40代の独身男。
彼には、彼女がいたことがない。
つまり、彼女いない歴=年齢だ。
童貞でもある彼は
ある日、”あるもの”に出会うー。
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彼はー
昔から恋愛には縁が無かった。
まったく興味がない、というわけではなかった。
だがー
彼は、学生時代に女子からいじめを受けて、
女性不審になった。
嫌悪感すら抱いている。
だから、彼は結婚したいとは微塵も思っていない。
むしろ、恨みを抱いているぐらいだ。
そんな彼は、今年で45になる。
彼女いない歴=年齢+童貞の独身男だ。
仕事はコンビニでのバイトのみ。
ただ、子供も家族もいないために
生活していくことはなんとか出来ていた。
”このまま、人生は終わるのだろう”
彼の中でなんとなくそういう想いがあった。
けれどー
別にそれでも良かった。
貧しいけれど、趣味は充実している。
好きなアニメを見て
好きなキャラのグッズを集め
オタク仲間たちと談笑するー。
それだけでいい。
彼女いない歴=年齢の男・
石田 勇太(いしだ ゆうた)は
今日も、コンビニバイトを終えて
自宅へと戻るのだった。
「--ふ~」
帰りに購入したポテトチップスとコーラを
ほおばりながら、パソコンを起動する勇太。
ツイッターを開き、
勇太はニヤニヤしながらその画面を見つめる。
彼の居場所はここだ。
オタク仲間たちと一緒に
ネット上で騒ぐ。
そして、時々リアルでも会う―。
そんな日々こそが、勇太にとってはかけがえのない宝。
「ぐふふふふふふ…」
アニメキャラのエロ同人を見て笑みを浮かべる勇太。
勇太は興奮して、
その場で息子を刺激して、致してしまった。
アパートの近所に住む女子大生から気持ち悪がられているし、
実の妹にも気持ち悪がられている。
だが、勇太はそんなことは気にしない。
彼は、女になど、何も期待していないからだ。
アニメキャラが好きで何が悪い。
ハゲデブで何が悪い。
俺は、俺だ。
笑いたければ笑うがいい。
俺は生涯童帝を貫くー。
勇太は、そう思っていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日ー。
勇太はオタク仲間3人と一緒に
アニメショップを訪れていた。
ショップにいる腐女子が
ひそひそ話でこちらを見ている。
「--あぁ…傷つくわ~俺…」
オタク仲間の龍太(りゅうた)が呟く。
アニメキャラのTシャツで堂々と外を歩き、
時にはアニメキャラの抱き枕を
抱いたまま外出するつわものだ。
勇太とはネットで知り合った。
「--僕もだよ」
もう一人のオタク仲間・南海夫(なみお)。
彼ともネットで知り合った。
サングラスを手放さないイケメン風の男で
顔はそこそこイケメンなのだが、
ファッションが壊滅的にダサい。
イタ車を乗りこなし、会社にもそれで出勤しているらしい。
「---あぁぁぁぁ…」
そして、最後のオタク仲間・武三(たけぞう)
彼は、すぐに勃起してしまう。
おかげでこれまで何度も通報されたことがある。
彼曰く、何も考えていなくても勃起してしまうのだ。
「--ほっとけほっとけ。
腐ってるのはあの女も俺達も一緒だ」
勇太は、婦女子たちに聞こえるように
大声で話した。
勇太は思っていることをすぐに話してしまうタイプ。
そんな4人が
アニメショップでの買い物を終えて
近くのタピオカ屋に入った。
タピオカ女子たちが
敵意を向けているようにも思える。
だが、勇太たちは堂々と
エロゲーのグッズや、アニメグッズを
見せびらかしながら
堂々と席に座ると
談笑し始めた。
タピオカ女子たちが嫌がるような内容だ。
「--勇太さんは結婚しないんすか?」
武三が言う。
相変わらず武三は勃起している。
「---俺?俺はもういいのさ」
勇太は巨体からボタボタと
汗を垂らしながら言った。
「僕は、したいけどね」
イケメン風の南海夫が言う。
今日はポロシャツにシャツインというファッションだ。
「--俺は、結婚はいいけど
一度ぐらい彼女とか、、あとヤッてみたいよな!」
抱き枕のニオイを嗅ぎながら龍太が言う。
「ふ~ん…」
勇太はタピオカを味わいながら呟く。
勇太には結婚したいという気持ちが理解できない。
小さい頃に女子にいじめられたことも
