<憑依>彼女が憑依されたけど、僕にとっては些細なことだった②

彼女が憑依されてもノーリアクション。

憑依した男子は、なんとか彼氏を
驚かせようと、困らせようと
色々していくものの…?

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どよめく教室ー

明るく優しいタイプの優衣が、
派手な格好で彼氏を挑発している。

昨日まで黒だった髪は、暗い赤のような色になり
耳にはピアスー
スカートは短くなって
派手なメイクをしている。
爪にも派手なネイルが施されている。
明らかに生活指導の対象になってしまいそうだ。

だがーーー
彼氏の勝夫はほぼスルー状態だった。

「あ~の~さ!」
優衣が叫ぶ。
優衣は哲也という男子生徒に憑依されている。

「--わたし、こんな格好してるのに無反応なわけ!?
 ちょっと、それってさ、
 反応薄過ぎない!?」

優衣が声を荒げながら
勝夫のほうに近づいていく。

「----だってさ」
勝夫が、優衣のほうを見る。

「-だって、どんな格好してようと優衣の自由だし」
それだけ言うと、勝夫は鞄から机の中に
教科書などを入れ始めた。

「--く…く…くそっ!」
優衣が表情を歪める。

ここまでしても勝夫は、ロクな反応を示していないー

「--彼女が憑依されてるってのに、
 その反応…!
 彼女はどうなってもいいってか!?」
優衣が大声で叫ぶ。

さらにどよめく教室

「憑依ってなんだ?」
「今日の優衣ちゃん、どうしたんだろう…?」
クラスメイトたちが戸惑っている。

「---」
勝夫はため息をついて優衣のほうを見る。

「--じゃあさ、優衣を助けてくれって言ったら
 助けてくれるのか?」
勝夫の言葉ー
怒りも何も感じない、
淡々とした言葉ー。

「---え」
優衣は表情を曇らせる。

「-僕が、優衣を助けてくれって言ったら
 優衣から出てってくれるのか?」
勝夫の言葉に
優衣は「そ、、それは…か、、簡単に出ていくつもりは…」
と言葉を詰まらせる。

勝夫は「僕は無駄なことはしないタイプだから」と言うと
そのままロッカーのほうに向かって立ち去ってしまうー。

「む、、無駄…!?」
優衣が声を荒げる。

「そう。無駄。頼んでも助けてくれないなら、
 頼む意味もないからさ」

それだけ言うと勝夫は、そのまま教室から
外に出ていくー。

「くっそ……馬鹿にしやがって」
優衣が周囲を見つめるー

うっかり”憑依”のことまで
クラスメイト全員の前で口にしてしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・

授業が始まる。

先生が戸惑っているー

優衣が机に脚を乗せて
鼻歌を歌いながらスマホをいじっているからだー。

”優衣ちゃんをとことん堕としてやるぜ。
 いつまでクールにふるまっていられるかな?”

勝夫のほうをちらちら見ながら
優衣は、先生に対して挑発的な態度を取る。

だがー
勝夫は、”本当に何も気にしていない”様子だったー

先生に厳しく注意される優衣。

「ごっめんなさ~い!」
身体をクネクネさせながら
バカにしたようなポーズをとる。

「---」
勝夫は全く優衣のほうを見ておらず、
先生から配布されたプリントに目を通しているー。

(くそっ!あいつ…
 優衣ちゃんのことなんて元々好きじゃなかったってことか??)

