3日以内に、
憑依されている人間を見つけ出して、
その命を奪うことー。
それが”かくれんぼ”の勝利条件ー。
けれどー
親友、幼馴染、後輩、3人ともー
彼女にとっては大事な存在ー
命を奪うことなど、できないー。
--------------------–
「--血液型はA型、好きな食べ物はデザートで、
嫌いな食べ物はピーマン、ナス、にんじん、かぼちゃ、あとほうれん草とか、そういうのも!」
後輩の茜がツインテールを揺らしながら
そう答えるー
「---ありがとう」
真桜が呟く。
親友・由紀菜の提案で、
それぞれの個人情報を言ってもらおうよ、ということになり、
4人はそれを言い合っていた。
もしも、男に憑依されている人間がいるのであれば、
いくらその本人のフリをしても、細かいことまでは
答えられないだろうー
と。
おかしなことを言っていれば他の3人のうちの誰かが
気付くだろう、と。
けれどー
「--う~ん…」
真桜は頭を抱えた。
「--みんな、おかしなところはないよね」
真桜が言うと、
幼馴染の彩智が「うん…」と答えた。
誰一人として、
おかしなことは言っていないー
本人、そして本人と親しい人間でなければ
知らないはずの個人情報をペラペラと喋って見せた。
”第3者”が、事前にストーカー並みに調べたとしても
ここまで知ることは困難だろう。
「ってか、誰も憑依されてないんじゃない?」
親友・由紀菜がうんざりした様子で言う。
「う~ん…でも確かにそう言ってたし」
真桜が戸惑いながら言う。
だがー男は”かくれんぼ”と言っていた。
確かに、男が誰かに憑依しているとは限らない。
本当のことを言っているとは限らないのだー。
真桜は、”本当にここから逃がしてもらえるのかな”と
不安になったものの、
それでも今は、男の言う通りにするしかなかった。
この、ごく普通の一軒家のような建物の外には、
宇宙空間のようなところが広がっていて
外に逃げ出せるとは思えない。
「---記憶を、読めるのかな…?」
幼馴染で大人しい彩智が呟く。
「え?まっさか~!」
後輩の茜が笑う。
だがー親友の由紀菜と真桜は、不安そうな表情を浮かべたー。
もしも、誰かの身体を乗っ取って、
”その身体の記憶を読めるとしたら”
そしたらー
さっき、質問したことは無意味だし、
行動も、”いつも通り”を振舞うことはたやすいー。
「--まだ時間はあるから
とりあえず、まずは家の中全体を探してみよっか」
真桜は、暗い雰囲気を払拭するためにそう呟くー
親友・由紀菜の言う通り、”憑依”が
カモフラージュの可能性もあるし、
この家の中に何か手掛かりがあるかもしれない。
普通の家と同じぐらいの広さで
別に豪邸でもなんでもないから、
隅々まで探しても1時間はかからないだろう。
「---広くはないけど、一応二人一組で行動したほうが良くない?」
親友・由紀菜が言う。
真桜は、考えるー。
確かに4人バラバラに行動して、一人ずつ襲われたりしたらまずいー
だがー
2:2になる、ということは、
もしも、あの男が憑依してるなら、事実上は、2:1だー。
しかも”憑依されてる子”と組んでしまった人間の身に
危険が生じるー
それでもーーー
バラバラよりは良いかもしれないー。
「--じゃあ、わたしは茜ちゃんと」
真桜は、後輩の茜と組むことにしたー
と、いうのも、茜だけ1年生で
真桜の親友・由紀菜や、真桜の幼馴染・彩智とは
あんまり面識がなかったからだ。
「やった~!先輩といっしょ~!」
真桜に抱き着く茜。
「なんかその子、かわいいね~」
親友・由紀菜がそう呟きながら微笑ましく
真桜たちの方を見るー
由紀菜は、大人しい彩智に声をかけると
「いざとなったらわたしが守ってあげるから!」と頼もしい雰囲気で声をかけたー
「ありがとう」
彩智が嬉しそうに言う。
1階と2階に分かれて、
”男”を探す4人ー
男が、本当に誰かに憑依しているのかは分からない。
