常軌を逸脱した愛から、
憑依能力を手に入れてしまった
ショタコンお姉さん。
狙われた裕翔くんの運命は…!?
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「--お姉ちゃん~!」
近所の男の子・裕翔が、
女子大生・真愛美の家にやってくるー。
「--裕翔くん~♡」
肩出しの服を身につけながら、裕翔を出迎える真愛美
「ぎゅ~~~~~~~~~~~!!!」
真愛美が嬉しそうに裕翔を抱きしめるー
裕翔の顔が真愛美の胸に押しつぶされるー
「ぶわっ!」
裕翔はそう言いながらも、
顔を赤くしていたー
まだ、深くそういうことを意識する
年齢ではないが、真愛美が積極的すぎて
ドキドキしていたー
「--裕翔くんが来てくれると、お姉ちゃん、元気になっちゃう!」
にっこにこの真愛美。
裕翔も嬉しそうにしているー
「--でも、お母さんは大丈夫~?」
真愛美はわざとらしく聞くー
さっき、裕翔の母親に憑依したから
”大丈夫”なのは分かっているー。
「うん!お姉ちゃんと遊んできていいって!」
裕翔がにこにこしながら言う。
「そっか♪ふふ」
真愛美はそう呟くと、
裕翔の方を見るー
「そういえば、裕翔くん、
クラスに好きな女の子とかいるの~?」
真愛美はにこにこしながら答えるー
”いないよ!僕はお姉ちゃんが大好きだもん”
「そっかそっか~!」
真愛美はそう呟くー
だがー
裕翔の返事は、真愛美の想像とは違った。
「うん!クラスの菜津ちゃん!すっごく可愛いんだよ~!」
裕翔が嬉しそうに言う。
「-----は?」
真愛美が鬼のような表情を一瞬浮かべたー
「---~」
裕翔は、菜津ちゃんのことを思い浮かべている最中だったからか、
真愛美の鬼のような形相を見ていなかったー
「--ふ、、、ふ~ん…!
じ、、じゃあさ」
声が裏返って、拳を握ったり開いたりを繰り返している真愛美ー
え??
なんで???
菜津ちゃん???
誰???
わたしの裕翔くんを奪うの???
は??え???お?????
何が菜津ちゃんよ。
菜津野菜カレーにしてやろうか?ええ???
真愛美の中で狂気の考えが浮かんでくるー
いいえ、落ち着くのよ、わたし。
真愛美は深呼吸をすると
裕翔に向かって話しかけたー
「お姉ちゃんと、その、菜津ちゃん?
どっちが好き~?」
にこにこしながら言う真愛美。
「どっちも大好きだよ~!」
無邪気に裕翔が答えたー
”どっちも?”
ピキッ
真愛美は、血管を浮き上がらせるほどに切れそうになったー
だが、抑えたー
「ふふふ、ふふふふふふふ。
でもね、裕翔くん。
裕翔くんのことを本当に大切にしてるのは、
わたしだけだよ~♡」
真愛美の言葉に、裕翔は少し戸惑っているような
表情を浮かべたー
そんな裕翔を見た真愛美は
裕翔にキスをするー
「--!!!」
裕翔が顔を真っ赤にしているー
「--ふふ♡ 裕翔くん、大好き♡」
真愛美がほほ笑みながら裕翔を見つめるー
「お…お姉ちゃん…」
裕翔が真っ赤になりながら真愛美を見るー
うっとりとした表情ー
「ふふふふふ…♡ じゃあ、今日は何をする?
