<入れ替わり>歪んだ愛情①~溺愛~

母は、娘を溺愛していたー。

溺愛するあまり、母親はある行動に走るー…。

娘を溺愛する母親の入れ替わり物語…。

※リクエスト作品デス

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娘の千奈津(ちなつ)はかわいいー。

この世の、何よりもー。

娘は、今年で小5になった。

だんだんと大きくなっていく娘に、
私は、喜びを隠せないー

けれど、
同時に不安にもなるー。

”娘が、私の手を離れて行くのではないかー”

と。

思春期を迎えて
やがて大人になりー
誰かと結婚してー
巣だっていくー

けどー

私には、それが、許せない。

千奈津は、私のモノー。

だって、千奈津は私のお腹の中から
出てきたんだからー

私の分身ー
私の一部ー

だからー
千奈津はずっと、わたしのものー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「--お母さん!ただいま!」

娘の千奈津が、帰ってきた。

「おかえり~!」
私は明るく、元気に
娘の千奈津を出迎えた。

「---ねぇねぇお母さん、聞いてよ~!
 今日、一哉(かずや)くんがね~!」

一哉くん。

私の敵。

千奈津は、最近
”一哉くん”の話をばかりする。

たぶん、娘は一哉くんとやらが
好きなのだろう。

だから、私の敵だ。

娘は、私と話しているときよりも
一哉くんの話をするときの方が
最近は目が輝いている。

許せないー

一哉くんともし、付き合うことになったら
千奈津は、私のことより、一哉くんを
優先するようになるだろうー

そんなこと、許せない。

私は思わず口を開いた。

「ねぇ、千奈津。
 その一哉君って子のこと、好きなの?」

私が聞くと、
千奈津は顔を少し赤らめた。

「え、、う、ううん!ただの友達だよ!」

とー。

「---…そ」
私は微笑んだ。

ただの友達。か。

千奈津が部屋に入って行ったのを見て、
私は冷蔵庫からおもむろにトマトを取り出した。

そしてー
怒りに身を任せてトマトを手で握りつぶす。

「一哉くん…
 一哉くん…
 かずやぁぁあああああああ…!」

私は鬼母のような形相で、
トマトを一哉くんに見立てて握りつぶす。

娘をたぶらかすなんて、許せないー。

でもー
娘は本気で一哉くんのことが好きなようだし、
このままだと、千奈津の心は
一哉くんに奪われてしまう。

そんなこと、絶対に許せないー

”身体が入れ替わっちゃった!”

テレビから聞こえた音に
私は反応したー

女子高生と
不良男子が
身体が入れ替わった!と叫んでいるー。

女子高生は嫌らしい笑みを浮かべ
不良男子がニヤニヤしているー

たまたま流れていたテレビ番組。

ふと、私は思ったー

私が”一哉くん”と入れ替わることができればー
千奈津の愛を独占できるかもしれないー

そう思ったのだ。

そう考えた私は
早速スマートフォンで”入れ替わり”と
検索を始めた。

そんなことできるはずがないと思いながらも
検索せずにはいられなかった。

私は、娘のためなら、なんでもする。

そしてー
私は見つけてしまった。
”入れ替わり薬”をー。

販売しているサイトを見つけた私は、
怪しい、という気持ちよりも
好奇心と娘への愛が勝って、
それを注文してしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