原因だとは思うが
とにかく三次元の女に興味がわかない。
大声でタピオカ女子が嫌がりそうなトークを
繰り広げる勇太たち。
そんな勇太たちの様子を店内の奥の方で
タピオカを飲んでいる女子高生が
じーっと見つけていた。
「ごちろうさん」
勇太が店から出る。
店から出た4人が街を歩いていると、
背後から、制服姿の女子高生が声をかけてきた。
「あの…すみません!」
とー
勇太たちは振り返る。
「--え?僕たち?」
イケメン風の南海夫が言うと、
女子高生は頷いた。
「--え?え?え?誰の知り合い?」
アニメキャラのシャツを着た龍太が
ニヤニヤしながら言う。
「---う…うへへへへ」
武三は既に勃起している。
まるでピーター〇ンの鼻のようだ。
「---ほっとけよ。
JKに関わってもロクはことはない。
あいつらは、オタクを人間とすら
見ていないからな」
達観している勇太が言うー
しかしー
「大事な話があるんです。
近くの…そう、カラオケボックスで
お話しませんか?」
可愛らしい女子高生は、そう言った。
勇太たち4人は、
正直に言えば、かなりのインパクトがある。
JKであれば、普通は近寄らないだろう。
巨漢の男ー
アニメシャツと抱き枕の細身の男ー
勘違いイケメンー
勃起ー。
近寄りたくないと思うのも当然かもしれない。
だがー
この女子高生は、
あろうことか4人をカラオケボックスに誘った。
「これって…あれじゃね?」
南海夫が言う。
”なんかの詐欺ではないか”
とー。
女子高生に自分たちが誘われるなんて
あり得ない。
「-----」
勇太は、女子高生の目を見つめて
何を思ったのか
腕を組みながら
「いいだろう。話を聞こう」と
偉そうに答えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カラオケボックスに到着した5人。
4人組のオタクが困惑していると
女子高生は生徒手帳を机の上に置いた。
「--あの…
わたしは、近くの高校に通う
花川 蘭(はなかわ らん)と申しますー」
礼儀正しく挨拶する蘭。
蘭はとても可愛らしく
少し幼く見えるツインテールの少女。
「--あ、ども」
イケメン風の南海夫や、
アニメシャツの龍太が
照れくさそうに頭を下げる。
だがー
ハゲデブである勇太は、
腕を組み、堂々と椅子に
座り、蘭を見定めるようにしていた。
「--何の用だ?」
勇太が問う。
他の3人は「ちょっと勇太さん!」と、
勇太の愛想のない態度を
やめさせようとしていた。
しかしー
蘭は、臆することなく微笑んだー
「彼女いない歴=年齢で童貞のみなさん?」
クスクスと笑う蘭。
「--キモオタと言われたまま
人生終えて、満足ですか?」
蘭が挑発的に言う。
「な、、なんだとこのヤロー!」
イケメン風の南海夫が机を叩いて立ち上がった。
南海夫は切れやすい。
オタク仲間からは”ダイナマイト南海夫”とも呼ばれているほどだ。
蘭は足を組み、誘惑するような笑みを
浮かべながら、自分の方を指さし、
微笑んだ。
「わたしも元・キモオタなんだよ…ぐふふ」
とー。
蘭がイヤらしい笑みを浮かべる。
とても
可愛らしいツインテールの少女には
不釣り合いなその笑みー。
勇太たち4人は、
”何かこの子、変だ”と悟るー
そして、蘭は続けて口を開いた。
制服のボタンをわざと開けて
胸元を見せつけながら蘭は不気味な
笑みを浮かべるー。
「これを見ろよ…」
蘭はクスクス笑いながら
自分の可愛らしい鞄から、
ペットボトルに入った謎の液体を
取り出した。
「これは、何だ?」
勇太はなおも偉そうな態度を
崩さずに言う。
武三は、目の前の女子高生の
女子高生らしからぬ態度に、
既にズボンが破裂しそうなほど勃起している。
「--お前はいつも勃起してるな!」
龍太が武三に言う。
彼は、モナリザの絵を見ただけで
勃起してしまうほどのつわものだ。
「---そろそろ話を先に進めてもよろしくて?」
蘭がふざけた口調で言うと、
勇太たちは頷いた。
「--わたしもね…
元々は、あんたたちと同じ、
そう、人からすればキモオタって言われる
部類の人間だったの。くくく」
蘭が自分の胸をベタベタと触りながら微笑む。
「でもねー」
蘭はペットボトルを撫でながら笑う。
「この”憑依薬”で俺は
このJKの身体を手に入れた!