もしかしたら、どこかに隠れているかもしれないー
それに、隠れていなかったとしても
何か手掛かりがあるかもしれない
「--先輩~!扉が2つ~!」
2階に上がると、さっき説明を受けた”僕の部屋”と書かれた扉と
何も書かれていない扉があったー。
「--そっちは、さっきわたしが、説明を受けた部屋ね…」
真桜が言う。
もう一つの扉ー
それを、茜をうしろに守るようにして下げると、
真桜はゆっくり開いた。
その先も小さな廊下で、3つの扉が並んでいたー
真桜は、順番に茜と共に扉を開けていくー
ひとつはーー
トイレ。ごく普通のトイレだ。
便器の中にでも入っていない限り、人間が隠れる場所はないし、
トイレの蓋は開いていたー
もうひとつはー
物置だろうか。
ここは、隠れるとしたら最適な場所で厄介そうだー
そして、最後の部屋は
寝室ーー
恐らく、大人が寝ている部屋ー
たぶん、この家の母親・父親が寝ていた部屋に見えるー。
”あの男は誰なんだろう”
真桜は、そんな風に思う。
この家の主だろうかー
それとも全く関係ない男なのだろうかー。
この家の部屋の構成を見る限りー
3人家族に思えるー
父と母と、そして息子ー。
”父”か”息子”のどちらかだろうか。
けれどー
そんなことを知っても、意味がないー
まずはとにかくー
「------」
茜は、先輩である真桜を見つめながら
笑みを浮かべていたー
「--!」
それに気づく真桜。
一瞬、本能的に身の危険を感じた。
「--わ!そんなにわたしの方を見つめて、
どうしたんですか~~?」
茜がニヤニヤしながら言う。
「--え、、あ、、うん。なんでニヤニヤしてるのかなぁ~って」
真桜が苦笑いしながら言うと、
茜は、「一生懸命な先輩、なんだかかっこいいなぁ~って思っちゃって」と
照れ臭そうに言った。
「何よそれ~」
真桜は苦笑いしながら、物置の中を調べるー
2階の探索は続くー
だが、男が隠れている様子はなかったー
30分が経過したー
”収穫なし”
真桜は、そう判断して、後輩の茜と共に1階に戻るー
親友・由紀菜と
幼馴染・彩智も無事だったー
1階には、トイレ、お風呂、真桜たちが目覚めたリビング、
洗面所、玄関、それとーーー
由紀菜が呟く。
「--その部屋が、問題なのよね」
とー
由紀菜に案内されて
真桜たちが由紀菜が見つけた”問題の部屋”に向かうー
「---!!」
その部屋に入って、真桜は思わず少し声をあげたー
そこにはーー
”武器”が大量に置かれていたのだー
剣ー
槍ー
銃ー
鎌ー
鎖分銅ー
あらゆるものが、そこにはあった。
そしてー
剣を持つ甲冑が置かれていて、
そこに、時間んがデジタル表示されていたー
その時間はーー
「これ……わたしたちの残り時間ってことかな…?」
気弱な幼馴染の彩智が言う。
甲冑の時間表示は、
2: 17: 34 : 22 と表示されている。
「22」の部分は、21、20、19と減っていき、
それが0になったタイミングで、22だった部分は59になり、
そして、34だった部分が33になる。
これはー
「--あと、2日と17時間33分55秒…」
今表示されている数字をそう読み上げた真桜ー
「--そう。わたしもそう思う」
親友の由紀菜はそう呟いたー
これはー
”GAME OVER”までの時間を示しているー
ゲームオーバーになったら、全員 死ぬー
男が言っていた言葉を思い出す。
「これ、動き出したりしないよね?」
彩智の言葉に
真桜は嫌な予感を感じるー
残り時間が無くなった時、この甲冑が動き出して
その剣でー。
「--ここの武器 なにに使うのかな~!?」
ツインテールの後輩・茜が言う。
「---憑依された子を、殺すためー… かな?」
真桜が深刻な表情で呟くー
それしか考えられないー
男は、ここにある武器で、”憑依された子を殺せ”と言っているのだー。
だがー
そんなことできないー
”その誰か”が、もしも間違いだったらー?
