大切な彼女が目の前で憑依されたー!
しかし、彼氏の予想外の反応に、
憑依したほうが、逆に戸惑ってしまうー!
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男子高校生・市谷 勝夫(いちや かつお)は、
冷めていたー。
映画やドラマ、漫画を見て
泣いたことも、笑ったことも一度もない。
誰かと話していても、
とにかく冷めているー。
笑わないし、起こらないし、悲しまない。
だがー
容姿はイケメンで、頭もよく、
クールなことから、
そんな性格でも、意外とモテていた。
彼女もいる。
彼女の村木 優衣(むらき ゆい)-。
同じクラスの女子生徒で、
明るく、優しいタイプの女子高生だ。
優衣が、勝夫に告白し
勝夫が「まぁ、別にいいよ」という返事をしたことで
ふたりは付き合い始めた。
デートに誘えばデートに来てくれるし、
彼氏としての振る舞いもしてくれる。
優衣のことを好きなのかどうかは
まったくわからないものの、
デートに来てくれるんだし、
きっと大事にしてくれているのかな?と
優衣は勝手に解釈していたー
だがーー
そんな優衣のことが好きな生徒はもう一人いた。
クラスの男子生徒・
瀬藤 哲也(せどう てつや)-。
彼は、
何を考えてるんだかわからない勝夫が、
優衣と付き合いだしたことに激怒し、
そしてー復讐のために憑依薬を手に入れてしまった。
”優衣に憑依して、勝夫に復讐する”
ためにー。
ある日の朝ー
哲也は優衣を呼び出した。
「--話って?」
優衣がほほ笑みながら哲也に呼び出された
校舎裏にやってくる。
「……面倒臭いことは嫌いだから、
単刀直入に言うぞ」
哲也はいきなりそう口にすると、頭を下げた。
「--あんな彼氏捨てて、
俺と付き合ってくれ」
とー。
「--え…?え?」
優衣が唖然としている。
哲也は、なんでも思ったことを口にしてしまう
タイプの男子生徒で、
この高校の面接の際に、
面接官の先生の一人のズボンの
チャックが開いていることに気づいてしまい、
面接中にそれを指摘した猛者でもあった。
「---…あ、、あの、ちょっと待って」
優衣が苦笑いしながら言う。
「いきなり、そんなこと言われても…
わたし、びっくりしちゃうよ」
とー。
「--はは、そうだよな…
で、返事は?」
哲也が真顔で言う。
優衣の戸惑いをまるで理解できていない。
「---……あ、、あのさ。。
あのね、、急に告白されても、
わたし、彼氏いるんだしさ、、
ちょっと、その、戸惑っちゃうよ。
急に返事って言われても…
というか、あの…うん、
じゃあ、そうしよっか、なんて
いえるわけないよね?」
優衣が、困った様子で返事をする。
「--そうか。そうか…
わかった」
哲也はあきらめがついたように頷く。
告白して、それで成功すれば
”乗っ取る”必要もなかったし
哲也にとってもそれが一番よかった。
だがー
受け入れてくれないとなれば
話は、別だ。
受け入れてくれないのであればー
「じゃあさ…優衣ちゃんの身体、貰うから」
「--!?」
哲也の言葉に、優衣が表情を歪める。
「え?なに…?どういう?」
優衣が、気味悪い、と言いたげな表情を浮かべる。
だが、次の瞬間、哲也は優衣に
突然キスをしたー
「--!?!?!?!?!?」
優衣が驚くー
哲也が、優衣の中に入り込んでいくー
「--あぅっ!?」
優衣が、頭に激しい刺激を感じて声を上げるー。
そして
キスをしていた哲也が
抜け殻のようになって倒れる。
「--ふ……ふふ…ふふふふふふふ」
優衣が自分の手を見つめながら笑いだすー。
「ふふふふふ…俺が、、俺が優衣ちゃんだ…!
俺のこと好きになってくれないなら…
俺が優衣ちゃんになるしかねぇ!
