彼女とのデートにファミレスを選んだ彼氏ー。
当然、彼女とも話し合った上での決定で、
楽しいデートになるはずだったー。
しかしー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーいらっしゃいませ~!2名様でよろしいですか?」
ファミレスの店員が、
お店に入ってきた大学生カップルにそう声を掛けると、
彼氏の方が「あ、はいー」と、少し恥ずかしそうに頷きながら、
返事をするー。
返事を確認した店員は、手慣れた動作で、
愛想よく笑いながら、二人をテーブルに案内すると、
メニューの案内や、注文が決まったらボタンを押して店員を
呼ぶように、お決まりの案内をして
そのまま立ち去っていくー。
「ーーなんかー…初めてのデートがファミレスでごめんなー」
男子大学生の岩間 雄平(いわま ゆうへい)は、
少し申し訳なさそうにそう言うと、
「全然大丈夫大丈夫ーわたしだって、初めての経験だしー
そのー…いきなり高級なお店に連れていかれたりしたら
緊張しちゃうから、このぐらいの方がわたしも過ごしやすいしー」と、
同じ大学に通う彼女、村本 杏菜(むらもと あんな)が笑いながら答えたー。
「ーーーはははー…
よかったぁ~…
いざ、ファミレスに来たら急に
”デートでファミレスとか、ありえないんですけどぉ!”とか言われて
振られたらどうしようかと思ってたしー」
雄平がそう言うと、杏菜は
「そんなこと言わないよ~!」と笑いながら雄平のほうを見つめるー
「そもそも、二人で相談してここにしたんだしー
それで、急にそんなこと言ったら、わたし、ヤバい女の子だよね?」
と、苦笑いしながら言い放つー。
「ーーははは…まぁー…でも、ほら、初めてのデートで
色々不安ばっかりでさー
昨日も夜中になかなか寝られなくてー」
そんな会話をしながら、雄平が大盛りのハンバーグを注文ー、
杏菜は美味しそうなケーキとドリンクを注文するー。
料理が届くのを待つ間も、ぎこちない様子で会話する二人ー。
雄平も杏菜も、今まで恋人がいたことはなく、
お互いに初めての恋人ー
二人とも恋愛的な駆け引きが苦手で、
同性の友達とばかり遊んでいたようなタイプだったため、
お互いにこれが初めての付き合いだったー。
そんな二人は、大学のとある行事をきっかけに知り合い
意気投合ー、
お互いに、同じようなタイプであったことや
共通の趣味も持っていることから、
あっという間に距離を縮めてー、
半月前に雄平が勇気を振り絞って告白ー
杏菜がそれを受け入れて恋人同士になったー。
ただ、ちょうど学園祭が近い時期でお互い忙しかったことから
付き合い初めて半月ー
ようやくこうして、二人の”初デートの時間”を
確保することができたのだったー。
「ーーーーー」
「ーーーーー」
お互い少しの間、沈黙するー。
「ーその、ご、ごめんー」
雄平が気まずい沈黙に耐えかねて、思わず
謝罪の言葉を突然口にしてしまうと、
「え、あ、ち、違うよ!別につまらないとかじゃなくてー」と、
慌てた様子で杏菜が手を振るー
「ーーな、なんていうかーその…
いざ、こういう風にデート…すると、
何を話していいのか分からなくてー」
恥ずかしそうに言う杏菜に対して
雄平は「お…俺もー…」と、苦笑いするー
杏菜も雄平も恋人ができるのはこれが初めてであるために
普段、同性の友達と一緒にいる時には
それなりに口数も多い二人だがー、
今日はこうして、緊張しまくっている状態ー。
「ーーあ、でも、何か嫌なこととかあったり、
本当はつまらなかったりしたら、いつでも言っていいからー
ほ、ほら、俺も初めての彼女だから
言われないと分からないことも色々あると思うしー
だからー」
そう話してる最中にー
雄平は、杏菜がビクッと震えたことに気付かなかったー
そしてー
クスッと、杏菜が笑うと、
「ーーつまらないに決まってんじゃんー」と低い声で
言葉を呟いたー
「ーーーえ?」
雄平がそう言うと、
「ー初デートがファミレスとかバッカみたい!!!!」と、
杏菜が突然テーブルを叩いてキレ始めたー
あまりの豹変に驚く雄平ー
周囲のテーブルの客もざわついているー
「ーわたしが大人しく黙ってればいい気になりやがって!
わたしみたいに可愛い女をファミレスぅ???
