<憑依>潜ム者①~恐怖~

”この中で、誰かが憑依されている
 ここから出るには、憑依されている誰かを
 殺さなくてはいけない”

幼馴染ー
親友ー
後輩ー

3人と共に、拉致された彼女は
苦悩することになるー

--------------------–

「---今日も部活?」
親友の真崎 由紀菜(まざき ゆきな)が尋ねてくるー

「うん~!一応部長だからね!」
由紀菜の言葉に反応したのは、
高校2年生の笠原 真桜(かさはら まお)-。
真桜と由紀菜は”親友”と呼べる間柄だったー。

「---部長って大変だよね~…
 わたしには、そういうの絶対無理無理!」
由紀菜は、スポーツが得意なタイプで、
ポニーテールが特徴的な男勝りなタイプの
女子高生だ。

真桜は「ま~、由紀菜には確かに無理かも」と
笑いながら言う。

真桜は可愛らしいストレートヘアーの女子で、
明るく、友達も多いタイプー。

「---あ、じゃあ、そろそろ行かないと!ばいばい!」
真桜が、そう言いながら、自分の部室ー
美術室に向かう。

その途中で、「あ!」と、文化祭の実行委員の連絡事項が
あることを思い出して、
隣のクラスの教室によるー。

「--あ、真桜!」
そこには、眼鏡の大人しそうな女子がいたー。

真桜の幼馴染で、小学生時代から同じ学校に通っている
田澤 彩智(たざわ さち)ー。

「---文化祭の話だけど~」
真桜が彩智に話しかけると、彩智もそれに応じるー

彩智は、小学生時代はいじめを受けていて
真桜がよくそれを守ってあげていたー。

何かと弱弱しい雰囲気の彩智は、
高校生になっても相変わらずで、
真桜が、今でも時々、彩智が困っていると
助けてあげているー。

親友ー…というよりかは
”大事な幼馴染”という関係だ。

「--うん。わかった。ありがとう」
彩智がほほ笑むー

真桜が「よろしくね」と、連絡を終えると、
そのまま真桜は部室に向かったー

部室に入ると、騒がしい声が聞こえてきたー

「せんぱ~い!待ってましたよ~!」
元気な後輩キャラ、という感じの
ツインテールな女子・大村 茜(おおむら あかね)が
声を掛けて来るー

彼女は1年生で、実際に真桜の後輩だ。
性格も妹キャラ的な感じで、
真桜は、そんな茜を妹のようにかわいがっていたー。

由紀菜ー
彩智ー
茜ー

全員、真桜にとっては、大事な存在ー

しかしー

今ーーー

”ようこそ 我が家へ”
笑い声が聞こえるー

ごく普通の家ー
そこに、”4人”は集められていたー。

食卓の並ぶテーブル。

そこに、不気味な声が響き渡るー。

真桜ー
親友の由紀菜
幼馴染の彩智、
後輩の茜ー

4人がテーブルに座っているー

「-----なんなの…ここ?」
彩智が泣きそうになりながら言う。
昔から臆病な幼馴染の彩智ー

彼女たち4人はー
気が付いたら、”この家”にいたのだ-。

直前の記憶があいまいだがー
それぞれ、下校中に突然衝撃を感じて、
気を失ったー
そんな、気がするー

そしてー
目が覚めたら、見知らぬ家にいたー。

”そう、驚くなって!
 ほら、笑顔笑顔!”

ふざけた口調で男の声が響き渡るー

「こ、、ここはどこなの!」
由紀菜が叫ぶー。
気が強い由紀菜はこんな状況でも
頼りになるー

”ここは、僕の家だよ”
男が笑うー。

「--家…?」
真桜が呟く。

自分たちは、拉致されてきたのだろうかー

「--は、早くここから出ましょ~!先輩!」
ツインテールの後輩・茜が元気よく騒ぐ。

そして、玄関の方に向かい、扉を開くーーー

がーーー

「----!!!!」
茜が表情を歪めたー

扉の外に広がっていたのは、
普通の光景ではなかった。

月と太陽ー
まるで、宇宙空間のような空間が
外に広がっていた

ここに、足を踏み入れてしまったら
どうなってしまうのかもわからないー

「な、、なにこれ…!」
それを見た気弱な幼馴染の彩智も戸惑うー

「----」
真桜も同じだった。

まるで、宇宙ー
家のドアの外には広がっている世界を
表現するには、その言葉がぴったりだったー

”ははははは、そう慌てるなって。
 ちゃんと”クリア”できたら、帰らせてあげるからさ”

男の言葉に、
由紀菜は「クリア?」と不機嫌そうに返事をする。

”そう…!
 僕と遊ぼうよ!”

