ある日、突然女体化してしまった男子高校生ー。
そんな彼は、彼女から
「もう彼氏としては見ることができない」と
言われてしまいー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーえっ!?!?えっ…???」
男子高校生の
長本 牧男(ながもと まきお)は、
ある日、目を覚ますと女になっていたー
「ーな、なんだこれ…!?一晩で髪、伸びすぎじゃね!?」
突然伸びた髪ー
「ーーって、なんで俺、服の中にボール入れてるんだ!?」
突然、胸が膨らみー、
「ーー…!?!?!?!?!?!?」
突然、股間のアレがなくなったー。
「ーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?」
寝起きだった牧男は、状況が理解できずー
”一晩で滅茶苦茶髪が伸びて”
”なぜか洋服の中にボールを2つ入れて”
”寝ている間に妹に股間のアレをハサミで切られた”
と、そう解釈したー
「ーーー…莉里(りり)!お、お、俺のー!」
牧男は、可愛い声で妹の莉里の部屋に飛び込むー
「ー俺のコレ!ハサミで切ったな!?」
寝起き、寝ぼけてることが多い牧男は
自分が女体化した状況を理解できず、
自分の股間を指さしながらそう叫んだー
「ーーはぁ!?!?!?あんた何言ってるの!?」
妹の莉里が、兄のいきなりの発言に困惑するー
「ーハサミでんなもの切るわけないでしょお!?
ってか…何で女装してるの?」
莉里が困惑しながら言うと、牧男は「へ?」と呟くー
「ーーーっていうか…」
莉里は、その顔を見て困惑したー
「ーどちら様ですかー?」
とー。
いきなり自分の部屋に入ってきて、いつものノリで
叫ばれたため、兄だと思い込んでしまったが、
よく見たら知らない女の子が部屋の入口に立っていたー
「ーーーえ…お、俺だけどー」
牧男は可愛い声で言うー。
「ーーー………」
莉里は少し沈黙してから、自分の部屋の鏡を指さして
それを見るように促すー。
鏡を見た牧男は思わず悲鳴を上げたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから1週間ー
牧男は、学校にも女体化した状態のまま
やってきていたー。
髪を短く切って、
男子の制服を着て、
今まで通り”男子”として過ごしているー。
突然女体化してしまった件は、
両親に相談し、両親を通じて学校に相談し、
学校側も了承して、クラスの生徒たちにも
事情は説明されたー。
「ーーへへへ~牧男、揉ませろよ」
牧男の友人・玄太(げんた)が笑いながら近づいてくるー
「ーふざけるな!俺は男だ!」
牧男がそう叫ぶと、
玄太は突然、牧男の股間のあたりを触ったー
「ーーついてねぇじゃねぇか~?」
玄太の言葉に、牧男は「やめろ!変態!」と叫ぶー
そんな様子を見ていた牧男の彼女、笹野 奈々子(ささの ななこ)が
笑いながら「でも、どうしたら元に戻れるんだろうね?」と、
少し困惑した表情で呟いたー。
「そうだよな~ そこのところ、どうなんだ?」
玄太が言うと、牧男は「正直ー…俺にも分からねぇよ」と
少し困ったような表情を浮かべるー
”いつ、元に戻れるのか”
いやー
”どうすれば元に戻れるのか”
それが、全く分からないー。
髪とか、振る舞いとかは、どうにかなっても、
胸はどうにもならないし、
声もどうにかするのは難しいー
意図的に低めの声を出すようにしているものの、
それでもやっぱり、男の声とは違うー。
どう考えても、女子の声になってしまうー。
「ーーごめんなー…色々困らせて」
牧男が言うと、奈々子は「ううん…大丈夫」と、
少し戸惑った様子で呟くー。
彼女の奈々子は、中学時代に知り合って、
高校に入学してから付き合い始めた子でー
それなりに良好な間柄だったが
牧男の女体化には戸惑った様子だったー。
そんな状況のままー
時間は経過していくー。
元に戻る方法は、依然として不明のままー
そしてー
”ある問題”が生じたー。
男子として生活を続ける牧男ー
だが、牧男にとっては不安だったと言えるのが
”胸が大きい”ことだったー。
