憑依されてしまった美里は、
”良いところだけ”奪われるー
そのことを深く考えることもできないままー
利用されていく彼女の運命はー?
--------------------—
「ーーーうっふふふ~♡ 本当に楽しい♡」
幸せそうな美里ー
とても可愛らしいおしゃれをして、
彼氏とのデートを楽しんでいるー
高校3年生になった美里には
彼氏が出来ていたー
クラスのイケメンと付き合いだした美里ー
だがー
今の美里は乗っ取られているー
”良い場面”だけ奪われているー
美里に憑依した男にー
”あぁぁ、ゾクゾクするぜ…”
デートを楽しむ可愛い女子を演じながら
相手の男の反応を見て、ゾクゾクしている美里ー
デートは楽しいー
美少女として、楽しむデートは。
この彼氏に告白したのも、
美里の意識をコントロールしたことによるものだー。
美里を乗っ取っていないときでも、
中から強く念じることで、美里の意志を
ある程度コントロールできる。
このイケメン男子の真人(まさと)を好きになるように
美里の中で、真人のことを想い続けたー
結果、美里は勝手に真人に告白し、
真人と付き合い始めたのだったー
美里を乗っ取っている男自身、
真人のことは好きでもなんでもないー
だが、こうしてー
”デートを楽しむ女子高生”をやってみたかったのだー
「真人といると、本当にしあわせ♡」
嬉しそうな声を出す美里ー。
真人が顔を赤くしているー
”くくくく…いい、”俺”が、お前をドキドキさせていると
感じるだけで興奮する…
くくく…楽しいなぁ、女子高生ごっこはぁ!”
デートを楽しむ美里は
とても上機嫌だったー
デートをするとき、
何故女は、おしゃれをするのだろうかー。
男はそんな風に思いながらも
いつも以上におしゃれな格好の自分ー
いや、美里を鏡で見つめて、笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・
最近ー
男はあまり”表”に出なかったー
美里の中で、のんびり過ごすことが多いー
「--はぁ~たいへん!」
何故ならー
美里が大学受験の勉強をしているからだー。
”勉強とか、めんどうなことは、
任せるよ、美里ちゃん”
なれなれしくそう呼びかける男ー
もちろん、美里本人にそんな言葉は聞こえていないー
男は美里の中で
美里の記憶を見ながらのんびりしているー
小さいころの記憶やー
色々な恥ずかしい記憶ー
美里のこれまでの人生のあらゆる場面を
覗くのは、まるで映画を見ているかのような、
独特な高揚感があったー。
たまらないー。
「---はぁ~今日は勉強おわり!」
美里が満足そうに微笑むー
”よし、ご苦労様”
そう呟くと、男は美里を乗っ取ったー
「あぅっ」
美里がビクンと震えるー
そして、笑みを浮かべるー
「さぁ~て、エッチしますかぁ♡」
美里は笑いながら胸を揉み始めたー
本当はーー
めっちゃくちゃになって、乱れたいー
男を連れ込んでぐしゃぐしゃになってみたいー
エッチな格好をして、家中でエッチに狂いたいー
だがー
美里は女子高生だー
まだ、実家ぐらしー
今は、まだ、我慢だー
今はー。
だがー
大学に入学したら一人暮らしを始めることは
両親にも伝えてあるー
美里の中で一人暮らしの空想を強く重ねることで、
美里に一人暮らしをしたいという気持ちを植え付けたー
「---ふひひひひひっ♡」
鏡の前でポーズを決める美里ー
今日の夜も、存分に俺が楽しんであげようー
美里の代わりにー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やがてー
美里は大学に合格したー
「やったあああああ!」
合格発表の最高の瞬間を乗っ取って、
男が美里として喜びを表現するー
可愛らしく女子高生として喜ぶー
これもまた、やってみたかったことだー。
良いところだけ、自分のものにするー。
男は、そんな憑依を続けたー
卒業式の日も、美里を乗っ取ったー
