その寄生虫に寄生された人間は
周囲のモノを”舐めず”にはいられなくなってしまうー。
”奇病・ペロペロ”の恐怖ー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
もうすぐ中間試験ー。
男子高校生の池本 修太(いけもと しゅうた)は
幼馴染の三宅 佳穂(みやけ かほ)と、
一緒に勉強していたー。
「ーーーーーー」
今日は佳穂の家にお邪魔して、
勉強をしているー。
小さいころからお互いのことを良く知っていて、
お互いの家も行き来している間柄であることから、
高校生になった今でも、こうして抵抗なく、
お互い、相手を自分の家に呼んだり、
部屋に招き入れたりしているー。
「ーーーーう…」
横で勉強していた佳穂が突然、額のあたりを抑えながら
少しだけ声を上げたー。
「ーーん?どうかした?」
修太がそんな佳穂のほうを見て
少し心配そうに呟くと、
佳穂は少し間を置いてから「ごめん…」と、呟くー
「え…何が…?」
修太は困惑の表情を浮かべるー。
「ーーーちょっと……もう…我慢…できないー」
佳穂はそれだけ言うと、突然、修太にキスをしてきたー
「ー!?!?!?!?!?!?」
佳穂の思わぬ行動に修太はドキッとしてしまうー
修太自身は、佳穂のことが好きだったが、
佳穂がどう思っているのかは分からなかったし、
今までキスをしたりだとか、そういうことは一切なかったー
それなのに、いきなりー?
「ーーわっ!?ちょっ、ちょっと!?
ど、どうしたの!?」
修太は慌てて佳穂を引き離そうとするー
だが、佳穂は突然、舌を出して修太の顔を
ペロペロと舐め始めたー
「ーーはぁぁぁぁ…♡」
佳穂は顔を赤らめながら嬉しそうに微笑むー
「ーーちょ…ちょっと…うわっ!?」
修太は顔を佳穂に舐められながら驚きー、
そして、慌てて逃げ出そうとするー
「ーーーーふぅ~~~…」
佳穂は修太に逃げられてもまだ、舌をペロペロと出しながら
やがて、自分の人差し指をぺろりと舐め始めるー
「ーど、ど、ど、どうしたの!?」
修太は困惑しながら叫ぶー
佳穂は夢中になって自分の指を1本1本舐めると、
「ーーだってぇ…♡ 我慢できないんだもん♡」と、
笑みを浮かべるー。
「ーい、い、意味が分からないよー!
ぼ、僕たち勉強するために今日はー」
「ー勉強なんか、どうだっていいのー
わたし、わたし… はぁ… はぁ…はぁ…」
佳穂はそう言うと、明らかにおかしな目つきで、
修太の方に近寄って来るー。
まるで、その光景は”ゾンビ”のようにも見えたー
修太は慌てて部屋を飛び出し、
佳穂の家の1階へと逃げ込むー
「あら?修太くんー
どうしたのー?」
修太は、慌てた様子で佳穂の母親に
事情を説明しようとしたー。
しかし、佳穂も後を追って
1階に降りて来るー。
ニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら
佳穂は自分の手を舐め回すと、
「ーもっと…もっと…ペロペロさせてー」と、
不気味な口調で呟いたー
「か、佳穂!?」
驚く母親ー
修太は佳穂から逃げながら
「ーか、佳穂ちゃん、様子がおかしくて!」と必死に叫ぶー。
「ーえ…?」
状況を理解できない母親ー。
そんな母親に佳穂は襲い掛かり、
そのまま自分の母親の唇をペロペロと舐め始めるー
嬉しそうに笑い始める佳穂ー
その笑い方は、いつもの佳穂の笑い方とは違う、
明らかに”異様な”笑い方だったー
「ーい、いったい…どうなってー」
修太が困惑しているとー
佳穂の耳から、不気味な”蠢く糸のようなもの”が姿を現したー
「ーな、なんだ…あれ…?」
唖然とする修平ー。
そうこうしているうちに、糸くずのような”虫”は、
佳穂から飛び出して、そのまま倒れ込んでいる過去の母親に
”侵入”したー
「ーーわたしも…我慢できないー」
やがて、母親も起き上がると、佳穂の頬を舐め始めるー
佳穂と母親が抱き合うようにして
互いをなめ合いながら笑っているー
「ーーな、な、な、なんなんだこれー…」
あまりに”異様”な光景に戸惑いを隠せない修太ー。
やがてー
佳穂と母親が修太のほうを見て”同じような笑み”を浮かべたため
修太は慌てて佳穂の家から外に飛び出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーなにそれ?」
帰宅した修太は姉のつばさに状況を説明するー。
「ーーー………だから~!糸みたいな虫が、佳穂ちゃんと
お母さんに入って…
ぼ、僕見たんだよ!」
修太が叫ぶー
だが、姉のつばさはため息をついて、
「絶対何かの見間違えでしょ」と、呟くー。
「ー佳穂ちゃんも、あんたのこと、好きだったって
ことなんじゃないの?」
つばさの言葉に、
「だ、だからっていきなりキスなんかするのか!?」と、
修太は顔を赤らめながら言うー。
「ーーう~ん…まぁ、する子は、するよね」
つばさがそう言うと、修太は「でもほら!連絡しても返事も来ないし!