”女になりたい!”と思っている男子高校生だったのであれば、
胸が大きいことを喜んだかもしれないー。
けれど、牧男のような男子の場合は、
胸が小さいほうが好都合だったと言えるー。
スタイルが良いのも、不運でー
どうしても”女”を感じさせてしまうー
ついでに、顔も美少女系の顔で、
正直、可愛いー。
髪を切ってもー
低い声で喋っても、
男装のような格好をしていてもー
隠し切れない”女”がそこにあるー。
やがて、それが学校生活にも支障を出し始めたー。
体育の授業前ー
”一緒に着替えると、目のやり場に困るー”
と、男子が言い始めたのだー
かと言って”元男子”であることをみんな知っているため
女子と一緒に着替えるわけにもいかないー。
当然、女子はそれを否定したー。
結局、牧男だけ、先生たちの配慮で別室で着替えることになってしまうー。
だが、それはさらにエスカレートしていき、
体育の授業で、一緒に授業することも、一部の男子が
困惑し始めたー
どうして胸や足が気になってしまうー
とー。
牧男は「んなこと気にしなくていいんだよ!」と言っていたが、
どうしても、現実は難しかったー。
そして、さらに問題が起きたー
ある日の土曜日ー
牧男は、彼女の奈々子とデートをしていたがー
その最中に立ち寄った駅で、おばあさんに
”いいお姉さんね~”と、奈々子が言われたのだー
「ーーえ…あ…え?は、はいー」
奈々子は話を合わせながらも、困惑した様子だったー
そのおばあさんは奈々子に対して
”牧男をいいお姉さん”だと言い放ったのだー
つまり、牧男と奈々子が”姉妹”だと勘違いされたー。
「ーーー…ご、ごめんー」
牧男が言うー
牧男はプライベートでも”男装”の状態で
完全に男のような格好をしていて、髪も変わらず、
短めにしているー。
けれどー
やはり、胸は隠しきれていないし、声もどう考えても
女の子の声だー。
外では、”やむを得ず”女子トイレに入っているー
牧男は、悪いことをしているような気がしてしまい、
イヤな気持ちになっていたものの、
この姿で男子トイレに入ることは
事情を知っている学校以外では不可能だー。
万が一、声を掛けられて”俺、男ですから”と言っても
身体を調べられてしまった場合、
それは無理があるー。
どう考えても、”今の身体”は、女の身体でしか
ないのだからー。
そしてー
その翌日ー
奈々子から呼び出された牧男は、
奈々子から、言われたのだー
”もう、彼氏としてみることができないー”
とー。
「ーーーえ」
牧男は戸惑うー。
「ーー本当にごめんねー…
わたしも頑張ろうとしたんだけどー
でも…もう…無理ー
牧男のこと、彼氏としては見ることができないよー。」
奈々子は困り果てた様子でそう呟いたー
「ーーえ…ご…ごめんー…
お、俺…も、もっと男らしくするからー…その」
牧男が困惑しながら言うと、
奈々子は「無理だよ!」と声を上げたー。
「ーーー牧男が、一番よくわかってるでしょ…?
その状態で”俺は男だ”って言ってもー
無理ー。
世間はそれを認めてくれないー…
わたしだって、牧男のこと”男”として
見ようとしたけど、
無理ー…
どうしても、どうしても友達にしか見えなくなっちゃってー」
奈々子の言葉に、
牧男は「そ…そっかー…」と、暗い表情で呟くー
奈々子は言うー。
先週、久しぶりにキスをした際に、
強い違和感を感じたー、と。
牧男のことは好きだし、
今後も仲良くしていきたいけれどー
かと言って”今のまま付き合うことは”
もう、ちょっと、できないー、と。
頭の理解が追い付かないー、と。
「ーーー…ごめん…本当に、ごめんー…
でも……わたしの理解が追い付かなくてー」
奈々子の”もう彼氏として見ることはできない”という言葉に
牧男はショックを受けながらも、
奈々子の気持ちも理解はできる、とー、
「ーーい…いや…俺こそ…その…ごめんー」
牧男は、そう呟くと、自分の胸のあたりに手を触れて、
自分の身体に胸があることを憎むかのように、
ぎゅっと手に力を込めたー。
「ーーーー……ごめんね」
奈々子はそれだけ言うと、その場から立ち去っていくー。
「ーーーーーー…はぁ」
ため息をつきながら景色を見つめる牧男ー。