ゲームで遊ぶ~?」
真愛美の言葉に
裕翔はもじもじしながら頷いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「いってきま~す!」
裕翔が学校に向かうー
「---…」
母親の杏子は戸惑っていたー
「昨日、またあの女子大生の家に裕翔を
行かせたみたいじゃないか」
裕翔の父親・剛志(つよし)が言う。
剛志も、裕翔が真愛美に誘惑されているような
雰囲気であることを苦々しく思っているー。
先日、裕翔が、真愛美の耳かきで怪我したのを理由に
裕翔と真愛美を引きはがすことを提案したのも、剛志だ。
「--……そ、、それが…」
杏子が不安そうに呟くー
「わたし、、記憶が飛んでるの」
杏子の言葉に、剛志が首を傾げる。
「記憶が?」
剛志が言うと、杏子がうなずくー
「気付いたら倒れてて、1時間ぐらい経ってたのー。
裕翔に聞いたら、わたしが”お姉ちゃんの家に行っていい”って
言ったんだって」
杏子の言葉に、剛志は考える仕草をするー
「それはいったい…」
剛志は、少し考えたあとに頷くー
「よし……わかった。俺がなんとかしよう」
なんだか、危険な香りがする。
そう判断した剛志は、近いうちに自分が
真愛美に話をしにいこうと、考えていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
学校に向かう裕翔ー
今日は、真愛美と一緒ではない。
真愛美に用事があるらしく、
一緒にはいけない、とのことだったー
「あ、裕翔くん!おはよ~!」
裕翔に声をかける、可愛らしいツインテールの少女ー
「あ、、、!お、おはよう」
裕翔が好きな女子…菜津(なつ)だー。
そんな光景をーーー
物影から睨むようにして真愛美が見つめていたー
「あれが……菜津…」
呼び捨てで憎しみを込めて呟く真愛美ー
あんなメスガキに裕翔くんは渡さないー
真愛美はそう思いながら、
二人が学校に向かう様子を見つめるー
二人で仲良さそうに話をする菜津と裕翔ー
真愛美は歯ぎしりをしながら二人の様子を見つめるー
「--僕、菜津ちゃんみたいに
真面目で何でもできるコ、すっごいと思うよ」
裕翔が満面の笑みで言うー
”へ~~~~~”
真愛美はにこにこしながら頷いたー
「--…」
そして、真愛美は家に帰ると、大学に休みの連絡を入れて
憑依薬を飲み込んだー
・・・・・・・・・・・・
給食の時間ー
菜津が給食を受け取りに、教室の前の方に行くー
お盆を持ちながら、
給食を受け取っていく菜津ー
しかしー
「あっ…!」
菜津が急に震えてー
お盆をしたに落としてしまうー
音を立ててサラダやカレーライスが転がり落ちるー
「あ……えへ…」
菜津は不気味な笑みを浮かべたー
”裕翔くんー
このコはね…
真面目で何でもできるコなんかじゃないんだよ~????
あたまがおかしくって、
どうしようもない、悪い子なの。
それをね~
今から見せてあげる”
菜津に憑依した真愛美は笑みを浮かべたー
そしてーー
「--あっははははははははは~~~!」
菜津は急に笑い出すと、
後ろに並んでいたクラスメイトを蹴り飛ばして、
そのままカレーの方に戻っていく。
カレーが入った容器に小さくてきれいな手を
突っ込む菜津ー
カレーの熱さにやけどをすることもお構いなしで
狂気的な笑みを浮かべると、
そのまま裕翔の方に向かって歩き始めた。
「ゆうと~~~!!!」
裕翔にカレーまみれの手をくっつける菜津。
「ちょ!?やめてよ!」
裕翔が叫ぶー
「わたし、悪い女の子なの~~~!
ぎゃははははははははは!」
わざと汚らしく笑う菜津ー
”ほ~ら
こいつ、最低でしょ?
裕翔くんも嫌いになっちゃうでしょ~~~?”
