”この中で、誰かが憑依されている
ここから出るには、憑依されている誰かを
殺さなくてはいけない”
幼馴染ー
親友ー
後輩ー
3人と共に、拉致された彼女は
苦悩することになるー
--------------------–
「---今日も部活?」
親友の真崎 由紀菜(まざき ゆきな)が尋ねてくるー
「うん~!一応部長だからね!」
由紀菜の言葉に反応したのは、
高校2年生の笠原 真桜(かさはら まお)-。
真桜と由紀菜は”親友”と呼べる間柄だったー。
「---部長って大変だよね~…
わたしには、そういうの絶対無理無理!」
由紀菜は、スポーツが得意なタイプで、
ポニーテールが特徴的な男勝りなタイプの
女子高生だ。
真桜は「ま~、由紀菜には確かに無理かも」と
笑いながら言う。
真桜は可愛らしいストレートヘアーの女子で、
明るく、友達も多いタイプー。
「---あ、じゃあ、そろそろ行かないと!ばいばい!」
真桜が、そう言いながら、自分の部室ー
美術室に向かう。
その途中で、「あ!」と、文化祭の実行委員の連絡事項が
あることを思い出して、
隣のクラスの教室によるー。
「--あ、真桜!」
そこには、眼鏡の大人しそうな女子がいたー。
真桜の幼馴染で、小学生時代から同じ学校に通っている
田澤 彩智(たざわ さち)ー。
「---文化祭の話だけど~」
真桜が彩智に話しかけると、彩智もそれに応じるー
彩智は、小学生時代はいじめを受けていて
真桜がよくそれを守ってあげていたー。
何かと弱弱しい雰囲気の彩智は、
高校生になっても相変わらずで、
真桜が、今でも時々、彩智が困っていると
助けてあげているー。
親友ー…というよりかは
”大事な幼馴染”という関係だ。
「--うん。わかった。ありがとう」
彩智がほほ笑むー
真桜が「よろしくね」と、連絡を終えると、
そのまま真桜は部室に向かったー
部室に入ると、騒がしい声が聞こえてきたー
「せんぱ~い!待ってましたよ~!」
元気な後輩キャラ、という感じの
ツインテールな女子・大村 茜(おおむら あかね)が
声を掛けて来るー
彼女は1年生で、実際に真桜の後輩だ。
性格も妹キャラ的な感じで、
真桜は、そんな茜を妹のようにかわいがっていたー。
由紀菜ー
彩智ー
茜ー
全員、真桜にとっては、大事な存在ー
しかしー
今ーーー
”ようこそ 我が家へ”
笑い声が聞こえるー
ごく普通の家ー
そこに、”4人”は集められていたー。
食卓の並ぶテーブル。
そこに、不気味な声が響き渡るー。
真桜ー
親友の由紀菜
幼馴染の彩智、
後輩の茜ー
4人がテーブルに座っているー
「-----なんなの…ここ?」
彩智が泣きそうになりながら言う。
昔から臆病な幼馴染の彩智ー
彼女たち4人はー
気が付いたら、”この家”にいたのだ-。
直前の記憶があいまいだがー
それぞれ、下校中に突然衝撃を感じて、
気を失ったー
そんな、気がするー
そしてー
目が覚めたら、見知らぬ家にいたー。
”そう、驚くなって!
ほら、笑顔笑顔!”
ふざけた口調で男の声が響き渡るー
「こ、、ここはどこなの!」
由紀菜が叫ぶー。
気が強い由紀菜はこんな状況でも
頼りになるー
”ここは、僕の家だよ”
男が笑うー。
「--家…?」
真桜が呟く。
自分たちは、拉致されてきたのだろうかー
「--は、早くここから出ましょ~!先輩!」
ツインテールの後輩・茜が元気よく騒ぐ。
そして、玄関の方に向かい、扉を開くーーー
がーーー
「----!!!!」
茜が表情を歪めたー
扉の外に広がっていたのは、
普通の光景ではなかった。
月と太陽ー
まるで、宇宙空間のような空間が
外に広がっていた
ここに、足を踏み入れてしまったら
どうなってしまうのかもわからないー
「な、、なにこれ…!」
それを見た気弱な幼馴染の彩智も戸惑うー
「----」
真桜も同じだった。
まるで、宇宙ー
家のドアの外には広がっている世界を
表現するには、その言葉がぴったりだったー
”ははははは、そう慌てるなって。
ちゃんと”クリア”できたら、帰らせてあげるからさ”
男の言葉に、
由紀菜は「クリア?」と不機嫌そうに返事をする。
”そう…!