入れ替わり薬が、届いたー。

使い方はとっても簡単。
自分が入れ替わり薬を飲んで、
入れ替わりたい相手と1時間以内に
キスをすることー

それだけだった。
1時間、誰ともキスしないと効力が
切れるのだと言う。

「ねぇ、千奈津…」
私は、遠足の時に撮影したという集合写真を
手に、娘の千奈津に声をかけた。

「一哉くんって、どれ?」
私が言うと、
千奈津は少し不思議そうな顔をした後に、
「この子だよ!」
と嬉しそうに指をさした。

「--ふ~ん、ありがと」

”一哉くん”のツラは分かった。
あとは、明日の放課後に
一哉くんと入れ替わるだけだ。

「---」
私はリビングのソファーでスマホを
いじっている千奈津の方を見つめる。

恐らく”一哉くん”とLINEでも
しているのだろう。

「--明日から、いっぱい、LINEをしようね」

私は、にっこりとほほ笑んだー
明日からは、千奈津とLINEがたくさんできるー

部屋に戻った私は、
ハサミを取り出して、集合写真の一哉くんの部分を
切りぬいた。

「--千奈津に近づく敵は、
 私がみ~んなやっつけるわ!」

私はそう呟いて、
一哉くんの切りぬいた部分を、
口の中に放り込んで、かみ砕いた。

娘の敵は、許さないー
排除する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日の放課後。

たまたま休みだった夫の雄太(ゆうた)に、
”用事がある”と告げて
私は出かけたー。

夫の雄太への愛情は、もうない。
私は、娘が生まれたときに、
あまりの可愛さに感動した。

成長していく我が子ー
それを見て、私は変わった。

趣味を全て捨てて
友人も捨てて
全てを千奈津に捧げた。

今の私にとっては、千奈津が、全て。

千奈津のいない人生など、
カレールーのないカレーライスだ。

「--来たわ」
私は笑みを浮かべた。

私と千奈津の敵・一哉がやってきたのだ。

しかもー
娘と一緒に手を繋ぎながら歩いている

「---~~!」
私はそのまま怒鳴り声をあげそうになった。

けれどー

我慢。我慢。

私は、千奈津の友達からは
”優しいお母さん”と思われている。

千奈津のことを傷つけるわけにはいかないー

私は、優しいお母さんで
いなければならない。

「じゃあまた明日!」

私が色々と考えているうちに、
千奈津と一哉くんが別れた。

路地裏の方に入って行く一哉くん。

「今がチャンス!」
私はすかさず飛び出した。

そしてー

いきなり後ろから
一哉くんに掴みかかると、
私は有無を言わさずキスをしたー

周囲から見れば小学男子に無理やり
キスをした危ないお母さんだ…

けど、そんなことどうだっていいー

驚いている一哉くんを
見つめながら私は思った。

”勝った”-

と。

これで、一哉くんとやらの身体は私のモノ…

そう思いながら、私の意識は薄れて行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----…」

僕は目を覚ました。

何が何だか分からないー。
朝かな?

そう思いながら
周囲を見渡すと、
そこはいつもの通学路だったー

あ、、、そうか…

僕は思う。

下校中に、突然変なおばさんに
襲われて…

それから…

「---おはよう、一哉くん」

背後から子供の声がした。

振り返った僕の前にいたのはーーー

僕だった。

「ひぃああああああああああああ!?」
僕は悲鳴をあげた。

しかもー
僕の口から出たのは
女の人の声

「えええええええええええええええ!?!?」
僕はさらに驚いて大声を出した。

身体を見るとー
僕には、大きなおっぱいがー…

「ぶっふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
僕は叫んだー

口からはやっぱり女の人の声。

「こ、、こ、、こ、これは、、、」
僕が混乱していると
目の前にいる僕がいった。

「私の身体と、一哉君の身体を入れ替えたの」

は?

意味が分からない。

入れ替わった??

まるで意味が分からない。

「ぼ、、僕の身体を返してくれ!」
僕はとっさに叫んだー

入れ替わり、とか意味分からないけど、
とりあえず、僕が女の人になってて
目の前に僕がいるということは
入れ替わったのだろう。

「---べーっ!」
目の前に僕がそう言った。

「--これから私は一哉くんとして生きて行くの。
 そして一哉くんは私として生きて行く…ふふふ」

目の前にいる僕が女口調でそう呟く。

やめろ!気持ち悪い!
僕は心の中でそう叫んだ。

「--そ、そんなこと!」
僕が反論しようとした。

しかしー

「--大丈夫よ。
 試してみたんだけど、
 ちゃんと、記憶も引き出せるみたいだから。

 頭に念じるようにしてみると、ほら…
 一哉くんの記憶、全部読みとれちゃう!」

目の前にいる僕はそう言った。

ふ、ふざけるな!

僕はそう叫んだ。

しかしー

「--ふぅ~ん、最近、一人エッチ始めたんだぁ~
 元気ね~

 あとは、う~ん、半年前に1回おねしょしたのね」

目の前にいる僕が
僕の記憶を読み取っているー

「やめろ!やめてくれ~!」
僕は叫ぶ。

「--お、、お母さんに言いつけるからな!」
僕はそう叫んで母親に助けを求めようとしたー

しかしー

目の前にいる僕は、女の人になった僕を笑った。

「--無理よ。
 入れ替わったなんて、誰が信じるの?
 それに、私はあんたの記憶を読み取れる。
 あんたに成りきることもできるのよ うふふふ」

目の前にいる僕が
オカマみたいに見えてきた。

「--そ、そんな…」
僕は唖然としてそう呟いた。

たしかに、そうかも。

この姿で
お母さんに
”身体を入れ替えられちゃった”

なんて、叫んでも信じてもらえないだろう。

僕は、絶望したー。

「ぼ、僕…おばさんとして
 生きて行かないといけないの?」

僕は唖然として、
そう呟いたー

「…おばさん?」
目の前にいる僕が
露骨に不機嫌そうな表情を浮かべる。

「あ、いえ…その…」
僕は戸惑った。

女の人の身体になっていることにもー
目の前にいる僕になったおばさんにもー。

「---そう。私はおばさん、
 そうよね…ふふふふふふ…

 なんて憎たらしいクソガキなの!」

目の前にいる僕は叫んだ。

怖いー。
僕はそう思った。

この人はいったい…?

