いじめを受けている幼馴染ー。
そんな彼女を見かねた彼は、
”俺がお前を可愛くしてやる”と、
「入れ替わり」を提案したー…
そしてー…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーやっぱり、俺の目に狂いはないー」
自信に満ち溢れた表情で、
麻紀(斗真)が笑みを浮かべるー。
”まだ”可愛くなる初期段階だがー、
それなりにメイクをして、
髪型を変えるだけでも、可愛く見えるー。
「まぁ、今日は「うわっ!何アイツ」みたいな反応だろうけどな」
麻紀(斗真)は笑みを浮かべるー。
麻紀は、”ストレス”が原因で激太りしているー。
”観察”していた感じでは、
別に食べる量が多いわけではないー。
病気、ということでもないだろうからー、
激太りのきっかけはやはりストレスであろうと、斗真は分析していたー。
「俺が中身になったことで、この身体はストレスから
一気に解放されただろうからなー
食生活にも気を付ければ、すぐに痩せるだろうさー」
斗真は、麻紀の身体になってみて、改めて思うー。
”メンタル”とは、身体よりも精神(こころ)に結びついたものであるとー。
”精神的に参って体調が悪くなってしまった身体を
入れ替わりで救うことができるんじゃないだろうか”
などと、斗真は考えたものの、
「まぁ、今はそんなことはどうでもいいー。
コイツをいじめから救ってやらないとなー」
と、鏡の前で自分を指差しながら、笑みを浮かべたー。
「ーーー全ては、俺のためにー」
麻紀(斗真)は呟くー。
別に、麻紀を救うことが第1目標じゃないー。
単に、”教室でいじめ”を見せられるのが不愉快なだけだー。
”俺の過ごす環境保全”
それが、斗真の目的ー。
「さてと」
制服に着替え始める麻紀(斗真)ー
”麻紀”の着替えには興味はないー。
”こんな着心地なのか”ということには新鮮味を感じても、
それは、異性を意識したものではなく
単純に”新しいこと”に対する好奇心ー。
「ートイレも事前にネットで調べておいたけどー
やっぱやりにくいよな」
麻紀(斗真)はそう呟くと、学校に向かったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつもと違うー、
キラキラした雰囲気で学校にやってきた
麻紀(斗真)ー
普段、ノーメイクの麻紀が少しメイクをしていて
髪もおしゃれになっているー
「えぇ?何あれー?」
「何か勘違いしてない?」
「うわっ!キモッ」
そんな言葉が、教室の中から飛び交うー。
しかしー
麻紀(斗真)は笑っていたー
”今は吠えるがいい”
とー、悪人顔を浮かべながらー。
”お前たちは、半月もすれば、鮎川さん 鮎川さんー
麻紀ちゃん 麻紀ちゃんー と ヘラヘラだらしねぇツラをして
俺に近付いてくることになるんだー”
麻紀(斗真)が邪悪な笑みを浮かべるー。
「えぇっ…なんでアイツ笑ってるのー?」
「ヤバくね?」
「ーついにイカれたんじゃない?まぁ、元からだけどー」
さらに心無い言葉が浴びせられるー。
だがー鋼のメンタルを持つ”斗真”には
そんな言葉すら、心地の良いレクイエムでしかなかったー。
”いいぞ。喚け。”
麻紀(斗真)は笑うー。
そんな様子を、窓際の座席から見つめていた
斗真(麻紀)は、「ちょ…ちょっと……」と、
逆に震えていたー。
”今の自分は斗真”
だからー、今のクラスメイトたちの言葉は、
”今のわたし”に向けられているわけではないー。
しかしー
「ーあぁぁぁ……」
斗真(麻紀)は、もう精神的にショックを受けて
しょんぼりしてしまうー。
がーーー
”ホントに、誰も絡んでこないしー
居心地はいいかもー…”
斗真(麻紀)は周囲をキョロキョロするー。
”一匹狼”な、斗真に積極的に話しかけて来るものはいないー。
だが、その一方で、本人は強気で、何でもできて、
さらには”人間観察”が趣味でクラスメイトのあらゆる秘密を
握っていることから、斗真(麻紀)は恐れられておりー、
誰も、斗真に害をなすものはいないー。
そんな”立場”は、これまでいじめを受けて来た麻紀にとっては、
安心できる環境とも言えたー。
”なんでー、悪口言われてそんなニヤニヤしてるのー…?”