は~~~~?ふざけんなよ!」
別人のように口調を荒げて、
雄平に対して怒鳴り声を上げる杏菜ー
「え…え…ご、ごめんー
き、気づかなかったよー
そ、それなら相談したときに言ってくれればー」
雄平がそう言うと、
杏菜は「あ~~出た!わたしのせい」と、腕組みしながら
不機嫌そうに椅子に座るー
「ーーうざっ!うざっ!うざっ!!!」
目を見開いてそう言い放つ杏菜に対して
雄平は驚きながらもひたすら謝罪の言葉を口にし始めるー。
”あ、杏菜ー…き、急にどうしたんだよー”
ファミレスが不満だったかのかもしれないー
けど、杏菜はこんなに急に怒鳴り声を上げたりする声ではないー。
それとも、彼女になった途端豹変するタイプの子だったのだろうかー
「ー何とか言えよ」
杏菜が低い声で机をトントン叩きながら言うー
「ーーえ…」
雄平が戸惑っていると、
杏菜は「こんな可愛い彼女と一緒にいるんだから、ヘラヘラしてねぇでなんか言えよ!」と、
大声で怒鳴り声を上げたー
杏菜の穏やかな声がまるで別人のようー。
周囲がどよめくー。
たまらず店員の一人が駆け付けて、
”他のお客様のご迷惑にー”と申し訳なさそうに言い始めると、
杏菜は「うっせぇ!黙ってろ!」と大声で叫んだー
「お…おい…あ、杏菜ー…ちょ、ちょっと落ち着けよー…」
雄平もさすがに引いたのか、杏菜に対してそう言い放つも、
杏菜はさらにエスカレートしていくー
「ーうるせぇ!このボケ!
いつまでも大人しくしてれば、調子に乗りやがって!」
杏菜の言動はまるで男だー。
とてもじゃないが、いつもの杏菜とは思えないー。
そうこうしているうちに、店員が
雄平の注文したハンバーグを運んでくるー。
しかしー
問答無用で、杏菜が突然、ハンバーグを手でわしづかみにして
そのまま汚らしく食べ始めるー
「くくくっー…滅茶苦茶にしてやるぜ」
杏菜がふと、そんなことを呟いたー
「え……?」
雄平は、もはや呆然としているだけで何も言葉を
発することができないー。
そんな雄平を他所に、ハンバーグを手でつまんでそのまま食べると、
火傷したのか、手を真っ赤にしながら、そのまま雄平のほうを見つめたー
「ーどう?これがわたし。ドン引きしたでしょ?」
杏菜が笑うー。
「ーー…い、いや…そ、そのー」
杏菜は何がしたいのかー
雄平は周囲の目が気になって
「お、俺にもよく、状況が分からなくてーすみません」と
頭を下げると、杏菜は突然テーブルに飛び乗って、
テーブルの上に立って叫んだー
「ーー何だぁ~?お前ら!ヤバい女を見る目で
わたしを見やがって~!へへへへへ」
杏菜はそれだけ言うと、突然ファミレスの机の上で
ストリップショーでもするかのように
身体をくねくねさせながら服を脱ぎ始めるー
「お、おい!何やってんだよ!おい!
ここ、どこだと思ってんだよ!おいっ!」
さっきまでは只々困惑している様子だった雄平だが、
流石にまずいと思ったのか
少し声を荒げて繰り返しそう叫び始めるー。
しかし、杏菜はそんな雄平にもお構いなしに
服を脱ぎ始めると、
店内にも同様の声が広がり始めたー。
スカートも脱ぎ捨てて、それを別の客の方に
笑いながら放り投げる杏菜ー
”うわぁ、やべぇ なんだあの子ー”
”痴女じゃんー”
”ちょっと、やばくないー”
”お母さん、あれなに~?”
色々な言葉が飛び交う中、
雄平が「やめろってば!」と叫んだのもむなしくー
杏菜は下着まで脱ぎ始めて、モデルのように
テーブルの上でポーズを決めたー。
「ーーふふふ ぜ~んぶ脱いじゃったぁ♡
ほら、撮影し放題だぞ?