彼女が憑依されて
こんなことをさせられているのに
全く反応するそぶりがない。

ここまでくると、さすがにこっちまで
しらけてくるー。

どうにかして、どうにかして、
やつを驚かせてやりたいー。

優衣に憑依している哲也は
ムキになり始めていたー。

「そうだ…」
優衣は悪い笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・

昼休みー。

優衣は、勝夫を呼び出した。

「何か用?」
相変わらず勝夫はいつも通りの反応だ。

「…わたしが憑依されたのに、
 なんでそんなに冷めてられるの?」
優衣が言う。

「----うーん」
勝夫は、面倒くさそうに考えるふりをする。

「--わたしのこと、助けたくないんだ?
 ね~?わたし、かわいそうだなぁ…」
優衣が自分の身体をつつきながら
ニヤニヤと笑っているー

優衣が憑依されていることは
勝夫も理解している。

だが、別に驚かなかった。
世の中には、自分の知らないこともたくさんある。
人間に憑依できる薬があったとしても、
それは不思議なことではない。

勝夫は、そう考えて、すぐに納得してしまったのだった。

「---だってさ」
勝夫が口を開く。

「--僕がここで、優衣を助けてくれ!って言っても、
 どうせ、助けてくれないだろ?」
勝夫の言葉に
優衣が表情を歪める。

「--優衣を、解放してやってくれ!

 いやだねー…

 そうなるだけだろ?」
勝夫は淡々とそう呟く。

確かにその通りだ。

解放してくれと頼まれても
優衣に憑依している哲也は、簡単には
優衣を解放するつもりはない。

「--こういうときってさ、
 大体展開が決まってるんだよ」
勝夫の言葉に、優衣は表情を曇らせる。

”こいつ…どこまでシケてやがるんだ…!
 もっと俺を楽しませろよ!
 もっといい反応しろよ!”

優衣に憑依している哲也は
イライラしながら心の中で叫んだ。

なおも勝夫は続ける。

「-ー僕が優衣を助けてくれ、と
 言ったとする。

 そしたら、君はなんていう?

 ”はい、そうですか”なんて言って
 優衣を助けてくれるとは思えない。

 きっと、僕に何かを要求してくるか、
 優衣に憑依したまま、何か悪さをするか
 そのどっちかだろ?

 だったらさ…
 僕が何をしても無駄じゃないか。

 どうせ助からないなら、何もしない。

 それが僕の答えだ」

勝夫はそう言うと、空き教室から
出て行こうとする

「--お、、、おい!待てや!」
優衣は声を荒げた。

あまりの冷静すぎる態度に腹が立った。

確かに”優衣を助けてくれ”と言われても
優衣の身体から出ていくつもりはない。
優衣の身体から抜けて、自分の身体に
戻れる保証もない。

「---…じゃあさ…エッチなこと、しよっか♡」
優衣が甘い声を出す。

”お前だって、男だろ???
 色仕掛けで落としてやるぜ”

「うふふ…♡」
わざと甘い声を出して
身体をクネクネ動かしながら
優衣は制服を脱いでいく。

「-----」
勝夫は、冷たい目で優衣を見つめている。

彼女が目の前で服を脱ぎだしても
まるで、反応する様子を見せない。

優衣はスカートにも手をかける

「んふふ…」
スカートを脱ぐ優衣。

そしてー
脱いだものを勝夫のほうに投げつけた。

「---」
勝夫は表情一つ変えず、優衣のスカートを回避する。

まるで興味がなさそうだ。

「--ふふふふ…わたしの身体、好きなだけ
 触らせてあげる」

優衣が誘惑するように近づいてくるー

下着姿の優衣を目の前にしてもーー
勝夫は無反応だ。
何をしてくる様子もない。

「---……」
優衣は下着姿のまま、勝夫の前で唖然としている。

「……あのさぁ!俺がさ、こうやって誘惑してるんだぜ!
 少しは反応しろよ!」
優衣が声を荒げる。

「---反応って言ってもなぁ…」
勝夫がため息をつく。

「--そうかそうか、わかったよ
 なら…」
優衣が笑みを浮かべた。

わざと髪をぐしゃぐしゃにするー

そして、優衣は空き教室から
外に飛び出した。

「たすけて~~~~~~~~~~!」
下着姿のまま廊下に飛び出して
大声で叫ぶ優衣。

「----!」
空き教室に残っている勝夫が
廊下の方を見つめる。

「---勝夫が、、わたしに乱暴するの~~~~~!」
大声で叫ぶ優衣。

”こういうときは女体のほうが有利だ”