逃げる裕翔に、
カレーを塗り付ける菜津ー
菜津の手はずきずきと痛んでいるが、
そんなことは真愛美には関係ないー
裕翔が「やめてよ!」と叫ぶー
菜津は裕翔に近づくと、
裕翔を叩いたり、蹴ったりしたー
周囲が騒然としているー
教室から外に出ていた担任の先生が戻ってくるー
「な、、何してるの!」
担任が叫ぶー
泣きじゃくる裕翔ー
菜津は「かわいそう…」と呟くー
真愛美が憑依して、菜津にやらせているのにー
真愛美は、菜津に対して憎しみを覚えたー
”こいつ、裕翔くんを泣かせるなんて、許せないー”
「そうだ…菜津野菜カレーにしてやろ」
そう呟くと、周囲の机を乱暴に蹴り飛ばしながら
前の方に向かう。
「ひゃはははははははははははは!!!」
喉がはち切れそうなぐらに狂った笑い声を出すと、
菜津は、給食のカレーの容器を
無理やり持ち上げてー
それを頭からかぶったー
「ぐぼぉ~!~!」
菜津は顔面からカレーを被って、
そのまま笑ったまま、意識を失ったー
・・・・・・・・・・・・・・
「---…」
頬にばんそうこうを貼った裕翔が、
真愛美の方を見るー
「なにかあったの?」
真愛美は心配そうに尋ねたー
”何があったのか”
それは、聞くまでもない。
真愛美が菜津に憑依してやらせたのだからー
でも、
あえて聞いた。
「菜津ちゃんなんて、嫌いだ」
裕翔は呟いたー
「---え?」
真愛美は笑みを浮かべるー
”やった”
「--菜津ちゃんなんて、大っ嫌いだ」
裕翔が泣きながら呟くー
「----」
真愛美は、裕翔を抱き寄せて、
裕翔の頭を優しく撫でてあげるー
その笑みは、狂気の愛情に染まっていたー
「ふふ…ふふふふ」
真愛美はうっとりとした表情で裕翔を見つめるー
裕翔は泣きながら真愛美に
身を任せているー
”そうだよー。
裕翔くんを守れるのはわたしだけ。
裕翔くんを誘惑する
わる~い魔女は、やっつけたよ。
だから、裕翔くんは
安心して、わたしに身を任せてー”
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
大学から帰宅した真愛美の前にー
裕翔の父親である剛志が姿を現した。
「佐々原さん。ちょっとお話が」
剛志が言うと、
真愛美は「あ、、はい…」と頷いたー
真愛美は、玄関の前で、剛志と話をするー。
「---申し訳ないが、これ以上、うちの裕翔と
関わるのをやめてもらえないだろうか」
剛志は頭を下げるー
真愛美からは得体の知れない
不気味な雰囲気を感じるー
だからー
余計に刺激をしないほうがいい。
そう、判断して、あくまでも下手に
”お願い”するスタンスで、真愛美に頭を下げた。
「わ…そ、そんな!頭を下げないでください!」
真愛美は慌てた様子で言う。
「-この前、耳のお掃除しているときに
裕翔くんを怪我させちゃったことは謝ります。
でも…わたし、他に何か…?」
真愛美が気まずそうに言うと、
剛志は顔を上げたー
「--息子が、佐々原さんのことばかり
考えていて、勉強も手につかないんだー。
聞いた限りだと、息子に…その…
色々してるようじゃないか」
剛志が言う。
真愛美は、大きな反応を示さない。
それを見て、剛志はさらに続ける。
「妻も…正直、佐々原さんの家に息子が
行くのを嫌がっている…
頼む…申し訳ないが、
息子に近づくのを……
控えてもらえないだろうか」
剛志が頭を下げたー
真愛美はにっこりしながら頷くー
「そうですか」
とー。
「わかりました。それが裕翔くんの望みならー」
その言葉を聞いて、剛志は頭を上げる。
思ったよりも、物分かりの良い子でよかったー、
そう、思いながら。
「ありがとう。
こんなお願いして、本当に申し訳ない」
剛志が言うと、
真愛美は「いえいえ」とほほ笑んだー。
剛志が、立ち去って行くー。
真愛美は呟いたー
「裕翔くんの、望みならー…ネ?」
真愛美の目に狂気が宿っているー
「--あんたら…勝手に裕翔くんを
独占しようとしてる…!
鬼婆と魔王…!
許さない…!許さない…!」
真愛美は部屋の中に入ると、
一人笑いながら憑依薬を手にするー
裕翔くんはわたしのものなのに、
それを!取り上げようとする!!
絶対に!絶対に!許さない!!
裕翔くんを取り戻さなくちゃ!
裕翔くんは、わたしと遊びたいんだもの!
魔王の手によって牢屋に閉じ込められてしまった
可哀そうな裕翔くんを
助けるためにはどうすればいいんだろうー?
「他人を乗っ取ることもできるし、
思考や記憶に影響を与えることもできるー」
憑依能力を授かった時の言葉を思い出すー
そっかー
そっかそっかそっかー
そっかぁ♡
真愛美は憑依能力で裕翔を取り戻す決意をしたー
「お姉ちゃんとあ~そぼっ♡」
そう呟くと、真愛美は霊体になったー
愛しの裕翔くんを取り戻すためー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・
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裕翔くんの運命は…!?
明日が最終回デスー!
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