撮れよ!とれよ!あははははははっ!」
杏菜が顔を歪めながら笑うー。
ファミレスのテーブルの上で
裸になってモデルのように嬉しそうにポーズを取る杏菜ー。
「ーーい、いったいどうしちゃったんだよ!」
雄平がそう叫ぶもののー
ファミレスの利用客の中には物好きもいたのだろうー。
テーブルの周囲に人が群がってきて、
中には本当に杏菜の写真を撮っている者までいるー
「お、おいっ!やめろって!」
杏菜に向かって叫ぶ雄平ー。
店員がこっちを見ながら電話しているのが
ちらりと見えたー
恐らく、警察に通報されているのだろうー
「ーな、なんでこんなこと!!!おいってば!」
必死に叫ぶ雄平ー。
がー
他のおじさんに無理やりどかされて、ファミレスの
床に転がってしまう雄平ー
杏菜は狂ったように笑いながらー
何の羞恥心もなく、モデルのようにポーズを取り続けているー
「ーーうおおおおおおっ!?」
「きゃあああああああああ!」
「何なんだよあいつー!」
雄平がファミレスの床に手をついて
悲しそうにしていると、再び声が上がったー
雄平がふと顔を上げると、
周囲に群がった人たちに、杏菜はテーブルの上でたったまま
放尿をしてゲラゲラと笑い始めたー
「げへへへへへへへへっ!
わたし、全国のニュースになっちゃうううううう♡」
嬉しそうにそう叫ぶ杏菜ー
笑いながら狂った行為を繰り返す杏菜をー
その杏菜の表情を見て、雄平は呆然としながら
思わず呟いたー
「あれはー…
あれは、杏菜なんかじゃないー」
とー
そう思えてしまうぐらいに、今の杏菜はおかしかったー
やがてー
ファミレスの中に警察官が入ってきて、笑いながら痴態を晒していた杏菜は
警察官に向かって、指を立てて挑発すると、
そのまま突然、その場に倒れ込んだー
意識を失い、白目を剥いたままピクピクしている杏菜ー
アソコからは体液が垂れ流れていてー
その姿はあまりにも悲惨な姿だったー
救急車も呼ばれー
そのまま運び出される杏菜ー
苦しそうに呻きながら、連れていかれた杏菜の姿を見つめながらー
雄平はただ、困惑の表情を浮かべることしかできなかったー。
”杏菜は一体どうしてしまったのかー”
そんなことを思うと同時に、雄平は、
”自分の彼女が奇行に走った”ことで、警察から事情聴取を受けることになり、
そのまま素直に警察と共にファミレスの外へと向かったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、警察から事情聴取を受けたものの、
雄平自体は無関係と判断されて釈放されたー。
”君も、付き合う相手は選びなさい”と
警察官に言われたのが、頭から抜けないー。
どうして、杏菜はあのようなことをしたのかー。
けれどー
結果として大恥をかかされることになってしまった雄平はー
そのまま大学にやって来なくなった杏菜に連絡を取ることもできないままー
時ばかりが流れ、そのまま疎遠になってしまったー。
杏菜がどうなったのか、
どうしているのかも分からないー。
雄平が、杏菜とー
”初の彼女”との付き合いを経て
得たものはー
”女の子は怖い”ということだけだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーへへへ…リア充を爆発させてやったぜー」
男は、笑うー。
あの日、杏菜に憑依して、
ファミレス内で杏菜に痴態を晒させた男ー
あの日のー”リア充”の会話を思い出すー
「ーーなんかー…初めてのデートがファミレスでごめんなー」
「全然大丈夫大丈夫ーわたしだって、初めての経験だしー
そのー…いきなり高級なお店に連れていかれたりしたら
緊張しちゃうから、このぐらいの方がわたしも過ごしやすいしー」と、
「へっ…俺の前でイチャイチャしやがってー」
あの日ー
男はちょうど、シフトが終わる直前の時間だったー
杏菜と雄平をテーブルに案内したあとー
バイトを上がりー
そして、隠れた場所で憑依薬を使い、
杏菜に憑依したのだー
「ーいらっしゃいませ~!1名様でよろしいですか?」
男はー
”何食わぬ顔”で今日もファミレスの店員として
接客を続けるー
”また”
タイミングさえ合えば、リア充を爆発させてやるー
そう、心の中で思いながらー
おわり
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コメント
1話完結のシンプルな憑依モノでした~!
少し前に友達とファミレスに行った時に
(相手は同性の友達ですケド笑)
思いついた作品ですネ~!
ありきたりな内容な気もしたので、
1話完結でサックリと仕上げました!
少しでも皆様が楽しめていれば嬉しいデス~!
今日もありがとうございました~!

コメント
杏菜、可哀想に。恋愛どころか、人生そのものがもうおしまいですよね。
雄平は大恥かいたとはいえ、杏菜に比べれば、全然マシですね。
もし憑依されたのが雄平の方だったら、全く逆の立場になったのでしょうけど。
それにしても、憑依した犯人の店員、また新しい被害者をそのうち出しそうでとても危険ですね。
コメントありがとうございます~!
再起不能な状態になってしまいましたネ~…!
犯人の店員は確実にまたやりそうデス…!