優衣に憑依している哲也は笑うー。

”彼女に乱暴した”ってことにされたらー
さすがに奴も慌てるだろうー

哲也はそう思いながら笑う。

先生たちが駆けつけてくる。
ウソ泣きする優衣。

「---」
勝夫はあきれた表情を浮かべている。
焦る様子も、言い訳するそぶりもない。

先生たちが、優衣をなだめて、
勝夫に怒りの視線を向ける。

「お前!何をしたか分かってるのか!」
体育教師が勝夫に向かって叫ぶ。

だがー
勝夫はポケットから何かを取り出したー

「---…じゃあさ…エッチなこと、しよっか♡」

「うふふ…♡」

「--ふふふふ…わたしの身体、好きなだけ
 触らせてあげる」

優衣の声がする。
さっきの会話がーー
勝夫の持つボイスレコーダーに録音されていた。

「---僕、何もしてませんよ」
勝夫が言う。

「---!」
体育教師が優衣のほうを見る。
優衣に服を着せていた女性教師も優衣を見る。

「--え」
優衣が唖然とする。

そしてー
優衣が停学になった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「くそっ!!!」
停学になった優衣は自宅で暴れていた。

「くそっ!くそっ!くそっ!
 なんなんだあいつは!」

何をされても冷静な上に
準備も万全ー
何も隙がないー

「くそっ!!!絶対に!!
 絶対にお前をぎゃふんと言わせてやるからな!!!」

優衣は怒りの形相で、そう叫んだー

・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー
優衣は停学明け、再び学校に登校した。

登校しただけで、クラスメイトたちが
冷たい視線を優衣に投げかける。

自分から制服を脱いで
勝夫を誘惑しようとした話が広まっているからだ。

停学から復帰した優衣を見ても、
勝夫は特に興味がなさそうだ。

他の男子生徒と雑談をしている。

勝夫はとにかく冷めているが、
別にクラスで孤立しているわけではなく
普通に話す相手もいるし、
いじめも受けていない。

「--くそっ…くそっくそっ!」
優衣は歯ぎしりをするー。

勝夫の彼女である優衣に憑依して
勝夫が泣きわめくざまを見てやろうとしていたのに
むしろ、こっちが泣きそうなぐらいだー。

「--こうなったら」
優衣が笑みを浮かべる。

勝夫のやつを苦しめたら
あとは、優衣の身体を奪って
女子高生として生きるつもりだったが
ここまでバカにされてしまったら仕方がない

”優衣としての人生を諦めて”-
優衣を壊してでも、勝夫を驚かせてやるー

優衣に憑依している哲也は、悪い笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・

昼休みー

優衣に呼び出された男子生徒・
足立 達郎(あだち たつろう)が、
優衣の前にやってくるー。

「…話って?」
素行が悪く、孤立気味の達郎を
呼び出した優衣はほほ笑む。

「ねぇ、足立くん。
 わたしと付き合わない?」
優衣が言うと、
達郎は「は?マジかよ」と不気味な笑みを浮かべる。

「--ふふ、マジよ」
優衣が答えた。

達郎が笑う。

「さっき、憑依がなんとかとか言ってたよな。
 あれってどういう意味だよ?

 なんか最近の優衣ちゃん、変な感じだし。
 なんかあったのか?」

憑依のことを理解していない達郎の言葉に
優衣は「そんなことどうだっていいじゃない♡」と甘い声を
出しながら近づいていくー

達郎を誘惑する優衣ー。

「--くくく」
優衣は笑うー

勝夫のやつの目の前で、
彼女がエッチなことをしたり
他の男子とイチャイチャしてたら、
あいつはどう思うかな??

とー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

憑依した側が逆に追い詰められてますネ(笑)
明日はどうなってしまうのでしょうか~?
続きもぜひ楽しんでくださいネー!

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