僕と遊ぼうよ!”
「--は?」
由紀菜が表情を歪めるー
人を拉致しておいて”遊ぼうよ”とはどういうことか。
まるで、意図が分からないー
”--そうだなぁ、
かくれんぼとかどうかな?えっへへへへへ”
無邪気な男の子のように笑う男ー
声しか聞こえないが、もしかしたら年齢は
自分たちより下かもしれないー
真桜は、そんな風に分析するー
気弱な幼馴染の彩智は、既に泣きじゃくっているー
真桜が、冷静に、そんな彩智をなだめるー。
”--主役は、真桜チャン!君だ!”
男の声がするー
「--え?」
真桜が戸惑う。
親友の由紀菜
幼馴染の彩智
後輩の茜が
不安そうに真桜を見つめる。
”君には、かくれんぼのルールを説明するから
2階の僕の部屋にあがってきてよ!
ははっ!”
笑いながら言う男ー
由紀菜は「危険よ。わたしも行く」と呟いたが
真桜は首を振ったー
「だいじょうぶ」
とー。
男を逆上させるのは良くない。
真桜はそう判断したのだー
「話はどのぐらいかかるの?」
真桜が、姿の見えない男に向かって問いかける。
すると
”5分もあれば終わるよ”
と、男は返事をしたー
真桜はそれを聞いて
由紀菜、彩智、茜の方を見て口を開くー
「--10分ー
わたしが戻ってこなかったら、
2階の部屋に助けに来て」
とー。
由紀菜たちは、頷いたー
”はは、慎重だねぇ~”
男は笑うー。
真桜は、「今からあなたの部屋に行くわ」と言うと、
そのまま一人、2階へと上がった。
2階もごく普通な感じの家だー
扉が2つあって、
ひとつには”僕の部屋”
もうひとつには、何も書かれていないー
”僕の部屋”と書かれた方の部屋を開く真桜。
しかしー
中には誰もいなかったー
おもちゃがたくさん置かれていて、
電車のおもちゃが、不気味に線路の上を
走り続けているー
”ようこそ!僕の部屋へ”
声だけがするー
「あなたは誰?あなたはどこにいるの?」
真桜が問いかけるー
だが、男は答えなかったー
”じゃ~かくれんぼのルールを説明するよ!”
男が笑うー。
”ルールは簡単、三日以内に、僕を見つけ出せたら
君たちの勝ちだ”
男の言葉に
真桜は「3日間?」と首をかしげるー
3日もこんな男の遊びに付き合う時間はないし、
両親たちも心配するー。
警察にも通報するだろうー
両親が助けに来てくれれば一番
それがいいが、ここがどこだかも分からない。
”あはは、大丈夫大丈夫!
ここはね、普通の場所とはちがうんだ!
外の宇宙、見ただろう?
あれは、僕の宇宙だ!
だから、ここで3日間経過しても
ここから出た時には、時間は進んでないから
心配しないでいいよ”
男はそう説明したー
「----」
真桜は”そんなことあるわけ…”と思いつつも
扉の外に広がっていた宇宙空間を思い出し、
”ここが普通の場所でない”ことを悟るー。
”僕は、身体が欲しいんだ…”
男が呟くー
”新しい身体が、ね?”
男の言葉に
真桜は表情を歪めるー
意味が、分からないー。
”僕が隠れているのはー
君たちの身体の中ーだ…
君たちの誰かひとりー
既に、僕に憑依されている子がいるー。
かくれんぼのルールは簡単。
その僕をー
僕に憑依されている人間を
見つけ出すことだー。
主役は君だー
三日以内に、僕を見つけ出して
”殺す”ことー。
それが、勝利の条件ー”
「---え」
真桜は、いきなりの発言に戸惑うことしかできないー
”憑依”
”殺す”
「---ど、、どういうこと!?」
真桜が聞き返すと、男は笑った。
”僕は君たち一人の身体を乗っ取ってるんだ!
