<入れ替わり>僕の身体を返してよ!①~幽霊~

霊の存在を視認することができる親友ー。
彼は、人を脅かす悪霊を退治する日々を送っていたー。

そんな親友のことを信じ、よく話を聞いていた彼は
興味本位から都市伝説になっている”トイレの花子さん”を
呼び出してしまい、身体を入れ替えられ、奪われてしまうー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーお前…わたしが見えるのかー?」
驚く髪の長い女ー。

「ーうん。見えるよー」
ランドセルを背負った少年ー、
藤原 浩太(ふじわら こうた)はそう言葉を口にしたー。

彼の両親は、代々受け継いでいる神社の主で、
その血筋だからか、浩太は小さい頃から”幽霊”の姿を見ー、
その言葉を聞きー、さらには幽霊に物理的に干渉することも
できる力を持っていたー。

”見える”故に周囲からは”変わり者”扱いされていたものの、
彼は気にすることなく、霊たちの中でも
”人に悪さをする悪霊”を退治して回っていたー。

「ーーー…」
踏切に飛び込もうとしていたOLの女に”幽霊”が取り憑いていることに
気付き、浩太はその幽霊に声を掛けたのだー。

この幽霊は、人の”疲れ”に取り憑き、
ネガティブな感情を増幅させて、人を自殺に追いやる幽霊だー。

「ーー邪魔をするなーわたしはこの人間を楽にしてやろうと
 しているだけだー」

髪の長い女の幽霊がそう言い放つー。

「ーーそんなことさせないよー」
浩太はそう言い放つと、ランドセルを放り投げて
そのままOLに取り憑いている悪霊の方に向かい、
悪霊に向かって拳を叩きつけるー。

「がっー」
普通の人間では触れることのできない幽霊ー。

しかし、浩太は幽霊と戦うことができるー。

OLの身体から離れる悪霊ー。
踏切に飛び込もうとしていたOLは、驚いたような表情を
浮かべながら「あれ…わたし…なんでこんなことー」と、
戸惑うー。

浩太は、そのお姉さんの安全を確認すると、
幽霊に向かって拳と蹴りを叩きつけるー。

最後に、父から貰った札を手に、
「ー僕に見つかったのが、運の尽きだったねー!」と
そう言葉を口にすると、
そのまま髪の長い女の悪霊を”退治”したー。

「ーーーーー…ふぅ これで安心ー」
浩太がそう言葉を口にすると、
周囲の人々が、きょとんとした目で浩太を見つめていたー。

”普通の人”には幽霊は見えないし、声も聞こえないー

そのためー、
浩太が一人で蹴りの仕草をしたり、
一人で急に”僕に見つかったのがー”と、独り言を口にしたり
しているようにしか見えないのだー。

「ーーあ、あはははー」
気まずそうに笑う浩太ー。

浩太はまだランドセルを背負う少年ー。

だからだろうかー。
周囲も”完全な不審者”とまでは考えずに、
苦笑いしながら浩太を見つめるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「やっぱ、浩太くんは凄いなぁ~」

「あははーそんなことないよー」

翌日ー

教室で”昨日の話”を聞いた浩太の親友・
鈴村 直人(すずむら なおと)が、そう言葉を口にすると、
「昨日の悪いやつは、どんな姿だったの?」と、
目を輝かせながら言うー。

「昨日の幽霊はー
 髪が長くて、やつれた女の人だったよー」

浩太がそう言うと、
「まぁ、僕がちゃんと退治したけどねー」と、
少し得意気な表情を浮かべるー。

「ーーー…また、言ってるー」
「ーー鈴村くんも、よくあんな話に付き合うよね~」
クラスの女子のそんな声が聞こえるー。

「ーー…~~」
浩太が少しだけ気まずそうに笑うと、
直人はすぐに「僕は浩太くんのこと、信じるからー!」
と、そう言葉を口にするー。

「ーーありがとうー。信じてくれるのは、
 君だけだよー」

浩太はそう言いながら、
少しだけ寂しそうに笑うー。

どんなに悪霊を退治して、人を助けても、
”変人”扱いされるだけー。
そんな現実に、浩太は時々迷うこともあるー。

”いっそのこと、見えない方が楽なんじゃないか”
とー。

けれど、そんな浩太を支えているのが、
唯一浩太のことを信じてくれているこの直人だったー。

「ー僕にも、いつか見えるかなぁー…」
直人がそう言いながら笑うとー、
浩太は「見えない方が、楽だと思うよー。怖いしー」と、
笑いながらそう答えたー。

「でも、羨ましいなぁー僕もいつか見てみたい」
直人は、心底羨ましそうに目を輝かせながら
そんな言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから数日後ー。

