彼氏のことが好きすぎるあまり、
彼氏の妹に憑依してしまった彼女。
憑依された妹を前に、彼はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「美雪じゃなくて、姫香って呼んでー…?」
妹の美雪が、いつもとは別人のような様子で
身体を密着させながら、そう囁いてくるー。
「ーひ、姫香ー!?
な、何で!?いきなりどうしたんだよ!?」
兄の和也は、当然のように戸惑いを露わにする。
妹の美雪が、彼女と同じ名前で呼んでほしいと言ってくるなんて、
意味が分からないー。
そう思っていると、美雪はクスクスと笑いながら
うっとりとした表情で、和也のほうを見たー。
「ーー今のわたしは、身体は美雪ちゃんだけど、姫香なの」
当たり前のように”憑依”を暴露する美雪ー。
「ーえっ!?えっ!?えっ!?
ごめんーちょっと何言ってるか分からないよー」
和也が困り果てた様子でそう言い放つと、
美雪はにこにこしながら、
「”憑依薬”って言う薬を使って、幽体離脱して美雪ちゃんに憑依したの!
だから、今は美雪ちゃんの身体をわたしが使ってる状態!」
と、そんな風に説明したー
「お…おいおい…う、嘘だろ?」
和也が”信じられない”という様子でそう言い放つと、
美雪はニヤニヤしながら「ホントだよー!今の美雪ちゃんは、姫香なの!」と、
嬉しそうに言い放つと、顔を耳元に近づけて来て、
”和也と姫香しか知らないこと”を次々と口にしてきたー
「ーーーー!!」
和也は表情を歪めるー。
妹の美雪には”言っていないはずのこと”を次々と口にする美雪ー。
姫香が美雪に伝えた可能性や、
美雪が姫香から聞き出した可能性も0ではないが、
その可能性は限りなく低いー
「ーま、まさか本当に美雪の身体を…の、乗っ取ったのかー?」
和也がそう言い放つと、
美雪は「うん!」と笑いながら
「だって、家にいる間も和也と一緒にいたいんだもん!」と、
満面の笑みで微笑んだー。
「ーーーー…い、いや、待ってくれー
ど、どっきりか何かだろー!?
憑依なんて、あり得ないー」
和也はなおもそんな言葉を口にするー。
「ーーえ~~?こんなに言っても信じてくれないの~?
和也のケチ~!」
美雪が不貞腐れた様子で言うー。
いつも、美雪は和也のことを”お兄ちゃん”と呼ぶー。
そんな美雪に下の名前で呼ばれると違和感が半端ないー。
だが、それでも和也は”憑依”なんて信じることはできなかったー
あまりにも非現実的だし、
まだ、彼女の姫香と妹の美雪が裏で仲良くなっていて、
二人で話し合いをして、”妹の美雪が和也にどっきりを仕掛けている”
と、考える方が憑依よりかは現実的だー。
通常、憑依なんて日常生活の中に溶け込んではいないし、
そう考える和也の判断も、決しておかしいわけではないー。
しかしー…
「ーーーじゃあ、これなら信じてくれる?」
そう言葉を口にした美雪は、突然、制服を脱ぎ始めたのー。
「はっ!?いや!?えっ!?まっ…」
和也は裏返った声で叫ぶも、
美雪は下着が見えるのもお構いなしに、笑みを浮かべるー。
「ーーふふふふふ…美雪ちゃんが、こんなことする?」
美雪が甘い声で言葉を口にするー
しないー。
絶対にしないー。
そもそも、美雪はそういうことが苦手のはずー。
前に、美雪が自分でそう言っていたー。
いくらドッキリのためであったとしても
兄の前で服を脱ぐようなことをするとは、思えないー。
「ーーー…し、しない!しないから!ストップ!」
和也がそう叫ぶと、
美雪が手を止めるー
「じゃあ、わたしが姫香だって信じてくれるー?」
美雪のそんな言葉に、
「し、信じる!信じるから、服を、元に戻してくれ!」と、
目を逸らしながらそう言うと、
美雪は「ふふふふふふふ」と、笑いながら制服を再び
身に着け始めるー。
「ーーで、でも、ちょ、ちょっと待てー!
