横暴な態度を続ける夫に
離婚を申し出た妻ー。
しかし、逆上した夫に掴みかかられて、二人は入れ替わってしまうー。
そんな中、妻の身体になった夫は、
”離婚の相談”を妻が持ち掛けていた親友の存在にたどり着きー?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー葵ーーー」
優吾の身体になった麻友は、慌てて葵の家に向かっていたー
葵は、昔からの親友で、
夫である優吾と結婚する時も色々とサポートしてくれたし、
結婚後も、頻繁に連絡を取り合っていたー。
優吾の豹変に、苦しんでいるときも
葵はいつも親身になって相談に乗ってくれたー
”わたし、離婚を考えているのー”
そう、相談したときもそうだったー。
葵は、離婚を後押ししてくれて、
色々とサポートしてくれたー。
”人間は、みんな最初は”独身”なんだから、
麻友は元通りに戻るだけ。
なにも怖いことも、恥ずかしいこともないよ!”
と、微笑みながら勇気づけてくれたー。
それなのにー、葵を巻き込んでしまうなんてー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーふざけやがって!このクソ女が!」
麻友(優吾)が乱暴な口調で、葵を蹴り飛ばすー
葵は、悲鳴を上げながら逃げようとするー。
「ーーーー逃がすもんかー。
俺から妻を奪おうとしたクソ女がー
絶対に許さねぇぞ」
麻友(優吾)はそう言うとー
「そうだー
この身体でお前を殺したらー
どうなるかなぁ?」
と、笑いながら続けるー。
震える葵ー。
だがー
麻友(優吾)はそんな葵を見つめながら
不気味な笑みを浮かべるー。
「ーー麻友の身体でお前を殺してもー
また麻友と入れ替わればー
俺は”犯罪者”じゃないもんなぁ…
お前は死んで、
麻友は親友殺しの人殺しになるー
クククー
すげぇ最高じゃねぇか。
お前にも、俺を裏切った妻にも復讐できるー」
そう呟くとー
麻友(優吾)は、葵の部屋のキッチンの方に向かって、
包丁を手に取ろうとしたー。
だがー
「ーーーえ」
麻友(優吾)は、突然の出来事に、表情を歪めたー。
そしてーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーはぁ…はぁ…はぁ…」
優吾の身体も、さすがにこれだけ走ると疲れるー
麻友は、そんな風に思いながら、
葵の家を目指すー
そういえばー
葵は以前”わたし、知らない電話番号だと出ないからー”と
笑っていたことを思い出すー
さっき、公衆電話から電話したときに葵が電話に出なかったのはー
ただ単に”知らない電話番号だったから”かもしれないー。
麻友(優吾)は、別の場所に行っただけで、
葵に危害を加えようとはしていないのかもしれないー。
どうか、杞憂であってほしいー
葵の部屋のインターホンを鳴らしたらー
普通に葵が出て来てほしいー
そんな風に願いながらーーー
葵の部屋の前にたどり着き、インターホンを鳴らす優吾(麻友)ー
しかしー
葵の部屋の中から返事はなかったー。
玄関の扉に手をかけると、
鍵はかかっていないー。
「ーーー葵…」
優吾(麻友)は、部屋の扉を開けたその先にー
いつものように、葵がのんびりしている光景が
広がっていることを、心の底から願いながらー
扉を開いたー
だがー
その先に、優吾(麻友)が望んでいる光景はなかったー。
血を流しながら、ピクピクと震えている葵の姿とー
呆然としている麻友の姿が、そこにはあったのだー。
「ーーーえ…???え…???」
悲鳴を上げることもできない優吾(麻友)ー
麻友になった優吾が、葵を刺したのだー。
そう、思ったー
けれどー
振り返った麻友は、目に涙を浮かべながら呟いたー
「ーーー麻友…わたし…」
とー。
「ーーーえ…?」
優吾(麻友)が、麻友のほうを見つめるー
「ーーーわたし…葵だよ…」
麻友の身体は、そう呟いたー。
「ーーーーえ…どういう…?」
そう優吾(麻友)が呟くと、麻友になった葵は、
「まず、救急車を呼んでー」と、そう、呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
葵は救急搬送されたもののー
助からなかったー
だがー
死んだのは、”葵”ではないー
死んだ身体は葵のものだがー
死んだのは、優吾だったー。
「ーー何があったの?聞かせてー?」
優吾(麻友)が心配そうに言うと、
麻友(葵)は頷くー。
麻友の姿をした優吾が部屋に入ってきたことー
麻友の姿をした優吾が、逆上していたことー
そして”麻友の身体で葵を殺して”
罪を麻友になすりつけて、自分は元に戻ろうとしているー、と
麻友(優吾)自身が言っていたことをー。
