彼女が憑依されてもノーリアクション。
憑依した男子は、なんとか彼氏を
驚かせようと、困らせようと
色々していくものの…?
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どよめく教室ー
明るく優しいタイプの優衣が、
派手な格好で彼氏を挑発している。
昨日まで黒だった髪は、暗い赤のような色になり
耳にはピアスー
スカートは短くなって
派手なメイクをしている。
爪にも派手なネイルが施されている。
明らかに生活指導の対象になってしまいそうだ。
だがーーー
彼氏の勝夫はほぼスルー状態だった。
「あ~の~さ!」
優衣が叫ぶ。
優衣は哲也という男子生徒に憑依されている。
「--わたし、こんな格好してるのに無反応なわけ!?
ちょっと、それってさ、
反応薄過ぎない!?」
優衣が声を荒げながら
勝夫のほうに近づいていく。
「----だってさ」
勝夫が、優衣のほうを見る。
「-だって、どんな格好してようと優衣の自由だし」
それだけ言うと、勝夫は鞄から机の中に
教科書などを入れ始めた。
「--く…く…くそっ!」
優衣が表情を歪める。
ここまでしても勝夫は、ロクな反応を示していないー
「--彼女が憑依されてるってのに、
その反応…!
彼女はどうなってもいいってか!?」
優衣が大声で叫ぶ。
さらにどよめく教室
「憑依ってなんだ?」
「今日の優衣ちゃん、どうしたんだろう…?」
クラスメイトたちが戸惑っている。
「---」
勝夫はため息をついて優衣のほうを見る。
「--じゃあさ、優衣を助けてくれって言ったら
助けてくれるのか?」
勝夫の言葉ー
怒りも何も感じない、
淡々とした言葉ー。
「---え」
優衣は表情を曇らせる。
「-僕が、優衣を助けてくれって言ったら
優衣から出てってくれるのか?」
勝夫の言葉に
優衣は「そ、、それは…か、、簡単に出ていくつもりは…」
と言葉を詰まらせる。
勝夫は「僕は無駄なことはしないタイプだから」と言うと
そのままロッカーのほうに向かって立ち去ってしまうー。
「む、、無駄…!?」
優衣が声を荒げる。
「そう。無駄。頼んでも助けてくれないなら、
頼む意味もないからさ」
それだけ言うと勝夫は、そのまま教室から
外に出ていくー。
「くっそ……馬鹿にしやがって」
優衣が周囲を見つめるー
うっかり”憑依”のことまで
クラスメイト全員の前で口にしてしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・
授業が始まる。
先生が戸惑っているー
優衣が机に脚を乗せて
鼻歌を歌いながらスマホをいじっているからだー。
”優衣ちゃんをとことん堕としてやるぜ。
いつまでクールにふるまっていられるかな?”
勝夫のほうをちらちら見ながら
優衣は、先生に対して挑発的な態度を取る。
だがー
勝夫は、”本当に何も気にしていない”様子だったー
先生に厳しく注意される優衣。
「ごっめんなさ~い!」
身体をクネクネさせながら
バカにしたようなポーズをとる。
「---」
勝夫は全く優衣のほうを見ておらず、
先生から配布されたプリントに目を通しているー。
(くそっ!あいつ…
優衣ちゃんのことなんて元々好きじゃなかったってことか??)
彼女が憑依されて
こんなことをさせられているのに
全く反応するそぶりがない。
ここまでくると、さすがにこっちまで
しらけてくるー。
どうにかして、どうにかして、
やつを驚かせてやりたいー。
優衣に憑依している哲也は
ムキになり始めていたー。
「そうだ…」
優衣は悪い笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・
昼休みー。
優衣は、勝夫を呼び出した。
「何か用?」
相変わらず勝夫はいつも通りの反応だ。
「…わたしが憑依されたのに、
なんでそんなに冷めてられるの?」
優衣が言う。
「----うーん」
勝夫は、面倒くさそうに考えるふりをする。
「--わたしのこと、助けたくないんだ?
ね~?わたし、かわいそうだなぁ…」
優衣が自分の身体をつつきながら
ニヤニヤと笑っているー
優衣が憑依されていることは
勝夫も理解している。
だが、別に驚かなかった。
世の中には、自分の知らないこともたくさんある。
人間に憑依できる薬があったとしても、
それは不思議なことではない。
勝夫は、そう考えて、すぐに納得してしまったのだった。
「---だってさ」
勝夫が口を開く。
「--僕がここで、優衣を助けてくれ!って言っても、
どうせ、助けてくれないだろ?」
勝夫の言葉に
優衣が表情を歪める。
「--優衣を、解放してやってくれ!
いやだねー…
そうなるだけだろ?」
勝夫は淡々とそう呟く。
確かにその通りだ。
解放してくれと頼まれても
優衣に憑依している哲也は、簡単には
優衣を解放するつもりはない。
「--こういうときってさ、
大体展開が決まってるんだよ」
勝夫の言葉に、優衣は表情を曇らせる。
”こいつ…どこまでシケてやがるんだ…!
もっと俺を楽しませろよ!
もっといい反応しろよ!”
優衣に憑依している哲也は
イライラしながら心の中で叫んだ。
なおも勝夫は続ける。
「-ー僕が優衣を助けてくれ、と
言ったとする。
そしたら、君はなんていう?
”はい、そうですか”なんて言って
優衣を助けてくれるとは思えない。
きっと、僕に何かを要求してくるか、
優衣に憑依したまま、何か悪さをするか
そのどっちかだろ?
