一人暮らしを始めた女子大生ー
しかし、そのアパートは”変”だったー
隣人も、
上下の階の人もー
大家さんも、
みんな、変な人ばかりー…
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女子大生の真野 彩月(まの さつき)は、
一人暮らしを始めようとしていたー。
実家から離れた大学に通っていたのだが
毎日の通学時間がとても長く、
それが負担になっていた彩月は、
今年の春から、大学の近くのアパートで
一人暮らしをすることに決めていたー。
新居探しをする彩月が見つけたアパートは、
とても良い感じだったー
「この場所で、この部屋の広さで、
特に悪いところもないのに、こんな安いなんて~」
そんな風に思いながら、彩月は、
そのアパートに入居することを決めた。
駅からもそう遠くなく、
周囲に必要なお店は揃っていて、
築年数や部屋の感じも申し分ない。
大家さんや不動産会社の人の雰囲気も
悪くなく、彩月はこの物件が気に入った。
そしてー
入居の日がやってきたー。
彩月は、自分の部屋に入り、
少し前から何回かに分けて運んでいた荷物や家具を
見つめるー
「ふ~!初めての一人暮らし~!」
彩月がニコニコしながら、
一人暮らしスタート特有の開放感みたいなものを
味わいながら、とりあえず設置した椅子に座るー
スマホで、友達とやり取りをしてから、
「そうだ!ご挨拶しておこ~!」と、
近隣の住人に挨拶をしに向かうのだったー。
彩月の部屋は「203」。
2階の3号室だー。
まずは、202の部屋に挨拶をするー。
出てきたのはーーー
バニーガール姿の若い女性ー
「え…」
彩月は一瞬戸惑うー
最初に挨拶した住人が、バニーガールだったことに
戸惑いつつも、笑顔で「隣に引っ越してきた真野です」と
挨拶をするー
「んふふふふ…♡真野ちゃんかぁ…ぐふふ」
イヤらしい笑みを浮かべるバニーガール。
なんだか、気味が悪い。
「--あ、、ごめんなさい。
わたしはぁ~由美ちゃん!うふふふふ♡」
甘い声を出しながら囁くバニーガール=由美。
なんだか顔が赤らんでいたし、
変な感じだなぁ~と思いながら、
挨拶を終えた彩月は、
「201」の部屋にも挨拶に向かうー。
201の部屋から出てきたのはー
ランドセルを背負った少女ー
「あ、お父さんとお母さんいるかな~?」
彩月が、子供に対応するモードで言うと、
ランドセルの少女は答えたー。
「--あたし、ひとりでくらせるもん!」
とー。
「--へ?」
彩月は戸惑う。
何を言っているのか分からないー
「-あたし、ひとりぐらしだよー!」
そう呟くランドセル少女が、
表札を指さすー。
聖川 智子(ひじりかわ ちこ)と
一人分の名前がそこには刻まれているー。
彩月は戸惑いながら、
「ち、智子ちゃん?」と呟くー
表札の名前のコが、このコなのだとしたら
この年齢で、この子は一人暮らしを
しているのだろうか。
「--うん!あたし、智子!よろしくね!」
にっこりとほほ笑む智子。
「あ、、う、、うん。わたしは彩月…よろしくね」
笑みを振りまきながらも、彩月は戸惑ってしまうー。
201号室はランドセル少女ー
202号室はバニーガール…
近隣住民が続けて不思議な人たちで
少し戸惑ってしまうー。
続けて、204号室に挨拶をしに行くー。
「--あ、よろしくお願いしますー」
眼鏡をかけたおとなしそうな女性ー
ようやく、まともな近隣住民が登場して、
彩月は少し安心するー
「あ、分からないことがあったら、なんでも聞いてくださいね」
眼鏡の女性ー
神原 美佐枝(かんばら みさえ)は、
親切にそう言ってくれた。
「一人暮らし初めてで、ご迷惑おかけしちゃうことも
あるかもしれませんが…よろしくお願いします」
彩月が頭を下げると、
美佐枝がにっこりとほほ笑んだー
挨拶を終えるー。
「ふ~~~」
心臓をバクバクさせながら、彩月は
ちょっとだけ一安心するー
なんというか、
バニーガールと
ランドセル少女が出てきた直後に、
こういう普通の人が出てくると
無性に安心するー。
そんな気分だったー。
「---くくく…おいしそうな女だぜぇ」
ーー!?!?
