<女体化>もう彼氏じゃない②~選択~(完)

ある日、突然女体化してしまった男子高校生の牧男。

彼女の奈々子からも別れを告げられてしまい、
落ち込む彼の運命は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーやべぇよな!女になるとか、マジで興奮するんだけど!」
「俺、最近牧男でいっつも抜いてるぜ!」

男子トイレの個室に入っていた牧男は、
牧男がそこにいるとも気づかず、トイレに入ってきた男子二人の会話を
聞きながら、表情を歪めたー

”牧男が女体化した”
そんな事実は、一部の男子たちにとっては”性欲を刺激する”出来事
だったようで、そういうことを言いだす男子も増えつつあったー。

「ーーー…」
牧男は、ため息をつくー。

”女”としてトイレを済ませることにも、大分慣れてきたー。

だが、自分は”男”だー。
だから、女子トイレに入ることはできないー。

しかし、”男”だが”男”ではないー。
そんな、中途半端な状況の牧男は、
男子トイレを今までのように使うこともできず、
今はこうして、学校側とも相談して
男子トイレの個室を利用することになっていたー。

「ーーー」
トイレを済ませて扉を開けて牧男が出ていくとー

「あっ!」
と、男子二人が気まずそうな顔をするー

「ーま、牧男で抜いてるとか、その…冗談だよ」
その二人を見ながら、
牧男はため息をつくと「ー……俺は男だ」と、だけ呟いたー

「ーわ、分かってるよー冗談だって」
二人組の男子は戸惑いながら
”女”の牧男の鋭い目つきと声にも興奮していて、
それが牧男にも伝わってしまったー。

「ーー……」
牧男は頭を抱えるー。

帰宅してからも、自宅で頭を抱えることが多くなったー。

”急に、女になってしまった”
そんな現実が、自分自身をここまで苦しめることになるなんて、
夢にも思わなかったー

「くそっ!…ふざけるなよ!くそっ!」
自分の胸を見て、怒りの形相で胸にぎゅううう、と力を入れていく牧男ー。

しかし、そんなことをしても、胸が無くなるわけなどなくー
女体化した牧男は、女のままだったー。

見る見るうちに暗くなっていく牧男ー。

牧男は、やがて髪を短くしていたのもやめて、
諦めたのか、髪を伸ばし始めたー。

「ーーー…牧男、最近髪、伸ばし始めたんだなー?
 やっぱー」
友人の玄太が”やっぱ女になったから、髪を伸ばそうとしてるのか?”と
ニヤニヤしながら揶揄おうとすると、それよりも前に
牧男が言葉を続けたー。

「ーどうせ、俺は女だし」
とー。

完全に不貞腐れてしまった牧男の振る舞いに、
玄太は「お…おい…牧男」と、困惑の表情を浮かべるー。

「ーーどうせ、わたしは女だもん!」
女の口調でそう叫ぶと、牧男はそのまま机に顔を伏せて、
周囲の反応も見ずに、自分の世界に引きこもってしまったー。

「ーーー…牧男ー」
”もう彼氏としてみることはできないー”
そう宣言して別れた彼女・奈々子も、そんな牧男の様子を心配していたー。

そしてー

「ーーねぇ」
2時間目が終わったタイミングで、牧男に声を掛けると、
牧男は「なんだよ」と、拗ねた様子で奈々子のほうを見るー

「ーーもう俺…メイクでも勉強しようかなー
 どうせ女なんだし」

不貞腐れた発言をする牧男に、奈々子は「話…できる?昼休みに」と、だけ
伝えたー。
牧男は「なんだよー…」と、拗ねたような表情を浮かべながらも、
「ーーいいけど」と、だけ呟いたー。

”どうせ女なんだし”
それが、最近の牧男の口癖になっていたー。

女子を馬鹿にしている、とか、そういうことではない。
自分が男扱いされないことに、牧男は不満を感じて
そのような言動に走っていたー。

昼休みー。
少し強めの風が吹く中、屋上にやってくると
牧男は、既に到着していた奈々子のほうを見たー。

「ーーあのさー」
奈々子が口を開くー

牧男は「ーー…今度は何言われるのかな」と、
不満そうに言葉を口にするー。

「ーー牧男、”男”に戻れる可能性はあるの?」
奈々子の言葉に、牧男は「正直…わかんないってさ」と、だけ呟くー。

病院でも診察を受けたが、
そもそも”いきなり女になりました”なんて、なかなか
信じてくれる医師もいない上に、ようやく信じてくれる先生を
見つけたものの”原因不明”であり、”治療方法もない”とのことだったー。

