妻から離婚の話を切り出された夫は逆上して
妻に掴みかかったー。
その際に転倒してしまった二人は、身体が入れ替わってしまうー
入れ替わって妻の身体になった夫は、偶然かかってきた電話からー
妻の親友が、妻と離婚の相談をしていたことを知りー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー友達とコソコソ、俺と離婚する方法を打ち合わせていたってことかー」
麻友(優吾)が怒りの形相で呟くと、
出かける準備を始めるー。
「ーちょ、ちょっと!やめてよ!葵には手を出さないで!」
優吾(麻友)が必死になって叫ぶー。
麻友が、夫の優吾との関係に悩んでいた際に、
相談に乗ってくれた親友の葵ー。
麻友が離婚を決断できたのも、葵のおかげだー。
だがー
最悪のタイミングで、葵が電話をかけてきてしまいー、
”麻友になった優吾”が電話の相手だとは夢にも思わないまま、
葵は”離婚の話題”を出してしまったのだろうー。
「ーーー”葵はわたしの親友”なんだけどー?
”優吾”には関係ないでしょ?」
麻友(優吾)が、麻友のフリをしながら笑うー
「や、、やめてってば!本当にやめて!」
優吾(麻友)が、麻友(優吾)を止めようとその手を掴むー。
「ーーうるせぇ!邪魔すんじゃーーー」
そこまで言いかけて麻友(優吾)が表情を曇らせたー。
優吾(麻友)の手を振りほどいたつもりがー
振りほどけなかったのだー
「ーー…!?」
「ーーー!」
驚いたのは、麻友になった優吾だけではなかったー。
優吾になった麻友も、同じように戸惑っているー。
”力”では、優吾にはかなわないー。
これまでの付き合いの中で、麻友は当然、それを理解していたー
そのため、今も簡単に腕を振りほどかれてしまうことは
覚悟していたのだがー
そうはならなかったー
「ーっ、離せよ!」
麻友(優吾)が叫ぶー
「ーー離さない!葵を巻き込まないって約束して!」
優吾(麻友)が叫ぶー
”身体が入れ替わった”ことにより、
二人の”力”も当然逆転したのだー。
「ーー(優吾の身体ーこんなに力持ちなんてー)」
優吾になった麻友はそう思いながら、
”葵を巻き込むわけにはいかない”と、強く心の中で呟くー。
葵はただ、夫との関係に悩む麻友に対して
アドバイスしてくれただけだー
離婚をそそのかしたわけでもなく、
親友として、悩む麻友に当然の判断をしただけだー。
「ーー葵は絶対に巻き込ませない!」
優吾(麻友)が言うと、
麻友(優吾)は「くそっ!貧弱な身体だな!お前の身体は…!」と
悔しそうな表情を浮かべて呟くー。
「ーー離せよ!この…クソ女!」
麻友(優吾)が必死に叫ぶー
それでも、優吾(麻友)は、麻友(優吾)の手を掴んだままー
「葵に手を出さないって、約束してー
じゃなきゃ、離さないー」
優吾(麻友)の強い決意ー。
その決意の眼差しに優吾(麻友)は舌打ちをするー。
「ーーーくそっ…わかったよー」
麻友(優吾)が、悔しそうに呟くー
「お前の友達には手を出さないー
だから、その手を離してくれー」
麻友(優吾)の言葉に、
優吾(麻友)は疑いの眼差しを向けるー。
手を離した瞬間、玄関にダッシュ!なんて可能性も0では
ないからだー。
「ーほら、お前の腕も赤くなってるー
俺のバカ力で握り続けてると、
麻友の身体も傷つくぞー」
少しだけ心配そうに呟く麻友(優吾)ー