やっぱなんかおかしいよ!」と、つばさに向かって
スマホの画面を見せながら叫ぶー。
「ーーーそれは~、一緒に勉強中にあんたが急に
逃げるようにして帰ってきたから、佳穂ちゃん、
怒ってるんじゃない?
早く、謝ったほうがいいよ!ほらほら!」
そんな会話を姉のつばさと続けていると、
リビングの脇でついたままになっていたテレビから
悲鳴が聞こえて来たー。
「ーーえ?」
修太がテレビのほうを見つめると、
ちょうどテレビで流れていたバラエティ番組に出演していた
現役アイドルが、共演者の俳優の手を突然掴み、
ペロペロと舐めながら笑みを浮かべていたー。
「ーーーな、なにこれ?」
つばさが唖然とするー。
「こ、これ!これだよ!佳穂ちゃんと同じ!」
修太が慌てて叫ぶと、
姉のつばさは唖然とした様子で、その光景を見つめるー。
アイドルが四つん這いになって床を嬉しそうに
舐め始めるー
「あぁぁ…しあわせー♡ しあわせ…♡」
カメラに向かって、スカートの中が見えているのも
気にせず床を舐め続けるアイドルー
完全な放送事故ー。
そうこうしているうちに、映像は途切れて、
”しばらくお待ちください”のようなテロップが
流れ始める
「ーな、何今のー…」
姉・つばさが困惑の表情を浮かべるー
修太は「佳穂ちゃんと同じだ…」と、唖然とした表情を浮かべるー。
「ーーで、でも、たまたまじゃない?
佳穂ちゃんはあんたにキスしたかっただけだと思うし、
今のアイドルの子は、関係ないでしょ」
姉・つばさはそう言いながら笑うと
「あ、そろそろ部屋に戻るね~」と、自分の部屋の方に
戻っていくー。
だが、修太は不安そうな表情で、
突如、生放送が打ち切られたテレビのほうを
見つめることしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
学校に投稿しても、佳穂の姿はそこにはなかったー。
心配そうに周囲を見渡すー。
だが、結局佳穂は、チャイムが鳴るまで学校に姿を
現すことはなく、LINEやメールでメッセージを送っても
返事はなかったー
いや、それだけじゃないー
佳穂以外も何人か”欠席”していたー。
「ーーーなんか、今日は欠席者が多いなー」
友人の一人が、そう呟きながら周囲を見渡すー
「ーうん…」
修太はそう呟きながら、
ふと、ツイッター上にあるワードが”トレンド”入りしているのを見て
その手を止めた
”相次ぐ奇行”
「ーーー」
その言葉を選択する修太ー。
すると、そこにはー
モフーニュースの記事が表示されたー。
”各地で相次ぐ奇行 原因不明”
というニュース記事ー。
その記事によれば、一昨日から
”急に周囲のモノを舐めだす”奇行に走る人が現れ、
何件かの通報があり、
昨日、爆発的に増えたのだと言うー。
各地で、突然”周囲のものを舐める”人が現れて、
まるで正気を失ったかのように、無我夢中で
色々なものを舐めるのだというー。
そしてーー
現在のところ”原因は不明”で、
一度”奇行に走った人間”を、元に戻す方法も不明、
とのことだったー。
「ーーこれ…」
修太がスマホを友人に見せると、友人は
「なんだこれ?」と、首を傾げるー
「僕、昨日、佳穂ちゃんの家で勉強してたんだけど
その時に、ここに書かれてるやつにー」
修太の不安そうな言葉に、友人は
「ははは、まさかー
お前の彼女、そんなことする子じゃないだろ?」と苦笑いしたー。
「ーいやいや、本当なんだって」
修太が食い下がると、友人は「いやでもなぁ…」と、笑ったあとに
「こういう頭のおかしいやつらと同じようなことするようにはー」