だったらさ…
僕が何をしても無駄じゃないか。
どうせ助からないなら、何もしない。
それが僕の答えだ」
勝夫はそう言うと、空き教室から
出て行こうとする
「--お、、、おい!待てや!」
優衣は声を荒げた。
あまりの冷静すぎる態度に腹が立った。
確かに”優衣を助けてくれ”と言われても
優衣の身体から出ていくつもりはない。
優衣の身体から抜けて、自分の身体に
戻れる保証もない。
「---…じゃあさ…エッチなこと、しよっか♡」
優衣が甘い声を出す。
”お前だって、男だろ???
色仕掛けで落としてやるぜ”
「うふふ…♡」
わざと甘い声を出して
身体をクネクネ動かしながら
優衣は制服を脱いでいく。
「-----」
勝夫は、冷たい目で優衣を見つめている。
彼女が目の前で服を脱ぎだしても
まるで、反応する様子を見せない。
優衣はスカートにも手をかける
「んふふ…」
スカートを脱ぐ優衣。
そしてー
脱いだものを勝夫のほうに投げつけた。
「---」
勝夫は表情一つ変えず、優衣のスカートを回避する。
まるで興味がなさそうだ。
「--ふふふふ…わたしの身体、好きなだけ
触らせてあげる」
優衣が誘惑するように近づいてくるー
下着姿の優衣を目の前にしてもーー
勝夫は無反応だ。
何をしてくる様子もない。
「---……」
優衣は下着姿のまま、勝夫の前で唖然としている。
「……あのさぁ!俺がさ、こうやって誘惑してるんだぜ!
少しは反応しろよ!」
優衣が声を荒げる。
「---反応って言ってもなぁ…」
勝夫がため息をつく。
「--そうかそうか、わかったよ
なら…」
優衣が笑みを浮かべた。
わざと髪をぐしゃぐしゃにするー
そして、優衣は空き教室から
外に飛び出した。
「たすけて~~~~~~~~~~!」
下着姿のまま廊下に飛び出して
大声で叫ぶ優衣。
「----!」
空き教室に残っている勝夫が
廊下の方を見つめる。
「---勝夫が、、わたしに乱暴するの~~~~~!」
大声で叫ぶ優衣。
”こういうときは女体のほうが有利だ”
優衣に憑依している哲也は笑うー。
”彼女に乱暴した”ってことにされたらー
さすがに奴も慌てるだろうー
哲也はそう思いながら笑う。
先生たちが駆けつけてくる。
ウソ泣きする優衣。
「---」
勝夫はあきれた表情を浮かべている。
焦る様子も、言い訳するそぶりもない。
先生たちが、優衣をなだめて、
勝夫に怒りの視線を向ける。
「お前!何をしたか分かってるのか!」
体育教師が勝夫に向かって叫ぶ。
だがー
勝夫はポケットから何かを取り出したー
「---…じゃあさ…エッチなこと、しよっか♡」
「うふふ…♡」
「--ふふふふ…わたしの身体、好きなだけ
触らせてあげる」
優衣の声がする。
さっきの会話がーー
勝夫の持つボイスレコーダーに録音されていた。
「---僕、何もしてませんよ」
勝夫が言う。
「---!」
体育教師が優衣のほうを見る。
優衣に服を着せていた女性教師も優衣を見る。
「--え」
優衣が唖然とする。
そしてー
優衣が停学になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くそっ!!!」
停学になった優衣は自宅で暴れていた。
「くそっ!くそっ!くそっ!
なんなんだあいつは!」
何をされても冷静な上に
準備も万全ー
何も隙がないー
「くそっ!!!絶対に!!
絶対にお前をぎゃふんと言わせてやるからな!!!」
優衣は怒りの形相で、そう叫んだー
・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
優衣は停学明け、再び学校に登校した。
登校しただけで、クラスメイトたちが
冷たい視線を優衣に投げかける。
自分から制服を脱いで
勝夫を誘惑しようとした話が広まっているからだ。
停学から復帰した優衣を見ても、
勝夫は特に興味がなさそうだ。
他の男子生徒と雑談をしている。
勝夫はとにかく冷めているが、
別にクラスで孤立しているわけではなく
普通に話す相手もいるし、
いじめも受けていない。
「--くそっ…くそっくそっ!」
優衣は歯ぎしりをするー。
勝夫の彼女である優衣に憑依して
勝夫が泣きわめくざまを見てやろうとしていたのに
むしろ、こっちが泣きそうなぐらいだー。
「--こうなったら」
優衣が笑みを浮かべる。
勝夫のやつを苦しめたら
あとは、優衣の身体を奪って
女子高生として生きるつもりだったが
ここまでバカにされてしまったら仕方がない
”優衣としての人生を諦めて”-
優衣を壊してでも、勝夫を驚かせてやるー
優衣に憑依している哲也は、悪い笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・
昼休みー
優衣に呼び出された男子生徒・
足立 達郎(あだち たつろう)が、
優衣の前にやってくるー。
「…話って?」
素行が悪く、孤立気味の達郎を
呼び出した優衣はほほ笑む。
「ねぇ、足立くん。
わたしと付き合わない?」
優衣が言うと、
達郎は「は?マジかよ」と不気味な笑みを浮かべる。
「--ふふ、マジよ」
優衣が答えた。
達郎が笑う。
「さっき、憑依がなんとかとか言ってたよな。
あれってどういう意味だよ?
なんか最近の優衣ちゃん、変な感じだし。
なんかあったのか?」
憑依のことを理解していない達郎の言葉に
優衣は「そんなことどうだっていいじゃない♡」と甘い声を
出しながら近づいていくー
達郎を誘惑する優衣ー。
「--くくく」
優衣は笑うー
勝夫のやつの目の前で、
彼女がエッチなことをしたり
他の男子とイチャイチャしてたら、
あいつはどう思うかな??
とー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
憑依した側が逆に追い詰められてますネ(笑)
明日はどうなってしまうのでしょうか~?
続きもぜひ楽しんでくださいネー!
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