最悪の場合は、このまま”生まれた性別とは別の性別で
一生を過ごしていくことになるかもしれない”と、まで
医師に言われてしまったー。

「ーーそう」
奈々子はそう呟くと、
牧男は少しだけ笑ってから、

「どうせさ…俺は…わたしはさ、女の子なんだよ!」

”次第に思考が女になってきているー”わけではない。
男に戻れない苛立ちから、拗ねて、あえて”わたし”と言って見せる牧男ー。

「ーーもうさ…おしゃれとかして、エッチとかして、
 女になっちゃおうかな…
 どうせ、誰も俺のことなんて、男して、見てくれないんだし」

「ーーーーー」
奈々子はそんな牧男の様子を見て呟くー

「…なっちゃえばいいんだよ」
とー。

「ーーーは…?」
牧男は表情を歪めるー。

拗ねている自分が、馬鹿にされたと思ったー

「ーーお前、よくもそんなこと言えるな!
 ある日急に女になって苦しんでる俺によくもまぁ、そんなことが言えるな!」

牧男が、可愛い声を張り上げて大声で叫ぶと、
奈々子はそれ以上に声を上げたー

「だからだよ!」
とー。

「ーだからこそ、言ってるの!
 ”男子に戻れるか”分からないってことは、ずっと
 そのままの可能性が高いってことでしょ?

 牧男は、そうやってずっと、これから一生悩み続けるつもりなの?」

奈々子の言葉に、牧男は
「そういうことじゃないけど…」と、
奈々子に急に大声を出されて戸惑うー。

「ーそうやってさ、いつまでもウジウジしているぐらいなら、
 いっそのこと、開き直って女子として生きちゃえばいいじゃん!」

奈々子の言葉に、
牧男は「そんな簡単なことじゃないんだよ…」と呟くー

奈々子は「分かってるけど!」と言った後に、
「でも、今の牧男には3つの選択肢しかないと思うの」と、続けるー

”女扱いされる場面があっても、開き直って”俺は男だ”を貫く”かー、

”いっそのこと女子として生きていく決意をする”かー、

”このまま一生そうやってウジウジと生きていく”かー。

「ーーこれしかないんだったら、選ぶしかないでしょ?
 それとも、このまま一生うじうじを選ぶの?」

奈々子のその言葉に、
牧男はため息をついてから考えるー。

「ーーーーーー……ーーーーー」

しばらくしてから、牧男は「そっかー…そうだな」と頷くー。

「ーーーーーーありがとう」
それだけ呟くと、牧男は屋上から立ち去って行ったー。

帰宅後ー
牧男は、手鏡で自分の姿を見つめるー。

”どう見ても女”にしか見えないー
胸は大きいし、身体つきも男子のそれとは違うー。

仮に、今までのように髪を短くしていたとしても、
やはり、女であることは隠し切れないー。

男に戻れる可能性は、正直低いー。
このまま悩み続けて生きていたら人生の無駄遣いー…
確かに、奈々子の言う通りかもしれないー。

前を向いてー
一度きりかもしれない人生を”無駄遣い”しないようにするためにはー
”身体は女でも、俺は男だ”を貫いて生きるかー
”いっそのこと、身体に合わせて”生きるかー。

選択肢は、二つに、一つー。

「ーーーーーーーー」
牧男は、その日の夜ー
一晩中、”自分の未来”について考えたー。

そしてー。
決意したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー転校したい?」
父親が驚くー

牧男は頷いてから事情を説明する

”俺が元男だったってこと”を知ってる人たちがいる学校では、
自分は男にもなれないし、女にもなれないー、と。

このままじゃ、自分も周囲もずっと苦しむことになってしまうー、と。

それに、元に戻れなかった場合、自分は”女性”として
生きることになるー。

それならばー…と、牧男は下した決断は、
”転校して、女子として1からやり直す”ことだったー。

「ーそれが、今の俺にできる一番の方法だと思ってー」

もちろん、男に戻れるなら、男に戻りたいー。

しかし、その希望は薄くー
”この身体”では、男として生きていくことは、現実的に難しいー。
特に、今通っている学校では、
みんなが”女体化した牧男”だと知っている以上、
男としても、女としても、中途半端な存在として
扱われてしまうー。