ふひ、ひひひひひひひひ」
優衣が舌をペロペロさせながら
自分の身体を嬉しそうに見つめるー
「あぁぁぁあ…ひとつになっちゃったぁ♡」
興奮のあまり声を裏返しながら、優衣は
倒れた哲也の身体を無視しながら
そのまま立ち去って行くー
・・・・・・・・・・・・・・・・
教室に入る優衣。
女子の身体で教室に来るだけで
興奮してしまったー
膨らんだ胸ー
スカートの感触ー
髪の感触ー
見下ろすと見える制服のリボンー
何もかもが、斬新だー
「うひひひ…♡」
座席に座ってるだけで興奮する優衣ー。
「---」
優衣は、優衣の彼氏である勝夫のほうを見つめる。
今日もしけてやがる、優衣はそんな風に思った。
「あんな男のどこがいいんだか」
優衣はそう呟きながら、
”勝夫に地獄を見せてやる”と思いながら
勝夫のほうに向かって歩いていく。
「今日の放課後、話があるんだけど。いい?」
優衣が言うと、
勝夫は「いいよ」と表情を変えずに答えたー。
”お前を振ってやる”
優衣に憑依した哲也は頭の中で
そう考えながら一人、笑うのだったー
そのあとしばらくしてー
担任の先生が慌てた様子で
駆け込んできたー
”哲也”が校舎裏で倒れていて
こん睡状態であるのが見つかったからだー
「あぁ…俺の身体ね」
優衣は小声でつぶやきながら
髪を掻きむしる。
”ま…俺の身体に戻る気はないから
身体、死んでてもどうでもいいけどな”
動揺するクラスメイトたち。
だが、勝夫は無表情だったー。
クラスメイトがこん睡状態で見つかったとしても
勝夫は動じるようなタイプではない。
「---へっ、冷めた面しやがって」
優衣は小声でつぶやくー。
優衣ちゃんの身体でお前を
驚かせてやるぜー
と、笑いながらー…。
・・・・・・・・・・・・・
放課後。
勝夫が優衣の指定した教室にやってくるー
「--話って?」
勝夫が言う。
優衣は机の上に座って
足を組んで待っていたー
普段、そんなことを絶対にしないであろう優衣が
そういう待ち方をしているのを見て
勝夫が驚くと思ったからだ。
しかしー
勝夫は表情一つ変えなかった。
「-(チッ、なんなんだよこいつは)」
優衣は内心で舌打ちする。
彼女が足を組んでても無反応か。
机から降りると、優衣は勝夫に近づいていく。
そして、身体を密着させて、
勝夫のほうを見つめたー
だが、勝夫は顔を赤くすることもなく、
冷静だった。
「-話って?僕に用があるんだろ?」
勝夫が言う。
「--…ふん」
優衣は思わずつまらなそうにそう呟いて
勝夫から少し離れる。
”優衣ちゃんが身体くっつけても無反応かよ”
つくづく面白くないやつだ。
そんな風に思いながら、次の一手を考えていく。
なんとかこのすかした野郎を
びっくりさせてやりたいー
「--ねぇ、勝夫。
わたし、浮気しようと思うの」
優衣の口からとんでもないことを言わせる。
絶対にこんなことを言わないであろう優衣に
”憑依した俺が言わせている”と思うだけで
とってもゾクゾクするー。
「--そっか」
勝夫がそう返事をした。
「---そう」
優衣が笑う。
「って、、えぇっ!?」
優衣は思わず叫んだ。
そして、続ける。
「あ、、あのさぁ、彼女が、わたしが浮気するって言ってるんだけど!?
もっとリアクションとかないの!?」
優衣は、取り乱した。
「--ないよ」
勝夫は即答した。
「はぁ!?」
優衣は、思わず、男モードで叫んでしまう。
「--だってさ、優衣が浮気したいなら
僕にそれを止める資格はないだろ?」
勝夫は、まったく動揺していない
「ちょ、ちょっと!タイム!