「ーーーわたしの身体で、葵を殺して…
元に戻ろうとしてたってことー?」
優吾(麻友)が言うと、麻友(葵)は頷いたー。
”そういう発言”ができるということは、
入れ替わりは優吾が仕組んでいたことなのだろうかー。
「ーーーでも」
と、麻友(葵)は続けるー。
包丁で刺されて、パニックになって、必死に
麻友(葵)に突進したらー
倒れ込んだときに二人の身体が入れ替わってしまってー、
結果的に、葵は麻友の身体に、優吾は葵の身体になってしまったのだと言うー。
「ーーー…ごめんね…こんなことになってー」
麻友(葵)が頭を抱えるー。
優吾(麻友)は、葵を慰める言葉を掛けると、
死んだ葵(優吾)が運ばれた部屋のほうを見つめながら
複雑そうな表情を浮かべたー
”自分が刺した葵の身体と入れ替わってしまって、優吾は死んだのだー”
自業自得ー
と、言えばそうかもしれないー
けれど、麻友にとっては、どんな形であれ、夫であった人物であり、
また、死んだ身体は葵のものであることもありー、
気持ちは複雑だったー。
「ーーーー」
麻友(葵)は、警察から取り調べを受けるー。
当然、麻友の身体が葵を刺したのだからー
罪に問われるかもしれないー
けれど、麻友(葵)は”わたしは大丈夫だから”と、
いつものように優しく微笑んで見せたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
麻友(葵)は、逮捕されることなく、
そのまま釈放されたー。
罪に問われることはなかったー
「うまく、説明できたからー」
と、麻友(葵)微笑むー。
「ーーーー」
ひとまず、”葵”として、葵の部屋で暮らすことは、
もう、麻友になってしまった葵にはできないということで、
麻友と優吾が暮らしていた部屋で、葵は暮らすことになったー。
身体は「麻友」と「優吾」ー
二人がここで暮らしていても、問題はないー
「そうだー…
わたしがこうして麻友の身体になったんだしー
麻友と入れ替わることができれば、
麻友に身体を返すことができるねー」
麻友(葵)がそう提案するー。
優吾(麻友)は「そ、それはそうだけどー…
入れ替わることなんてできるの?」と、呟くー
「ー分からないケド…
でも、ほら、入れ替わった時の状況を再現すれば
もう1回入れ替われたりするんじゃない?」
麻友(葵)の言葉に、優吾(麻友)は
「で、でも、それじゃ、葵は男になっちゃうよ!?」と、言葉を口にするー
「ー男になっちゃうよ!?って、人生で言われるなんて
夢にも思わなかったなぁ~」と、麻友(葵)は笑うと、
麻友(葵)は続けたー
「でも、この身体は麻友のものなんだし、
わたしは大丈夫ー
むしろほら、麻友の旦那さんだった人の身体になればー
わたしが代わりに麻友を守ってあげられるかもしれないし!
一石二鳥!」
麻友(葵)の言葉に、
「それ、一石二鳥って言うのー?」と、苦笑いしながらもー
”じゃあ、試してみよっか”と、微笑んだー
そしてーー
”あの時と同じように”何回か、転倒してみる二人ー。
3回ー
4回ー
と繰り返すー
けれど、元に戻ることはできないー
諦めかけたその時ー
7回目でーー
「ーーーえっ!?」
「ーーーあっ!?!?!?」
”奇跡”が起きたー
麻友と、優吾の身体が入れ替わりー
麻友は麻友に、葵は優吾の身体になったのだー
「嘘…!?戻れた!」
驚く麻友に、
優吾になった葵は「麻友~!おめでとう!」と嬉しそうに微笑むー
麻友は、ようやく、自分の身体を取り戻すことができたのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1か月後ー
麻友は、優吾になった葵と暮らしているー
表向きは”夫婦”ー
優吾になってしまった葵は、
”わたしが中身なら、離婚しなくてもそのまま夫婦でいけない?”と
提案してきたのだー。
麻友は、一瞬戸惑ったものの、
”葵とは親友で、一緒にいると楽しい”のは、事実だったし、
”優吾の身体になってしまった葵の今後”を心配していたこともあり、
それを承諾したー。
結局、思わぬ形となったけれど、
麻友に、笑顔が戻っていたー。
優吾の精神と、葵の肉体が死んでしまったー
そのことは、複雑ではあったもののー
結果的に、麻友は、優吾の横暴な振る舞いから
解放されることができてー
笑顔が戻ったことは、事実だったー。
「今日は葵…仕事休みだっけ?」
麻友が言うと、優吾(葵)は「うん!」と答えるー。
外では”麻友”と”優吾”として振る舞っているが、
家ではこうして”麻友”と”葵”として、自然と会話しているー
「ーいってらっしゃい~!がんばって!」
優吾(葵)が麻友を見送ると、玄関の扉を閉めてから
少しだけ笑みを浮かべたー
「ーーーやっと、一緒になれたー」