牧男自身にとっても、それが大きな負担となり、
周囲も、牧男とどう接していいか、分からない様子だったー。

「ーーーわかった」
父親はそう呟くと「どうにかできないか、色々確認してみる」と
約束してくれたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

1か月後ー

牧男は、隣の市の学校で、”最初から女子”として
受け入れてくれる学校を見つけたー

牧男の母親の友人関係の繋がりで、
牧男を女子として受け入れてくれる高校が見つかったのだー

「ーーーー今日から、俺は女子高生かー」
牧男が戸惑いながら、新しい高校の制服を身に着けて
顔を赤らめるー。

妹の莉里が「わたしより可愛くてむかつく~!」と、叫んでいるのを見て
「好きで可愛くなったんじゃねぇ!」と牧男が可愛い声で叫ぶー。

女子としての偽名も用意されてー、
牧男は、その名前で学校に通うことになるー。

これから先の人生ー、
”本来の名前”と”本来の性別”を隠しながら生活することで、
色々な苦難が待ち構えているかもしれないー。

けれどー
それでも、今、この状況で出来ることをしながら、
”もしかしたら元に戻れるかもしれない”という希望を捨てずに、
生きていくしかないー。

「ーーー牧男ー」

”前の学校”の最後の登校となった日の帰りー。
牧男は、彼女だった奈々子に呼び止められたー。

「ーーーごめんね」
奈々子の言葉に、牧男は「いや、いいよー」と、首を横に振るー

「それに、奈々子のおかげで、こうやって
 前に進む決意ができたんだー。
 
 ずっと、悩んでいるわけにもいかないしー…
 別の学校で、女子高生として生きていく決意が出来たよ」

牧男がそう言うと、
奈々子は複雑そうな表情を浮かべるー。

「ーーこの学校じゃ、みんな俺のことしってるからー
 いつまで経っても、男子女子高生のままだからさー」

牧男が笑うー。

男子としても、女子としても中途半端な存在からー
ここにいたままじゃ、いつまでも抜け出せないー。

だから、牧男のことを誰も知らない高校に転校して、
そこで、女子高生として過ごすー。

本当は、男子高校生として過ごしたいけど、
この身体じゃ、無理があるからー

「ーーーーあのさー」
奈々子は、そんな牧男のほうを見て呟くー

「ー牧男は、もう彼氏じゃないけどー」

そんな言葉に、牧男は今一度寂しそうな表情を浮かべるー

「ーーでもー」
奈々子は、言葉を続けたー。

「ーでも、変わりにこれからはー
 親友になれるねー。
 ”女の子同士”の親友ー」

奈々子はそう言うと、牧男のほうを見て微笑んだー

「ーお、お、女の子同士ー?」
顔を赤らめる牧男ー

奈々子は頷くと「転校してからも、仲良くしてねー」と
笑いながら、
「それと、わたし、牧男の先生になるー!
 牧男が女子として生きていくための先生!」
と、言葉を付け加えたー

「せ、先生!?奈々子が先生とか嫌だなぁ…
 厳しそうー」

牧男が笑いながら言うと、
奈々子は「我儘言わない!」と、牧男に向かって言い放ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」
奈々子のおかげで”女子”として生きる知識も色々身に付いたー。

「ーーーーー」
女子の制服を身に着けた牧男は、
机の上に飾ってある
”女体化する前の写真”を寂しそうに見つめると

”いつか元に戻れると”信じてー
牧男のことを”元男子”と誰も知らない、転校先の高校に向かって
歩き始めるのだったー。

おわり

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コメント

急に女体化してしまって困惑するお話でした~!

これからも色々大変そうですが、
上手くいくといいですネ~!

お読みくださり、ありがとうございました!

女体化<もう彼氏じゃない>
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    うーん、凄く続きが気になるあたりで話が終わってますね。
    続編が凄く読みたいです。

    それにしても開き直って女として生きてくことを決意するのはいいですが、何年か経過して、身も心も女になった頃にもしも突然、元の性別に戻ったりしたらどうなるんでしょうね?

    今度は男の体が受け入れられなくなりそうですよね。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!

      以前「変わった性別で生きていく」ことを決意したけど、
      急に戻っちゃう!みたいな話も書いた記憶があります~!☆

      このお話の場合も、急に戻っちゃう可能性もありますし、
      就職とかでも色々苦労するかも…しれませんネ!

      続編は…機会があれば出てくる(かも)デス!

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