優吾(麻友)は、それでも疑いの眼差しを向けながらー
「じゃあーーー
約束できる?」と、今一度確認するー
麻友(優吾)は「お前の親友には手を出さないー約束するー。」と、頷くー。
「ーーまぁ、お前には手を出すかもしれねぇけど」
その言葉に、不満を感じながらも、
優吾(麻友)は、ゆっくりと麻友(優吾)の手を離したー。
急に玄関から飛び出すことができないようにー
優吾(麻友)が玄関側に立ちながらー。
「ーーーふぅ」
手を離された麻友(優吾)は静かに息を吐くと、
再び玄関の方に向かおうとしたー
「ーちょっと!」
優吾(麻友)が、外には行かせまいと立ちはだかるー。
「ーーははは、俺は約束を破るつもりはないぞ」
麻友(優吾)が笑うー
「じゃあ、どこにいくつもりなの!?」
優吾(麻友)の言葉にー
麻友(優吾)は笑みを浮かべながら即答したー
「お前に離婚をそそのかした葵のところだよー」
とー。
「ふ、ふざけないで!今、葵を巻き込まないって約束したばっかりでしょ!?」
優吾(麻友)が叫ぶとー
麻友(優吾)は「”お前の親友には”手を出さないって約束したんだぜ?」と、
笑みを浮かべるー
「ーーお前は優吾ー ”わたし”は麻友ー。
葵は”お前の親友”じゃなくて”わたしの親友”ー
だから、手を出すのも じ・ゆ・う」
馬鹿にしたような笑みを浮かべながら
そう言い放つ麻友(優吾)に対しー
「そんなのは屁理屈よ!」と言い放つ優吾(麻友)ー
優吾(麻友)は、あくまでも麻友(優吾)を外に出すつもりはなかったー
「ー俺は離婚なんて絶対に許さないー
離婚をそそのかした葵とかいう女も、お前もだー」
麻友(優吾)はそこまで言うとー
不気味な笑みを浮かべたー
「ーー”俺の身体”のほうが力は強いー
それは、認めるよー
けどなー」
麻友(優吾)はそこまで言うと、突然、強引に玄関に
向かおうとし始めたー
「ーーダメ!絶対に行かせない!」
優吾(麻友)が、麻友(優吾)の腕を掴んで引っ張るー。
玄関側から突き放して、再び部屋の奥の方に押し飛ばすー
麻友(優吾)は髪を振り乱しながら笑みを浮かべるとー
再び、家の外に飛び出そうとするー
「いい加減にして!」
優吾(麻友)はそう叫びながら、逃げ出そうとする麻友(優吾)を取り押さえるー
”身体の力の差は歴然”ー
優吾の身体で、麻友の身体を取り押さえることは、
たやすいことだったー。
”無駄”なのにー
麻友になった優吾は、何度も何度も部屋から飛び出そうとしては
失敗に終わるー
を、繰り返しているー。
”いったい何がしたいのか”
そんな風に思い始めたその時だったー。
髪も服も乱れ切って、
何度も何度も繰り返したことで、腕に打撲を作った麻友(優吾)が
笑みを浮かべたー。
「ーーお~っと、そこまでだ。さぁ道を開けろ」
麻友(優吾)の言葉に、
優吾(麻友)は「行かせるわけないでしょ!」と即答するー。
麻友になった優吾に外に行かれてしまってはー
麻友からしてみれば当然”自分の身体”が行方不明となってしまう
リスクは当然あるし、
親友の葵が巻き込まれてしまう可能性もあるー。
だから、行かせることは絶対にできないのだー。
「ーーーー見ろよ」
麻友(優吾)が自分を指さすー
麻友の髪は乱れ、
無理やり押し倒された際に出たと思われる軽い鼻血ー、
腕の打撲ー
服も乱れた状態ー
「ー今、俺がー
”夫から暴力を受けました”って、警察に助けを求めたたらー?