無駄に命を奪うことになるー
そしてー
”もし正解”でもー
その”憑依された子”は助からないー
「--みんな」
真桜が言う。
「この部屋の武器は、絶対使わないー」
真桜が呟く。
「--みんなで必ず、生きて帰ろ!」
真桜が言うと、
他の3人は頷いたー。
リビングを拠点にし、
定期的に2人一組で、2階や他の部屋を調査する4人ー
だが、状況は変わらないー
「-お風呂は普通に入れるみたいね」
由紀菜がそう呟くー
1日目が終わりそうだ。
正直、汗もかいたし、お風呂に入りたいー
「---そうね」
由紀菜の提案に真桜も納得し、
4人はそれぞれお風呂に入ることになったー
安全のため、お風呂にも二人一組で入るー
「やった~!先輩とおふろ~!」
茜は、真桜とのお風呂に興奮しながら
真桜の髪を触ったり、胸を触ったりしているー
真桜は「ちょっと~!」と苦笑いしながらも
茜のことを微笑ましく思うー
こんな状況でも、元気だなぁ~
とー。
一方ー
「--どこ行くの?」
リビングで待機していた由紀菜が言うと、
大人しい彩智は「ちょっと、トイレ」と
そのままリビングから出たー
リビングを出ると、彩智は、トイレには向かわずー
武器だらけの部屋に向かうー
そして、彩智は、武器を手にするー
「-----」
武器を手にした彩智は、一人で
何かをブツブツと呟いているー
そしてー
少しだけ笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--ふ~」
お風呂を終えた真桜ー
後輩の茜は、先輩の真桜とお風呂に
入ることができて、とても嬉しそうだった。
「先輩の身体~!
ふふふふ~
ふふふふふふ~」
先輩である真桜の身体が予想以上に
スタイルが良かったので、茜は
とてもニヤニヤしていたー
「ちょっと~!そんなにニヤニヤしないで~!」
真桜は、服を着ながら
茜にそう呟くー
雑談しながら、部屋に戻るー。
今度は幼馴染・彩智と、親友・由紀菜の番ー。
二人がお風呂に向かって行くー
”なんだか、4人でお泊りしているみたい”
真桜は、一瞬そんな風に思った。
そんな状況ではないのにー。
最悪の場合、全員が命を落とすかもしれないー
誰かが憑依されているというのは、本当かもしれないー。
”4人全員で脱出する”
そんなことができるのだろうかー。
憑依されている誰かひとりを見つけ出してー、
その人間を殺さない限り、男が、出てこないのだとしたらー…
「----」
真桜は武器が置かれている部屋の時間の刻まれた甲冑を見つめるー
甲冑に刻まれたタイムリミットは
刻々と減っているー
「大丈夫…まだ、大丈夫」
真桜は、そう呟くと、部屋に戻った。
茜が「せんぱ~い!」とのんきに
部屋の中にあった、おいしそうなデザートの話をしている。
冷蔵庫には、たくさんの食材が入っていた。
”毒は含まれていない 安心しなよ!”と
メモ書きが最初から貼られていて、
真桜が毒見をしたが、確かに、大丈夫そうだったため、
4人は自由にこの中の食材を口にしているー。
3日間飲まず食わずでは、思考能力も奪われてしまうー
「--こういう状況じゃなきゃ、結構楽しいんだけどねぇ~」
親友の由紀菜がお風呂から戻ってきて呟く。
「----」
幼馴染の彩智も、お風呂から戻ってきたー
夜もー
”念のため”順番に寝ることにするー。
ここで、由紀菜の提案により、2人一組を交換することになったー
由紀菜が言うには
「--他の組み合わせになることで気づくこともあるかもしれないから」
とのことだった。
例えば、AがBの異変に気づけなくても、
CならBの異変に気付けるかもしれないー
そういうことだった。
真桜が、幼馴染の彩智と、
由紀菜は、真桜の後輩・茜と一緒に組み、
二人ずつ眠るー
夜もー
何事もなく過ぎ去りー
2日目の朝がやってきたー
”おはよう”
家の中に声が響き渡る。
”あははは!昨日は、楽しかったねぇ、
僕も、女子会、楽しませてもらったよ”
男の声ー。
4人は今、この場にいるー。
「---わたしたちは今、みんなここにいるわ!
ということは、あなたは、誰にも憑依していない!」
真桜が叫ぶ。
誰かに憑依している、ということは、
4人がこの場にいる状態で、男が喋っているというのはー
”おかしい”のだー
”果たしてそうかな?”
男が笑うー
「----!」
真桜が表情を歪めるー
”玄関の外の、宇宙空間、見ただろう?
ここは”僕”の世界だー
つまり、僕には、なんでもできるんだ。
誰かを乗っ取ったまま、こうして、声を発することだってーー
できるかもしれないだろう?”
男の言葉に、
真桜は玄関の外の宇宙空間を思い出すー。
「---……」
表情を暗くする真桜ー
確かに、男の言う通りかもしれないー
”さぁ…かくれんぼ続行だー”
男は、クスクスと笑うとー
そのまま語るのをやめたー。
4人の、地獄のような2日目が、始まったー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・
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憑依されている人物が”謎”なので、
ただの日常回みたくなってますネ~笑
次回は急展開デス!!

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