優吾(葵)はそう呟くー。
麻友と親友同士だった葵は、麻友のことが好きだったー。
どういう”好き”なのかは自分でも分からないー。
けれど、優吾と結婚すると聞かされたときは、
激しく嫉妬を覚えたー。
そしてー
優吾から麻友を奪う計画を、葵はずっと練っていたー。
そんな中ー
”優吾”は、結婚後に横暴な態度を取り始めたことを知った葵ー。
優吾が悪い夫だったのは”偶然”だったが、
葵はチャンスだと考えて、”優吾よりわたしが麻友を幸せにするの”と
考え始めるー。
そして、見つけたのが”入れ替わり”の薬ー
服用後に、相手と一定以上の接触をすることで、入れ替わる薬ー
それを見つけた葵は、”自分が優吾になること”を考えたー。
そこでー
”遠回り”の計画を練るー。
”自然な形で、優吾を始末して、自然な形で、優吾(葵)として麻友と同居する”
計画をー。
まず、離婚の相談に来た麻友に”入れ替わり薬”をお茶の中に入れて盛り、
麻友と優吾が入れ替わるように仕向けたー。
そして、”あえて”麻友と優吾が入れ替わったのを知らないふりをして
麻友になった優吾に連絡、”葵が離婚をそそのかした”と、優吾に知らせたー。
優吾の性格上、葵の家に、麻友になった優吾が乗り込んでくると考えたためだー。
計画通り、麻友(優吾)は家にやってきたー。
”邪魔な優吾”を始末する最高のチャンスー
あの時ー
「ーー麻友の身体でお前を殺してもー
また麻友と入れ替わればー
俺は”犯罪者”じゃないもんなぁ…
お前は死んで、
麻友は親友殺しの人殺しになるー
クククー
すげぇ最高じゃねぇか。
お前にも、俺を裏切った妻にも復讐できるー」
そう言いながら、麻友(優吾)は葵を殺そうと
キッチンの方に向かったー。
優吾は”もう一度麻友と転倒すれば元に戻れるだろう”ぐらいに
軽く考えていたのだろうー。
入れ替わり薬を持っていない優吾には、そんなことできないのにー。
そしてー
葵は、包丁を取ろうとした麻友(優吾)より先に包丁を手にしてー
”自分を刺した”
麻友(優吾)が”え…”と、唖然とする中ー
さらに自分を刺してー
事前に服用していた、入れ替わり薬の力で、麻友(優吾)と入れ替わりー
そのまま、瀕死の葵になった優吾は、訳も分からないまま死亡したー。
警察沙汰になったのを解消できたのはー
入れ替わる前にあらかじめ、葵は、”遺書”を書いておいたこと、
半月前から、自分のSNSに”わざと”人生に悩むような文章や
自殺をほのめかす文章を書いておいたためー。
結果ー
麻友の身体を手に入れた葵はー
”事故で入れ替わって、葵になった優吾が死んでしまった”と装ったー。
最後に、”麻友に身体を返すよ”と、親切に言い放ちー
”必死に転倒を繰り返した末に元に戻れた”=偶然を装うために、
何度か転倒したあとに、入れ替わり薬をこっそり服用しー
麻友に麻友の身体を返し、自分は優吾になったー。
「遠回りだったけどー…
麻友と一緒に暮らせるようになって嬉しいー」
優吾(葵)はそう呟くとー
”これからずっと、麻友のことを守るからねー”
と、静かに囁いたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
最終回でした~!
麻友が葵の目的に気付いたりしなければ、
ひとまず麻友にとっては、幸せな日常が続きそう…ですネ~
お読みくださりありがとうございました~!
コメント
前にもこの話みたいに夫婦に妻の親友を加えた三人が入れ替わる話ありましたね。
あの話と違って死人が出てるし、黒幕の葵は腹黒くて計画的なので、かなり内容は異なっていますが。
優吾がろくでもない夫だったのは偶然らしいですが、本当にそうだったのか怪しい気がしますね。葵が夫婦仲が悪くなるようになにかしたとかじゃないんですかね?
まあ優吾がどんな人間だったにしても、葵はさいしょから麻友を奪うつもりまんまんだったので、同じことですかね? もし優吾がなんの問題もないいい夫だったなら、麻友は夫の死で大きなショックを受けそうですが。
それにしても、葵はストーカー的な思考ですよね。麻友に抱いてる感情が友情なのか、同性愛なのかは不明ですけど。
この話はこの話で面白かったんですけど、個人的には登場人物の性別が全部逆だった方が好みだったかも?
コメントありがとうございます~!
前も組み合わせは似ているお話はありましたネ~!
夫については、この物語では偶然で、
優吾の性格が悪かったことに、葵は関係していません~!☆
(妹も、小さいころから優吾のことを嫌っています~!)
葵自体は、優吾とは別方面で危険人物なので、
麻友は彼氏(夫)、親友、どちらにも恵まれていないですネ~!
性別が逆のお話…!
それも確かに面白そうデス~!