卒業式後のクラスの集まりでも、美里を乗っ取って、
存分にはじけて見せたー
「みんなとお別れのぎゅ~♡する~~!」
大胆な行動に出る美里ー
クラスの男子たちの顔を真っ赤にした
様子が忘れられないー
”どうせ、大学に入学すれば、お別れなやつらだ”
だからー
最後に大胆に遊んでやったのだったー
そしてー
大学生になった美里は一人暮らしを始めたー
「--ははははっ♡ 念願のファッションショーだ!」
色っぽいドレスを着て、一人暮らしの家の中で
一人ファッションショーをする美里ー
エッチな服をたくさん買い込んでー
まるでモデルのように鏡の前で歩くー
「あぁぁぁぁ~綺麗だ~♡」
美里がゲラゲラ笑うー
でもーー
「この女も、そのうち劣化が始まるだろうからなぁ~」
美里は、自分のことを他人のように呟くー
いつまでー
いつまで、この”器”に住むかー。
用がなくなったら、男は引っ越しをするつもりでいるー。
美里の身体を捨てて、
また別の身体に移るのだー
「ま、、20後半ぐらいまでかなぁ、ふふ」
美里は笑いながら足を組んで、
そして煙草を吸い始めたー
「--健康は、まぁ、ね?俺の身体じゃないし。
へへへ」
美里はそう言いながら、
煙を吐き出したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大学に入学するー
”俺は紳士だからな…
美里ちゃんを完全に乗っ取ったりはしないぜ
共存共栄だ”
良い場面だけを奪っておきながら
都合のことを言う男ー
だが、美里は、最初とは違い、
自分の意識が飛んでることも気にしないように
されていたー
「---」
大学でも真面目に授業を受ける美里ー。
バイトも、必死に頑張っているー
”そうだ!働け働け”
美里の中で、男は笑うー
美里を働かせて、
バイトで稼いだお金は、自分で使うー
「--休憩はいります~」
美里が休憩に入ると、男は美里を乗っ取ったー
「ふ~~…おつかれさん」
美里は胸を少し揉むと、そのまま
弁当を食べ始めたー
「ん~~~~うまいうまい」
”食べる楽しみ”も男が奪っていたー
美里は休憩時間を満喫すると
「はい!面倒くせぇお仕事の時間。
任せたぜ」
と、呟いて、うっ…とうめいたー
美里は
「あれ…!?!?」と、自分の意識が
飛んだことに違和感を感じたがー
美里に潜む男がポジティブな思考を内面から
強く送り付けていることによって、
美里は、気にせず、そのままバイトへと戻ったー
良いところだけ、俺のものー。
めんどうくさい部分は、お前のものー。
共存共栄ー。
男の自分勝手な共存共栄によって、
美里は、人生の良い部分を奪われ続けたー
喜びも、何もかもー
全てー。
それでも美里は、何も後ろ向きに考えることもできずー
大学も無事に卒業したー
成人式のときもー
卒業のときもー
彼氏にプロポーズされたときもー
何もかもを、奪われてー
「----♡」
ウェディングドレスを身に纏った美里ー
一人になったタイミングで鏡を見つめるー
「へへへ…最高だぜ、これが女の幸せってやつか~」
美里に長年潜み、長年美里の良いところを奪ってきた
男は、いつしか女としての感覚も身に着けていたー
今や、真人と結婚できることに喜びを感じているー
「くく…よ~く、考えたらこの女の人生、
俺のせいで、ずいぶん狂っちまったかもな」
美里は、ウェディングドレス姿のままそう呟くー
一人エッチができなくなるのは残念だがー
真人とのエッチはできるし、
そろそろ結婚するのも悪くないー
どうせあと数年で、美里は捨てて
別の身体に移るつもりだし、
美里がどうなろうと知ったことではないー
「へへへ…俺って優しいよなぁ~」
美里がニヤニヤしながら呟くー
その人の人生を全て奪うなんてことはせずー
その身体を破壊したり、犯罪を侵したりすることもせずー
最後には身体も返してあげるー
「へへ、優しすぎるぜ、俺ー」
邪悪な笑みを浮かべたウェディングドレス姿の美里ー。
美里は、そのまま結婚式本番を迎えー