マジ?お前ありえないんだけど!」
哲也の口調で言ってしまう優衣。
「---そう言われてもなぁ」
勝夫は目を逸らす。
優衣のおかしな言動にもあまり興味がなさそうだ
「え?え?わたしのこと好きじゃねぇの?」
半分自が出ちゃってる状態の優衣が言う。
「--好きだよ」
勝夫は即答した。
”なんなんだよこいつ
好きな彼女が浮気する宣言してるのに
なんだこの対応は”
優衣に憑依している哲也は
勝夫のあまりにも冷静な態度に戸惑う。
「--す、好きなら、お、、わたしが
浮気しようとしてるだから
ほら、止めるとか、びっくりするとか、ないの?」
優衣の言葉に
勝夫は、ため息をついた。
「だってさ、浮気しようとしてる彼女に何言っても、
浮気しようとしてるってことは
もう、僕から心が離れてるってことだろ?」
勝夫が言う。
「--いや、、だから、ほら」
優衣は唖然とする。
”なんだこいつー くそ面倒くせぇ”
「--それならそれで
僕は家で本でも読んでるし、別に全然問題ないからさ」
優衣は、勝夫の表情を見るー
表情に悔しいという感情は
見受けられないー。
本気で”別にいいや”と思っている顔だー。
「---そ、、そ、、そう」
優衣の声が裏返っている。
勝夫は「じゃ、そういうことで」と
言いながら立ち去って行こうとする。
「ちょ!待てよ!」
優衣は声を荒げた。
「--憑依されてるとしたら?
わたしの意志じゃなくて
ほかの男子に憑依されて
わたし、操られてるとしたら?」
その言葉に、勝夫は立ち止って振り返る。
「-憑依?」
表情は無表情のままだ。
「--そう!お前の彼女は、
今、乗っ取られてるんだ!」
憑依を自分からバラす哲也。
何でもすぐに思ったことを口にしてしまう哲也は
憑依を秘密にすることもできなかった。
「---……」
「---……」
見つめ合う二人。
(くくく、自分の彼女が憑依されていると知れば
さすがのこいつも驚くはずだ)
「---あっそう」
勝夫は薄いリアクションでそのまま立ち去ろうとする。
「え!?あ、!?!?え???
いいの!?!?
この女の胸揉みまくって
喘いで、夜の街で男誘っちゃうよ!?」
優衣が叫ぶ。
「---そうしたいなら、ご自由に」
勝夫はそれだけ言うと、立ち去ってしまった。
「---」
唖然とする優衣。
ここまで無反応なやつだとは思わなかった。
「はああああああああああああ!?!?!?」
思わず一人になった優衣は叫んでしまう。
いきなり浮気宣言をされても
憑依されてる宣言をしても、ノーリアクション!?
「なんだあいつは!!」
優衣はつまらなそうにそう叫ぶと
”なんとかしてあいつに目にもの見せてやる”
と、目を輝かせたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
勝夫が学校に登校する。
彼女が憑依されても、まったく動じる気配がない。
まるで、勝夫にとっては
彼女の存在など”些細なこと”であったかのようなー
そんな反応だ。
「---じゃ~~~~~~ん!」
教室に入ると、
髪を暗い赤色に染めて
ピアスをして、派手なメイクをした優衣の姿があったー
(くくく…真面目な優衣ちゃんのこの姿を見て
驚け…!)
クラスメイトたちは騒然としている。
しかしー
勝夫は「まぁ、それも似合ってるんじゃない?」とだけ言って
表情一つ変えることなく、着席した。
「っ!!おおおおおい!」
あまりのリアクションの薄さに優衣は叫んだー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
彼女が憑依されても無反応な男子生徒…!
次回以降もお楽しみに~!
コメント
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これは今までにないシチュエーション!
続きが楽しみ!
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> これは今までにないシチュエーション!
> 続きが楽しみ!
ありがとうございます~!
続きも頑張ります~!!
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市谷 勝夫は、悪の教典のハスミンの類だね
共感力が著しく欠落していると言う
外付け良心回路が必要な人
哲也が彼にとっての石田 憂実になりそうな予感
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> 市谷 勝夫は、悪の教典のハスミンの類だね
> 共感力が著しく欠落していると言う
> 外付け良心回路が必要な人
> 哲也が彼にとっての石田 憂実になりそうな予感
コメントありがとうございます~!
次回が最終回なので、結末もぜひ
ご覧になってくださいネ~