「ーーー…彼氏として、見ることはできない、か…」
俺はもう彼氏じゃないー。
そんな風に思ったら、途端に悲しみがこみ上げてきたー。
普通の形で”お別れ”になるなら仕方がないー。
けれどー
こんな”異様な形”で、お別れになってしまうなんて、
夢にも思わなかったー
彼女と別れた理由が
”女になってしまったから”なんてー、
こんな経験をした人間は、きっと自分ぐらいだろうー。
「ーーーー…くそっ…なんなんだよこれー」
自分の手を見つめながら、牧男は悲しそうに、握りこぶしを作って
近くの手すりに叩きつけたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「ーーー……ってか、本当にどうなってるの?」
妹の莉里が困惑しながら、女体化した兄・牧男の身体を見つめるー
「ー俺にも分かんねぇよ…」
牧男は戸惑いながらそう言うと、莉里は、
牧男の胸を平気で両手で揉みながら
「ってかわたしより大きいのってずるくない?」と、呟くー
莉里は自分が”貧乳”であることを気にしていて、
牧男が女体化してからは、そのことばかり文句を言っているー
「し…仕方ないだろ!大きくなりたくて、なってるわけじゃないんだからー」
牧男がそう叫ぶと、
莉里は「半分ぐらいくれないかなぁ」と、呟くー。
「無理に決まってんだろ!むしろ俺は全部あげたいぐらいだけど!」
牧男がそう言い返すと、莉里は「全部はいらない!巨乳になりすぎて邪魔になりそう!」と
我儘な意見を口にしたー。
牧男は学校に向かうー。
彼女”だった”奈々子は気まずそうに目を逸らすー。
「ーーーーーー……」
牧男は戸惑いながら、奈々子から目を逸らすと、
友人の玄太に話しかけるー。
玄太はいつものように気さくに雑談に乗ってくれたー。
だがー。
女体化した直後は”揉ませろよ~”なんて
冗談も口にしていた玄太だったが、
女体化してから時間が経つにつれて、その反応は変わってきたー。
今では、牧男の胸に身体が触れたりすると
「わりぃ!」と謝るようになってしまったー
「ーーあ、悪い!」
今日もー…玄太が申し訳なさそうにそう呟くー
「ーーったくイイんだよ。俺は男なんだし」
牧男がそう言うとー
玄太は「いやいや」と手を横に振ってから、
「ーーそうは言ってもさー…やっぱ今まで通りお前を
男の友達としてみるのは結構きついぜ?」
と、言葉を口にするー
「ーーえ」
牧男が言うと、玄太は
「だってさー……そういう…な?
どう見たって男じゃないものがついてるんだしー…
ほら…時間が経つにつれてどんどんお前を女として意識しちまうっていうかー」
と、困惑の表情で呟いたー。
「ーーー……は…?冗談だろ?」
牧男の言葉に、玄太は「いや、悪いー。忘れてくれー」と、首を振るー
気まずそうに立ち去っていく玄太ー。
玄太は別の友人と話し始めて、
その会話が耳に入ってくるー
”女になったアイツ、抜けるよな”
という声まで聞こえてきたー
牧男は、自分の座席で深くため息をつくー。
”俺ーーー…もう、誰からも男としては扱ってもらえないのかー”
とー。
深く、深くため息をつくと、
牧男は”どうしてこんなことになったんだよ…”と
悔しそうに自分の机を軽く叩いたー。
②へ続く
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コメント
女体化のお話デス~!
乗り気じゃないタイプの女体化ですネ!
続きはまた明日~!☆
お話とは何も関係ないですが、
今日はひなまつりなので、
ひなあられを食べたいデス!
コメント
まあ、同性愛者か、あるいは男でも女でもOKという特殊な人でもない限り、性別の変わった恋人を変わらずに受け入れるのは無理がありそうですよね。
そういえば昔なんかのマンガ(もしかしたらドラマだったかも)で、女体化した恋人をごく自然に受け入れる女の子のキャラがいたりしました。それって、性別とかを超越した愛ですよね。
普通ならこの話の奈々子みたいな感じになるでしょうし。
コメントありがとうございます~!☆
彼女の性格次第では、大丈夫な展開もあったかもしれないですネ~!
奈々子の場合はNGだったみたいデス~!