僕は、このおばさんの記憶を探ってみたー
自分の記憶ではないものを思いだそうとするー
なんだか、とても不思議な感覚ー。

そしてー
「--!!!」

僕は震えた。

「ち、、ち、、千奈津ちゃんのお母さん…?」
女の声で、僕はそう言い放った。

「千奈津ちゃん?
 下の名前で呼ぶなんて、
 図々しいクソガキね!」

目の前にいる僕はそう叫んだ。

「いい?千奈津はわたしだけのものなの。
 最近の千奈津はねぇ、家に帰って来ても
 あんたのことばっかり。
 あんたが私から千奈津を奪った!

 この泥棒猫!」

目の前にいる僕が叫ぶー

こ、、怖い…

僕はそう思ったー

このおばさんーー
おばさんの記憶によると、まだ30代みたいだけど、
僕からすれば十分におばさんだ。

「---あんたは今日から私として生きるの。
 お母さんとしてね。」

僕の身体はニヤニヤしながらそう言い放った。

「そして私は、あんたの身体で
 千奈津と付き合うの…
 ふふふふふふ…

 男の子としてね…
 うっふふふふふふ…♡」

そんな笑い方をしないで!と
僕は叫ぼうとしたー

けど、このおばさんには何を言っても無駄だー。

それにーー

「--------!!!」

僕は、おばさんの記憶の中に
恐ろしい記憶を見つけたー

それは、
”僕への明確な殺意”

僕が言うことを聞かなければ
僕のことを滅茶苦茶にしてやるという
殺意…。

僕は、思わずその場で震え上がってしまう。

「---…とりあえず、お互いの家に
 帰りましょ?ふふふ…

 どうすればいいかは、スマホで連絡するし、
 私の記憶を読み取れば
 ”いつも通り”振る舞うのは簡単でしょ?」

”僕”はそう呟いた。

僕の姿をしたおばさんはスマホを持つと、
”これで連絡を取り合いましょ”と
呟いて、そのまま嬉しそうにスキップしながら
路地裏から姿を消したー。

途方に暮れた僕は、
おばさんの身体のまま、
おばさんの家を目指した。

ふわふわしたスカートが落ち着かない。

パニックになりかけていた僕は
スカートがめくれ上がるのも忘れて、
家に向かって猛ダッシュしたー

そして、家に辿り着く。

「あ、お母さん!おかえり!
 どこ行ってたの?」

千奈津ちゃんー!

僕は叫びそうになった。

けどー…。

僕の身体を奪ったおばさんのことが
頭に浮かぶ。

あのおばさんは、本気だ。
僕が言うことを聞かなければ、
僕はー
僕のお父さんと、お母さんは…

「た、、ただいま…」

僕はそう言うと、
足早にこのおばさんの部屋へと向かった。

なんとかしなくちゃー

なんとかしなくちゃーー…

そう焦っている僕に、
LINEが届いた。

”千奈津、あんたのことが好きなの。
 だから、あんたに告白するように
 お母さんとしてアドバイスしてあげなさい”

僕はそれを見て手を震わした。

千奈津ちゃんが僕のことを
好きだったなんてー

僕も…

けどーー

”一哉くんのこと好きなんでしょ?
 勇気を出して告白したら? って
 千奈津に言いなさい”

おばさんが、僕を脅してくる。

僕は
”そんなことー”と反論した。

すると、
すぐに、キッチンで料理する僕のお母さんと、
その背後でハサミを持って微笑む僕の
写真が送られてきた。

僕は、それが何を意味するのか、理解した。

僕になったおばさんが、
僕のお母さんをーー

”はい…”
僕は、泣きながらそう返事を送ると、
千奈津ちゃんの部屋に向かって歩き出したー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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リクエストを題材とした入れ替わりものデス!
リクエストの原文は、明日のコメントで
ご紹介しますネ!

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