斗真(麻紀)は、そう思いながらも、
麻紀になった斗真に任せて、そのまま斗真として過ごしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2日目ー
3日目ー
4日目ー
麻紀(斗真)は、みるみるおしゃれになったー。
激太りしていた身体は、流石にそんな短期間で激やせすることは
なかったが、心無しか少しだけ変化しているようにも見えるー。
”ネガティブなオーラ”が消えて
”明るい雰囲気”になったー
それだけでも、大分、違うー。
麻紀(斗真)はまず、クラスのあまり中心的人物じゃない女子や男子と
積極的に交流を図りー、”味方作り”をはじめたー。
”いじめ”と言っても、
クラス全員が”直接的な加害者”である例は少ない。
必ず、傍観者や、”ある程度中立”な人間もいるのだー。
そういったものを、取り込んでいくー。
「ーーーえぇ、そうなんだ~!
わたしもそのアニメ、見るよ~!」
「ーそうだよね~!あの人、かっこいいよね~!」
「ーえ~??わたしはこっちの戦闘機の方がカッコイイと思うなぁ~」
アニメー
アイドルー
ミリタリー…
どんな話題にも対応できる斗真はー、
”相手”に合わせて楽しそうに会話をするー。
みるみると”外周”から味方につけていく麻紀(斗真)ー
”麻紀の身体”で色仕掛けをすることもできるがー
それは”まだ先”のことだしー、
正直、斗真は”必要ない”とも思っているー。
可愛いは正義だー。
麻紀が痩せて、今以上に可愛くなれば、
必ず、いじめの中心にいる男子も「ごめんな」とか
調子のいいことを言ってくるー。
チラッ、といじめっ子たちのほうを見つめる麻紀(斗真)ー
いじめっ子たちは”急に明るくなった麻紀”のほうを、
あざ笑うようにして見つめているー。
”ククー…ハイエナの群れどもめー。
今に可愛くなった”麻紀さん”を見せ付けてやるからなー”
麻紀(斗真)はそんなことを思うと、邪悪な笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ、あのー」
斗真(麻紀)に呼び止められた麻紀(斗真)は、
少しチラッ、と周囲を見渡すと
「あ~並川くん!どうしたの~?」と、笑うー。
周囲の人目があるからこその反応だー。
”元自分”に、”並川くん”と、斗真の身体の名前で呼ばれて
少し戸惑いながら斗真(麻紀)は、
麻紀(斗真)に言われるがままに、人目につかないところに移動するー。
「ーーーーと、ここならいいかー。
人が見てたかもしれないからなー」
麻紀(斗真)は、そう言うと
”並川くん”と身体の名前で呼んだ理由を説明したー
「あ、う、うんーごめんなさいー」
斗真(麻紀)がそう言うと、
「別に謝る事じゃない。で、何の用だ?」と、
いつものように淡々と言葉を口にしたー
「ーーーあ、え、えっとー
そ、そのーなんだか、わたし、キラキラしすぎているような気がしてー
も、元に戻ったあとー…わたし、こんなだからー
並川くんがわたしの身体を使っているときみたいにー…
色々な人と喋ったりできないしー」
斗真(麻紀)が恥ずかしそうに言葉を口にしたー
”俺”がこんなにボソボソと喋るなんてー、と思いながら
麻紀(斗真)は「それなら心配ない」と、断言するー
「え?」
斗真(麻紀)が言うと、
麻紀(斗真)は笑いながら言うー。
「元に戻ったあと、”麻紀は麻紀”でいいー。
何も変える必要はないー。
俺が今、みんなとペラペラしゃべっているのは
”きっかけ”を作るためだー。
一度可愛くなって、一度人気者になってしまえばー、
今まで通りネガティブに戻っても、
みんな、心配してくれるー。
それが、人間と言う生き物であり、この世界だ」
麻紀(斗真)が断言するようにしてそう言い放つー。
つまりは”可愛くなるまでの間”…
いじめから脱するまでの振る舞いが大事なのであり、
一度、周囲から可愛いと思われるようになって、
いじめを受けないようになれば、
仮に中身が元の麻紀になっても、
みんなは麻紀を心配し”可愛いクラスメイト”を守ってくれるのだと、
斗真はそう言いたいようだったー
「ーそんなに…うまくいくのかなー?」
不安そうな斗真(麻紀)ー。
「安心しろ。”俺の観察力”を信じるんだ」
麻紀(斗真)はそう言うと、
そのまま「それにしてもー、俺がそんな不安そうな顔をできるなんてなー。
いつもと違う”俺”を観察できて、新しい発見だよー」と、
笑みを浮かべて、少し言葉を交わすと、そのまま立ち去って行ったー。
「ーーー」
”わたしの身体”、わたしなんかに使われるより、
ずっと楽しそうに笑ってるなぁ…
斗真(麻紀)は、そんな風に思ったー。
”今”の斗真の身体は不幸そうだー。