中から、女の声がしたー
今、話していたばかりの…204号室の美佐枝の声だ。
「えへへへへへへ~♡興奮してきたぁ!
ゾクゾクするぜぇ!
ひっはははははははははは~~~♡」
部屋の中から美佐枝の笑い声が聞こえるー
「---!!!」
彩月はゾクっ、と恐怖を感じたー
なんだか、やばい人な気がしてきたー
彩月は、慌てて204号室から離れるー
やっぱり、やばい人かもしれないー。
残る部屋は2つ。
このアパートは3階建てで、
各階に6つずつ部屋がある。
203号室は彩月、
202号室はバニーガール、
201号室はランドセル少女
204号室はちょっとやばそうな美佐枝ー
残る2つの部屋も
おかしな人が出てくるんじゃないかと
彩月は少し不安になってしまうー
こういうアパート暮らしでは、
近隣住民とのトラブルの話もよく聞くー。
周囲の人とは、穏便に、
できれば平和に暮らしたいー
205号室ー。
インターホンを鳴らすー。
だがー
205号室の相手は出てこなかったー。
表札には、神本 紗愛(かみもと さら)と
書かれているー。
一人暮らしの女性だろうか。
「留守…なのかな」
彩月は、紗愛の部屋から離れて、
206号室のインターホンを鳴らすー
「---は~い!」
「---!!!!!」
出てきた女性を見て、
彩月は目を疑うー
スタイルの良い女性が全裸のまま出てきて
しかも、アソコのあたりを濡らしていたー
「---ど~したの~?」
206号室の住人がニヤニヤしながら言う。
「あ、、、い、、いえ」
彩月は戸惑ってしまうー
急に全裸で出てくるなんてー
しかし、必死に普通の表情をしながら
彩月は、「あ、、あの、、新しく203号室に入った真野です」と
挨拶をした。
「真野ちゃんね~!よろしく~~!うふふふふ」
乳首を触りながら笑う206号室の住人ー
沢渡 萌々香(さわたり ももか)
彩月はさすがに戸惑っていると
萌々香が呟くー
「あなたもすぐに”こっち側”に来れるからー」
萌々香がニヤリとしながら呟いたー
「ど、、どういう…?」
彩月の言葉に、萌々香は答えてくれなかったー
結局ーー
変な人ばかりー。
彩月は部屋に戻りながら思うー
そもそもー
大家のおばさんもそうだが、
全員、女性の一人暮らしなのが気になるー
別に、女性専用のアパートではなかったはずー
それにー
変な人ばかりが揃っているー
201号室はランドセル少女・聖川 智子
202号室はバニーガール姿の黒滝 由美
204号室はまともそうに見えたけど変な発言をしていた神原 美佐枝
205号室の神本 紗愛は不在ー
206号室の沢渡 萌々香は全裸ー。
「--ちゃんと、やっていけるかな…」
そんな風に思いながら、彩月は、自分の部屋で
一息つくのだったー。
翌日ー
彩月は”自分の部屋”が、まだ売りに出されていることに気づくー
「え…?これってどういう…?」
しかもー
普通の不動産サイトではなく、
別のことを調べていたら偶然見つけてしまった
”ひみつのふどうさん”という謎のサイトんみ
掲載されていたー
「怪しいサイトだし…
情報が古いのかな」
そんな風に思いながら、彩月は、ため息をつくー。
いつも通り大学に向かうー
「あ、おはよ~!」
チャイナドレス姿の由美が202号室から出てきたー
昨日はバニーガール姿だった由美だ。
「あ、おはようございます」
彩月が挨拶をすると、
由美は、頭のあたりを気にしながら「あ!やべ!」と
呟いているー
「ど、どうかしましたか…?」
彩月の言葉に、由美は「ううん!ちょっとチャックがね」と
わけの分からない言葉を口にしたー。
慌てて家に入っていく由美ー
”綺麗な人だけど、なんか変…”
そんな風に思いながら、彩月は大学へと向かうー。
アパートの階段を降りると、大家さんが誰かと話していたー。
大家さんは101号室に住んでいるー
「--あら、おはよう。新しい暮らしには慣れた?」
大家さんが声をかけてくれるー
大家さんは普通な感じの人だー。
「あ、はい」
大家さんの隣に立っていたのは、巫女服姿の女性ー
彩月が頭を下げると
大家さんが、「あ、この巫女さんは102号室の加藤さん」と
紹介してくれたー。
巫女服姿の加藤 愛衣(かとう めい)が、頭を下げるー
彩月も頭を下げたー
”なんで巫女服なの!?”
