おかしな住人しかいないアパートから
逃げ出そうと考え始める彩月。
彼女の運命は…?
このアパートの真実は…?
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朝ー
大学に向かうために彩月が部屋を出ると、
「萌々香!?こんなところで何してるの!?」
と、声が聞こえたー。
206号室の前で、全裸の萌々香に向かって
若い女が騒いでいるー
「みんな、心配してるよ!
急に連絡を絶って…!」
若い女が叫ぶー
萌々香は全裸のままニヤニヤしているー
「わたし、生まれ変わったの。
ふふふ…女の開放感、最高でしょ?」
萌々香がポーズを決めるー。
「--な、、、なにしてるの…?
ヤバいって…!ここ、廊下だよ!?
みんなから見えるよ!?」
若い女が叫ぶー
口調から、全裸女・萌々香の友人に見えるー。
「---ヤバい?ふふふふ…
最高じゃない!ゾクゾクする!」
全裸女の萌々香が興奮した様子で言うー
「幸太郎も心配してるよ!
なんで、、なんで急に姿を消したの!?
あんたのおとうさんもお母さんも、みんな心配してる!」
若い女がなおも叫ぶー。
萌々香は「んなもん知るかよ!」と声を荒げた。
戸惑う若い女ー
その騒ぎを聞いて、
201号室の智子と202号室の由美、204号室の美佐枝が出てきて
若い女を囲むー
「な、、なんなんですか、あなたたちは!」
若い女が叫ぶ。
全裸女の萌々香が何か若い女に耳打ちするー
「そ、、そんな!!!萌々香を返して!」
若い女が叫ぶー
それを見ていた彩月は疑問に思うー
”あの全裸女に何を言われたのー?”
「”B102”に連れていきましょ」
萌々香が言うと、
由美・智子・美佐枝が若い女を無理やり押さえつけて
そのまま階段を下りていくー
「--なんなのここ・・・?」
彩月の不安はさらに強まるー
”おかしな住人たち”
”202号室の由美から出てきた男”
”深夜に部屋に入ってきた大家さんと男”
”自分の部屋が「ひみつのふどうさん」というサイトで売られ続けていること”
彩月は、”逃げ出したい”
そう考え始めていたー。
・・・・・・・・・・・・・
大学が終わり、
彩月は大家さんの部屋を訪れるー。
「---あの…相談が」
彩月が言うと、大家さんはにっこりとほほ笑んだ。
「--……どうしたの?何か悩み?」
親身なおばさん、という感じの大家さんー
「--あの…わ、、わたし…」
彩月は言葉を詰まらせるー
”このアパート、何かがおかしいー”
”早く逃げないと、とんでもないことになってしまうー”
「--入居したばかりなのに申し訳ないのですが…」
「--わたし……実家に戻らないといけなくなっちゃって…
今月末で……ここ、、出ようかと」
敷金とか、色々なお金は没収されそうだが
それでも構わないー
”実家に戻らないと”というのは嘘だ。
早く、ここから逃げ出したいー
「あらそう」
大家さんはほほ笑んだー
「別にいいわよ」
にっこりと笑う大家さん。
しかしー
「チッ チッ チッ チッ チッ」
大家さんが笑ったまま舌打ちを始めるー
「---あ、、、あの…すみません」
彩月が頭を下げるー
「いいのよぉ、誰にでも事情はあるから。
今月末…あと1週間だけど、
退去の準備は間に合いそう?
もし間に合わなかったら少しぐらい
オーバーしちゃっても大丈夫だからね」
やけに優しい大家さんー
「あ、、ありがとうございます」
彩月は頭を下げて大家さんの部屋から出るー
部屋から出ると
大家さんの部屋から大きな舌打ちが聞こえてきたー
「チッ チッ チッ チッ チッ」
「チッ チッ チッ チッ チッ」
「チッ チッ チッ チッ チッ」
「チッ チッ チッ チッ チッ」
ーー彩月は、青ざめながら
大家さんの部屋の前から立ち去るー
その姿を
102号室の巫女服の女・愛衣が
静かに見つめていたー。
夜ー
彩月は”B102”という言葉が気になったー
朝ー
全裸女の萌々香にすがりついていたあの若い女ー
彼女はいったい誰なのだろうか。
彩月と同じぐらいの年齢に見えるー。
このアパートの住人がおかしな理由が
分かるかもしれないー、と
彩月は、部屋の外に出て、
アパートの周辺を見回してみるー。
「---……」
”B102”
Bとはーー
地下のことだろうか。
”いちぜろに”と言っていた。
部屋の呼び方のように思えるー
”地下に、部屋があるー?”
