<憑依>これでずっといっしょだね①~彼女の愛~

異様なまでに彼のことが大好きな彼女…

彼は、そんな彼女に振り回されながらも
日々を送っていたー。

しかし、ある日ー
そんな彼女に”妹”が憑依されてしまいー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「和也(かずや)と一緒にご飯食べる~!」

「和也~!お待たせ~!」

「ー和也と同じバイト先にしよっかな~」

「あ~…和也と一緒に暮らしたいー」

男子高校生の滝村 和也(たきむら かずや)は、
そんな彼女を前に、戸惑っていたー。

彼女の星谷 姫香(ほしや ひめか)の愛が”重い”ー

見た目は可愛いしー、
性格も基本的には真面目ー。

だがー、”異常なまでに”和也のことが好きすぎて、
付き合い始めた和也は、戸惑っていたー。

「ーえへへへ…今日も和也と一緒~♡」
帰り道、和也にしがみつくようにして嬉しそうにしている姫香ー。

「ーーおいおいおい…みんなが見てるからー」
和也は戸惑いながら、”これじゃバカップルだと思われてしまうー”と、
姫香に、そんな言葉を口にするー

「え~いいじゃん~!わたしと和也は愛し合ってるんだしー!」
姫香は、平気でそんな言葉を口にするー。

「お!和也!今日もイチャイチャしてるな!」
たまたま正門付近で他の友達と話をしていた和也の親友・信吾(しんご)が、
揶揄うような口調でそう言葉を口にすると、
「ーうん!イチャイチャしてる~!」と、姫香が勝手に
そんな言葉を口にしたー

「~~~~~~」
”そんなことないし”と、返事をしようとしていた和也が、
姫香に先を越されて恥ずかしそうに顔を赤らめると、
そんな様子を見て、慎吾は笑うー。

「ーまぁいいじゃないかー
 星谷さんみたいな可愛い子に、そんなに好かれるなんて幸せなことだぞー。

 美沙子(みさこ)なんて、俺の誕生日にも
 ”え?今日あんたの誕生日 ふーん”なんて感じなんだぞ?」

信吾が苦笑いしながら言うー。

美沙子とは、慎吾の彼女で、
とても不愛想な感じに見える子だー。

以前、他の友達が美沙子に”信吾のこと、本当に好きなの?”と、聞いたところ
”好きかどうかは分からないけど、とりあえず付き合ってる”などと、
そんな言葉も口にしていたー。

「ーーえ~!誕生日忘れるなんてありえない~!
 わたしは、和也の誕生日をぜ~ったい忘れないし、
 すっごいプレゼント用意しておくから、楽しみにしててね!」

姫香は嬉しそうにそんな言葉を口にすると、
和也や嫌な予感を覚えながら
「あ、あ、あんまり高いものとか、いらないからなー?」と
言葉を口にしたー。

信吾と別れ、半分強引に手を繋がれながら歩く和也ー。

姫香はー
元々”大人しい”子だったー。
いや、そう見えていただけなのだろうー。

高2になって、初めてクラスが一緒になった時の
第1印象は、”大人しい子”ー。
物静かな感じで、いつも真面目に授業を受けているー
そんな感じの子だったー。

和也自身も、友達はそれなりに多いものの、
意味もなく女子に話しかけるような感じではないため、
物静かな姫梨とは、特に接点のない日々が続いたー。

そんな姫梨と関わりを持つことになったきっかけはー、
図書委員会ー。

たまたま、同じ委員会に所属することになったことで、
和也と姫香には接点が出来たー。

図書委員で同じ日に図書当番になっても、
最初、姫香は大人しい雰囲気そのままで、
和也は特に何も考えずに、姫香と一緒に仕事をし、
姫香が困っていることがあれば助けたー。

一見不真面目そうに見えることもあるものの、
和也は与えられた仕事は一生懸命こなすタイプで、
図書委員の仕事も、真面目に一生懸命取り組んでいたー。

そして、困っている人がいれば、姫香も含めて
しっかりと助けてあげていたー。

そんな姿を見ていたからだろうかー。
やがて、姫香に告白された和也は
「えっ!?お、俺? 俺なんかでいいの?」と、
戸惑いながらも
”まぁ、断る理由はないかー”と、
「俺なんかで良ければー」と、
そう、返事をしたー。