「--は?」
由紀菜が表情を歪めるー

人を拉致しておいて”遊ぼうよ”とはどういうことか。
まるで、意図が分からないー

”--そうだなぁ、
 かくれんぼとかどうかな?えっへへへへへ”
無邪気な男の子のように笑う男ー

声しか聞こえないが、もしかしたら年齢は
自分たちより下かもしれないー

真桜は、そんな風に分析するー

気弱な幼馴染の彩智は、既に泣きじゃくっているー
真桜が、冷静に、そんな彩智をなだめるー。

”--主役は、真桜チャン!君だ!”
男の声がするー

「--え?」
真桜が戸惑う。

親友の由紀菜
幼馴染の彩智
後輩の茜が
不安そうに真桜を見つめる。

”君には、かくれんぼのルールを説明するから
 2階の僕の部屋にあがってきてよ!
 ははっ!”

笑いながら言う男ー

由紀菜は「危険よ。わたしも行く」と呟いたが
真桜は首を振ったー

「だいじょうぶ」
とー。

男を逆上させるのは良くない。
真桜はそう判断したのだー

「話はどのぐらいかかるの?」
真桜が、姿の見えない男に向かって問いかける。

すると
”5分もあれば終わるよ”
と、男は返事をしたー

真桜はそれを聞いて
由紀菜、彩智、茜の方を見て口を開くー

「--10分ー
 わたしが戻ってこなかったら、
 2階の部屋に助けに来て」

とー。

由紀菜たちは、頷いたー

”はは、慎重だねぇ~”
男は笑うー。

真桜は、「今からあなたの部屋に行くわ」と言うと、
そのまま一人、2階へと上がった。

2階もごく普通な感じの家だー

扉が2つあって、
ひとつには”僕の部屋”
もうひとつには、何も書かれていないー

”僕の部屋”と書かれた方の部屋を開く真桜。

しかしー
中には誰もいなかったー

おもちゃがたくさん置かれていて、
電車のおもちゃが、不気味に線路の上を
走り続けているー

”ようこそ!僕の部屋へ”
声だけがするー

「あなたは誰?あなたはどこにいるの?」
真桜が問いかけるー

だが、男は答えなかったー

”じゃ~かくれんぼのルールを説明するよ!”
男が笑うー。

”ルールは簡単、三日以内に、僕を見つけ出せたら
 君たちの勝ちだ”

男の言葉に
真桜は「3日間?」と首をかしげるー

3日もこんな男の遊びに付き合う時間はないし、
両親たちも心配するー。
警察にも通報するだろうー

両親が助けに来てくれれば一番
それがいいが、ここがどこだかも分からない。

”あはは、大丈夫大丈夫!
 ここはね、普通の場所とはちがうんだ!
 外の宇宙、見ただろう?
 あれは、僕の宇宙だ!

 だから、ここで3日間経過しても
 ここから出た時には、時間は進んでないから
 心配しないでいいよ”

男はそう説明したー

「----」
真桜は”そんなことあるわけ…”と思いつつも
扉の外に広がっていた宇宙空間を思い出し、
”ここが普通の場所でない”ことを悟るー。

”僕は、身体が欲しいんだ…”
男が呟くー

”新しい身体が、ね?”
男の言葉に
真桜は表情を歪めるー

意味が、分からないー。

”僕が隠れているのはー
 君たちの身体の中ーだ…
 
 君たちの誰かひとりー
 既に、僕に憑依されている子がいるー。

 かくれんぼのルールは簡単。
 その僕をー
 僕に憑依されている人間を
 見つけ出すことだー。

 主役は君だー

 三日以内に、僕を見つけ出して
 ”殺す”ことー。

 それが、勝利の条件ー”

「---え」
真桜は、いきなりの発言に戸惑うことしかできないー

”憑依”

”殺す”

「---ど、、どういうこと!?」
真桜が聞き返すと、男は笑った。

”僕は君たち一人の身体を乗っ取ってるんだ!
 乗っ取られているのは誰か。
 それを見つけ出して、乗っ取られている子を殺すー

 それが、君たちの勝利条件だよ”

男はゲラゲラと笑うー

の…乗っ取り…?
殺す?