乗っ取られているのは誰か。
それを見つけ出して、乗っ取られている子を殺すー
それが、君たちの勝利条件だよ”
男はゲラゲラと笑うー
の…乗っ取り…?
殺す?
”だいじょうぶだよ…
ここで死んだ人間は”元の世界”では
存在が消えるー
君たちが人殺しになる心配はないー”
「--ーそういう問題じゃないわ!」
真桜が声を荒げるー
”友達を殺す”
そんなこと、できるわけがないー
”ははっ!でも、三日以内に僕を見つけることが
できなかったら
君たちは”ゲームオーバー”だよ
そしたら、どうなるか、わかるかい?”
男は、ほほ笑んだー
GAME OVER-
部屋にあった、テレビが急に映像を映し出したー
そしてー
GAME OVERの文字と
血が画面に映るー
”全員、死ぬー”
「----!!!」
真桜は表情を歪める。
”ーーー僕を3日以内に見つけ出すことができなければー
君たちは全員死ぬんだ!あはははははははっ!”
笑う男ー。
「----かくれんぼ」
真桜は混み上げて来る怒りを感じながら呟いたー。
”へ?”
楽しそうな男が間抜けな声を出す。
「--さっき、かくれんぼって言ったよね?」
真桜は震えながらそう呟いた。
”あぁ、言ったね”
男が笑いをこらえながら、という様子で返事をする。
「だったら…
だったら、誰の命も奪わずにあんたを見つけて見せる!!」
真桜が叫ぶと、
男は”えへへへへへ”と笑ったー
”僕は、乗っ取った身体が死ななきゃ、その身体からは出ないよ”
男が、挑発的に笑うー
「……」
真桜は、答えなかった。
そしてー
”さぁ、話は終わりだ。良い3日間をー!”
男が笑うー
”僕は、特に何もしないー
そのまま3日間過ごして、4人で仲良く死んでもいいし、
手当たり次第他の3人の命を奪って、
自分だけ助かってもいい。
もちろん、僕が潜んでいるのは誰かを突き止めて
その子を殺し、3人が生き延びる道を選んでも、いい”
男の言葉に、
真桜は「4人で生きて帰って見せるから」と
つぶやき、そのままその部屋を後にしたー
そのまま、1階に降りると、親友の由紀菜が「大丈夫だった?」と
声をかけてきたー
幼馴染の彩智は、不安そうに真桜を見ている。
後輩の茜は「先輩~!おかえりなさい~!」といつもの調子だ。
真桜は、「みんな…落ち着いて聞いてね」と呟く。
”誰”が憑依されているのだろうかー。
真桜は、”疑いたくない”と思いながらも、
他の3人を注意深く観察するー
そしてー
先ほど男から言われたことを、
冷静に語るー。
この中の一人が憑依されているー
ならば、必ずおかしな行動をする人間が出て来るはずー。
誰が憑依されているのか分からない以上、
隠しても無意味だー
そう考えて真桜は、全員の前で全てを説明したー
「---そんな話…本当に…?」
親友の由紀菜が戸惑っている。
いつも気の強い感じの彼女も、流石に困惑している様子だ。
「---こわい…」
幼馴染の彩智は、目から涙をこぼして、眼鏡を濡らしているー
「--な~んか、ワクワクしちゃう~!
推理モノみたい~!」
後輩の茜が、空気を読めない発言をするー
だが、茜はいつもこんな感じだから
平常運転と言えるー
「---誰が憑依されているとしても」
真桜は、3人をまっすぐ見つめて
決意を口にしたー
「みんな、わたしの大切な友達…
だから、わたしは4人でここから出たい…
みんな、力を貸して」
真桜が言うと、
由紀菜も彩智も茜も、頷いたー
”---くくく”
男は笑ったー
果たして、そう上手くいくかなー?
地獄の3日間ー
今から、楽しみだーー
②へ続く
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以前書いたデスマンションや、極限少女系統のお話ですネ~!
(ジャンルが同じだけで、続編ではありませんー)
果たして、どうなってしまうのでしょうか~?
続きは明日デス~!
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