憑依って…み、美雪はどうなったんだー!?」
”憑依”を信じざるを得ない状況にされた和也。
しかし、そうなってくると今度は妹の美雪の身が心配になるー。
「ーーそれは大丈夫ー
美雪ちゃんの意識はこの中で眠ってるだけだからー
美雪ちゃんに害を及ぼしたりすることはないよ」
美雪がそう言うと、
和也は「い、いや!意識が眠ってるとかダメだろ!?美雪の許可は取ったのか!?」
と、叫ぶー。
「ーーえ…そ、それはー」
一瞬、目を逸らす美雪ー
だが”姫香”は嘘をついたー。
「美雪ちゃんに、和也と一緒にいたい、って言ったら
”とりあえず今日だけ”って約束で許可は貰えたけどー」
美雪のそんな言葉に、
和也は「本当かー?」と、疑いの眼差しを向けるー。
「ーほ、ほ、ほ、本当だよー!あ、あははははは!」
美雪が誤魔化すようにしてそう言い放つー
”嘘くさいなー”
和也はそんな風に思いながらも
”待てよー”と、
美雪のほうを見つめるー。
”美雪は、姫香に憑依されている状態”
さっき、服を脱ごうとしたところを見ると、
美雪の身体は完全に乗っ取られていて、
美雪本人は抵抗できない状況の可能性が高いー。
そうなってくると、姫香をあまり拗ねさせると
”何をされるか分からないー”
姫香は元々大人しい雰囲気の子だったが
付き合い始めてからは、異様なまでの愛を和也に向けてきているー。
和也自身も、最近は
”度を越しすぎている”と、少し扱いに困るようなことはあったしー、
”暴走”しかねないという不安があるー。
”ーーー今日だけって言ってたなー”
和也は心の中でそう呟くと
”それなら、今日だけはとりあえず姫香の話に乗っておいてー、
明日以降は憑依させないってのが一番いいかもなー”
と、そう考えたー。
すぐに美雪から出て行くように要求することもできるし
それを拒むなら姫香と対決してでも、美雪から追い出すこともできるー。
がー、
それをすれば、美雪の身体で姫香が何かをするかもしれないー。
それは、避けたいー。
そう思った和也は言葉を口にするー。
「”今日だけ”なんだな?」
和也のそんな言葉に、美雪は一瞬表情を歪めるも
「うんー!とりあえず今日だけの約束」と、
そう言葉を口にするー。
”今日だけ約束した”と、言うのは
美雪の許可はあるのか?と言われた姫香が咄嗟についた嘘ー。
が、そのせいで”今日だけ”と、釘を刺されることになってしまったー
「ーわかった。美雪が許可してるなら”今日”だけだー」
和也が、姫香が今日で美雪から出て行くように釘を刺すー。
「ーーーーう、うんー」
美雪は”やっちゃったー”と、言わんばかりに少し悔しそうにするー。
これで、”明日以降”も、美雪に憑依する口実を失ったし、
和也に”嘘をついた”ということになってしまうー。
「ーーーそれとさー」
そんな風に思っていると、和也がふと言葉を口にしたー
「俺は、美雪だけじゃなくて、姫香のことも心配なんだよー。」
和也がそう言い放つと、美雪は「え?わたし?」と、首を傾げるー。
「そうだよー
だって、憑依薬なんて得体の知れない薬が
どんな副作用があるか分からないしー
それに、姫香の身体への影響も心配だしー。
だから、今後”美雪が許可”したとしても、
憑依はこれっきりにしてくれないかな?」
和也は、そんな言葉を言い放ったー。
彼女である姫香を怒らせないようにしつつ、
かつ、美雪を解放して貰う様に、
そう仕向けた言葉だー。
「ーーー和也ー」
和也の予想通り”自分の身を案じてくれた”ことに、
嬉しそうな表情を浮かべる美雪ー。
「ーーま、今日だけは仕方ないよー
でも、美雪の身体だから、扱いは丁寧にな?
人から借りたものを使うときは、
大切に、な?」
和也が、美雪の身体で変なことをさせないように
そう注意すると、
美雪は笑みを浮かべたー
「うんうん!分かってる!美雪ちゃんを傷つけるのが目的じゃないし」
美雪はそう言うと、
「じゃあー、早速、キスしちゃう?」
と、笑みを浮かべたー。
「ー分かってないじゃん!」
和也は思わず声を上げると、
美雪は「え~?キスもダメ~?」と、不満そうに言葉を口にしたー
「ーキスもダメだよ!兄妹でキスとか、ダメだろ!?」
と、和也は”重い空気にならないように”、冗談めいた口調で言うー。
「ーーーむ~~~~…じゃあ、我慢する」
いつもと違う美雪の振る舞いに、和也は少しドキドキしながらも、
「ーとにかく、人のものを借りてるってことは忘れちゃダメだからな?
人から借りたもの、大事にしないやつとは俺、仲良くなれないしー」
と、”和也に嫌われるようなことはしない”はずの姫香の性質を利用するかのように
そんな言葉を口にしたー。
「ーえへへーわたしは借りたもの大事にする人だから大丈夫~!