くへへへへへ…
お前ら知ってるかよ?
中身は同じ俺でもさ、
俺のこと”キモオタ”ってバカにしてた
連中、手のひら返しだぜ?
今じゃ俺のことちやほやして、
だらしない笑顔を浮かべて
顔を赤くしやがる!
ひはははははははは!」
蘭は狂ったように笑い始めた。
大人しそうな少女が、こんなー
「--憑依薬…」
南海夫が呟く。
「そう。お前たちもさ、
バカにされたことあるだろ?一度ぐらい。
理不尽だよなぁ」
蘭がそこまで言うと
笑みを浮かべた。
「---お前らを呼んだのは、
この憑依薬をおすそわけするためさ」
蘭が笑う。
「な、なんだって!?」
南海夫は驚いた。
そもそも憑依薬というものの存在が驚きだし
それをくれるとなればさらに驚きだ。
「---…何故だ?」
勇太は腕を組みながら言う。
「どうして、俺達に憑依薬を?」
勇太の疑問は最もだった。
女子高生のイタズラ、と考えるのが妥当だろう。
憑依薬なんて、ありえない。
「--どうしてって?」
蘭は笑った。
「直接会ったことはないから
わかんないだろうけど、
俺、お前ら4人とよく話してるんだぜ?」
蘭は微笑んだ。
「-?」
勇太たちは首をかしげる。
「--お前らのツイッターのフォロワーのひとりだよ。俺も。
しかもよく話してる。
誰、とは言わないけどな。」
蘭はそう言うと、
未だ疑いの目を向ける4人を見て、笑う。
小さな容器4つを鞄から取り出すと、
憑依薬をその中に少しずつ入れて
カラオケボックスのテーブルに置く。
そして、ペットボトルに残った憑依薬を
蘭は飲みほしてみせた。
「ほら、毒じゃないだろ?」
憑依薬を飲んだ蘭はぴんぴんしている。
そしてー
カラオケボックスの出口に向かいながら微笑む。
「それを使うか、使わないかは
お前たち次第だ…」
蘭はそう言うと、クスクス笑いながら
外に出て行ってしまった。
残された勇太たち4人は、
憑依薬をそれぞれ手にする。
「どうするよ?」
南海夫が言う。
他の3人は黙っているー
けれども、4人とも心は決まっていた。
”憑依薬”を使うー
と。
南海夫は、
結婚相手を探すためー
龍太は、
美少女オタクになるためー
武三は、
欲望に溺れるためー
そしてー
勇太は、
「--俺は、これで女に復讐するぜ。
彼女いない歴=年齢の復讐だ!」
勇太はそう叫んで立ち上がった。
4人の彼女いない歴=年齢の男たちの復讐が
今、はじまる…!
②へ続く
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コメント
体調不良で、水曜日~金曜日だけ
お休みをいただきましたが
だいぶ調子が良くなってきたので無事に
復帰しました!
皆様にはご心配をおかけしました!
また更新を再開していきますので
よろしくお願いします~☆!
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