彩月はそんな風に思ったー
怖いー
けれどー
彩月は、正義感が強くー
”連れ去られた若い女の人”のことが
心配だったー
まさかとは思うが、
このアパートで殺されたりなんてしていたら、
通報しなくてはならないー
「---!」
彩月は、アパートの裏側の通路の床から、
102号室の巫女・愛衣が出てくるのを見つけるー
床下収納の扉のように、
カモフラージュされている部分が
アパート裏の通路に存在していたー
そこから、愛衣が出てきたのだー
愛衣に見つからないように隠れる彩月ー。
愛衣が立ち去ったのを確認して、
彩月が、地下への入り口を開くー
そこにはーー
「きゃああああああああああああ!?!?」
彩月は悲鳴を上げてしまったー
宙にーーー
首つりのような雰囲気で、
朝見た、”若い女”が
”B102”と書かれた牢屋のような中に入っていたー
生気のない虚ろな目ー
”出荷前”と書かれているー
若い女は、まるで”着ぐるみ”のように、
ペラペラになっていてー
中から着ることが出来そうな、そんな雰囲気だー
”B101”
”B103”
”B104”
”B105”
”B106”
他にも5個の牢屋があり
”販売済み”などと書かれている牢屋もあったー
牢屋の中にはいずれも、”女の皮”
「--!」
”B104”
には、204号室の住人ー・美佐枝の”皮”があったー
「ひっ!?!?!?」
彩月は戸惑うー
美佐枝は、朝まで普通にいたはずー?
これは…?
彩月は”ここにいるのが見つかったら、殺されるかも”と
思い、慌てて飛び出すー。
「---あら、こんばんは」
2階に戻ると、見知らぬ女がいたー。
三つ編みの可愛らしい女だー
「--こ、こんばんはー」
204号室の前にいる三つ編みの女ー
表札をチラッと見るー
そこには、小保田 穂夏(おぼた ほなつ)と
書かれていたー
”え…美佐枝さんは…?”
彩月はそう思いながら部屋に入るー
部屋に入った彩月を見ながら
穂夏は呟くー
「へへへ…美佐枝って女から、この穂夏って女に乗り換えしたんだぜ」
穂夏が笑うー
”美佐枝”の皮の中にいた男は、”乗り換え魔人”と呼ばれているー
美佐枝の身体に飽きて、”B104”に保管されていた女の皮と
交換したのだー。
「ぐへへへへへ」
穂夏は、笑みを浮かべるー
・・・・・・・・・・・・・
彩月は、部屋で震えていたー
このアパートは、おかしいー
”あのコ、何かに気づいてそうね”
202号室の由美が言うー
”だいじょうぶだよー!女神さんが、
”入体を早める”って言ってたから
今夜にでも、入体があるよ!”
201号室のランドセル少女・智子が言うー
部屋の前で会話する住人たちー^
203号室の彩月に聞こえるようにー
わざと言ってるのだろうかー
ドン!
ドン!
ドン!
ドン!