がー、付き合い始めてから、
姫香の愛はどんどん膨らみ、”素の姿”が見えるようになってきたー。

もちろん、今でも基本的には物静かにしているのだが、
和也といっしょの時だけとても口数も多くなって
嬉しそうにしているー。
和也の親友・信吾とも”大好きな和也の親友”ということで、
今では普通に口数多く会話をしているー。

元々”好きになった人”に対してはきっとこういう振る舞いを
する子なのだろうー。

だが、最近は次第にエスカレートしている、姫香の”愛”を
少し怖いと思うこともあったー。

あまりにも、和也のことが好きすぎるのだー。

「ーーーはぁ…」
そんなことを考えながら、歩いていた和也は、
ふと、隣にいる姫香がため息をついたことに気付くー。

「ーため息なんてついてー…どうしたんだ?」
和也が心配そうにそう言うと、
「だってー…もうすぐ和也とお別れだからー」
と、そう言葉を口にするー。

”お別れ”とは、別に彼女彼氏の関係を解消するとか、
そういうことではなく、
単に、”この先の交差点で、帰り道が別の方向になる”ことを
示しているー。

「ーははは、帰った後もLINEとかできるし、
 明日もまた会えるだろ?」

和也がそう言うと、
姫香は「ーーうん」と言いながらも、涙ぐんでいるー。

「ーーおいおいおいー…そんな顔するなって」
和也が苦笑いすると、
姫香は「美雪(みゆき)ちゃんが羨ましいなぁ…」と、
言葉を口にするー。

”美雪”とは、和也の1歳年下の妹のことだー。

「ーー…美雪は…学校では一緒にいられないだろ?」
和也が、そう言いながら
”学校で会えるのは、姫香のほうだけなんだから”と、
姫香を慰めようとするー。

「ーでも、なんかずるいー
 和也と一緒の家に住めるなんてー」

少し頬を膨らませながらそう言葉を口にする姫香を見て、
和也は「ーこのまま付き合ってれば、大学生になったあととか、
社会人になったあと、姫香とも一緒に暮らせるさー」と、
そんな言葉を口にするー。

「ーーうん、それもそうだけどー…」
姫香は”それまでわたし、耐えられないー”と、思いながらも、
和也の言葉にうなずき、目に涙を浮かべながら
「じゃあ、また明日ー」と、ようやくそんな言葉を口にしたー。

姫香と今日の別れの挨拶をして、
姫香に手を振ると、和也はそのまま歩き出すー。

「はははーいつも一緒に帰る度にこれだー」
そんなことを一人、口にして自虐的に笑いながら
そのまま家の方向に向かって静かに歩いていくー。

「ーーーーただいま~」
帰宅した姫香は、母親にそう挨拶をすると、
暗い表情で自分の部屋に向かうー。

部屋に入ると、和也と一緒にいられない時間のことを思いながら
一人、泣き始めるー。

最近の姫香は、いつもこうだー。
学校に行く前になると、朝からとても嬉しそうにしていてー
学校で”大好きな和也”といっしょの時間を過ごすー。

が、だんだん午後になるにつれて元気がなくなっていき、
学校が終わって帰宅すると、部屋の中で一人、しばらく泣いているー。

そんな状態がずっと続いているー。

「ーーーー和也ー」
やがて、姫香はスマホを手に、
何かをネットで調べ始めるー

”高校生 彼氏と同居する方法”

そんなワードを調べているようだー。

しかし、出て来た情報に、
姫香の望むような情報はなく、大きくため息をつきながら
イスにもたれかかるー。

また、少し涙を流してから
ようやく気を取り直した姫香は
今一度スマホの画面を見つめたー。

がー…その時だったー。

”高校生でも大好きな恋人と同居する方法”
そう書かれたサイトに、ある文言を見つけたー

”憑依”

「ーー…憑依?」
姫香が少し目を細めながら、そのサイトの記述の続きを
確認していくー。

すると、そこには
”大好きな恋人の家族に憑依すれば、帰宅後も大好きなあの子といっしょ!”
と、そう書かれていたー

「ど、どういうことー?」
姫香はなおも、不思議そうに首を傾げながら
そのままそのサイトを読み進めると、
嬉しそうに笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

いつものように、姫香と共に下校していた和也ー。

だが、今日は分かれ道になっても、
姫香はいつものように涙ぐんだりせずに、
元気な様子を見せているー。

「ーあれ?なんだか今日はあっさりしてるなぁ」
和也が、不思議そうにそう呟くと、
姫香は「ふふふふんー。ずっといっしょだもん」と、
笑みを浮かべるー。

その言葉の意味が分からず、
和也は首を傾げながら
「え?なに?俺の家までついてくるつもりかー?」と笑うと、
「ー流石にそんなことはしないよ~」と、
悪戯っぽく笑う姫香ー。