学校内である”噂”が広がっていたー
それは、トイレに出没するという幽霊の噂ー。

”花子さん”と名乗る幽霊が、
トイレで生徒たちを驚かせているー、と、
そういう噂が広がっていたー。

”トイレの花子さん”は、
昔から、怪談話によく出て来る都市伝説的な存在の一種だー。

それを扱った作品も多く存在しているほどにー、
昔からよく囁かれているー。

そんな”噂”が、学校内で広まり始めたのだー。

”おかっぱ頭の少女の姿をしていたー”
そういう目撃情報まであり、
まさに”トイレの花子さん”のような、そんな幽霊が
学校のトイレで子供たちを驚かせているというのだー。

「ーーー間違いなく、トイレにいるー」
浩太が、そう言葉を口にするー。

「ホントにー?」
直人が興味津々という様子で聞き返すと、
「トイレの個室の扉が閉まっていたらー…
 絶対にそこをノックしちゃいけないー」と、
浩太はそれだけ言葉を口にするー。

「ーー僕にも見えるの?」
直人が、さらに目を輝かせながら言うー。

幽霊の中には”人を驚かせるために、自ら姿を見せる者もいるー”と、
浩太から以前聞いたことがあるー。
”トイレの花子さん”とやらも、その1種なのだろうかー。

が、その様子を見た浩太は険しい表情で言うー。

「これは遊びじゃないんだー
 君も、会おうなんて考えちゃいけないー」
浩太の言葉に、直人は少し拗ねたような表情を浮かべるー。

「ちぇっー。僕だって幽霊みたいのにー」
とー、そう言葉を口にしながらー。

「ーと、とにかく、安全なタイプの幽霊か、それとも悪霊か
 まだ分からないから、会おうなんて考えちゃダメだ」

浩太はそれだけ言うと、
そのまま表情を曇らせるー。

浩太が退治するのはあくまでも”悪霊”のみー。
最近、噂になっている”トイレの花子さん”と呼ばれる幽霊が、
悪霊なのか、それとも単に驚かせる程度の存在なのかー、
それがまだ判断できないー

”僕が直接会って確かめるしかない”
浩太は、話の分かる相手なら話し合いで済ませて、
もしも悪霊ならいつものように退治するー…
そんなことを考えながら、ゆっくりと歩き出したー。

しかしー

その日の放課後ー。

浩太よりも先に、直人が”遭遇”してしまったー。

放課後に偶然立ち寄った
男子トイレの中のー
トイレの個室の一つが”閉まって”いたのだー。

「ーーーー」
もちろん、ただ単に誰かが利用しているだけー、
そんな可能性もあるー。

しかし、直人はゴクリ、と唾を飲み込むと
「ーー誰かいるの?」と、そう言葉を口にしてしまったー

返事はないー。
物音すらしないー。

「ーーー」
直人は緊張した様子でその扉の前に近付くとー…
トン、トン、と、トイレの扉をノックしたー。

「ーーは、花子さんー?」
そう言葉を口にする直人ー。

花子さんに会うためには、こうしろと、昼休みに調べたら
そう書かれていたー。

それを、試してみるー。

「ーーー花子さんー…いるのー?」

恐る恐る、直人はさらに言葉を続けたー。

するとーーー

「ーーーーー!!!」
トイレの個室の扉が開きーー
そこにーおかっぱ頭の少女の幽霊がいたーー

「ーーー…わたしと、遊んでくれるのー?」
その幽霊が言うー。

「ーーえ…ほ、ほ、ほ、ホントに、花子さんー!?」
直人が嬉しそうに、目を輝かせながら言うと、
「ーーうんーそうだよー。」と、
花子さんは静かに頷いたー。

「ーーねぇー。せっかくだから、わたしと遊びましょ?」
花子さんのその言葉に、
直人は「えっ、ぼ、僕と!?いいの!?」と、
何も考えずに嬉しそうに返事をしてしまうー。

