーーー
真由里の体でエッチをすることは我慢した。
何故なら真由里はーーー
”自分は、真由里が欲しいのだからー”
そして彼女は、そのままの格好で
街を歩いた。
周囲が真由里の方を見る。
だが、真由里はそんなことを気にせず、
大胆な衣装で、その色っぽさを振りまきながら
堂々と街を歩いた。
アニメショップに辿り着いた真由里が
彼氏の竜輝のお宝の買取を依頼した。
「---こちら買取でよろしいですか?」
アニメショップ店員が顔を赤らめている。
人気アニメキャラのコスプレをして店に来たのだ。
ある意味では当然の反応かもしれない。
「---えぇ、全部お願いー」
真由里は、
彼氏の宝を全て売り飛ばした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜。
真由里はソファーで目を覚ました。
「あれ…わたし、寝ちゃったのかな」
時計を見ると、そろそろ竜輝が帰ってくる時間だった。
「-あ、いっけない!」
貯まっていた家事を片づけようと、慌ててキッチンに向かう真由里。
そしてー
竜輝が帰ってきた。
「ただいま」
竜輝がいつものように優しく微笑んでいる。
竜輝と晩御飯を済ませる。
いつものような穏やかな竜輝。
真由里も、あの日は何かあったのだろう。と
自分に言い聞かせるようにして、
自分を納得させていた。
何も知らない竜輝が、自分の部屋に入る。
竜輝はーーーー
固まった…
「お、、、、、おい、、、何だよ、、、これ・・・」
あれだけあった”竜輝のお宝”が無くなっている。
雑に投げ捨てられたコスプレ衣装を除いて。
「--ま、、、真由里!お、、俺の部屋のもの、、、
どこにやったんだ?」
竜輝が血相を変えて真由里に言う。
真由里は「え?」と言いながら竜輝の部屋の中に入る。
「---わ、、わからないけど…」
真由里が言うと、竜輝が目に涙を浮かべて叫んだ。
「--う、、嘘だ!真由里!!
あれが俺にとってどれだけ大切だったか知ってるだろ?
どこにやったんだよ!」
竜輝が叫ぶ。
だが、憑依されていた間の記憶のない真由里には分からない。
「そ、、そんなこと言われてもーーー」
真由里が怯えた様子で言う。
「--嘘だ!どこにやったんだよ!」
竜輝が泣き叫び始めた。
「--し、、知らないよ…
なんで…私ばっかり疑うの…」
真由里も悲しくなって涙を流し始めた。
「泣きたいのはこっちだよ!!!」
竜輝はそう言うと、蹲って泣き始めてしまった。
竜輝とーー
真由里――。
二人とも、相手への不信感を強めて行った…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
土曜日。
真由里の両親を交えて、
真由里と竜輝は談笑していた。
あの日以降、
竜輝はとりあえず落ち着いて
二人は表向き 元の関係に戻っていた。
竜輝がお手洗いのため立ち上がる。
その時だったー
「・・・・・・・くく…時間だよぉ…」
竜輝が不気味に呟いやいた。
彼の中にも、既に男が憑依しているー。
また、彼は乗っ取られてしまったのだ。。
「----」
真由里の両親の前に戻った竜輝。
真由里の母親が言う。
「でも、本当に良かったー
真由里があなたみたいな立派な人と巡り合えて」
その言葉に、竜輝は微笑んだ。
「えぇ、俺も嬉しいです。
可愛い性奴隷が手に入って」
場が凍る
「----え?今、なんて?」
母親が不思議そうに聞き返す。
「聞こえなかったか?雌が手に入って
嬉しいって言ったんだよ」
竜輝が笑いながら突然、横暴な口調で話し始める。
「---りゅ、、竜輝?」
真由里が驚いて竜輝の方を見る。
するとーー
突然竜輝が真由里を押し倒した。
「おらぁ!真由里!
いま、ここで俺とヤろうぜ!
さっきからムラムラして仕方がねぇ!」
竜輝が叫びながら、
真由里の服を引きちぎろうとする。
「---りゅ、竜輝!イヤッ!やめて!」
真由里が否定の言葉を口にする。
しかしーー
「だまれ!肉便器野郎が!
俺の欲望を受け止めてりゃいいんだよ!」
竜輝がそう言うと、真由里が「ひ、、、酷い…」と涙を浮かべる。
その時だったー。
竜輝の頬に拳が叩きつけられた。
「ぐほっ!」
吹き飛ばされる竜輝。
竜輝が驚いて顔を上げると、
怒りに満ちた、真由里の父親の表情が見えた。
「きさま…」
父親は、竜輝を睨みつけている。
元々結婚に最初は反対していた父親。
最近は竜輝を認め始めていたが、
今の行動を見て「キレた」
「---娘との結婚は考え直させてもらう 行くぞ!」
不機嫌そうに真由里の母親を呼び、二人ともそそくさと立ち去って行った。
「----りゅう、、、竜輝…?」
のこされた真由里が不安そうに聞くと、
竜輝は笑いながら立ち上がった。
「くはははは・・・
雌のくせに生意気だよなぁ!
ゆるせねぇ!」
そう言うと、竜輝は真由里に暴力を振るおうとした。
だがーーー
「------」
もしも真由里に通報されたら、
”奪い取る”計画が失敗に終わる。
そう考えた男は、それ以上何もしなかったーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日曜日。
真由里は部屋から一歩も出ようとしなかった。
一方、正気を取り戻していた竜輝は困惑する。
真由里の父親から侮蔑のメールが届いていたからだ。
「---どういうことなんだ?」
ーー家の電話が鳴る。
電話に竜輝が出ると、
アニメショップからの電話だった。
「先日お売りいただいたグッズの件でお電話したのですが、
尾島 真由里様はいらっしゃいますか?」
真由里が売ったアニメグッズ。
店側で、1個、査定金額に入れずに買取してしまったものがあり、
その差額分を支払うと言う電話だった。
「-----」
それを聞いた竜輝の中で何かが切れた。
電話を叩きつけるようにして置き、
そのまま真由里の部屋に入っていく。
「真由里!」
竜輝はーー
”自分の意思”で怒っていた。
「----」
真由里も怒っている。
昨日の件でだ。
「俺のアニメグッズ売ったのか?」
竜輝が問い詰めるようにして尋ねる。
「----お前!俺のアニメグッズ、俺に無断で売ったのか!」
そう叫ぶ。
すると、真由里も叫んだ。
「ふざけないでよ!知らないわよ!
竜輝こそ、昨日のあの態度、何なの!?」
声を荒げる真由里。
睨む竜輝。
憎しみ合う2人ー。
憑依した男の思惑通りに、
事が進んでいたーーー
③へ続く
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コメント
憑依している男の正体は!?
明日は衝撃の結末をお送りします^^
コメント
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クラスのアイドルとブスの入れ替わり書いてください
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> クラスのアイドルとブスの入れ替わり書いてください
分かりました!
12月中に書いてみます^^
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ありがとうございます
元に戻るような展開はやめてほしいです。本当に立場が逆転するとびきりダークな作品にしてほしいです。
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> ありがとうございます
> 元に戻るような展開はやめてほしいです。本当に立場が逆転するとびきりダークな作品にしてほしいです。
参考にします!
楽しみにしていてください^^