「ーじゃ、”またあとで”」
姫香のそんな言葉に、和也は少し首を傾げながらも
”LINE”とか”通話”のことだろうと判断し、
「あぁ、またあとでー」と、手を振り返すー。

がーーー…
”またあとで”の意味は
和也が思っているような意味ではなかったー。

和也の家よりも自宅が近い姫香は、帰宅すると
早速自分の部屋に駆け込み、
笑みを浮かべるー。

「えへへへー…」
ネットで見つけた”憑依薬”が昨日届いた姫香は、
嬉しそうにそれを見つめるー。

「これがあれば、和也とず~っと一緒ー。
 学校でもー、家でもー ふふ」

満足そうにそう呟いた姫香は、静かにそんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ、お兄ちゃんお帰り~」
妹の美雪が、帰宅した兄の和也を見て、
そんな言葉を口にするー。

ツインテールの美雪は、一見すると優しそうな清楚な雰囲気の持ち主だが、
結構気が強く、言いたいことはハッキリと言うタイプー。

「ーーただいま」
和也が、挨拶を返しながら少しだけ美雪と雑談すると、
「そういえば、あの重い彼女さん、最近元気~?」と、
そんな言葉を口にするー。

兄の彼女を”重い”と平気で言い放つ美雪ー。
ズバズバ言う性格なだけで、悪気はないー

「ははは、今日は結構元気だったよー」
和也がそう返して、自分の部屋に向かうと、
美雪は「わたしはああいう人苦手だなぁ~…なんか面倒臭くて」と、
苦笑いするー。

「でもまぁ、お兄ちゃんのことだから口出しはしないけど」
美雪のそんな言葉を聞いてから、部屋に入る和也ー。

だがーーー

”ーーーふ~~~~ん…”
既に、家の中には憑依薬を飲み、霊体になった姫香が
たどり着いていたー。

不愉快そうに、美雪の言葉を聞いていた姫香は
容赦なく、そのまま美雪の身体に自分の霊体を重ねるー。

「ーーひっ!?」
美雪がビクッと身体を震わせて、よろめくー。
近くの棚に身体をぶつけた美雪ー

台所の方にいた母親が「美雪?大丈夫?」と、
物音に心配して、そんな声を掛けると、
美雪は「う、うん~だいじょうぶ~!」と、笑みを浮かべるー。

「ーーーーふふ…妹ちゃんの身体、げっと♡」
憑依されてしまった美雪はご機嫌そうにそう言うと、
早速”大好きな和也”の部屋に向かって歩いていくー。

「ーーーー」
自分の部屋に戻っていた和也が、
学校の荷物の片づけをしていると、扉が開くー。

「ーーーあれ?美雪、どうかしたのか?」
和也は不思議そうに首を傾げるー。

美雪も和也も、お互いの部屋に入っていくことはまずないー。
仲が悪いわけではないものの、お互いに相手の時間は大切に
させてあげよう、という暗黙の了解のようなものがあってー、
用事があるにしても、基本的にお互い、部屋をノックするー。

がー、たった今、1階で話をしたばかりかつ、
ノックもなく部屋に入って来たことで、少し驚いた和也ー。

しかし、そんな和也の反応を気にも留めず、美雪は
和也に突然抱き着いて来たー

「ーぶわっ!?!?!?!?」
驚く和也ー

「き、き、急にどうしたんだよ!?おい、美雪ー!?」

仲の良い方ではあるとは思うー。
けど、こんな風に抱き着いたりようなことはないー

「えへへへへへー」
美雪は、顔を真っ赤にしながら笑うと、
和也のほうを見つめたー

その目つきは”妹が兄を見る目”ではなくー、
”愛する人を見る目”だったー。

「ー!?」
和也が困惑していると、
美雪は笑みを浮かべながら言ったー。

「ーー美雪じゃなくて姫香って呼んでー」
とー。

「ーーーえっ?」
戸惑う和也ー

「ーーふふふ…これでずっといっしょだね♡」
美雪のそんな言葉に、和也は困惑の表情を浮かべながら、
戸惑うことしかできなかったー。

②へ続く

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コメント

異様なまでに彼氏を愛する彼女が、
彼氏の妹に憑依してしまうお話デス~!

どんな風になっていくのかは、
また明日のお楽しみデス~!

お読み下さりありがとうございました~~!

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