最高の幸せとゾクゾクを味わいながらー
結婚式を終えたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結婚式を終えたあとの美里は、
真人と幸せな日々を送っていたー
”へへへへ…仕事の時間だな”
美里に憑依している男は笑うー
相変わらず、男は
”良いところだけ”美里の身体を乗っ取り、
あとは美里の中でのんびりしているー
”身体を完全に乗っ取る”なんて、
鬼畜のすることだー。
男は独特の美学を持っていたー。
完全に乗っ取るのではなく
共存共栄することで、
相手の人生を奪わず、
なおかつ、自分もおいしい思いをするー。
男は、それをお互いが得をする関係であると
本気で思っているー
「----お疲れ様です」
美里が、今日も仕事を必死に頑張っているー
美里はーー
辛いことや、苦しいことー
疲れることー
そういうことだけを、やらされているー
最初は疑問に思っていた美里も、
今や、脳内で男にポジティブ思考を
流し込まれて、それすらも把握できなくなっているー
「----」
昼休みー
ぼーっとしている美里ー
ふと、
”わたしの人生、なんなんだろう…”と
考えるー。
なんか、
仕事をしたり、
ばかりしている気がするー
自分の人生なのに、
自分の人生じゃないような気がするー
一場面一場面、まるで、
ゲームをプレイしているかのように、
決められた場面をプレイしているかのようなー
そんな、気持ちがするー
”おーっと”
美里の中にいる男は、そんな美里の思考を
感じ取って呟くー
”余計なことは、考えなくていいんだぜ”
とー。
男は美里を乗っ取るー
「うっ…」
美里はうめいて、そのまま完全に乗っ取られてしまったー
「ふふふ…昼休み昼休み~」
良いところー
昼休みだけは俺のものだー
この会社の食堂は、意外と美味しい。
「-う~ん、美味しい!」
昼食を食べ終えると、女子トイレに籠り、
個室の中でだらしない格好をして、胸を揉むー
この女が高校時代から揉んできた胸ー
だいぶ慣れてきたしー
そして、ある意味飽きてきたと言えるかもしれないー。
「ーーはぁ…♡ はぁ…♡」
個室から出て鏡を見るー
「--へへ…さすがにちょっと劣化してきたかな」
まだ美里は若いが
少しずつ、その輝きを失っているようにも見えるー
自分の身体であれば、
まだ十分行ける年齢だと思うー
だが、美里の身体は所詮、他人の身体ー
そろそろ”乗り換え”するのも、悪くはないー。
「----くふっ」
美里は鏡の前で笑うー。
「そろそろ、乗り換える準備をするかぁ…」
美里はニヤニヤと笑みを浮かべたー。
乗り換える前にー
最後に、
遊びたいー
そう思った男は、
”あること”を思いついたー
鏡の前で、極悪人のような笑みを浮かべる美里ー
”抜ける”ことはいつでもできるー
恐らく、男本人の身体は、もうとっくに死んでいるだろうからー
次の身体を見つけて、またこうして潜む必要があるー
美里は、高校生の時代から乗っ取ったから、
今度はもっと低い年齢からスタートするのも面白いー
「へへへ…俺は紳士だからな…
ちゃ~んと、身体は返してやるぜ」
”なにか”を思いついた美里に憑依している男は
美里の口でそう呟くと、
昼休みが終わることを確認し、
身体の主導権を美里に返したー
”ククク…”
美里の中で男は笑うー
男が、美里の中であまりにもニヤニヤしていたからかー
会社の廊下を歩く美里も無意識のうちにニヤニヤしていたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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良いとこどりを続ける男の運命ー
良いとこだけ取られ続ける彼女の運命ー
明日が最終回デス!
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