と、そこまで言葉を口にして、廊下のほうをちらちらと
気にし始めたー。
「ーどうかした?」
修太が言うと、「あ、いやー廊下がー」と、友人が
廊下のほうを指差すー。
廊下が何か騒がしいー
修太の友人が廊下のほうを見に行くとー
男子と女子が数名ー、それに社会科の若い女性教師が
廊下の壁を舐めながら、幸せそうな笑みを浮かべていたー。
「ーな…な…何やってんだ!?」
友人が叫ぶー
修太はすぐに「あ!昨日の佳穂ちゃんと同じ!」と叫んだー
「ーなんだって?」
友人は表情を歪めながら、そう叫ぶと、
「ーーっておい!愛実(つぐみ)!何してるんだよ!」と、叫ぶー
愛実とは、この友人の彼女だー。
必死に抑えようとするも、愛実は、その友人の腕を掴んで、
今度は友人をペロペロと舐め始めるー
「うわっ!おい!なんだこれ!」
愛実に押し倒された友人が悲鳴を上げるー。
愛実はお構いなしに顔を真っ赤にしながら
ペロペロと友人を舐め続けているー
そんな光景を見て修太は「ちょっと!」と、愛実を止めようとするも、
次の瞬間ー。
愛実はニヤニヤしながら口から涎とーーー
”不気味な糸のような虫”を吐き出したー
「ーえへへへ~…仲間になろ…?
きもちいいよ?」
普段大人しいタイプの愛実の、聞いたことのないような
欲情した声ー
「ー…な、な、なんだこれー…?」
修太は呆然と、その光景を見つめるー。
愛実から吐き出された”虫”のような物体が、
修太の友人の鼻から入り込んでいくー
修太の友人はしばらくもがいていたものの、
「修太…全然ビビることなんてなかったぜ」と、ニヤニヤしながら
立ち上がって、
「生まれ変わった気分だ…」と、修太の目の前で
自分の手の平を舐め始めたー。
「ーーひぇっ!?」
あまりの光景に修太は尻餅をついて、そのまま職員室の方に
向かって走り出したー。
みんなはいったいー!?
それに、あの虫のようなものはいったいー…!?
修太は青ざめながら職員室に飛び込むー。
だがー
既に職員室にも騒動は広がっており、
正気の先生たちが、おかしくなった他の先生や
生徒たちを必死に食い止めようとしていたー。
「ーーな、な…何が…何が怒ってるんだー…?」
呆然とする修太ー。
いつも真面目な女子生徒もー
イケメンな男子生徒もー
つまらない授業をする中年の先生も、
男子生徒から密かに人気のある数学の先生もー
みんな、嬉しそうに周囲のモノをペロペロと舐めていたー。
何が起きているのか、さっぱりわからないー。
「ーー逃げろ!今日の授業はいい!いったん学校から出ろ!」
狂った生徒たちに抑え込まれている先生の一人が
必死に叫んだー
”今日は授業どころじゃない、落ち着いたら連絡するから
自宅学習だ!”
とー。
修太はその言葉と同時に、気づいたら
自分でもあり得ないほどの速さで、
学校の外に飛び出していたー。
「はぁ…はぁ…」
我ながら人生で一番無我夢中で走ったー。
まるでワープしたかのようなぐらいの速度で、
学校から飛び出した修太は、
そのまま自宅に向かって走り出したー
②へ続く
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コメント
以前書こうとして、書かずにお蔵入りしていた私の中のネタの一つですが、
今回、こうして書いてみることにしました~!☆
寄生モノはそこそこ久しぶり(だった気がする)ですネ~!
続きはまた明日デス~!
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