悪霊退治を続けている親友ー。
そんな親友のことを羨ましく思っていた彼は、
トイレで遭遇した”花子さん”に身体を入れ替えられて
奪われてしまうー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ランドセルを背負いながら、
廊下を嬉しそうにスキップしていた直人(花子さん)ー
「ーわぁ…すごい…
広い場所をこんな風に動けるなんてーー…」
”トイレ”の中にいることしかできなかった花子さんからしてみれば
”学校の廊下”は、とても広々とした最高の空間ー。
スキップしながら、こんなに自由に動き回れるー、
というだけで感動してしまうー。
ハイテンションでスキップしながら、
”トイレの悪霊”になってしまう前のことー
遠い遠い昔のことを思い出しながら、
”久しぶりの廊下”を楽しそうにスキップする直人(花子さん)ー
がー…
「ーー!」
直人(花子さん)は、ふと放課後の廊下に
”気配”を感じたー。
同じ幽霊だからこそ感じるー、
別の”幽霊”の気配ー。
「ーーーーーー」
直人(花子さん)がその気配がした方向に向かうと、
”たくさんのモノを抱えた幽霊”と、
直人の親友である浩太が対峙しているのが見えたー。
浩太はとある神社を代々守ってきた一族の息子で、
それ故に幽霊を見ることや、その声を聞くことができー、
物理的な干渉をすることもできるー、そんな力の持ち主ー。
周囲からは”変人”扱いされているものの、
直人はそんな浩太の話を唯一信じ、仲良くしていたー。
それがこうして、今、花子さんに身体を奪われるきっかけにも
繋がっているー。
そんな浩太はたった今ー、
放課後の学校で、”たくさんのモノを抱えた幽霊”と対峙していたー。
「ーーーぐへへへ…わしは、いっぱい、いっぱい、あの世に持って行くんだー」
笑みを浮かべる”モノを抱えた”幽霊ー。
「ーそんなことはさせないよー」
浩太はそう言うと、悪霊の方に向かっていくー
この悪霊は”あの世に”モノ”を持って行く”幽霊ー。
この悪霊に持って行かれたモノは、この世から消えてしまい
”行方不明”となるー。
ある日急に”あったはずのものがなくなって、見つからない”という現象は
誰でも経験したことがあるかもしれないー。
それは、この悪霊が原因ーーー…である可能性もあるのだー。
「-ーーぐぐ…小僧めー」
モノを抱えた悪霊がそう言葉を口にするー。
そんな悪霊を素早い動きで翻弄しながら、
浩太は蹴りを加えると、父から貰った札をその悪霊の方に向けたー。
「僕と会ったのが運の尽きだったねー!」
浩太はそう言葉を口にすると、そのままその悪霊を退治ーー…
悪霊が抱え込んでいたモノが、その場に散乱したー。
「ーーすごいー…」
直人(花子さん)は、そう言葉を口にすると同時に
ゾッとしたー。
何故ならー、”自分”も、この子に退治されてしまう可能性があったからだー。
けれどー、今はーー
「ーーすごかったねー。今のー」
直人(花子さん)が何食わぬ顔で姿を現すと、
「ーーあ…」と、悪霊退治を終えたばかりの浩太が
少し照れ臭そうにするー。
「ーあんな幽霊を一瞬でやっつけちゃうなんてー」
直人(花子さん)がそう言うと、
浩太は少しだけ表情を歪めるー。
「ーーーー…今の悪霊ー
君にも見えたの?」
とー。
「ーーえ??」
直人(花子さん)は一瞬ドキッとした表情を浮かべると、
すぐに、床に散らばった”悪霊が持っていたモノ”を見つめながら
「ーも、モノが空中に浮いてたから!」と、そう言葉を口にしたー。
「ーあぁ、ははーそうかー。そうだねー」
浩太は納得した様子で頷くと、
直人(花子さん)は、安堵の表情でため息を吐き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
花子さん(直人)は、
夜のトイレで一人ぼっちの時間を過ごしていたー。
「ーーー!」
物音がした気がしてビクッとする花子さん(直人)ー
がーー
風で窓が音を立てただけであったことに気付き、
自虐的に笑うー。
「ー今は、僕が幽霊なのに、怯えるなんてー」
とー。
花子さん(直人)は鏡で自分の顔を見つめようとするも、
鏡には”花子さん”の姿が映らないー。
「ーはぁ…僕、どうなるんだろうー」
花子さん(直人)は、さっきから何度もトイレの外に
出ようとしたものの、やはり”花子さん”ではトイレの外に