美雪ちゃんの身体も大事に使う~」
美雪が子供のように笑いながらそう言い放つー
和也の思った通りの反応をしてくれる”姫香”に
和也は少し安堵の表情を浮かべると、
そのまま美雪の身体で変なことをされないように、
1日を過ごしたー。
そして、翌朝ー、約束通り、姫香は美雪の身体から抜け出したー。
「ーーぅ…」
目を覚ました美雪が、周囲を見渡すー。
「ーーあ…あれ…わ、わたしー…」
美雪のそんな言葉に、和也は心配そうに美雪を見つめながら
「大丈夫かー?」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーーーあ…あれ…?い、今、朝ー?」
美雪が不思議そうに首を傾げるー。
そんな美雪の反応に”やっぱ、姫香のやつ、美雪に許可なんて取ってないんじゃー?”と、
そう心の中で考えるー。
姫香の言う通り、美雪に”とりあえず今日だけ”と許可を貰っていたなら
この反応はおかしい気がするー
「き、昨日、帰って来たあと、わたしー、何してたっけ?」
美雪のそんな言葉に、
和也は本当のことを伝えるかどうか、迷った挙句に
「ーー部屋に戻ってすぐ寝落ちしてたみたいだぞー」と、
そう言葉を口にするー
「う、嘘ー…?!えぇ?そんな~~~」
美雪が”時間を損した”と言わんばかりの反応をするー。
やっぱり、”憑依されていたこと”は完全に知らない反応ー。
”寝落ち”ってことで済ませるのは強引では
あるけれどー、これでいいー。
和也はそんな風に思うー。
美雪を怖がらせないようにすることー。
そして、姫香を変に刺激しないことー。
姫香には”昨日だけ”と釘を刺してあるー。
このまま憑依が終わるなら、
これが一番、美雪を怖がらせず、かつ姫香を刺激して
行動のエスカレートを防ぐ方法だと、そう、思ったー。
「ーーははは、まぁ、疲れてたんだろ?
ぐっすり寝て、身体も少しは元気になってるといいな」
和也がそう言うと、美雪は「お兄ちゃん、何か隠してないよね?」と、
素直に思ったことを口にするー。
「ーいやいやー。部屋からずっと出てこなかったし、
記憶がないなら、寝落ちしかないだろ?」と、
動揺を見せずにそう言葉を口にすると、
美雪は「まぁ、それはそうだけどー」と、困惑しながらも
”そう納得するしかない”と、言わんばかりの表情を浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーなぁ、美雪、憑依のこと知らない様子だったけどー、
許可取ったって、嘘だよなー?」
学校にやってきた和也がそう言い放つと、
姫香はギクッと、した表情を浮かべながら
「ーご、ごめんなさいー」と、素直にそれを認めたー。
「ーーーーいや…いいけどさー
でも、嘘は傷つくからさー…
だから、これからはダメだぞ?」
和也が、お兄ちゃんのような口調で言うと、
姫香は「ーーうん。ごめんー」と、少しだけ嬉しそうに言葉を口にしたー
「お互い、恋人なんだから隠し事はなしってことでー。な?」
和也がそう言うと、姫香は頷くー。
「ー美雪には今回は寝落ちってことで説明したからー。
ほら、美雪を怖がらせたくないしー。
だから、もし美雪と話すことがあったら、
話は合わせてもらってー」
その言葉にも、姫香は素直に頷いたー。
「ー和也のことが好きすぎてー、ごめんなさいー。
わたし、一人っ子で、親はずっと仕事ばっかりで
家にいないことがほとんどだしー、
だからほら、美雪ちゃんに憑依してて、
わたしがいなくなってても、親は全然気付かないし…
それとー…友達もほとんどいないし、
彼氏も初めてだからー
ついー…」
姫香がそんな思いを打ち明けると、
和也は「ーーはは、その分、俺が姫香を大事にするから。
だからー、もう、勝手に憑依なんてしちゃ、ダメだぞ?」と、
諭すような口調で、優しく言葉を口にするー。
「ーうん ごめんなさいー」
姫香は素直に、心の底から言葉を口にするー。
これでー、円満解決ー
そのはずだったー。
だがーーー
物陰からそんな会話を”偶然”聞いてしまった生徒は
静かに笑みを浮かべていたー
③へ続く
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コメント
彼氏のことが好きすぎる彼女…!
でも、ちゃんと話せば分かってくれる様子で、
ひとまずは安心な雰囲気ですネ~!★
最後がちょっと不穏なことを除けば…★!
明日もぜひ楽しんでくださいネ~!
今日もありがとうございました~!

コメント