内心でそう思いながら大学へと向かうー
なんだかーー
本当に変な人ばっかりー。
大学でも、アパートのことばかり考えているー
住み心地もよさそうで、
大家さんや不動産の人もいい感じで、
一人暮らしに胸を躍らせていたのにー
近隣住人たちと顔を合わせて、不安を感じるー
それはー
一人か二人ぐらい変な人がいるかもしれないことぐらいは
覚悟していたけれど、
まさか変な人ばかりだなんて…
「彩月~!引っ越し、昨日だったよね~!?どうだった?」
友達の勝子(かつこ)が笑いながら話しかけてくる。
「-え…あ、うん!いいところだよ~!
でも、ちょっと、住んでいる人が変かな~」
彩月が苦笑いしながら言うと、
勝子は「え~!?」と、呟いたー
・・・・・・・・・・・・
帰宅する彩月ー
102号室の愛衣が、
彩月のほうをじーっと見つめているー。
巫女服の女ー。
彩月は、その視線に気づかず、
2階に上がるー。
「そうだ…」
彩月は205号室の紗愛に、
まだ挨拶できていないことを思い出して、
挨拶の粗品を持って、
インターホンを鳴らすー。
♪~~~
だが、昨日と同じで、紗愛の部屋から
返事はない。
「また留守かぁ…」
そう思って立ち去ろうとしたその時だったー
がりっがりっがりっがりっ…
ばりっばりっ
変な音が聞こえて来るー。
「--!?」
彩月は表情を歪めるー
”誰か、いる?”
ボリボリ ガリガリ
「ひひひひひひっ」
笑い声が聞こえたー
「--えっ?」
彩月は、思わずドアノブに手をかけようとしたー
事件ー!?
不気味な音に空き巣でもいるのかと思ってしまった彩月は、
そのままそーっとドアに手をかけたー
鍵は開いているー。
彩月が中を覗き込むとー
「ひっ!?!?!?」
彩月は思わず声を上げてしまったー
後ろ姿の女がーーー
何かを食べているー
ボリボリと音を立てながらー
「ひひひひひひひっ」
笑っているセーラー服姿の女ー
ツインテールのその女は、
ハチの巣のようなものでガリガリ音を立てながらー
虫をわしづかみにしてー
そして、食べていたー
カメムシのようなものや
ゴキブリのようなものをー
「--…~~~~!?!?」
彩月は怖くなって扉を閉めたー。
”虫を食べる女”
彩月は震えながら、部屋の方に戻ろうとするー
「あらぁ」
206号室の萌々香が声をかけてくるー
「---!?」
彩月は、青ざめたー
全裸のまま、萌々香が堂々とアパートの廊下に出てきたからだー。
「---…紗愛ちゃんの部屋、見ちゃったのね~!
あのコ、虫食べてばっかりいるのよ~」
萌々香が笑う。
「そ、、そうなんですね…」
彩月は苦笑いしながら、
”早く部屋に戻りたい”と心の中で叫ぶー
「あ!萌々香さん!今日も素敵なボディですね!」
背後から声がしたー
204号室の美佐枝ー
一見すると眼鏡をかけたおとなしそうな女性ー。
ただし、挨拶を終えたあとに不気味な声が
聞こえてきていたし、この人もなんだかおかしいー
しかも、全裸の萌々香を見て、当たり前のように笑っているー
「--ふふ、ありがと」
全裸のままポーズを決める萌々香。
「---あ、わたしはこれで」
彩月はそう言うと、203号室に逃げるようにして
入って行ったー
「---ふふふ」
美佐枝の後頭部がパリッと音を立ててー
皮のように真っ二つに割れるー
全裸の萌々香の後頭部も割れてー
中から”男”が出てくるー
彩月はまだ知らない。
このアパートの”本当の恐怖”をー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・
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狂気に染まったアパートのお話デス!
続きはまた明日~!
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