出ることができなかったー。
唯一、分かったのは
”この学校のトイレ内なら”どこにでも移動できるということでー、
他のトイレにワープするような形で移動することはできたー。
がー、
トイレからトイレに移動したところで大して意味はないし、
どのみち、トイレから出ることができないのは
同じことだったー。
「ーーーーー」
おかっぱ頭の花子さんの髪を触る直人ー。
「ーーーーー」
”花子さんも、ずっとここで一人ぼっちだったのかなー”
そんな風に、少しだけ同情してしまうー。
けれどー、
それでも、ずっとこのままの状況でいるわけにはいかないー。
「どうにか、しなくちゃー」
花子さん(直人)は、とにかく明日、明るくなったら
みんな学校に来るはずだから、なんとか助けを求めよう、と、
そんな言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
「ーー!」
トイレの中に、クラスの男子が入って来たのに気付いて、
トイレの個室の中にいた花子さん(直人)は
”あっ!鈴木(すずき)くん!”と心の中で叫ぶー。
「ーー鈴木くん!!」
花子さん(直人)が、嬉しそうに個室の外に出て
声を掛けるー。
がーーー
「ーーー~~~~」
”鈴木くん”は、花子さん(直人)に気付かず、
そのままトイレから立ち去ってしまうー。
「あ…あれ…?ちょっと!!ちょっと待ってよ!」
花子さん(直人)が叫ぶー。
しかし、結局ー”鈴木くん”は
直人に気付くことなく、そのまま行ってしまったー
「え…なんでー…」
花子さん(直人)が戸惑うー。
姿が見えず、声も聞こえないー
そんな状態では、相手に助けを求めることはできないー。
そう思いつつ、トイレからトイレへー
別のトイレに移動すると、
そのまま、トイレの入り口付近で誰かが来るのを待ったー。
すると、職員室の近くのトイレだったのだろうかー。
今後は先生がやってきたー
「せ、先生!!助けて下さい!」
花子さん(直人)が必死にそう叫ぶー。
しかし、やはり姿が見えず、言葉も聞こえていない状態なのか
先生は何の反応も示さず、そのままトイレの外に
出て行ってしまったー。
「な、なんでー…?」
花子さん(直人)は、戸惑いの表情を浮かべるー。
が、少しして”あること”を思いついたー。
「あ!!!そうだー!」
花子さん(直人)は、
最初に花子さんと遭遇した時のことを思い出すー。
最初に、花子さんと会ったのはー
トイレの個室が閉まっていて、それをノックした時だー。
”人間”に姿を見てもらうには
何か”花子さん”なりの条件があるのかもしれないー。
そう思った花子さん(直人)は、
また別のトイレにワープする形で移動して、
個室の中に入ると、
誰かが個室をノックしてくれることを信じて、
そのままその中に移動したー。
扉をーー
手で閉めることはできないために、
念じるようにして、トイレの個室の扉を閉めるー。
「ーーー…幽霊って不思議だなぁ…
扉にも触れられないしー
不便だよー…」
花子さん(直人)はそんなことを呟くー。
がー、”トイレに縛られている”せいか、
床をすり抜けたり、壁をすり抜けたりすることは出来ず、
余計に不便だったー。
「ーー!!」
そうこうしているうちに、
”コン コン”と、扉をノックする音が聞こえたー。
「ーーあの~~…?誰かいる?」
ふと、女子の声が聞こえるー。
”あ、ヤバッ…ここ、女子トイレだったー!?”
花子さん(直人)は、自分が今いるトイレが
女子トイレだったことに気付き、慌ててバッと立ち上がるー。
「ーって、今の僕は”花子さん”だし、いいのかー。
あー、でも、やっぱりなんか悪いことしてるような気がするー」
そんなことを呟きつつ、
「ーーぼ、ぼ、僕ーー…花子さんになっちゃったんだ!」と、
ノックしてきた女子に対してそう声を上げたー。
”え……?だ、誰ー?”
外から扉が閉まっている個室をノックした女子は
戸惑いの声を上げるー。
花子さん(直人)は、念じて扉を開けると、
そのまま姿を現し、その子に助けを求めたー。
「ーーきゃああああああああああああああああああ!?!?!?」
しかしーー
その子は、トイレの個室から出てきた”花子さん”を見ると同時に
悲鳴を上げて、慌ててトイレから逃げ出そうとするー
「あ!ま、待って!ぼ、僕は、何もしないからー!