”だいじょうぶだよ…
 ここで死んだ人間は”元の世界”では
 存在が消えるー
 君たちが人殺しになる心配はないー”

「--ーそういう問題じゃないわ!」
真桜が声を荒げるー

”友達を殺す”
そんなこと、できるわけがないー

”ははっ!でも、三日以内に僕を見つけることが
 できなかったら
 君たちは”ゲームオーバー”だよ

 そしたら、どうなるか、わかるかい?”

男は、ほほ笑んだー

GAME OVER-

部屋にあった、テレビが急に映像を映し出したー

そしてー
GAME OVERの文字と
血が画面に映るー

”全員、死ぬー”

「----!!!」
真桜は表情を歪める。

”ーーー僕を3日以内に見つけ出すことができなければー
 君たちは全員死ぬんだ!あはははははははっ!”

笑う男ー。

「----かくれんぼ」
真桜は混み上げて来る怒りを感じながら呟いたー。

”へ?”
楽しそうな男が間抜けな声を出す。

「--さっき、かくれんぼって言ったよね?」
真桜は震えながらそう呟いた。

”あぁ、言ったね”
男が笑いをこらえながら、という様子で返事をする。

「だったら…
 だったら、誰の命も奪わずにあんたを見つけて見せる!!」
真桜が叫ぶと、
男は”えへへへへへ”と笑ったー

”僕は、乗っ取った身体が死ななきゃ、その身体からは出ないよ”
男が、挑発的に笑うー

「……」
真桜は、答えなかった。

そしてー
”さぁ、話は終わりだ。良い3日間をー!”

男が笑うー

”僕は、特に何もしないー
 そのまま3日間過ごして、4人で仲良く死んでもいいし、
 手当たり次第他の3人の命を奪って、
 自分だけ助かってもいい。
 もちろん、僕が潜んでいるのは誰かを突き止めて
 その子を殺し、3人が生き延びる道を選んでも、いい”

男の言葉に、
真桜は「4人で生きて帰って見せるから」と
つぶやき、そのままその部屋を後にしたー

そのまま、1階に降りると、親友の由紀菜が「大丈夫だった?」と
声をかけてきたー

幼馴染の彩智は、不安そうに真桜を見ている。
後輩の茜は「先輩~!おかえりなさい~!」といつもの調子だ。

真桜は、「みんな…落ち着いて聞いてね」と呟く。

”誰”が憑依されているのだろうかー。
真桜は、”疑いたくない”と思いながらも、
他の3人を注意深く観察するー

そしてー
先ほど男から言われたことを、
冷静に語るー。

この中の一人が憑依されているー
ならば、必ずおかしな行動をする人間が出て来るはずー。

誰が憑依されているのか分からない以上、
隠しても無意味だー

そう考えて真桜は、全員の前で全てを説明したー

「---そんな話…本当に…?」
親友の由紀菜が戸惑っている。
いつも気の強い感じの彼女も、流石に困惑している様子だ。

「---こわい…」
幼馴染の彩智は、目から涙をこぼして、眼鏡を濡らしているー

「--な~んか、ワクワクしちゃう~!
 推理モノみたい~!」
後輩の茜が、空気を読めない発言をするー

だが、茜はいつもこんな感じだから
平常運転と言えるー

「---誰が憑依されているとしても」
真桜は、3人をまっすぐ見つめて
決意を口にしたー

「みんな、わたしの大切な友達…
 だから、わたしは4人でここから出たい…

 みんな、力を貸して」

真桜が言うと、
由紀菜も彩智も茜も、頷いたー

”---くくく”
男は笑ったー

果たして、そう上手くいくかなー?

地獄の3日間ー
今から、楽しみだーー

②へ続く

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コメント

以前書いたデスマンションや、極限少女系統のお話ですネ~!
(ジャンルが同じだけで、続編ではありませんー)
果たして、どうなってしまうのでしょうか~?

続きは明日デス~!

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