わたしなんかに使われる身体は、不幸だとー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
自宅に帰ると、斗真(麻紀)は
小説を読んだり、動物の動画を見たりしながら過ごすー。
”自宅”と言っても、斗真の家だから最初は何となく落ち着かなかったがー、
斗真の言う通り、家族はほとんど干渉しないタイプでー、
寧ろ居心地が良かったー。
喧嘩とかをしている感じじゃなさそうだけれど、
”必要以上関わらない”そんな感じだー。
それは、学校でも同じー。
”一匹狼の斗真”は、
誰も寄り付かないー…が、無視されているわけでもなく、
必要があれば、ちゃんと周囲は対応してくれるー
そんな、自分の周りにバリアを張っているような状態は、
斗真(麻紀)にとっては心地の良い状態だったー
「ー本を読んでても、邪魔されないしー」
斗真(麻紀)はそう呟きながら、
”自分”のほうを見るー。
入れ替わってから、数週間の時が経った今ではー、
麻紀(斗真)は、みるみる痩せて、今では”少しぽっちゃりしている”
ぐらいの体格になっているー。
”もう、別人じゃんーわたし”
驚きと共に、そんな風に思うー。
激太りしていた身体が、大分痩せて見違えているしー、
表情も明るくーおしゃれになっているー。
一部のいじめっ子はまだ、寄り付いていない様子だったが、
斗真の言う通り、やっぱり”可愛い”は正義なのかもしれないー。
今まで傍観者たちだったクラスメイトが、
今では”鮎川さん” ”鮎川さん”と、群がりつつあるー。
昼休みー。
「ーーーあ…あの…」
斗真(麻紀)が麻紀(斗真)に声をかけるー
「ん?」
麻紀(斗真)が振り返ると、
「ーーーあ、そ…そのー」
と、斗真(麻紀)が不安そうに言葉を口にするー。
単に”斗真の家の物の置き場所”を聞いたり、
他愛のない話をしようとして声をかけた斗真(麻紀)ー
しかしー
何だか”自分”の身体に話しかけるのにー、
緊張して躊躇してしまったー。
「ー”自分”に話しかけるのに、そんな話しかけにくそうにするなよ」
少し笑いながら麻紀(斗真)が言うー。
斗真(麻紀)は「あ、うんー…なんだか…別人みたいで」
と、恥ずかしそうに”元自分”の方を見るー。
これがわたしなのー?
と、思ってしまうぐらいに可愛くなっているー
痩せたことももちろんそうだしー、
髪型やメイクー、
それにネガティブなオーラが消えて、自信に満ち溢れた表情をしている
”元・わたし”ー。
そんな色々な部分の違いが、より可愛いを引き立てているのだろうー。
「これは、お前の身体だぞ?
入れ替わる前に言っただろ?
お前の素材は滅茶苦茶可愛いって」
堂々と恥ずかしがることもなくそう言い放つ麻紀(斗真)ー。
「ーー…う、うんー…ありがとう」
斗真(麻紀)はそう言うと、
麻紀(斗真)は「あと少しで、いじめもなくなるだろ。そしたら身体を返す」と、
淡々と言い放つー。
斗真(麻紀)は少しだけ不安になってー、
「あ…あの…」と、言葉を口にするー。
こんなに”可愛い”雰囲気になった”身体”で
何か変なことをされていないかどうか、少しだけ心配になったのだー。
「ー大丈夫だ。俺は人間に興味がないー。
確かに女子の身体でトイレに行ったり、お風呂に入ったり
着替えたりするのは初めての経験だったけど、
どれも俺には興味のないことだー。
漏らすわけにはいかないからトイレに行く。
臭いまま学校に来るわけにはいかないからお風呂に入る。
ずっと同じ服を着てるわけにはいかないから着替える。
それだけで、それ以上の意味はない。」
麻紀(斗真)は淡々とそう言い終えると、
斗真(麻紀)は少しだけ笑ったー。
「なんだかー…並川くんって、ふしぎー
入れ替わっても、全然並川くんのこと、分からないけどー…
でも、…ありがとうー」
斗真(麻紀)がそう言うと、
麻紀(斗真)は「礼はいいさ。俺は教室内の環境保全のために
こうしているだけだからな」
と、言い放ったー。
少し間を置いてから
「あと1~2週間ぐらいで元に戻すから、そのつもりで」
と、言うと、そのまま立ち去っていく麻紀(斗真)ー
しかしーー
二人の”入れ替わり”の結末は思いもよらない方向に向かうことをー、
まだ、彼は知らなかったー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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次回が最終回デス~!☆
果たしてこのまま全てが上手く行くのでしょうか~?★
次回もぜひ、見届けて下さいネ~!
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