ぼ、僕ー、助けてほしーー
そこまで言いかけるも、話を聞いてもらうことが出来ずに
そのままその女子は全力疾走でトイレから離れてしまったー。
後を追いかけようとするも、案の定、トイレから外に出ることはできないー。
”ーーに、逃げられちゃったー
でも、やっぱり個室にいる時にノックされてから、話をすると
僕の声も届くみたいだし、姿も相手に見えるみたいだー”
しかし、そんな確証を得た花子さん(直人)は
同じ要領で誰かに助けを求めようとするー。
がーー
「うわあああああああああああああああ!!」
「ひぃぃぃぃぃっ!?は、花子さんの噂って本当だったのー?!」
「く、来るな!来るなああああ!」
「ぎゃああああああああああっ!?!?!?」
何度もー
何度も、助けを求めようとしたものの、
その都度、相手は”幽霊”を前に驚いてしまい、
まともに話をすることができなかったー。
「ーそ…そんなー……
ぼ、僕ーー…ーー何もしないから、話を聞いてよー!」
花子さん(直人)はそう叫ぶー。
けれどー、
他の子からしてみれば、トイレの花子さんは”幽霊”でしかないー。
そんな花子さんの姿を見て、逃げていくのは
”普通の反応”かもしれないー。
「ーーー…そんなーーー」
花子さん(直人)は、トイレで一人落ち込むー。
そんな中ーーー
直人(花子さん)は、”男の子”としての生活を
満喫していたー。
楽しそうに校庭で友達とサッカーを楽しむ直人(花子さん)ー
「ーーすっごい!身体が軽い!走りやすいー!」
自分の元々の身体よりも走りやすいしー、
何よりトイレみたいな狭い空間じゃなくて
こんな広いところを存分に走り回れるー。
「ーえいっ!」
つい調子に乗って”元の自分の身体”のつもりで
思いっきりボールを蹴ってしまい、
そのボールが保健室の方に飛んで行ってしまうー。
「ーあぁっ!?」
直人の友達が声を上げるー。
ボールは保健室の外側のガラスに直撃しー
そのまま窓が割れてしまったー。
先生に叱られる直人(花子さん)ー
しかしー
”花子さん”にとってはそんな経験もー
とっても楽しい経験だったー。
怒られながらも、楽しそうに笑ってしまい
さらに怒られてしまう直人(花子さん)ー
そんな日々が続いた、ある日ーー
直人(花子さん)は、花子さん(直人)のいる
トイレを探し出して、そこにやってきたー。
「ーーーー入れ替わりごっこ、楽しい?」
直人(花子さん)が笑いながら言うと、
トイレにいた花子さん(直人)は
「ぼ、僕の身体を返してよ!」と、今一度嘆願するー。
「だ~め!まだ遊んでる最中でしょ?
遊びましょ!って言って、遊んでくれるって言ったのは
そっちだよ?」
直人(花子さん)はそう言うと、
「そ、それは僕の身体だよ!返して!」と
花子さん(直人)がなおも叫ぶー。
「ーーーーーー」
直人(花子さん)は少しだけ暗い表情を浮かべると、
”あること”を思いついて笑みを浮かべるー。
「ーそうだーー…あなたのお友達ー、
幽霊が見えるんだったよねー?」
とー。
「ーーえっ…」
花子さん(直人)が驚くと、
直人(花子さん)は笑いながら言葉を続けたー。
「ー悪霊退治ー、お願いしちゃおっかなー?」
とー。
その言葉に、花子さん(直人)は青ざめるー。
けれどー
どうすることもできずに、直人(花子さん)は
また、楽しそうにトイレの外に出て行ってしまったー。
そしてーー
その数日後ー。
「ー最近、トイレの花子さんの目撃情報が増えてて
みんな怖がってるー。
僕が退治しないとー」
直人の親友ー…浩太はそう言葉を口にすると、
”花子さん”を探すために、放課後の校舎をうろつき始めるー。
「ーーーーここから”霊”の気配がするー」
浩太はそう言葉を口にすると、
静かにトイレを開けるー。
そこにはーー
”誰もいないはずなのに”閉まっているトイレの扉があったー
浩太は「みつけた」と、静かにそう呟くと、
そのままトイレの扉をノックしたー。
「ーーーー!!」
花子さん(直人)はすぐに、浩太が来たことに気付くと、
”浩太くんならー…今の僕の姿を見ても逃げずに話を聞いてくれるかも!”
と、そんな希望を抱くー。
トイレの扉が開き、浩太と対面する花子さん(直人)ー。
「ーーこ、浩太くーーー
助けを求めようとする花子さん(直人)ー。
しかしー
浩太はその言葉を遮ると、親友である直人には見せない目つきで
言葉を口にしたー。
「ーみんなを怖がらせる悪霊は、
僕が退治するー」
と、そう言いながら札のようなものを手にする浩太ー。
その姿を見て、花子さん(直人)は、呆然とすると、
”ーーえ…ぼ、僕、このままじゃー…幽霊として退治されちゃうー?”と、
青ざめるのだったー…
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!!
このまま退治されちゃったら……
可哀想ですネ~★!
今日もありがとうございました~!!

コメント