上の部屋ー
303号室のゆるキャラがジャンプしているー
「うるさいな!もう!!」
彩月はいらだって叫んだー
深夜ーー
彩月は、不安に思いながらも寝ていると、
部屋が開いたー
大家さんと、男が入ってくるー
そしてー
巫女服姿の愛衣も…。
「---さぁ…お願いします」
大家さんが愛衣に頭を下げる。
「ええ」
愛衣がニヤリと笑うー
愛衣は、杖のようなものを持っているー
「”人を皮にする力”すげぇな」
男が笑うー
愛衣がにっこり微笑むー
「---入居者を募り、
その中で”綺麗な女”を選びー
入居させるー
その後”入体者”を募りー
入居した女の身体を皮にして
その女になりたい人を募集するー」
男が呟くー
「二重に儲けるってわけか。
まるで悪魔だな」
大家さんと巫女服姿の愛衣が笑ったー。
「ーーーふふふふふ…
さぁ…入体の時間ですよぉ」
愛衣が笑うー
”この人がー”
途中から起きていた彩月が、恐怖するー
大家さんが、入居者を募集しー
”美人”を選ぶー。
そしてー
入居者が入居したら
ひみつのふどうさん、という名前の裏サイトで
”入居者”の顔写真や身体情報を公開しー
”入体者”を募るー。
入体者が決まったら
102号室の巫女、愛衣が”人を皮にする力”で、
皮にして、入体者の男が、皮になった女性を着て、乗っ取るー
このマンションの住人はーーー
彩月は思い出すー
202号室の由美から、モヒカンの男が出てきていた光景をー
ランドセル少女もー
202号室の由美も、
204号室の女も、
205号室の虫喰いも、206号室の全裸女もー
みんな”皮”にされているー
みんなみんな乗っ取られているー
全てのピースが揃いー
彩月は、この”狂気のアパート”の真実にたどり着いたー
「うあああああああああああ!!!!」
彩月は布団から飛び出して、大家さんに突進して
部屋から飛び出した。
「--ぐげっ!」
大家さんが壁に激突するー
そしてー
”ぱっくりと”割れたー
「チッ チッ チッ チッ チッ」
舌打ちをしながら、中から熟女好きの男が出てくるー
「ふふふ…逃げられないわよ」
巫女姿の愛衣が言うー。
愛衣はー
”皮”ではないー
愛衣は、純粋は女性だー。
実家は、神社ー。
高校時代に、女同士の陰険な人間関係に
嫌気がさして、女ながら、女が嫌いになったー。
親友にも裏切られて、
愛衣は絶望したー。
”こんなドロドロした女なんて生き物、大嫌い”
愛衣は、そう思ったー
そんなある日、神社に封印された”錫杖”を見つけたー
その錫杖には禁忌の力が宿っていたー
そしてーーー
その力で、愛衣は人を皮にしたー。
両親を皮にしたー
友達を皮にしたー
いつしか愛衣は、同性を嫌悪するうちに、
”ビジネス”にたどり着いたー
元カレであった男を誘いー
熟女好きの元カレを”大家さん”に仕立て上げて、
アパートを丸ごと手に入れたー。
”入居者”と
”入体者”から金を巻き上げるー。
そんな、ビジネスが始まったのだったー
「-----!」
彩月が表情を歪めるー
アパートの住人たちに囲まれている。
「どこ行くの~!?おね~ちゃん!」
201号室のランドセル少女・智子が笑うー
「こんな楽しいアパート…」
202号室の由美が、ブルマ姿で立ちはだかるー
「--逃げるなんて、変なのぉ~」
206号室の全裸女・萌々香が全裸で立ちはだかるー
「--や、、やめて!」
背後の非常階段の方に向かうー
しかしー
虫食い女の紗愛が、カナブンを食べながらほほ笑むー。
204号室に新しく入居した女ーー
中身は同じ男だが、その女も彩月の行く手を阻むー
「----逃がさない…」
巫女・愛衣がやってくるー
「あなたも”B”に行くー?」
地下室はー
逆らった人間や”余った皮”を、
闇市場に流して、儲けているー
入居者ー
入体者ー
皮の闇市場での売買ー
「---儲かる…儲かる…うふふふふふふふ」
愛衣が笑うー
”女神様”として、
入居者たちをひれ伏せさせ、
悦に浸りながら愛衣は、これからもアパートを支配していくー
「---あ…たすけ…あ…」
後頭部に違和感を感じる彩月ー
愛衣が、頭に手をかけるー
後頭部が引き裂けるような、
痛みを感じるー
「あああああああっーー」
身体の感覚が失われていきー
やがてーーー
彩月の意識は途絶えたー
・・・・・・・・・・・・・・・
半年後ー
202号室の由美が”引っ越し”したー。
とあるトラブルで愛衣ともめたことにより
”B”に送られたー
中身のモヒカン男は、処分され、
由美の皮は、B104に閉じ込められているー。
「---新しく202号室に住むことになった、
花山です!」
可愛らしい女子大生が、203号室の彩月に挨拶をするー
ボンテージ姿で出てきた彩月が、妖艶な笑みを浮かべたー
毎晩ー
203号室からは激しい喘ぎ声が聞こえて来るー
新しく越してきた女子大生は、
このアパートの恐怖を間もなく知ることになるー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
アパートの住人が全員おかしな人だったら…?
から、浮かんだ皮モノでした~!
ありがとうございました!!
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