「ーーーうんーーーー
 とっておきの楽しい遊びがあるのー」

”花子さん”は、そう言葉を口にすると、
直人の方を見つめながら、言葉を続けるー。

「ーわたしと、あなたの身体をとりかえっこしてみない?」
とー。

「ーーえっ?」
”花子さん”の提案に直人は、一瞬驚くー。

「そ、そんなことできるの?」
直人が、好奇心からか目をキラキラさせながら
そう言葉を口にすると、
花子さんは、不気味な笑みを少しだけ浮かべたー。

しかし、直人はそれに気付かず、
”花子さん”の話の続きを聞いてしまうー。

「じゃあ、さっそくやってみましょ」
花子さんは、そう言葉を口にすると、
手を直人に差し出すー。

「ーわたしの手を握って
 わたしと身体をとりかえっこする想像を
 頭の中でしてみてー」

”花子さん”の言葉に、直人は「う、うんーわかった」と、
そう言葉を口にすると、
言われた通りにしてしまうー。

”花子さん”の手はとても冷たかったー。

普通、人間は幽霊に触れることはできないー。
しかし、”花子さん”側の力だろうかー。
直人は”花子さん”に触れることができたー。

その状況に、直人はドキドキしてしまうー。

幽霊ー…とは言え、相手が女子だからだろうかー。

それとも、
いつも、幽霊を見たり、触ったりできる親友の浩太のことを
羨ましく思っていて、その浩太と今、自分が同じことを
出来ているからだろうかー。

いずれにせよ、直人は花子さんの手を握り、
言われた通りにしてしまうー。

「ーーふふー
 じゃあ、早速身体を交換しましょー

 目を閉じて、とりかえっこするイメージを浮かべてー」

花子さんのその言葉にー、
直人は言われた通りにするー。

目を閉じて、身体を交換するイメージを浮かべるー。

するとー、
直人は今までに感じたことのない、
”魂”が抜けるかのような
そんな感触を覚えるー。

「ーーもう、いいよ」

ふと、そんな声が聞こえたー。

”僕の声だー”
と、直人はそう思いながら目を開くと、
トイレの個室の外側の方に立って、花子さんと話していた直人が、
いつの間にか、トイレの個室の中の方に立っていてー、
目の前には”僕”自身がいたー。

「ーふふ、すごいでしょ?
 入れ替わり、大成功ー」

目の前にいる”直人になった花子”が嬉しそうにそう言葉を口にするー。

「ーわ…わぁ…こ、これが、花子さんのー
 幽霊の身体ー…!?」

嬉しそうに笑う花子さんになった直人ー。

「ーーすごいー…!これが男の子の身体ー」
目の前では直人(花子)が嬉しそうに自分の身体を触っているー。

「ーあぁ…あったかい…」
自分の手を頬に押し付けながら、
直人(花子さん)は”人間の暖かさ”を感じながら
心底嬉しそうに言葉を口にするー。

「ーーーー…~~~」
花子さんになった直人も、ドキドキしながら、
”幽霊”かつ、”女子”になった自分の身体を見つめているー。

とても冷たい手ー。
けれどー、おかっぱ頭の髪に、色白の手にー、
自分とは違う色々な要素にドキドキするー。

しばらく、二人で入れ替わったあとの身体に感動していると、
やがて、花子さん(直人)が口を開いたー

「ーーあ、僕、そろそろ帰らなくちゃ」
今は放課後ー。
花子さん(直人)は、そろそろ家に帰らないと、と
そう言葉を口にするー。

すると、直人(花子さん)は
「ーそっかー。もう放課後だもんね」と、そう言葉を口にするー。

そしてー、
「ーじゃあ、わたし、帰るね!」と、
そう言葉を口にすると、そのままトイレの外に出て行こうとするー。

「ーえっ!?」
花子さん(直人)は、驚いて、
すぐに「えっ!?ちょっと待って!身体を元通りにしてよ!」と、
声を上げるー。

しかしー、
直人(花子さん)は、悪戯っぽく笑いながら振り返ると、
言葉を続けたー。

「ーー楽しかったよー”花子さん”ー」
とー。

「ーえ…」
花子さん(直人)は、”花子さん”と呼ばれて困惑するー。

「えっ…ちょっと待ってー…?どういうことー?」
花子さん(直人)が焦りながらそう言うと、
「ーふふふふー生きてる男の子の身体ー」と、
直人(花子さん)は嬉しそうに自分の身体を触りながら、
そのままトイレの外に嬉しそうに飛び出していくー。

「ーえっ!?!?!?ちょっと待ってってば!」
花子さん(直人)が、”自分の身体”を追って
外に飛び出そうとするー。

がーー

「ーーー!?!?!?!?」
トイレの外に出ようとしたその瞬間ー、
見えない壁に押し戻されるかのように、
トイレの中に吹き飛ばされてしまった花子さん(直人)ー

何度も、何度も外に出ようとするも、
トイレの外に出ることができないー。

「そ、そんなー…」
呆然とする花子さん(直人)ー。

花子さんと入れ替わってしまった直人はー
”トイレの外に出ることができない幽霊”に、
なってしまったのだったー。

②へ続く

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コメント

リクエスト特典で、飛龍様から頂いたリクエスト内容を元に
書いた作品デス~!!!
(※一般のリクエスト受付はトラブル防止のため停止しています~ごめんなさいデス~!)

どんなリクエストを頂いたのかは…
今の時点で公開するとネタバレしちゃうので、
③(最終回)が終わった時にあとがきでご紹介しますネ~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!!

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