ご近所に助けを求めたら、お前はどうなるー?」
麻友(優吾)はそう言いながら、乱れた麻友の髪を笑いながら触るー
「ーーそ、そんなことしたら、あなたが問題視されることにー!」
優吾(麻友)が言うー。
家庭内暴力だと思われる可能性も高いしー、
最悪の場合、警察沙汰にー
「ーー”俺の身体”がもし、問題視されるようになったら
別に俺はー麻友の身体で生きていくことにするだけだから、問題はないさ」
麻友(優吾)の言葉に、優吾(麻友)は震えるー。
「ーーー”俺として”家庭内暴力夫扱いを受けたくないならー
道をあけろ」
麻友(優吾)の言葉に、優吾(麻友)は身体を震わせたー。
逆らえば”女の身体と立場”を悪用した麻友(優吾)が
容赦なく優吾(麻友)を蹴落とそうとするだろうー
「ーーー葵には、手を出さないで」
優吾(麻友)が今一度そう呟くと、
麻友(優吾)は「クククー」と低い声で笑いながら
そのまま玄関の方へと足を進めー
外へと立ち去っていくー
(な、なんとかしないとー)
優吾(麻友)はなんとかして、親友の葵に
身の危険が迫っていることを知らせようと考えるー。
しかしー
麻友(優吾)を追いかけて行っても、
”女としての立場”を利用されて
上手くやり過ごされてしまう可能性が高いしー
最悪の場合、優吾になった麻友が逮捕されるような
ことになってしまえば、それこそ、
”麻友(優吾)”を止める手段は完全になくなってしまうー。
それだけは、絶対に避けなくてはいけないー。
そう思いながら、部屋に置かれたままの優吾のスマホを
手に、葵と連絡を取ろうとする優吾(麻友)ー
しかしーー
「暗証番号…分からないー」
優吾の身体で涙目になると、そのまま部屋の外へと駆け出すー。
「公衆電話ー…公衆電話、この辺になかったっけー?」
優吾(麻友)が、優吾の身体だからか、身体が軽いことを感じながらー
公衆電話を探すー。
まさかー
こんな形で”公衆電話”なんて探すことになるなんてー
と、思いながらそれをようやく見つけた優吾(麻友)ー
だがー
葵に電話をかけても、葵は出てくれなかったー
「どうしてー?」
優吾(麻友)は表情を歪めるー。
まさか、もう優吾に何かされてしまったのだろうかー。
いや、それはないー。早すぎるー。
そう思いながら、優吾(麻友)は、
公衆電話から飛び出して、葵の家に向かって走り出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー急に時間を作って貰っちゃってごめんねー」
麻友の身体になった優吾が、微笑むー。
「ううんー。大丈夫。それで?
離婚の話はまとまったの?」
麻友の親友・葵が、飲み物を机に置きながらそう呟くと、
麻友(優吾)は笑みを浮かべたー。
葵の家にやってきていた麻友(優吾)ー
優吾は心の中で呟くー
”麻友のやつ、コソコソ友達に俺のこと
相談してやがったなんてなー”
優吾は昔から、こういう性格だったー。
”妹”に対してもそうー
親しくなればなるほど、嫉妬や疑心暗鬼に陥り、
相手に対して”俺を馬鹿にしてるだろ?”
”俺を嫌っているだろ?”などと言い始めるー。
優吾の妹・優美は、そんな兄のことをよく知っていて、
それ故に距離を置いていたー。
結婚前に、麻友に忠告したのもそのためー。
”麻友に対しても、兄・優吾はこういう態度をとる”ことは、
妹の優美からすれば、目に見えていたからだー。
何故だかは分からないー。
だが、親しくなればなるほど、相手に対する”要求”が
高まっていき、横暴に振る舞うようになるー。
それが、優吾という人間なのだー。
「ーーよかったー。
麻友は、ああいう自分勝手な旦那さんとは、
早めに別れたほうが、絶対にいいと思ってたしー…
しばらくは色々大変だと思うけど、わたしも色々サポートするからね」
葵がそう微笑むとー
麻友(優吾)は、「ーああいう自分勝手な旦那さん、ね」と、
低い声で呟いたー
「ーーー…え?」
麻友(優吾)の言葉に、葵は表情を曇らせるー。
「誰が…だれが”ああいう自分勝手な旦那さん”だって?」
机をバン!と叩いて、睨みつけるようにして葵を見つめる
麻友(優吾)ー
「ーーえ…ま、麻友?ど、どうしたの?」
葵の言葉に、麻友(優吾)は差し出されたお茶を葵の顔面に向かってかけるー。
「きゃっ?!」
葵が驚いた声を出すと、同時に、麻友(優吾)は
「ーー俺から妻を奪おうったってそうはいかねぇ」と、
葵の髪を引っ張りながら呟いたー
「ーーー残念だったなぁ…麻友は俺とは離婚できないよ」
麻友(優吾)の言葉に、葵は「ど、、ど、どういうこと…?」と、
緊張からか、棒読み気味な口調でそう呟くー。
「ーーークククー教えてやるよー。
俺はさー、
今、身体は”麻友”だけど、中身は”優吾”なんだよー」
麻友(優吾)はそう口にするとー
”お前には、お仕置きが必要だなぁ…”と、冷たい口調で呟いたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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果たして無事に離婚できるのでしょうか~?
次回が最終回デス~!

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